ITエンジニア・クリエイター専門のフリーランス・転職支援サービス「レバテック」を提供するレバテック株式会社。同社は、レバレジーズ株式会社が出資する100%子会社として2017年に設立された。マーケティングを統括するレバレジーズ株式会社の山本 洋暉さんに、インハウスマーケティングの体制や才流との仕事について話を伺った。
「ユーザーインタビューや顧客解像度の重要性は経験として知っていましたが、才流との仕事で、それが確信に変わったんです」
そう話すのは、レバレジーズ株式会社で「レバテック」のマーケティングを統括する山本 洋暉さんだ。同社では、インハウスのマーケティングチームはあったものの、主にBtoC領域に注力してきたため、BtoBのノウハウは不足していたそうだ。
なぜ、BtoBマーケティングで「顧客解像度を上げる」ことが重要なのか。また、6か月間の才流からのリード獲得の支援を経て、「レバテック」のチームにはどのようなノウハウが蓄積されたのか。
コロナ禍による市況の変化で、BtoBマーケティング強化へ
ー 才流に依頼する前は、どのような課題をお持ちだったのでしょうか。
山本 才流と契約したのは2020年6月です。背景にはコロナ禍による市況の変化がありました。
当社は「レバテック」というITエンジニアやクリエイター向けのキャリアサービスを提供しており、フリーランスのエンジニアと企業のマッチングが主な事業です。これまでは求職者に向けた、いわゆるBtoCのマーケティングにインハウスで注力してきました。
一方、BtoBマーケティングは、一部取り組んできたものの、注力領域にはしていませんでした。顧客獲得手法はテレアポや訪問営業が中心でしたし、それなりの量のお問い合わせもいただいていたので、それで成り立っていたんです。
しかし、コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言が出された2020年4月以降、人材業界全体として企業側のニーズが縮小しました。一部のIT業種などは影響を受けませんでしたが、それ以外のほとんどの業種で企業側の採用意欲・活動が鈍化したんです。社会全体でテレアポや訪問営業が難しくなり、市場も縮小しつつあったため、BtoBマーケティングで企業にアプローチをしていかなければならないと感じました。
いますぐ成果を出したい、が、BtoBマーケティングに関するノウハウを持ち合わせていない。どうしようかと考えたとき、社内で「才流さんに依頼してみたら?」という話になりました。「SAIRU NOTE」の記事は以前から社内で共有されていましたし、Twitterで栗原さんの発信も見ていました。BtoBマーケティングなら才流だという認識もあったので、依頼をしたという経緯です。
CV数が劇的に増加、愚直に改善を積み重ねてきた1年
ー コンサルティングのスタート後は、どのような施策に取り組んだのでしょうか。
山本 まずキックオフミーティングで当社の課題や想いを聞いていただき、半年間何を理想形として進むかを共有しました。そこから「顧客解像度を上げる」ことが重要だということで、ユーザーインタビューを実施しましたね。
土山 顧客解像度を上げることは、BtoBマーケティングにおいては非常に重要で、才流としても大事にしています。顧客解像度を上げるため、これまでの受注傾向からある程度ターゲットを絞って複数の方にユーザーインタビューを行いました。
山本 BtoBのユーザーインタビューは初めてではなかったのですが、BtoCとのアプローチの違いもあり、とても勉強になりました。BtoCの場合は個人のユーザーが対象なので、意思決定が個人に集約され、カスタマージャーニーが理解しやすいんです。一方BtoBの場合は、意思決定者が複数人いる、社内の稟議を通すプロセスや業務内容など、周辺理解が重要ですね。
土山 BtoBのほうがわかりづらいですよね。”企業の採用担当者”と一言で言っても、すぐに解像度高く想像できる方はあまりいないと思います。レバテックさんの場合は、顧客セグメントがいくつかあって、大手Slerの方やWebシステムの方、アプリ会社の開発の方など、セグメントごとにインタビューを設定しましたね。
山本 ユーザーインタビューに立ち会ったメンバーは、土山さんのヒアリングや質問案なども非常に勉強になったと言っていました。このノウハウは、今後自分たちでインタビューを行う際にも役立つと思います。
また、実際にユーザーインタビューで得られたインサイトをFacebook広告に反映したところ、成果がぐっと上がりました。肌感でいうと3倍くらいにはなったと思います。顧客解像度を上げるというのは才流の思想だと思いますし、成果に直結する重要なことなんだと実感しましたね。
全体像から施策の優先順位をつけ、状況に応じた提案をしてくれた
ー ユーザーインタビュー以外の施策について教えてください。
土山 獲得リード数を増やすというのが一番重要なミッションだったので、リード獲得後の商談化率などの数値も見ながらマーケティング戦略を設計していきました。
