政次 貴弘
Masatsugu Takahiro- 職種
- コンサルタント
営業コンサルタントとして、セールスイネーブルメントやアカウントベースドマーケティング(以下、ABM※)の支援に取り組む政次 貴弘(まさつぐ たかひろ)。
新卒で営業職としてのキャリアをスタートし、前職のセールスフォースではエンタープライズからSMBまでを担当。マネージャーとしても成果を上げた。とくに仕組み化による営業活動の改善を得意としており、全社規模で業務の標準化を進めた実績を持つ。
営業部長として多忙な日々を送っていたところ、家庭環境に変化が訪れる。「もっとプライベートに時間を割く必要がある」と、当面は仕事から離れることも考えた。しかし、柔軟に働け、自分のキャリアもいかせる才流を知り、入社することに。
これまでの営業経験で培った専門性をいかし、才流でコンサルタントとして活躍する政次に、これまでのキャリアや入社の理由について話を聞いた。
地道に積み重ねた営業経験。理論を学んでわかったこと
ー これまでのキャリアについて教えてください。
新卒で入社したのは日系の老舗SIerです。関西支社の営業職として9年、金融機関向けERPの販売を担当していました。その後、メガベンチャー企業に転職し、医療法人向け採用コンサルティングの営業やPMなどを幅広く経験しました。
前職は株式会社セールスフォース・ドットコム(現 株式会社セールスフォース・ジャパン)です。ミッドマーケットの営業担当として入社し、その後エンタープライズの営業担当として大手企業の開拓に取り組みました。さらに、関西SMB領域の営業部長に就任してマネジメントも経験しました。
ー ずっと関西で営業のキャリアを築いてきたのですね。
新卒で入った会社では、朝早くから夜遅くまで地道な営業活動に取り組む毎日を過ごしました。実はもともと人見知りな性格で、飛び込み営業やテレアポは本当に苦手でした。怖くて声もでないくらいに。
ですが、地道な営業活動を積み重ねるにつれ、少しずつ成果が出始めました。そしていつの間にか、セミナー集客や新規開拓の数などは部門内でトップクラスの成績を残せるようになったのです。とくに印象に残っているのは、出入り禁止状態だったある地方銀行を引き継いだあと、数年かけてリプレースまで持っていった経験ですね。
そうやってSIerの営業を9年続けているうちに、そろそろ違う業界をみてみたいという思いが湧いてきたんです。そこで転職活動をスタートし、医療・介護領域でサービスを展開しているメガベンチャーに転職しました。この初めての転職が、私のビジネスパーソンとしての考えを大きく変えるきっかけとなりました。
ー どんなことがあったのでしょうか。
転職先のメガベンチャーには、同年代でもビジネスの知見が豊富で洞察力の深いメンバーが多く、そのような職場の環境に触発された私は、本を読んだり内省したりする時間が格段に増えました。
さらに転職して最初の年、営業成績が良かったため、ごほうびとしてビジネススクールに通う機会を得たんです。マーケティングやリーダーシップの理論を学んでいるうちに、これまでの経験が体系的に整理されていくのを実感しました。
すると、「なぜあのプロジェクトは成功したのか」「なぜあの製品は強いのか」「1社目と2社目で組織文化がまったく異なるが、両社とも成功している要因は何なのか」といったことを、理論として理解できるようになったんです。まるでパズルがパチっとはまるような感覚でしたね。
1社目での私は、たくさんの商談をこなし、経験は十分に積んでいたものの勘や経験に頼りきりの状態でした。転職先のメンバーとの交流や本、研修からの学びを通して、自分の経験を論理的に整理できていなかったのだと気づいたんです。
もちろん、ビジネスには圧倒的な実行量も必要です。ビジネス理論に詳しくても、いざ実行となるとできない人は意外と多いものですから。だから、経験と理論のバランスが大事なんだなと痛感しました。
大手企業からSMBまで、セールスフォースでの営業経験
ー その後、2度目の転職をされました。なぜセールスフォースだったのでしょうか。
メガベンチャーでの仕事は面白かったし、成果も残せていました。ただ、多くを学んでいくうちに視野が広がり、医療・介護以外の業界も見てみたくなったんです。
