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新規事業を成長軌道に乗せるBtoBマーケティング【才流ウェビナーでのQ&Aを公開】

2022年3月29日(火)、才流で開催したウェビナー【事例で学ぶ】新規事業を成長軌道に乗せるBtoBマーケティング。270名を超える方にご参加をいただき、多数のご質問もお寄せいただきました。誠にありがとうございました。

本記事では、ウェビナーのレポートと、当日時間内に回答しきれなかったご質問への回答を併せてお届けします。

▼登壇者:才流コンサルタント 小島 瑶兵

目次[非表示]

  1. 既存事業と新規事業のマーケティングの違い
  2. 新規事業のBtoBマーケティング4つの落とし穴
  3. 落とし穴にはまらないための基本方針3つ
  4. ウェビナーのQ&A
  5. まとめ

既存事業と新規事業のマーケティングの違い

ウェビナー冒頭で小島が提示したのは、「既存事業と新規事業のマーケティングの違い」です。

才流のメソッドでは、既存事業のマーケティングの場合、まず顧客理解を徹底します。ユーザーインタビューや営業インタビュー、さまざまな顧客傾向の分析から、最適な戦略を立案する流れです。

一方、新規事業のマーケティングでは、そもそも「顧客がほとんどいない状態」であるケースが多いです。顧客の解像度は低く、ペルソナやカスタマージャーニーが描けません。

結果として、場当たり的な対応が増え、最適なチャネルやメッセージの選定も難しくなってしまうことが多いのです。


既存事業の場合は、どのような顧客を獲得すれば受注確度の高い商談につながり、さらには売上までつながるのか。既存顧客の理解をもとにして明確なペルソナを作り、受注目標から逆算してマーケティングを仕掛けていきます。しかし、新規事業の場合は逆算すること自体が難しいわけです。

新規事業のBtoBマーケティング4つの落とし穴

では、新規事業のBtoBマーケティングが「場当たり的」な対応になってしまうと、どのような落とし穴があるのでしょうか。

  1. そもそもニーズがない
  2. リードは増えたが商談につながらない
  3. 商談しても受注できない
  4. 受注しても解約されてしまう

登壇した小島自身、前職で立ち上げた4つの事業で失敗を経験してきたと言います。各プロセスで次つぎに現われる落とし穴を、すべて避けていかなければならない。新規事業マーケティングは理想の顧客像から逆算できない分、難易度が高いのです。

また、新規事業と言っても、事業パターンによってアプローチはそれぞれ違います。自社がどこを狙っているのか、下図を参考に整理していただくことをおすすめします。

新規事業の3パターン

落とし穴にはまらないための基本方針3つ

では、落とし穴にはまらないためには、どのような設計が必要なのでしょうか。才流では、新規事業のBtoBマーケティングは、次の3つの基本方針で進めることと定めています。

  1. PMFを目指す
  2. プレ営業を行う
  3. 既存顧客に販売・納品する

新規事業のBtoBマーケティング基本方針

PMFとは、Product Market Fit(プロダクトマーケットフィット)の略語で、提供している商品・サービスが顧客の課題を解決し、適切な市場に受け入れられている状態のこと。

まずはきちんと売れる商品・サービスを作り、PMFしてからプロモーションを強化する。教科書的ではありますが、重要なポイントです。

PMFのためには、プレ営業でターゲットになりそうな被験者を見つけて、ニーズの有無やプロダクトへのフィードバックをもらうことが有効です。

プレ営業を実施している企業は多いですが、「ターゲットになりそうな被験者をきちんと見つけられていないケースが多い」と小島は指摘します。

ターゲットから遠い部署の方にお願いしてしまったり、役職レイヤーが違っていたりすると、正しいフィードバックにならない場合があるので、注意しましょう。

また、新規顧客に提案をする前に、既存顧客に提案し、納品まで行うこともプロダクトの改善には有効です。納品を重ねて、PMFするまでフィードバックをもらいましょう。

ただ、「社内目標などがあり、どうしてもPMF前に新規獲得を伸ばさないといけない」という切実なご相談もあると、小島は言います。

その際は次の3点を大切にしましょう。

  • 購買に近い層(明確層・顕在層)のリード獲得を優先する
  • すぐに実行できて検証できる施策を優先する
  • 定期的に振り返りと検証を実施する

PMF前に新規を獲得したい場合の打ち手

さまざまな要因によって変化はしますが、下図のステップを踏んで新規事業BtoBマーケティングを行うのが、現実に沿っていると考えています。

BtoBの新規事業マーケティングにおける階段

「新規事業マーケティングのご支援をして実感するのは、実際にリードをとって、商談をしてみないと、本当の課題が見えてこないということです。机上の空論ではなく、現実的に進めていく中で、改善していくことが大事だと思います。才流では、新規事業のBtoBマーケティングをご支援しております。課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください」(小島)

