携帯電話の卸売・販売や、携帯電話を活用したソリューションサービスを提供するコネクシオ株式会社様。BtoCとBtoBの両面で事業を展開し、BtoB領域ではモバイルソリューションの「Mobile WorkPlace」や、IoTソリューション、決済サービスなどを提供しています。
同社では、コロナ禍による営業スタイルの変化や取引先の環境変化をふまえ、マーケティングの見直しに着手しました。しかし、全体のマーケティング戦略がないまま施策を実行してきたために、施策の目的やゴールを整理できない状態に課題を持っていたそうです。
才流では、2022年11月から2か月間で、法人向けの2事業のマーケティング戦略立案をご支援。コネクシオ 法人本部 法人営業第二部門 ソリューションサービス部 西山様、菊地様に、プロジェクトの成果や率直な感想を伺いました。
外部環境の変化で生まれた「戦略がない」ことへの危機感
ー どのような課題があり、才流にご依頼いただいたのでしょうか。
西山 コロナ禍によって、リアルの展示会が難しくなったり、お客様のところへ訪問できなくなったり。これまでの営業やマーケティングの体制を見直さなくてはならない状況が生まれました。
さらに、当社の主要取引先の統合もあり、われわれが取り扱う商品にも変化があったのです。外部環境の変化に対応するために、法人事業としての戦略を再構築する必要性を感じていました。
菊地 われわれはモバイル端末を基点にソリューションを提供してきたため、自社独自の戦略が不十分な状況でした。外部環境の変化によって「自分たちで戦略を立ててやっていく」ことへ意識が向いたと感じます。
また、マーケティングプロセスにも課題はありました。
施策を実行してもきちんと効果測定ができていない。リードをとっても、商談につながらない。そもそも、ゴールはどこで何のためにやっているのか曖昧。
そんな状態だったので、マーケティングチ―ムは営業の要望に応えることが中心になってしまい、自ら目的を持って施策を実行できていなかったんです。
課題を解決するためには、マーケティングの全体戦略を立て、それを軸に動く必要があると感じていました。
ー 才流に依頼をする決め手になったことは、何だったのでしょうか。
菊地 2022年の11月に法人事業のサイトリニューアルを行うことが決まり、急ピッチで準備を進める必要があったんです。
どこに頼むかを検討しはじめたとき、マーケティングチームの中で、才流が出している記事を日常的に読んでいるメンバーがいたので、才流にお声がけをしました。
菊地 ほかにも、数社候補は挙がっていたのですが、才流は商談でのお話がとても的確でした。
あれこれと散らばっている情報を切り分け、整理してお話をしてくださったこと。才流のメソッドがあれば、われわれの課題を解決できるということを、ロジカルにご説明いただいたことで、信頼できると感じました。
サービスサイトのリニューアルが進行している中でのご相談だったことや、来期の予算を立てるタイミングでもあり、11~12月の短期でご提案をいただけることもポイントでした。
2か月で2事業のマーケティング戦略と実行体制をご提案
ー プロジェクトでは、具体的にどのようなことを行いましたか。
水落 まずは、法人事業の中でもモバイルソリューションのMobile WorkPlace(MWP)とIoTソリューション、それぞれのマーケティング戦略を立てることを目的に調査・分析を行いました。
水落 十数名の既存顧客や見込み顧客にインタビューを行い、「顧客はこの商品のどこに価値を感じているか」を言語化し、ペルソナやカスタマージャーニーを作成しました。
ユーザーインタビューから、Mobile WorkPlace(以下、MWP)の強みは「ワンストップで提供できる」「トータルでフローを構築できる」ことだと見えてきたので、訴求ポイントとして打ち出していく方向性でご提案しました。
菊地 「ワンストップ」「トータル」という言葉が出てきたのは、面白かったですね。
実は過去に、「トータルソリューション」を訴求ポイントに、展示会に出展したことがあったんです。
しかし、まだ展示会ノウハウを持っていないときで、ブースに立っている社員は何をどう説明したらいいかわからず、撃沈した記憶があって(笑)。
それ以降、「ワンストップ」「トータルソリューション」は関係者の間ではNGワードのような扱いになっていたんです。
ところが今回の調査で、客観的な分析をもとに「やはり間違っていなかった」と確認できた。一周まわって戻ってきた感覚でしたね。
水落 並行して、短期で成果が出やすい、BtoBマーケティングのセオリーに沿った改善施策のご提案も行いました。
水落 当社のコンサルタント全員が集まる社内勉強会で、MWPとIoTソリューションのサイトを見てもらい、ひたすら改善策を出し合いました。
全部で50~60くらいの意見が出て、そこから私や桂川が持っている情報をもとに精査し、コネクシオ様にお伝えしたんです。
そういう意味では、才流総出で改善案をお出ししたという感じですね。
来季の計画を立てるためのプロジェクトということもあり、戦略をベースに人的リソースなどの実行体制までご提案させていただきました。
社内での「ブランド」議論は、遠回りだったと気づかされた
ーブランドについても、ご相談されたそうですね。
西山 そうですね。われわれは大手企業グループの傘下であり、長らくそのブランド力に頼ってきた部分がありました。通信キャリアの代理店という立ち位置もあり、コネクシオ単体では知名度もありません。
自社独自のブランドを作ったほうがいいのか、このままでいいのか。判断できず、模索していたところだったんです。
水落 プロジェクトを通して、コネクシオ様の最大の強みは「オールインワンのサービス」という言葉に集約されていると感じましたし、目指す業態も見えてきました。
さらに、大手キャリアとの取引実績や大手企業グループであることは、今後日系のエンタープライズ企業を狙う場合は、強みにもなります。
今は「脱大手ブランド」を考えるよりも、事業としての実績をどう増やすか。つまり本業を頑張って、実績を積んでいくことが重要だと感じました。
それが世に伝わったときに、はじめてブランドになるのではないかとお伝えしました。
西山 忌憚(きたん)のないご意見をいただけたことは、本当にありがたかったです。
われわれはどうしても、自分たちの会社や商品を綺麗に見せることに目が向いてしまって、「お客さまにとっての価値」を深く追求することができていなかったんです。
そんな中で、自社独自のブランドを作ろうと一生懸命考えていたんですが、まずは事業でしっかりと実績を作るべきだと水落さんに言っていただいて。実は遠回りだったと気づきました。
こういうことは、社内の人では言い出しにくい。外部の専門家から客観的な視点で言っていただけたので、良かったと思います。
施策の目的や順番を整理し、自信を持って判断できる状態に
ー今回のプロジェクトを振り返り、印象に残っていること・成果だと感じることは何ですか?