ちょうど会社で Salesforce を使っており、セールスフォースという会社自体の評判も耳にしていました。タイミングよくご縁をいただいて採用説明会に参加したところ、ますます興味が湧いて。セールスフォースならSFAやCRM、さらにはAIなど、これから世の中がどう変わっていくのかを最前線で見られそうだなと感じ、転職を決めました。
ー セールスフォースではどのような業務を担当されていたのでしょう。
入社当初はミッドマーケット領域の営業に配属されました。その後、エンタープライズに配属となったのですが、ちょうど関西支社の中で大手顧客開拓の方法を標準化していこうというタイミング。新しいことに挑戦するのが好きだったので、ひたすら考え、仮説を立てながら進めました。この活動を通じて、いろんな人を巻き込む経験、大手顧客への営業経験を積みました。
当時、強く実感したのは仕組み化の威力です。業務を標準化することによって、過去はどうやっていたんだろう?と思うぐらい効率的に提案を進めることができるようになりました。また、プランニングのためのテンプレートの一部を改善して社内に向けて発表したところ、そのテンプレートが採用され、全社の勉強会資料にも掲載されたことがありました。
当時の私は新規顧客開拓を中心に営業活動をしていましたが、エンタープライズ担当になって1年目にも関わらず、大きな成果を出すことができました。これは、素晴らしい同僚や上司に恵まれたことに加え、このような仕組みがあったからだと強く実感しています。
その後、私はSMBの営業マネージャーになりました。ですが、エンタープライズとSMBでは営業の方法が異なります。SMBの営業では具体的にどういう活動をすべきか、初回面談で何をすべきかがわからない。私はマネージャーになるまでSMB領域をやったことがなく、どうしようかと頭を悩ませていました。
そこで、まず過去のSMB領域の膨大な営業データを確認・分析。さらに、同じテリトリーで成果を出してきた人たちがどういう行動をとっているかヒアリングをしたり、提案書や商談動画を見たりしました。それをもとに、営業活動のルールやチェックリスト、提案時の資料テンプレートなどの作成に取り組んだのです。
エンタープライズセールスの経験を踏まえて、とにかくメンバーが悩むポイントをなくそうと試行錯誤の日々でした。それらを自分のチームで運用したところ成果が出たため、他チームでも使われるようになって。エンタープライズでもSMBでも、業務の標準化によって成果を出せたのが嬉しかったですね。
家庭環境の変化がもたらした転職の決断
ー 政次さんはセールスフォースで多くの実績を残されました。なぜ才流へ転職したのか、背景を聞かせてください。
セールスフォースで営業マネージャーになった頃は、仕事に全力投球していたんです。忙しかったものの充実した毎日で、転職は考えていませんでした。
転職を考えたきっかけは、家庭環境の変化です。いくつかの事情が重なり、私自身がより家庭に使う時間を増やす必要が出てきました。ですが、マネージャーとして、ときには急な対応も必要ですし、数字への強いコミットメントも求められます。そうすると、どうしても家庭がおろそかになってしまうことがあったんです。
「しばらく専業主夫になろうかな」と本気で考えていたとき、前職で同僚だった井出さんから、才流に入らないかと誘われました。週4.5日勤務で残業もほぼなし、しかもフルリモート勤務という働き方にはとても驚きましたね。
また、法人営業コンサルティングを提供していることにも興味を持ちました。
もともと私は、個人として売上を上げるよりも、営業活動の仕組み化や人・組織を成長させるプロセスに喜びを感じるんです。前職時代も、もっと汎用的なやり方で営業活動の改善に取り組めないかと考えていました。
さらに、これまで日系の老舗企業、メガベンチャー、外資IT企業と毛色の違う会社で経験を積んできました。セールスフォースではプレイヤーや営業マネージャーとして、SMBからエンタープライズまでを幅広く担当しました。このフィールドセールスでの幅広い経歴をいかして、多種多様な課題を抱えるお客さまのお役に立てるかもしれない。
