高橋 歩
Takahashi Ayumu- 職種
- コンサルタント
自身もカスタマーサクセス責任者を担当しつつ、大企業からスタートアップまで、さまざまな企業へのカスタマーサクセス支援実績を持つ、コンサルタントの高橋 歩。
外部セミナーへの登壇や企業内勉強会の講師など、カスタマーサクセスを啓蒙する活動は多岐にわたる。
カスタマーサクセスのスペシャリストとして、複数の企業からのオファーや独立の選択肢もあったという高橋は、なぜ才流を選んだのか。
才流に入社した理由やカスタマーサクセスという仕事の魅力、高橋が考える才流の強みについて話を聞いた。
カスタマーサクセスの魅力は、お客さまも自分もうれしい世界を作れること
─高橋さんが、「カスタマーサクセス」に出会ったきっかけを教えてください。
もともと私は、Web解析ツールの営業や活用支援に携わっていたんです。
新卒で入社したソフトバンク・テクノロジーでは、SiteCatalyst(現・Adobe Analytics)の国内初代理店の責任者として、営業から活用支援まで担当しました。そして、2社目の楽天では、Adobe Analyticsを活用したWeb改善の仕組みをつくり、事業部門やグループ会社に対して、導入・活用支援を行ってきました。
たとえ、良いツールを導入したり仕組みを作ったりしても、実行するのは人なんですよね。
この「どうやったら使ってくれるかを考えて、相手の目標達成を支援する仕事」に名前があると知ったのは、3社目のKaizen Platformに入社したときです。
同社の1人目の活用支援担当として動いていたところ、アメリカ人の上司から「君がしていることはカスタマーサクセスだね」と言われて。
その一言で、これまで手がけてきた仕事がつながり、「カスタマーサクセスはすてきな仕事だ」と、あらためて気づかされました。
それ以来、カスタマーサクセスという軸を明確に意識して、10年近くキャリアを歩んできたんです。
─高橋さんが考える、カスタマーサクセスという仕事の魅力とは何でしょうか?
お客さまはもちろん、自分もうれしくなる世界を作っていけることです。
ビジネスをしていると、ときに視野が狭くなり、自分たちの都合だけを考えがちです。しかしカスタマーサクセスは、サービス導入後の支援を通してお客さまのビジネスをよりよい形にできますし、サービスをご利用いただくことで自社の事業成長にも貢献できます。
両者がうれしいと感じる仕事をしていると、ほかの物事もカスタマーサクセス的な観点で考えられるようになる。そんな人が増えれば増えるほど、社会が良くなると思っています。
多くの方にカスタマーサクセスの考え方を広めるには、才流が最適解だった
─転職にあたって、他社からのオファーのほか、独立の選択肢もあったそうですね。才流へ入社した理由を教えてください。
才流であれば、「カスタマーサクセスの理念に基づいたビジネスプロセス全体の最適化をご支援できるのではないか」と感じたからです。
一般的にカスタマーサクセスの役割は、受注以降のお客さまをご支援することと考えられています。しかし、お客さまがサクセスできるかどうかは、受注時点で決まってしまうケースが多いのです。
─どういうことでしょうか?
たとえば、マーケティング活動で誤ったメッセージを発信する、営業活動を通じてお客さまに実現しづらい提案をしてしまうなどのアプローチをしていると、お客さまがイメージするサクセスとサービス提供側が実現できることにズレが生じてしまいます。
この状態で受注してしまうと、充分なカスタマーサクセスができません。
マーケティングや営業など、フェーズごとの顧客体験も含めたビジネスプロセスを全体的に見つめ直し、すべてのフェーズでカスタマーサクセスを意識する。そのような支援が設計できなければ、お客さまにサクセスしていただくことは難しいのです。
ビジネスプロセス全体を見据えた仕事をしたいと考えたとき、BtoBマーケティング、法人営業など、多くの領域で実績のある才流なら、理想とするカスタマーサクセスの実現ができると感じました。
他の企業からのお誘いもいただいていましたし、独立する選択肢もありましたが、自分が実現したいことを考えると才流で働くことが最適だったのです。
メソッドと自分の経験を組み合わせた総力戦で、クライアントの課題に挑む
─現在のお仕事を教えてください。
カスタマーサクセス領域はもちろん、BtoBマーケティングやパートナーセールス、新規事業開発などさまざまなプロジェクトのコンサルティングを行っています。
どの領域のプロジェクトであっても、カスタマーサクセスの理念を大切に、プロセス全体を見渡しながら、お客さまの視点でより良い価値の提供を心がけています。
才流のコンサルティングは、「才流のメソッドと、私のこれまでの経験を組み合わせた総力戦だ」と感じています。
才流には多様なメソッド(再現性のある方法論)がありますが、メソッドはお客さまへ一律に提案しているわけではありません。
同じ業種のお客さまでも、1社1社の状況は違いますし、ビジネス環境も刻一刻と変わっています。お客さまそれぞれに制約条件があるなかで、ゴールにたどりつくための最も良い道筋は異なるわけです。
それを見つけ出すためには、お客さまの現状でできることとメソッドの差分を埋めていくこと、つまりアレンジが必要です。この差分を埋めるところで、培ってきた経験が生きてきます。
