「営業が強く、マーケティングを行わずとも顧客獲得ができている会社ほど、このコロナ禍でBtoBマーケティングに挑戦してみてほしい」。そう語るのは、株式会社Surpassの取締役COO、青木 想氏。
Surpassは女性によるセールスプロセスアウトソーシングを手がける、2008年設立の企業。女性による営業アウトソーシングという独自性とこれまで培ってきた営業力で、特別なマーケティング施策を行わずとも取引先を拡大してきた。
今回才流が任されたのは、同社のBtoBマーケティングを立ち上げること。コンサルタントの澤井は、どのような取り組みを行ったのか。COOの青木氏(以下敬称略)に話を伺った。
そもそもマーケティングの専任部署はなく、マーケティングでリードを獲得する体制自体、とられていなかったのです。
当社はこれからスピードをあげて売上を拡大していくフェーズに入ります。そのためにはBtoBのマーケティングに力を入れる必要がありました。そこで専門家からマーケティング支援を受けようという話になったのです。
私、才流代表の栗原さんのファンなんです。Twitterで栗原さんのことを知って、見事にリードを獲得されてしまいました(笑)。
もともとBtoBに特化したマーケティング支援会社は珍しく、戦略から実行まですべてを網羅できる企業となるとさらに少なくなります。
「SEOを支援します」「ブランディング戦略を立てます」という企業は多いですが、リードの獲得からナーチャリング、受注につなげるところまで、一気通貫で支援してくださる会社は少ない。才流なら安心してトータルにお任せできると思いました。
「コーポレートサイトをリニューアルしたい」というご要望もいただいていましたので、現状の会社案内のみのサイト構成からリードを獲得できるサイト構成につくりかえるためにワイヤーフレームの作成やサイトの全体設計を行いました。
青木 才流にコンサルティングをお願いしたタイミングは、ちょうど「私たちにとって理想の顧客とは?」を考え始めた時期だったんです。澤井さんにペルソナを整理していただいて、これまで持っていたぼんやりとした顧客に対するイメージが、明確な“顧客像”として形になりました。
この”顧客像”の言語化が、組織にとってプラスでした。社員が共通の意識を持てるようになったんです。マーケティングだけではなく営業戦略を推進していくうえでもペルソナの整理は役に立っています。
「ペルソナ」や「私たちが提供できる価値」、それらをふまえた「提案ストーリー」をまとめた資料は、新しく営業に関わるメンバーに、まず読んでもらうようにしています。そういう意味では、新人育成にも活用できています。
青木 本当にやってよかった、と思いました。私たちの強みがどこにあるのかを再確認する場になりました。
一つ発見だったのは「業界・業種に特化しているかどうか」を気にされているお客様が意外と多かったこと。私たちは業界・業種に特化せず、幅広く対応しています。むしろそれが強みになっていると捉えていたんです。ただ、お客様によってはその点がニーズの埋まらないパーツになり得るのだと感じました。
商談時に「幅広く対応できます」とお伝えするのではなく、「なぜ業界・業種に特化していないのか」を丁寧にお伝えしてく必要があると気づいたんです。私たちにとっての“当たり前”が、お客様にとっての“当たり前”ではないことを実際の見込み顧客の方へのヒアリングによって肌感覚で理解できました。
まっさらな状態からマーケティングの体制を築くのであれば、正しいやり方を理解している人にリードしてもらうのが最短ルートだと私は思っています。優先順位もわからない状態で自己流でやっても遠回りするだけ。最初にきちんと投資をして、筋道をつけてもらったあとで自社のやり方を見つけていくほうが、費用対効果は高いと考えています。
ただ、才流は落ち着いた大人な組織で、あたたかい人間味を感じるんです。熱心に何でも教えてくださるのだけど、無駄がない。だから私も、気兼ねなく相談できているのだと思います。
才流の凄さは、どんな場面においてもこれまでに培われた”才流メソッド”があり、私の疑問を解消するコンテンツがすでに存在していること。「ここを見れば、わかる」という資料があるので回答を待たされることがないんです。素晴らしいなと、いつも思っています。
マーケティングの戦略設計を支援いただけることはイメージ通りだったのですが、ウェビナー実行の各論まで、こんなにサポートしてもらえるのは驚きでした。実行部分でも豊富なナレッジをお持ちなのだなと。いい意味でのギャップでした。
才流には実行部隊としてbizhikeさんをご紹介いただいて、現在ウェビナーは3社合同で動いています。当社はリソースがなく、施策の実行を担うのは私しかいなかったので、非常に助かっています。なにより3社合同でのマーケティングチームをつくれたことが本当にうれしくて。プロが集まる、すばらしいチームをつくれたと思っているんです。
マーケターは簡単に採用できるポジションではありません。立ち上げ期は、「SEOだけ」「UI/UXだけ」「コンテンツマーケティングだけ」など施策部分のみができる人を採用しても困ってしまいます。ですから、社外でSurpassのマーケティングチームを組成できたのはありがたいことでした。
当社のように“自社にマーケティングチームがない会社”に合うのではないでしょうか。とくにBtoBの領域で営業が強く、マーケティングでリードを獲得してこなかった会社にはおすすめできます。
BtoBマーケティングって意外とまだ知られていません。「新規取引先の開拓は営業が行うものでしょ?」と思っている会社も多いです。ただ、コロナ禍で人と会いにくかったり、集客の場がオンラインに移行していたり、組織の拡大期で人手が足りなかったりするときに、マーケティングの力でリードを獲得できる体制があるかどうかは重要です。営業が強い会社ほど、中長期的な視野で企業を成長させるために、BtoBマーケティングをやったほうがいいと捉えています。
加えて、始めるなら早いほどいいです。マーケティングは効果が出るまでに時間がかかるもの。1年、2年と積み重ねていくことで資産になっていくものです。時間がかかることを前提に、早くスタートすることをお勧めします。
直近の目標であるWebサイトのリニューアルを完成までぜひご一緒いただきたいと思っています。
澤井さんのお力を借りながら、BtoBマーケティングをスタートし、ようやく少しずつSurpassならではの“型”のようなものができてきました。いまのフェーズであれば、たとえキャリアが浅くてもマーケティングの知見があったり、やってみたいという意欲がある方を採用できれば、組織としてうまくまわしていけるイメージがわいてきました。今後、社内のマーケティング体制をどう築いていくか。この点についても、引き続きご支援いただきたいです。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子 編集/中島 孝輔)
担当コンサルタント
澤井 和弘 Sawai Kazuhiro
求人メディア運営会社にて営業・マーケティング・新規事業の立ち上げを担当。その後、フィードフォースに入社し、マーケティングチームの立ち上げ・事業責任者などを務め、デジタルマーケティングに関するメディアへの寄稿やB2Bマーケティングに関するイベント登壇など行う。2019年2月より株式会社才流にてマーケティングコンサルタントとして活動。
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