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理想の島暮らしをめざして。40代を前に才流で踏み出した新たな挑戦への一歩

加藤 真守
コンサルタント
Kato Mamoru
職種
コンサルタント

オフィスのない才流(サイル)では、日本各地、さらに海外から勤務しているメンバーも少なくない。その中の1人がコンサルタントの加藤 真守(かとう まもる)。奄美大島に在住しながらフルリモートで勤務している。

SE(システムエンジニア)としてキャリアをスタートした加藤は、情報システム、マーケティング、広報、事業責任者など、多彩なキャリアを経て培った守備範囲の広さが強み。業界を問わず多様な顧客の課題解決に取り組んでいる。

40代を前に、新しい挑戦の場を探していたという加藤。前職での事業成長に手応えを感じながらも、次のステージとして選択したのは才流だった。これまでのキャリアや仕事の価値観について話を聞いた。

SEからマーケター、そして事業責任者という異色の経歴

ー才流に入社するまでのキャリアについてお聞かせください。加藤さん、もともとはSEだったとか。

はい。私の地元は神戸ですが、新卒で東京にあるシステム会社への就職が決まり、顧客の大手SIerに常駐するセキュリティエンジニアとして働き始めました。1年目から常駐先の社員の方とチームを組んだのですが、チームの中で自分の技術力や知識、スキルが不足していると感じることはなかったです。「私の技術力は通用するんだ」という手応えが得られました。

その一方で、自分の成果や価値をより直接的に評価されたい、自分の仕事に対してもっと手応えを感じられる環境で働きたいと思うようになって、転職活動を始めたんです。

はじめての転職先は年金コンサルティング会社で、社内SEとして採用されました。入社当初はWebサイトの管理を担当。WordPressなども普及していない時期だったので、日々HTMLとCSSを手書きしていましたね。

写真:インタビューに応じる才流 加藤

ーSEだった加藤さんがマーケティング領域に携わるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

転職してから4か月たった頃、社内に営業企画部門が立ち上がりました。私も営業企画メンバーとして、Webサイトに掲載する情報やSEOなども含めて担当するようになったんです。

具体的には、Webサイトの管理から始まり、会社が定期的に開催していたセミナーの集客や運営、アフターフォローのメールなども担当。マーケティングや広報領域の年間計画の立案などを、徐々に任されるようになりました。

そして最終的には、経営企画部のマネージャーとして情報システム部門やマーケティング・広報部門を統括する立場になりました。この会社で積んだ多くの経験が、今の自分の基礎となっていますね。

その後、前職であるコンテンツマーケティング支援会社に転職。コンテンツマーケティングのコンサルタントやグロースハックチームのリーダー、事業推進・商品開発の責任者など、ここでも多くの経験を積みました。とくに印象に残っているのが、ソーシャルメディア事業の責任者として事業を立て直したことです。

事業責任者として着任した当時の状況を教えてください。

組織再編によって職能制から事業部制に移行したばかりで、人員過多による赤字という厳しい状況からのスタートでした。事業立て直しに向けては、セールス・マーケティングの強化から、サービス提供体制の見直し、研究開発体制の整備、人材マネジメント、市場動向のキャッチアップまで、バリューチェーン全体で課題が山積みでした。

すべての課題に取り組めるのが理想的ではありますが、現実ではリソースに限りがあります。そこで私が注力したのは、優先順位づけによるリソースの集中です。まず「今すぐ着手すべき課題」と「本質的に変革すべき領域」を見極め、今の戦力で実現可能な範囲を見定めました。そのうえでフェーズごとの具体的な目標を明らかにしていったんです。

また、私自身のリソース配分という観点で、「任せること」と「自ら動くこと」の切り分けを意識的に行いました。特に立ち上げ時の負担が大きい施策や、目標に対する認識のズレが生じやすい領域については、リーダーやマネージャーと並走して進めることで、確実に進めようと心がけていましたね。

優先順位をつけて実行体制を整えていった結果、事業を無事に成長軌道に乗せられた。この経験で、チームの力を最大限に引き出すために必要なことを学びましたね。

SEから事業責任者まで、幅広いご経験を持っているんですね。では、才流との出会いから入社までの経緯を教えてください。

才流には2018年から業務委託のコンサルタントとして関わっていました。前職時代の同期を通じて、代表の栗原さんと知り合ったのがきっかけです。

2023年に39歳になり、40代をどのように過ごすべきか考えた時期があって。前職で事業をさらに伸ばすところまでは想像できましたが、想像できることをやっても面白くない。40代では新しいチャレンジをしたいと思っていたんです。そこで、まずは栗原さんに相談しようと思って「才流で採用の予定はありますか?」と聞きに行きました。