最初はプライベートの時間を増やしたいという思いでしたが、考えるうちに、才流なら自分の経験を存分にいかせそう、むしろチャレンジしたいと考えが変わっていき、転職を決意しました。
ー 家族との時間も、自分のキャリアも、どちらも大事にするための転職だったんですね。現在担当している業務について教えてください。
法人営業に関するコンサルティング全般を行っていますが、最近はお客さまからの要望も高いABMに関する支援が増えています。ABMや大手顧客開拓は自分の経験をいかせる領域でもあり、非常にやりがいのある業務です。ほかにも営業企画のような特殊なプロジェクトもあります。
また営業として、新規問い合わせへの対応や商談、既存のお客さまへの追加提案なども担当しています。
ー 一緒に働くメンバーについて、どのように感じていますか。
才流には多種多様な経験を持つメンバーがそろっています。メンバー同士のフィードバックの質が高く、理想的な環境です。
また、才流にはすでにメソッド化されている知見がたくさんあります。マーケティング施策の進め方、営業資料のテンプレートやトークスクリプトなど、普通なら一から作っていかなければならないものがメソッドとして蓄積されています。
この才流のメソッドを活用すれば、ABMの全体像をより網羅的に整理できます。もしフィードバックもメソッドもないまま自分1人で進めていたら、自分の経験だけに基づいた網羅性の低いアウトプットにとどまっていたかもしれません。
メンバーのフィードバックや既存のメソッドのおかげで、より質の高いクライアントワークができていると感じています。
ー 今までのキャリアで得た知見が、社内のフィードバックによってメソッドとして磨かれていくのですね。転職を考えるきっかけとなった働き方についてはいかがですか。
実際に入社して、働きやすさにはとても満足しています。出張の回数も負担にならない程度です。今も関西在住のまま、フルリモート勤務をしています。
私の住んでいる地域は周りに高い建物がほとんどありません。空が広々としていて子育てにはよい環境です。徒歩1分のところに大きい公園もありますし、ちょっと車を走らせれば自然と触れ合える施設もたくさんあります。
無理なく肌に合う場所に住み続けられるのが、自分にとっても家族にとっても幸せなことなんじゃないかと思っています。
大手顧客開拓やABMに取り組むお客さまの力になりたい
ー 政次さんは営業中心のキャリアからコンサルタントに転身されました。営業職出身で才流のコンサルタントに向いているのはどんな人だと思いますか。
売るために共通点を見つけ、手順やルールを明文化してメンバーに共有することが好きな人でしょうか。
営業の仕組み化や標準化を進めるには、業務を改善しようとする意欲と、自分の知見だけではなくさまざまな情報からパターンを見出して明文化し、社内に展開する能力が必要です。しかし、手順やルールとして明文化するのが苦手、もしくはやったことがない営業パーソンは意外と多いんです。
一方で、業務を標準化するのが得意な人や、客観的な事実に基づいて「こういうやり方がよいのではないか」と提案をうまくまとめられる人、そしてそれを勉強会などで共有している人もいます。そういったタイプの営業パーソンであれば、コンサルタントに向いていると思いますね。
ー 最後に、これから才流で実現したいことを教えてください。
現在、お客さまから大手顧客開拓やABMに取り組みたいというご要望が増えているので、そこで価値を提供していきたいです。ありがたいことに、実際にご支援させていただいたお客さまからは、「大手顧客開拓のプロセスが型化された」「キーパーソンとの接点創出やターゲット顧客からの受注獲得ができた」といったお声をいただいています。
より多くのお客さまに高い価値を提供できるよう、サービス自体も私自身もブラッシュアップし続けていきたいと感じています。
また私自身、業務が標準化されておらず苦労した経験があります。だからこそ、同じ課題を抱える人の手助けになるようなサービスを作りたいです。
(撮影:ヤマダヤスヒコ)
※ABM(エービーエム):Account Based Marketingの略。個社の単位までターゲットアカウント(企業)をしぼり、そのアカウントに対して顧客戦略を立て、マーケティング、営業が一丸となってアプローチしていく戦略のこと