海外拠点管理に最適なクラウド型会計・ERPサービス「multibook」を展開する株式会社マルチブック。2016年のサービスローンチ以降、着実に導入数を増やし、現在サービスの利用実績はタイやフィリピン、ベトナム、アメリカなどの25カ国、200社を超える。
同社では「multibook」の設計者が、開発業務や営業と兼務しながらマーケティング活動を担っていた。専門書を片手にWebの広告運用等に取り組んできたものの、コンバージョン率の低さが課題となり、才流にBtoBマーケティングの戦略・施策立案を依頼した。
才流コンサルタントの金森は、「multibook」のマーケティング支援をどのように行ったのか。才流が支援した5ヵ月間で生まれた関係とは。取締役CROの福井氏、営業部長の安部氏、営業主任の川畑氏の3名に話を伺った。
株式会社マルチブック 営業本部 主任 川畑 優太氏
株式会社マルチブック 営業部長 安部 潤氏
株式会社マルチブック 取締役CRO 福井 和男氏
株式会社才流 コンサルタント 金森 悠介
ー 才流に依頼する前のマーケティングのご状況について教えていただけますか。
福井 弊社がクラウド型会計・ERPサービス「multibook」を立ち上げたのが約5年前。リリース当初は、マーケティング活動をほとんどやっていませんでした。3年程前から管理本部長が中心となり、ベンダーの協力を得てWebサイトをつくったり、Facebook広告を出稿したりしはじめました。
その後、当時の社長が「マーケティングは製品やサービスを一番よく知っている人間が担当したほうがいい」と経営者仲間から聞き、「multibook」の設計・開発を担っていた私がマーケティングも兼務することになります。
まず、コンテンツを含めてWebサイトを見直そうという話になりました。弊社にはJavaエンジニアがおりますので、新たにイチからWebサイトを構築し直しました。マーケティングを担うのは私と安部、川畑の3名のみ。様々な書籍を参考にしながらGoogle広告を設定するなど、マーケティングの素人が、他業務と兼務しながら手探りで進めていたわけです。
ー 当時は、どのようなマーケティングの課題をお持ちでしたか。
Webサイトを再構築したときに、私たちが考え得るベストのコンテンツを用意したつもりでした。これ以上何をすればいいか、正直、わからなかったんです。BtoBマーケティングの専門家に入ってもらって、改善していくしかないと考えました。
ー 才流のことはどのように知りましたか。また、依頼する際の決め手は何だったのでしょうか。
セミナーでのお話はすっと頭に入ってきて、「ああ、なるほど、なるほど」とすべて共感できるものだったんですね。参加者からのさまざまな質問に、的確に回答されている姿も印象的でした。こういう会社に頼めば、CVR2%以上への改善も実現できるかもしれないとイメージできたんです。
実際に才流に問い合わせて、打ち合わせした際も、説明に納得感がありました。才流以外の会社を比較検討する必要はないだろうと考え、結果的には才流一択で、お願いすることにしました。
ー 才流の金森さんから今回のマーケティング支援の概要を説明いただけますか。
金森 CVRの低さが課題として挙がっていましたので、まずは、Webサイトの短期改善を中心にCVRを引き上げ、プロモーションの投資効果を十分に得られる状態をつくることを目指しました。
既存顧客や想定見込み顧客にユーザーインタビューを実施し、競合企業や受注・失注の要因を分析。その結果をふまえてマーケティング戦略と施策を提案しました。マーケティング戦略としては、3つのフェーズで行うべきことを整理し、まず第一フェーズとしてワイヤーフレームをつくり、Webサイトの改善に取り組みました。
現在は第二フェーズに移行していて、リード獲得や認知獲得の強化を目的としたマーケティング施策を行っています。具体的にはSEOの強化やお役立ち資料などのコンテンツ作成、潜在層に向けたセミナーの企画などがその一例です。
ー 才流の支援を受けて、率直な感想を教えてください。
安部 今回初めて既存顧客や見込み顧客にインタビューをし、さまざまな発見がありました。
大きな気づきだったのは、「顧客になり得る方々は、Webサイトを隅々までよく見ているんだな」ということ。これまでWebサイトはさらっと見ているだけだと認識していましたから、問い合わせさえしてもらえれば、あとは営業担当が不足情報や詳細な情報を説明すればいいと思っていたんです。
これまでのWebサイトには情報が不足しており、獲得できたはずのリードの取りこぼしがたくさんあったのかもしれません。
金森 「multibook」の場合、会計・ERPというサービスの特性や、顧客の特性から、ユーザーはかなり慎重に情報収集をされている傾向がありました。
他のプロダクトでは、さっとWebサイトを見て資料請求をされることもあるのですが、「multibook」ではWebサイトをしっかり見たうえで、商談するかどうかを含めてジャッジされているのが印象的でしたね。
安部 ちょうど昨日も資料請求してくださった方と商談をしたのですが、事前にとてもよくWebサイトを見てくださっているんですよね。商談をしながら、才流から提案してもらった導線やコンテンツがたしかに機能していることを実感する日々です。
ですから、戦略提案のときに金森さんが、全体のロードマップを見せてくださったのが、とても助かりましたし、安心感につながりました。それぞれのフェーズが終わってから「じゃあ、次は何をする?」と話し合うのではなく、中長期を見据えて、意図を持って進んでいることが自覚できました。
才流と長く付き合っていきたいと私だけでなく、安部も川畑も思っているのは、中長期を見据えたBtoBマーケティング戦略をご提示いただけたからなのかなと。このプロジェクトの進め方は、弊社が営業活動を行っていくうえでも勉強になりました。
ー Webサイトのリニューアルを終えたばかりではありますが、現段階で見えている成果はありますか。
