新卒向け就活・就職サイト「あさがくナビ」、20代のための転職サイト「Re就活」などを提供する株式会社学情。40年以上蓄積してきた採用に関する膨大なデータをもとに、就職活動をする新卒・若手社会人と採用企業を支援している。2006年には東証一部に上場。「Re就活」は登録者数180万人、累計掲載企業は10,000社を超える。※登録者数、掲載企業数は取材日時点のもの
同社では、コロナ禍による働き方の変化やデジタル化の加速、企業が持つ採用課題に対応するために、デジタルマーケティングの強化に乗り出した。幅広い商品群をいかにそれぞれのターゲットに届けるか。社内でも議論を重ね、外部の視点を取り入れることに決めたという。
才流では2021年12月から、マーケティングの戦略立案とWebサイトのリニューアルを支援。営業戦略室の責任者を務める中村さん、マーケティング担当の荻野さんに、才流の支援を受けた理由や感想、支援後の成果を伺った。
これまで提案型営業で発見してきた顧客ニーズを、ヒトが介在できないWebでどう発見するか。
ー 才流に依頼される前は、どのような課題をお持ちだったのでしょうか。
荻野 採用業界で一般的だったのは、Webサイトやイベントでの就職活動です。しかし、コロナ禍によって企業が求職者と直接会うのが難しくなりました。デジタル化、テレワークの流れも進み、当社としても、情勢に対応した採用支援を提供しなければならないと考えていました。
就活・転職Webサイトに「情報を掲載して待つ」という形から、求職者に企業からもアプローチをする、いわゆる「ダイレクトリクルーティング型」にシフトする。さらに、複数ある就活・転職サイトをどのようにしてそれぞれ異なるターゲットに届ければいいのか、社内で議論をしていました。
中村 才流に依頼する前にお話を聞いて、実際のプロジェクトで様々な方へのインタビューを重視されている点は納得感がありました。さまざまな角度からのアプローチで、取り組む施策を提示していただけたのも良かったですね。
見込み顧客や営業担当者など、第3者視点の分析で得られた「気づき」
ープロジェクトについて、具体的に教えてください。
岸田 2020年12月からスタートし、まずは営業の拠点マネージャーの方など10名ほど学情さまメンバーへインタビューを行いました。その中で、エリアごとに認知度に差がある、攻め方が違うなどの結果が見えてきたんです。
そこで、エリアの特性もふまえて、1月から見込み顧客へのインタビューを行いました。加えて、ベンチマークしている企業、学情さまが持っている強みや課題などの分析を行い、マーケティング戦略をご提案しました。
並行して、Webサイトのリニューアルも行いました。ワイヤーフレームを作成し、見込み顧客に実際に見てもらい検証しました。見込み顧客の方にWebサイトからのアクションは何をするかを確認したり、顧客の検索や情報収集からの導線をインタビューしたり、どのようにWebサイトにアクセスするか、どのようなアクションを取るかについて客観的に検証を重ねました。
そのうえで、そのような第3者視点で裏付けたWebサイト設計を行い、5月にWebサイトリニューアルを完了しました。
荻野 私は才流からご提案をいただいた資料を拝見し、第3者の意見やデータを取り入れた分析がしっかりしていると感じました。
見込み顧客インタビューでは、岸田さんは当社がこれまでアプローチできていない企業をどうやって取りに行けばいいのか、考えながら対象を選んでくださったと思います。未取引の企業の声を直接聞ける機会は少ないので、とても勉強になりました。
また、当社の社員にもインタビューをしていただき、営業責任者や担当者がどのような課題感や認識を持っているのかをまとめてくださいました。社内のことなのに「この人はこんなことを思っていたのか」と気づくこともありました。
さまざまな角度からのアプローチで、当社の勝ち筋、負け筋、取り組む施策を提示していただけたので良かったと思います。
当社では新卒採用や中途採用など、ターゲットごとにそれぞれサイトを持っています。学生とのコミュニケーションツールなども提供しているので、商品が多い分それぞれどのように訴求するべきか。岸田さんもご苦労されたのではないかと思います。