ウェビナーのQ&A

ここからは、ウェビナーの時間内にお答えしきれなかったご質問の回答を掲載いたします。なお、質問内容が重複しているもの、補足が必要なものに関しては一部弊社で編集しております。また個人や個別企業についての質問は、情報保護の観点から掲載しておりません。ご了承ください。

Q.アウトバウンドを主体としてコンサルティングのような無形商材を提案していく場合、テレアポやインサイドセールスなどの最初の接点から、受注に至るまでのリードタイムはどのくらいになりますか?

リードタイムは「単価、ターゲット、ステークホルダー、セキュリティの影響、商品の複雑性、初期接点」など複数の要因に左右されます。一般的には、比較的短いもので1~2か月、長いものでは6か月~1年をひとつの目安に考えることが多いです。ちなみにコンサルティングサービスを提供する才流では、インバウンドによる初期接点が決裁者の方の場合は1か月程度、担当者の方の場合は2か月程度です。(アウトバウンドは行っておりません)

Q.どこまでの状態に至っていれば「顧客への解像度が高い」と言えますか?

「どの状態」とは一言では言えませんが、ひとつの観点に対し、インタビューを5名やると解像度が一段上がるので、これを定期的に繰り返していくことが重要です。少しでも「顧客のことがよくわからない」と感じたら、まずは5名のインタビューを検討すると良いでしょう。

Q.事業として撤退する際の判断基準を、どのように考えていますか?例があれば教えてください。

才流では新規事業のフェーズに合わせて、撤退検討のルールを設けています。例えば検討初期の場合、3か月以内に15名以上にインタビューやプレ営業を行います。そこで具体的なニーズが発見できなかったり、プレ営業で契約見込みがまったくなかったりする場合は撤退を検討をするルールです。

事業化された場合は、事業計画策定時に「下回ったら撤退を考える最低計画」も作っておくことが大切です。ただし新規事業は未知数のため「必ず撤退する」ではなく「撤退を検討する」くらいの柔軟性をもたせる事も必要です。

Q.BtoBで新規顧客のリードを獲得しようとする際、企業の認知度、企業イメージ、ブランドイメージはどの程度必要、あるいは有効でしょうか?また、それら以上に新規取引先のリード獲得で有効なものはありますか?

当該領域での知名度やイメージによる効果はプラスに働きます。ただあくまでもプラス効果があるだけとも言えます。それ以上に重要なことは、ターゲットの課題に対し、適切なソリューションをわかりやすく提示することです。そのため、なるべく早くサービスサイトを作り、Web広告で新規リードを実際に取ってみて、見込み顧客に「ソリューションがわかりやすく伝えられているのか?」「課題は実際にあるのか?」を検証することを推奨します。

Q.商談の受注失注を分析するために必要な情報のひな型などはありますか?

現状ご用意しておりませんが、今後弊社のメソッドを発信するブログSAIRU NOTEでテンプレートを作成してまいります。

Q.商材タイプごとの施策セオリー(下図参照)の中で、購買に近い顧客層を優先的に狙うとと説明があり、打ち手の優先順位は「購買ワードでSEO」→「情報検索ワードでSEO」→「オウンドメディア」とあります。オウンドメディアがないとSEOができないと思うので、つまりはオウンドメディアを先に作るということでしょうか?

ここではオウンドメディアを狭義のものとして取り扱い、主にはブログや情報メディアを指しています。サービスサイトにおける購買ワードでのSEOや導入事例など、購買に近い顧客層に対する施策を優先的に実施いただくよう推奨しています。そのため、直接購買に繋がりづらい情報検索ワードや情報メディア(狭義でのオウンドメディア)の優先度は相対的に低くなります。

Q.BtoBマーケティングの支援を行っているということですが、そういう事業を行っている会社に、インサイドセールスは必要ですか?実際、才流にはインサイドセールスを置いていますか?