川畑 Webサイト経由のリード獲得数はすでに向上しています。
もともと私たちはリード獲得の窓口を、「直接のお問い合わせ」と「セミナー参加」の2つしか設けていませんでした。「multibook」への発注意欲という観点で見ると、この2つは両極なんですよね。金森さんからのご提案で、この2つの中間となる「資料ダウンロードを設けよう」という話になり、新たな施策として実行しました。
まだ1ヵ月も経っていないのですが、資料ダウンロード経由のリード獲得が増え、これらのリードの8割以上が商談につながっています。
全体としてもリードの獲得数はお問い合わせと資料ダウンロード、デモのリクエストをあわせて以前の3~4倍になっています。着実に成果が出ています。
川畑 BtoBマーケティングの施策を実行するときの“安心感”に加えて、“効率化”されたとも感じています。
これまでは、パッと気づいたことを、とりあえずやっていた。あるときはFacebook広告に力を入れてみたり、あるときはセミナーを企画開催したり。
やらなきゃいけないことが100個あったのが、才流のおかげで「まずはこの10個に集中しよう」と思えるようになりました。私たちはマーケティングの専任者ではないので、効率化された点にも、メリットを感じています。
ー 才流の金森さんについては、どんな印象をお持ちですか。
川畑 すべてのコミュニケーションにおいてレスポンスが早く、質が高かったというのが私の率直な印象です。定例会に加えて、ちょっとした相談にもオンラインミーティングの時間をつくってくれて、週2~3回、話をしていた時期もあったのではないかと思います。
才流に支援いただく前から、私はメールマガジンの運用を担当しています。金森さんにも丁寧にメルマガ文面を見ていただいたのですが、なにぶん素人なので、金森さんのアドバイスを1度で理解できないときもあるんです。
「ここは、この書き方でいいですか?」「他の方法もあったりしますか?」と私が質問すると、メリット・デメリットの比較表までつくってくださって、ロジックの通った答えがすぐに返ってきました。そのアドバイスからは、素人の私でもわかる表現で説明してくださっていることが伝わってきて、本当にありがたいと感じました。
金森さんは弊社が抱えているBtoBマーケティングや営業に関する課題を整理し、優先順位をつけて、解決に向けてリードしてくれました。しかもマーケティングの知見がない私たちがついてこられるように、わかりやすい表現で。コンサルタントとしての基礎がしっかりと身についていらっしゃる方なのだなという印象を持ちました。
ー 金森さんご自身は、「multibook」のBtoBマーケティングを支援していくうえで、どんな点に気をくばりましたか。
金森 事前にBtoBマーケティングに知見があるわけではないと伺っていましたので、専門用語を使わずに説明したり、できるだけ例え話や事例を挙げてお伝えしたり…とにかくわかりやすく伝えることに気をくばりました。
また、遠慮せずに提案することも、心掛けていたかもしれません。決められた業務をただやっていくのではなく、やるべきと思ったことは自分から提案し、どんどんクライアント社内に入り込んでいくイメージで積極的に動きました。
福井 実際に金森さんからは「人材採用」についても提案いただいたんですよ。マーケティングの専任者を置いたほうがいいと、具体的に「こういった職歴やスキルの方が貴社に向いています」と要件定義の資料までいただいて。それをそのまま、弊社の採用担当に伝えました(笑)。
とにかく今は、才流を、金森さんを信じて、教えてもらったことを全部そのままやろうという気持ちでいます。
川畑 才流の金森さんが言うことなら、信じられると思えるって、すごいことですよね。
これは余談になってしまいますが、才流という会社は、僕にとって憧れです。会社に蓄積されたBtoB営業・マーケティングのメソッドを、コンサルタント全員で共有し合い、着実に、みなさんが実践されている。
すべての資料がWebサイトからダウンロードできるようになっていますし。そういったみなさんの仕事の仕方一つひとつが勉強になりますし、私たちも真似したいと思っています。
ー 最後に才流に期待することについて教えてください。
福井 まずマーケティングについては、ようやく改善の第一歩を踏み出せた段階です。ここからレベルをあげていけるように引き続き、ご支援いただきたいです。現在は「multibook」のBtoBマーケティングに伴走してもらっていますが、今後は商談獲得の強化や営業支援にもご協力いただく予定です。
3ヵ月でマーケティング戦略の契約が終了し、そのあと伴走契約を結ばせてもらいました。それは、弊社にはまだマーケティング専任者がおらず、BtoBマーケティングの専門家の支援が欠かせないからではありますが、なによりも才流や金森さんに信頼を寄せていて、「これからもお仕事をご一緒したい」と思っているからに他なりません。
契約してから5ヶ月が過ぎましたが、「まだまだ逃がさないよ」と思っています(笑)。
3年でも、5年でも、長期的にサポートいただきたいというのが私たちの本音です。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子 編集/中島 孝輔)
担当コンサルタント
金森 悠介 Kanamori Yusuke
才流に2019年に入社。15社程度のBtoB企業のマーケティング戦略・施策立案と実行のサポートを中心に、マーケティング担当者の採用から育成まで支援する実績も。現在は、BtoB企業のマーケティング支援や新規事業の立ち上げ検討を担当中。得意領域はコンテンツを活用した認知拡大・リード獲得、MA・CRMを活用したリードナーチャリングと商談獲得までの基盤整備。個人として、SaaS事業者向けメディア「おすすめSaaS.com」を運営、BtoC企業のマーケティングも支援。
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