菊地 これまで、自社でもさまざまな施策を行ってきたので、誤解を恐れずに言うと、今回のプロジェクトではじめて知るようなことはあまりなかったんです。
ただ、「何のために、どこに向かって施策を実行しているのか」まったく整理ができていなかったとあらためて感じました。
過去に何度かサイトのリニューアルもしましたが、統一感がなかったり、訴求がぼやけてしまったり。目指すべき方向が見えていなかったんですよね。
今回、多面的に分析していただき、具体的にわかりやすい改善点を示していただけたので、サイトを運用しているメンバーも喜んでいました。
これまでの施策を整理し、やるべきことや優先順位が明確になったことが一番の成果だと思います。
桂川 もともとコネクシオ様は、複数の施策を実行されていたので、知見をお持ちの部分もありました。ただ、パワーをかけるバランスが違っていたり、全体として最適化できていない部分もありましたので、才流で整理させていただいた形ですね。
菊地 実際、いまサービスを必要としている明確層・顕在層にまったくアプローチができていなかったとわかり、驚きました。
私がこのプロジェクトを任されたとき、上席から言われたのは「責任を持って、明確にジャッジできるような材料を用意すること」「その材料を、自分の中にインプットすること」だったんです。
おかげさまで、「いま、なぜこの施策なのか」が明確になり、自信を持って判断できるようになりました。
西山 才流に教えていただいたフレームワークをもとに来季の計画を立てており、社内での説明もスムーズにできています。裏付けをもとに進めるプロセスが作れたのは、成果だと思います。
メンバーの意識も変化「施策の目的が明確なら、自ら動ける」
ー才流とは、どのようなコミュニケーションをとっていましたか。
菊地 最初に「何でもいいから投げてください」と言っていただいたので、大丈夫かな、悪いなと思いながらも言葉以上にバンバン投げてしまって(笑)。
菊地 でも、才流はしっかりと受けとめて咀嚼してくださり、レスポンスも速くて。本当に心強かったです。
毎週の定例会で「次にどんなパスがあるんだろう」と思う前に、先回りして意識を合わせておいてくださるのも、安心感がありました。
プロジェクトにかかわるさまざまな人に対し、インプットをいただけたのもありがたかったです。
メンバーが質問すると返信をくれる「質問管理表」というシートを作り、私以外のメンバーがいつでも質問できる環境を作ってくださいました。
われわれのチームは若いメンバーも多いので、これまでは「言われたことをやる」スタンスになってしまうことがあったと思います。でも顧客理解が進み、戦略を理解できたことで、「この施策が何につながるのか」きちんと考えて実行できるようになりました。
これまで手探りでやってきたことが「間違っていなかった」ことが確認でき、改善点もわかりました。迷いがなくなったことで、視野が広がり、意識も大きく変わったと思います。
私自身も、社内で「こんなことをしたらいいんじゃないか」という間違った提案がきても、「それは違います」と自信を持って言えるようになりました。
マーケティングに対する解像度は確実に上がったと感じています。
マーケティング組織立ち上げ初期にこそ、調査・分析が重要
ー才流のコンサルティングは、どのような会社におすすめだと思いますか。
菊地 足で稼ぐ、いわゆる「ヒラメ筋営業」だけではだめだと感じている会社は多いと思うんです。でも、マーケティングに取り組もうと思ったとき、何からはじめていいのかわからないですよね。
そういった組織の転換期に、才流にご相談するのがいいんじゃないかと思います。
事業の強み・業界環境・顧客などを、初期にしっかりと分析して整理することで、売上を上げやすい仕組みをスピーディーに作れると思います。
西山 当社のように、フィールドセールスを中心にやってきた会社が、変化しようとするときには、ご相談するのはいいと思います。
あとは、当社は製造業のお客様が多くて。もともと系列で仕事を受発注してきたので、営業機能を持ってない会社が多いですよね。
営業の管理もしていない、マーケティングもやったことがない方が多いので、ゼロからマーケティングの仕組みを作りたい製造業の会社には、おすすめしたいですね。
(撮影/矢野 拓実 取材・文・編集/安住 久美子)