写真:インタビューに応じる才流 加藤

才流に入社を決めた理由をお聞かせください。

まず、才流の専門性の高さに惹かれました。特にBtoBマーケティングを中心とした特定領域での豊富な知見と、それをさらに深められる環境があることは大きな魅力でしたね。優秀な人材が集まっていて、お客さまからの期待値も高いため、自身の成長機会にも恵まれるだろうと感じたんです。

また、さまざまなビジネスに関わりながらコンサルティングの経験を積めることは、キャリアの幅を広げる絶好の機会。40代でさらなる成長を目指すにあたり、組織マネジメントだけでなく、一人のビジネスパーソンとしての力量を試したいという思いがありました。

加えて、フルリモートでありながらキャリアとスキルを磨ける環境は、私にとって大きな決め手となりました。

発注側と受注側が良い関係性を築くことで成果につながる

これまでの経験が、現在のコンサルティング業務にどのようにいきていると思いますか。

まずは、立ち上げフェーズの組織やプロジェクトで、どこから手をつければよいのかを見極められることですね。

たとえば、ソーシャルメディア事業の立て直しでは、人員過多で赤字という状況から、どの施策を優先すべきか、リソースをどう配分すべきかを判断してきました。そういった経験があるからこそ、クライアントの組織が未整備な状況でも、優先順位をつけて具体的な改善施策を提案できます。

自分自身が失敗や反省をした経験も多いのですが、それも含めて立ち上げ期特有の悩みがよくわかるので、今とても役立っていますね。

それから、マーケティング領域に限らず、発注側の立場で考えることを意識しています。自分も発注側の立場を経験したので、お客さまが何を期待して発注しているのか、どういったことを求めているのかという気持ちは理解しやすいかもしれません。

発注側の経験があるのは大きいですね。

そうですね。私は両方の立場を経験したからこそ、コンサルティングの価値を最大化するには受注側と発注側が良いパートナーシップを築くことが大切だと実感しています。

私たちコンサルタントは全力で価値提供に取り組みますが、それと同時に、お客さまと一緒により良い成果を生み出せる関係性を築いていきたいと考えています。これは以前、発注側としてさまざまなベンダーと協働した経験から、お互いの強みをいかし合える環境づくりの重要性を学んだからです。

写真:インタビューに応じる才流 加藤

そのほかに重視していることはありますか。

実行可能な戦略を立てることですね。

前職で事業責任者として30人規模の組織を率いた経験から、どんなに戦略として正しくても、現場のリソースや実情に合っていなければ機能しないことを学びました。そのため、お客さまの組織の状況や実行力を見極めたうえで、確実に成果を出せる提案をすることを心がけています。

お客さまから「魔法の杖」のような解決策を期待されることも少なくありません。ですが、私は「小さくても着実に前進できる、地に足のついた施策」を提案することを重視しています。一つひとつの成功体験を積み重ねることで、組織は確実に強くなっていくはずですから。

理想の暮らしを求めて。奄美大島からのリモートワーク

加藤さんは奄美大島在住ですよね。そもそもの移住のきっかけを教えてください。

仕事で忙しい日々を送るなかで、時間の使い方を見直したいと感じ始めたのがきっかけです。時間の使い方を変えるためには、環境を大きく変える必要がある。そこで、家族そろっての南の島への移住を検討し始めました。私も妻も、南の島の「シマ時間」のような雰囲気が好きだったので。

移住にあたり、いくつかの島を見て回りました。そのなかでも奄美大島は移住に関する情報が豊富で、「ここなら暮らすイメージがつく」と思えたんです。あまりリゾート感がなく、むしろ普通の田舎のような雰囲気も、実際に暮らすことを考えるとちょうど良かったですね。

写真:家のまえに広がるさとうきび畑
自宅前に広がるさとうきび畑(写真提供:加藤 真守)

実際に住んでみて、もちろん不便さを感じることはあります。ですが、それを差し引いても、自然のなかで暮らすことのメリットのほうが大きいです。家の目の前にはさとうきび畑が広がり、動物も虫もたくさんいます。また、奄美大島随一の美しさを誇る土盛(ともり)海岸も近いです。ここでの生活は、子どもたちにとってもかけがえのない経験になるでしょうね。

写真:加藤が撮影した土盛海岸
シュノーケリングスポットとしても有名な土盛海岸(写真提供:加藤 真守) 

奄美大島の美しい光景が目に浮かびます!加藤さんは普段どのような1日を過ごしているのでしょうか。

私の1日は、子どもたちが保育所へ向かう準備を手伝うことから始まります。出勤する妻と子どもたちを送り出したら、天気が良ければ歩いて5分ほどの海まで散歩へ。少し遊んだり写真を撮ったりして、戻ってきてから仕事の準備をします。