岸田 顧客の課題に合わせて幅広くサービスをお持ちなので、当初は正直に言うと「どうしよう」と思っていました(笑)
しかし、商材は多数あっても「顧客の採用における課題解決を行う」という点が学情さまのビジネスであることに変わりはありませんので、「顧客の課題」を軸にペルソナを設計し、訴求や見せ方を検討しました。
「疑問に思ったらいつでも聞ける」コンサルタントが伴走してくれる安心感
ーこのプロジェクトで印象に残っていることはありますか。
荻野 私は部署の異動で、途中からプロジェクトに加わったのですが、非常にスムーズに話を進めてくださったと思っています。才流はメソッドをもとに話をしてくださるので、どの担当者も理解しやすいやりとりができるのではないかと感じました。
中村 実は、依頼をする前までは「コンサルタントがマーケティングの専門用語ばかりを使って、我々は気負って背伸びをしながら話さなくてはいけないのかな」と勝手ながらイメージをしていたんです(笑)。
でも、実際に一緒に仕事をして、才流の方々は私たちの目線に合わせた言葉で、とても丁寧にキャッチボールをしてくださいました。当社の担当者の状況に合わせたサポートをしてくださったと思います。
私は営業の最前線で顧客に対応する仕事をしていますので、顧客から難しいオーダーを受けることもありますし、その苦労も理解しています。今回のプロジェクトでは、こちらが才流にいろいろとオーダーをする立場になりましたが、才流からは柔軟に対応いただきました。
さまざまな業界の支援をされていいて、幅広い経験をお持ちです。次から次に改善策を出していただけたので、とても安心感がありました。
荻野 私も、「疑問点をいつでも聞ける」のはとても安心感があり、ありがたかったです。自分一人で抱えていたら、もっと工数がかかってしまったと思います。チャットでやりとりをしていたのですが、返信もとても早くて。内容も示唆に富んでいて気づかされることが多かったです。
各部署に点在していた知見が線になり、社内に共通言語が生まれた
ー才流の支援で、どのような成果がありましたか。
中村 納得のいく成果物が出来上がったことは良かったと思います。この成果物は、当社が進化していくための土台になります。ここから、インサイドセールスや営業支援をして、積みあげていくので、才流には基礎工事を一緒にやっていただいたような感覚です。
また、当社では複数の部署で、デジタル系のノウハウを蓄積してきました。今回才流の支援を受け、外部の視点でアドバイスをいただいたことで、それぞれの部門にたまっていた知見がつながり始めたと感じています。
才流からいただいた資料は部署をこえて共有しており、社内でディスカッションをするときに、共通言語で話ができるようになったと感じています。
荻野 たしかに、社内の意識にも変化はありました。「Webサイトの更新もどんどんやらないといけない」とみんなが感じるようになり、更新性も上がりました。
数字的な成果でいうと、Webサイトのリニューアル後、コンバージョン数はこれまでの約2倍に増えました。才流の支援の満足度は、気持ちとしては100点です。でも100点というとそこで終わりになってしまうので、ここはあえて今後への期待を込めて80点ということでお伝えしたいと思います(笑)。
ー才流にこれから期待することはありますか。
中村 当社は、社内で『The Model(ザ・モデル)』の体制を取り入れ、インサイドセールス、カスタマーサクセスのチームを作りました。これから大きな成長を見据えて動いていこうというタイミングなので、才流にはぜひ、長く伴走していただきたいと思っています。
荻野 これから運用段階に入り、突発的なトラブルが発生することもあるかと思います。私は実務者として、才流がそばでサポートしていただけたらとても心強いです。
才流の支援は、当社のようにこれまでやってきたことをさらに成長させたい会社にも良いと思いますし、一からBtoBマーケティングに取り組みたい会社にもぜひおすすめしたいです。
(撮影/塩川 雄也 取材・文/安住久美子 編集/中島孝輔)