また、ユーザーインタビューをもとにLP制作、広告クリエイティブの変更、事例ページの作成なども行いました。事例作成はクライアントとの調整などで時間がかることが多いんですが、レバテックさんは非常にスピーディーに動いていただきましたね。
山本 土山さんからは、売れるロジックや階段設計についても、詳細な資料をご提示いただきました。BtoBマーケティングの全体像がある中で、施策の優先順位づけを一緒にやっていただけたのはありがたかったです。まずは顕在層のCVに近いところから狙い、その後にリードを広げてナーチャリングしていこうとか。
一部ご提案いただいたことが社内事情でできないこともあったんですが、それに対しても柔軟に対応してくださって。二の手、三の手をご提案していただいたので、非常にやりやすかったですね。
ー コミュニケーションはどのように行っていたのですか。
山本 定例のZoomミーティングは月に2回で、ここには私のほかに、当社からオウンド、プロモーション、ブランド担当がそれぞれ参加していました。
土山 定例では、才流で作っているKPIシートに、リード数・Webサイトの数値・商談数・受注数などを入れていただきました。それを見ながらボトルネックについて話をしたり、施策の進捗状況を確認したりするのがメインで。あとは、その場で個別の施策について、各ご担当の方と話すこともありましたね。
山本 我々もどういう質問をしたらよいかわからず、曖昧な質問をしてしまうこともあったんです。でも、毎回丁寧に回答してくださいました。
土山さんから「こんな記事がありました」とニュース的に共有してくださったり、「これどうなってますか」と聞いてきていただいたり。
フランクで、Slackの返信も早いので、各担当者も相談しやすかったと言っていました。7月くらいに、Zoom飲みもしましたね(笑)。
才流なら、80点とれるBtoBマーケティング体制を最速で構築できる
ー 才流との仕事で得た成果を教えてください。また、社内意識に変化はありましたか。
山本 才流さんの支援を受けてから問い合わせは2〜3倍になり、10月には商談化数は過去最高を記録しました。解像度を上げるとクリエイティブや施策がこんなにも変わるのかと、担当者も驚いています。社内にも、そういう認識が根付いたんじゃないかと思います。
また、社内にBtoBマーケティングのノウハウを蓄積し、自走できる組織を作っていくことを長期的な目標として置いていました。その意味では、この半年間で最低限のナレッジは蓄積できたと思います。
「才流メソッドを学ぶと、誰でもBtoBマーケティングで80点の状態までいける」という才流さんの思想がありますが、まさにスピード感を持ってこの状態を作れたと思っています。
とはいえ、潜在層向けの認知施策はこれからやらなければなりませんし、まだまだ頑張らなければいけないことはあります。組織としても拡大していきたいですし、BtoCとBtoB両面をカバーできるマーケティング組織を作っていきたい。そのためにも、この半年才流から学んだことを活かしていきたいと思います。
ー 才流のコンサルティングは、どのような会社に合うと思いますか。
山本 担当者が少なく、手が回り切らないからコンサルの力を借りるという会社も一定数あるとは思います。でも、当社のように規模の大きい事業会社で、インハウスでマーケティングを行う会社にもおすすめしたいですね。
たとえば自社で取り組んでみても、1年~1年半かければ同じような状態まで持っていけて、成果が出せたかもしれません。でも、そこを最速で80点のところまで伸ばしてもらえるというのが才流さんの力。才流さんのメソッドを活用することで無駄足を踏まずに済むということは、大きなメリットだと思います。
当社のようにBtoBマーケティングを自走していく前提でスタートダッシュをする、成果の上げ方や根本の思想をインプットするという意味でも、マーケティング組織立ち上げのタイミングで入っていただくことは効果があると思います。
才流のコンサルティングには、再現性が高く成果を出す「才流式メソッド」がある。しかし、決して「型どおりの支援」という意味ではない。
コンサルティングから施策の実行までの一連を才流に依頼する顧客もいれば、数か月の支援を経て社内にノウハウを蓄積し、自走を目指す顧客もいる。規模の大小や社内事情によって、できること、できないこともさまざまだ。
「レバテックさんは自社でリソースを持っていて、内製化することを大事にしている会社です。だからこそ、いかに我々が持つノウハウをお伝えし、自走できるよう支援する。限られた時間の中で、少しでも貢献したいと思いました」才流 土山は語る。
クライアントの課題や社内の状況に応じて、最短で成功の道筋を立てる。柔軟で深い支援こそが、才流が目指す顧客への向き合い方だ。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/安住 久美子 編集/中島 孝輔)