9時から18時は才流の業務で、お客さまとのミーティングや資料作成に費やします。退勤後は1時間ほど副業の仕事をすることが多いですね。

島からリモートワークをするうえで、工夫していることはありますか。

リモートワークだからと特別視せず、普通の仕事として取り組むようにしています。たとえば、同僚とのコミュニケーションでは「同じオフィスにいれば5分で済むのに」と思うこともありますよね。ですが、それも含めて受け入れて、リモートだからこんなものだと割り切るようにしています。

あとは、無理をしないことですね。リモートワークでよくある「働きすぎ問題」に陥らないよう気をつけています。効率が悪いと感じたら他の作業を先にしたり、休憩を取ったりする。大事なのは、自分でタスクを整理して優先順位をつける力です。優先順位づけがおかしいと仕事が進まなくなりますから。優先順位を決めて、うまく休憩を取り入れたり切り替えたりするように心がけています。

場所に縛られない働き方を実現するためのポイントを教えてください。

私の場合、場所に縛られない働き方を意識しているわけではなく、自分たちが叶えたい暮らし方があって、それに合う働き方や仕事を選んでいる感じなんです。

とはいえ、この生活が実現できているのは、周りに理解してくれる人が多かったことが大きいです。一緒に働きたいと思われることで、場所に関係なく仕事の依頼をいただける。そういう意味で、一緒に仕事をしたいと思われるような仕事ぶりを心がけることは重要かもしれません。

写真:加藤がSUP中に撮影した海
徒歩5分の場所に美しい海があるため、始業前にSUPで遊ぶことも(写真提供:加藤 真守) 

顧客の高い期待値に応えられるのはチームワークがあるから

入社して1年、才流のコンサルタントとして活動した感想を教えてください。

才流の認知度の高さを実感すると同時に、看板の重さを感じています。そして、私がお客さまの期待に応えられているのは、メンバーのチームワークがあってこそだと思っています。

具体的には、各メンバーの専門性やスキル、経験値が高く、コミュニケーションがとりやすい環境です。とくに、知見や情報のシェアに関して、メンバー全員が非常に前向きで積極的です。これは自分の仕事がしやすいだけでなく、お客さまへの価値提供の質も高められる重要な要素だと感じています。

フルリモートなのでSlackやNotionなどのテキストベースではありますが、情報交換や質問が活発に行われる仕組みが完成している。これも才流の良いところですね。

才流のコンサルタントに求められる要素とは何でしょうか。

3つあると考えています。まず1つ目は、自分なりの武器を持っていることです。これは必ずしも知識や経験である必要はなく、たとえば、コミュニケーションスキルが非常に高いといったものでも構いません。自分の強みが明確であることが重要です。

2つ目は、情報の収集や整理が上手であることです。フルリモートの環境でテキストベースのコミュニケーションも多いため、この能力はとくに重要になります。

3つ目は柔軟性です。会社としてやりたいことの方向性が短期間で変わることもありますし、フルリモートという特殊な環境でもあります。「あるべき論」に固執せず、環境の変化に順応できる柔軟性、そして看板の重みに耐えられる適応力が必要ではないでしょうか。

写真:インタビューに応じる才流 加藤

「才流に相談してよかった」と言われる存在であり続けたい

才流のコンサルタントとして、今後の展望をお聞かせください。

お客さまに「才流に相談してよかった」と思っていただける仕事をしていきたいですね。一緒に考えてもらったおかげで事業が成長した、前に進めた、悩みが解決したと感じていただけるような存在でありたい。そのために、自分自身も才流としても常にアップデートを続けていく必要があると考えています。

私の強みは守備範囲の広さです。才流には特定の領域に強みを持つコンサルタントが多いので、その中でも幅広い分野に対応できる点をいかして活動していきたいです。

加藤さん個人としては、これからどうなりたいですか。

現在、副業で移住支援の会社の手伝いなどをしています。そのような地域に根ざした活動にもっと力を入れていきたいですね。

奄美大島を大きく変えるとか、人口減少を食い止めるといった大きなことを目指すわけではありません。少しでも周りが元気になる、奄美大島がより良い場所になることに、今まで学んだことや経験してきたことをいかしていければと思っています。

それから、奄美大島の海と山と土に囲まれた環境で育った2人の娘がどんな大人になっていくのか、とても楽しみなんです。壮大な実験をしているような感覚ですが、子どもたちの成長を見守っていきたいです。

休日は家族でシュノーケリングを楽しむなど、奄美大島の自然を満喫している(写真提供:加藤 真守) 

(撮影/植田 翔、取材・執筆/河原崎 亜矢)

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