インサイドセールスの必要性・重要性は営業プロセスによって異なります。ホットリードに対する商談設定やヒアリングの機能を求める場合は、フィールドセールスの部隊が兼務すると生産性が下がるため、別部隊としてインサイドセールスを設けることを推奨します。

コールドリードへのヒアリングやナーチャリングの機能を期待する場合は、LTVとCACの収益性が見合う見込みがあれば、インサイドセールスを設けることを考えても良いでしょう。才流ではホットリードに対する商談設定やヒアリングの機能として、インサイドセールスを設けています。

Q.PMFを前提にするものの、「目先の目標がある場合は明確層・顕在層の施策を優先する」との説明がありました。新規事業(新規顧客に対して)は、どの顧客が明確層なのか判断が難しいと思います。この場合はどのようにマーケティング活動を進めていけばいいのでしょうか?

仮説を立てて検証していくことが重要だと考えています。最初は判断できないと割り切り、スピード感を持って検証サイクルをまわすことで精度を上げていきましょう。本ウェビナーで紹介した以外にも、ターゲットリストを用意し、アウトバウンドを行うことも短サイクルで仮説検証を行う方法の一つです。

ウェビナーで紹介した施策

Q.勝手納品について初めて聞きました。もう少し具体的に教えていただけないでしょうか?

才流メソッドの「勝手納品」の記事をご参照ください。 

Q.既存顧客への営業から始める場合、どういった数字や情報を取ることができればPMFしていると判断できますか?

手法としてはPMFSurveyという方法がありますが、これだけでは製品の満足度しかわかりません。そこで、次の2点で評価することを推奨しています。

1.顧客は提供価値に満足をしているか?
PMFSurveyやNPS、満足度調査、チャーンレートなどで判断
2.十分な数の見込み顧客にリーチするチャネルが開けているか?
CACがLTVに対して十分低く抑えられているかで判断

Q.ターゲットに購買キーワードが検索されているかどうか、判断するための基準はありますか?

コンバージョンしたユーザーのオーガニックの検索キーワードを特定するのは困難です。リスティング広告の検索キーワードはCRMと連携させることも可能ですが、設定に時間もかかり、示唆を出すためにはキーワードあたり数十件の契約が必要なので、新規事業のマーケティングにおいては推奨はしていません。

新規事業のマーケティングでは次の3つを行いましょう。

  1. 対象キーワードを検索してみて、上位コンテンツが購買につながる可能性が高い内容か、同一ターゲットの競合が継続して広告を出稿しているのか、を見て判断する
  2. 見込み顧客インタビューを実施し、どのようなキーワードで検索をしたか聞く
  3. 問い合わせから商談に至った顧客に、どのように検索をしたかを聞く

Q.トランザクションクエリの検索量が十分、不十分の目安となる基準値はありますか?

事業として必要とする契約数、マーケティングの目標が各社で異なるため、一概に基準値は定められません。参考として、才流のお客様の中では主要キーワードの合計検索量が2,000程度ですが、毎月安定した有料契約を検索経由で得ているケースもあります。ただ検索量が数千あれば、検索はサブチャネルとして位置づけることを推奨します。

Q.プレ営業はできるだけ自社プロダクトの顧客に近い人が望ましいと思います。見極めはどうされていますか?

明らかにターゲット外の方は除外して良いです。プレ営業では見極めにこだわるよりも早期に数をこなして、仮説精度を向上させることを推奨します。想定のターゲットの精度も初期は低いので、見極めの重要性は低いです。

Q.セミナーご参加者に継続的にアプローチする方法に苦戦し、即商談の打診をしてしまっています。少人数勉強会など、セミナー後のアプローチがあれば詳しく教えてください。

セミナーに参加いただいた方へのフォローは才流でも推奨しております。即商談ではないという場合は、無料の個別相談会を設けて参加者の課題整理と解決策の検討を支援することも一つの方法です。

また大多数向けにオンラインセミナーを実施した後に、希望者向けに少人数勉強会としてサービスの一部を体験いただいたり、ワークショップをオフラインで実施したり、アプローチ方法はさまざまあります。

才流メソッドの「ウェビナーリードへのアプローチ方法テンプレート」の記事をご参照ください。

Q.新しい広告媒体(自社アプリメディアの広告)の商品企画、営業活動を始めていく際、新規顧客開拓のポイント、類似事例などありましたら教えていただきたいです。

本ウェビナーで解説したとおり、4つの落とし穴に気をつけて、階段を順に検証しながら登っていくことを推奨します。

Q.PMFしてからプロモーションを強化するのがセオリーとのことでしたが、PMFするまでの期間はどの程度を見込んでいますか?