メソッドと経験値によるコンサルティングで、お客さまがだんだんとゴールに近づいていく。そのプロセスで新たなメソッドが生まれると、より多くの方に貢献できる。才流の仕事を通してみんなが良くなっていけることに、大きなやりがいを感じています。
─コンサルティングでは、どのようなことを大切にしていますか。
「お客さまと一緒に考えること」です。
私は、コンサルティングは答えを教える活動ではないと捉えています。現状とありたい姿の差分を埋めていくプロセスを、コンサルタントだけでなくお客さまと一緒に考えていくことが大切。
考えるプロセスをご一緒していくと、お客さま自身も「自分たちは課題解決ができるのだ」という意識が高まり、プロジェクトの成功により近づきやすくなると思います。さらに、自信にもつながり、その後もお客さまご自身で自走しやすくなるのです。
その観点で、ワークショップはとても良い方法のひとつです。
先日も、カスタマーサクセス担当者向けのワークショップを行いました。参加した皆さんが議論を通じて新しい視点を得て、「お客さまのゴール達成に寄り添った支援をしていこう」と変化していくプロセスに伴走でき、私もとても嬉しかったです。
誰も誰かを責めないし、前向きな話しか出てこない
─才流に入社して、印象に残っていることを教えてください。
正直、入社1日目からフルリモートの勤務だったことは、すごく心配でした。転職にあたり、フルリモートで働ける環境を探していたとはいえ、「オンボーディングからフルリモートなのはさすがに大丈夫かな?」と思ったんですね。
しかし、オンボーディングは問題なく進み、気がつけば、すっと才流の一員になっていました。
─過去、ハードに働いていた時期もあったかと思います。才流での働きやすさはいかがですか。
働きやすさは、才流を選んだ理由の1つでもあります。プライベートの時間にゆとりが生まれただけでなく、外部セミナーへの登壇や社外勉強会の講師といったカスタマーサクセスを広めていく個人の活動時間も充分にあります。とくに、水曜日の午後(※)を自由に使えるのが助かります。
※毎週水曜日の14時から18時の4時間は、労務上みなし労働時間と定義しています。
─才流は、どのような会社だと思いますか。
才流には、「みんなで考えて助け合う文化」があります。
プロジェクトは、コンサルタントが2人1組で担当しますが、他のコンサルタントとも議論できる機会がいくつも用意されています。
1つは毎週金曜日の「勉強会」と呼んでいる定例ミーティング。コンサルタント全員が集まり、それぞれの課題を持ち寄って、みんなでわーっと議論をするんです。これがすごくいい。金曜日の勉強会まで待てない場合は、ZoomやSlackで議論をすることもよくありますね。
とくに感銘を受けたのは、トラブルが発生したときの総力体制です。
トラブルが起きると、誰が悪いのかと犯人さがしが始まってしまうことがよくあるじゃないですか。でも才流では、それが一切ないんです。
誰も誰かを責めない。トラブルを解決するために何をしていけばいいかを、みんなで一生懸命考えます。そのときも「人」ではなく「こと」に向かった話しか出てきません。
そのため、自分のトラブルも安心して話せるのです。正確な状況を把握したうえでみんなで対策を考えるため、スムーズに解決できる。さらには同じトラブルを起こさない仕組みもつくられます。
そして、フィードバックを受け入れるかどうかは個々の自由という文化もあります。
他者から受けたフィードバックはそのまま受け入れなければと考えがちですが、才流のコンサルタントの場合は「自分はこう思っているけど、それを受け入れるかどうかはあなたに任せるよ」というスタンスなんです。
─もらったフィードバックは素直に受け止めるが、受け入れるかは自分で判断する、ということですね。
才流のコンサルタントたちは、プロフェッショナルの集団なのに、互いが互いの長所と短所を認め合い、頼り合う関係ができている。中に入ってみて、実感しました。
さらに驚くのは、この社風が人に対するマネジメントなしに生まれていることです。
才流は「マネジメントすべき対象はプロジェクトの成果物やそれを支えるメソッドであり、個人のスキルやモチベーションはマネジメントの対象外だ」ということを明文化しています。
才流は、これを本当に実践しているんですよね。自分を律することができる人たちの集まりだからこそ、実現できる社風かもしれません。個人へのマネジメントなしでも組織が成り立つのかという壮大な社会実験に参加するつもりで働いています。
─今後の抱負を教えてください。
才流の仕事を通じて、カスタマーサクセスが持つ「三方良し」の世界観を広めていきたいと思います。自社の事業成長とお客さまの成功の両立を目指す人を増やすために、クライアントに伴走し、メソッドも開発していく。それが、良い社会をつくることに少しでもつながれば嬉しいですね。
私個人としても、引き続きカスタマーサクセスの啓蒙にまつわる活動の依頼には、できるだけ協力させていただきたいと考えています。より多くの人へカスタマーサクセスの素晴らしさを伝えていきたいです。
(撮影:ヤマダヤスヒコ インタビュー・文:杉山直隆|オフィス解体新書 編集:水谷真智子)