PMFをするまでの期間は一概には言えません。半年かも知れませんし、3年かかるかも知れません。PMFするまでは生き延びることが重要であり、資金やリソースを無駄に溶かさないように検証を繰り返しましょう。

原則としてPMFをするまでは、大型のプロモーション広告や大量雇用などは行わないようにしましょう。

Q.PMFしたといえる状態について、一例でもよいので具体例を教えてください。

Markezineの連載で代表の栗原が「僕たちのPMFの話をしようか」という連載をしていましたので、参考にしていただければ幸いです。※全文を読むには、Markezineの会員登録が必要です。有名スタートアップ8社の創業からPMFまでを取材しています。

Q.決裁者様にアプローチする方法はたくさんありますが、予算がない中でFacebook広告を考えております。打ち手としては他に考えられる手はありますでしょうか?

中小企業の経営者へのアプローチ方法はいくつかあります。Facebook広告もそうですが、経営者がよく見る媒体への掲載やコミュニティへの参加、リストマーケティングも有効です。

具体的な手法は商材や予算によって大きく変わってくるので、個別にご相談ください。

Q.BtoBマーケティングにおいて、業種によってマーケティング戦略に違いはありますか?

ターゲット業種によってマーケティング戦略は異なります。例えばメーカーの場合、商品群が大量にあったり、ターゲットが限定的であったり、商社や販売店といったチャネルが確立されていたりと、前提条件が大幅に変わります。ターゲット業種、販売する製品、自社のアセットやリソース、競争環境、営業プロセスなど複数の観点からマーケティング戦略を立案しましょう。

Q.顧客は検索で購入に至っていますが、そもそも検索ボリューム(20件/月程度)が少ないのが課題です。この場合、流入に注力するのではなく、コンバージョンを高めるためのナーチャリングに注力した方がよいでしょうか?

下図をご参照ください。

Q.比較サイト自体を展開する事業者はたくさんありますが、良い選び方や活用方法を教えてください。某社の比較サイトを利用したことがあるのですが、問い合わせ内容のうち顕在層が占める割合が少なくて苦労しました。対策はありますか?

選ぶ比較サイトがカスタマージャーニーのどこで顧客接点を持つのかを確認できると良いと思います。

顕在層の割合が少ない場合は、その顧客向けの階段設計をすることも一つの手です。また比較サイトは、リード獲得後のインサイドセールス工程の整備とセットで考えることを推奨しています。

Q.WebのマッチングサービスのようなBtoBtoCのモデルにおいて、ユーザー側と企業側を集客しなければならない場合、施策の優先度はどのように考えればよいでしょうか?ターゲットの優先度も教えてください。

ユーザー側と企業側のどちらの集客にセンターピンを置くかによって、優先度は変わります。サービス特性として「何を最初に集める必要があるのか」を定義することが大切です。

Q.そもそも認知があまりない会社がサービスリリースをする場合、低予算でも認知を得られる施策があれば、教えてください。

低予算で認知がない会社の場合、まずは広く認知をとることではなく、狭いターゲットから認知を得ることを優先してはいかがでしょうか。ターゲットのアイコンになるような会社に無料で商品を提供し、成功していただき、事例になっていただくのが良いと思います。

まとめ

新規事業のBtoBマーケティングでは、基本的にはPMFさせることを優先し、直近の新規獲得が必要な場合は検証とセットで実施しましょう。

ポイントは3つ。

  • 新規事業は顧客解像度が低いため、マーケティングの落とし穴にハマりやすい
  • PMFしてからプロモーション強化するのがセオリー
  • 直近で新規獲得を強化しないといけない場合は、検証しやすい施策を優先

新規事業にこれから着手される方、新規事業のマーケティングをはじめたい方はぜひ参考にしてください。なお、ウェビナー内ではご紹介しましたが、才流では業界各社の事例なども保有しております。

課題をお持ちの方は、ぜひご相談いただければ幸いです。
新規事業に特化したBtoBマーケティング支援​​​​​​​

著者/ 小島 瑶兵
株式会社才流 コンサルタント

2013年にWEBコンサルティング事業を行う株式会社GENOVAへ入社。営業部長として100件以上のマーケティング支援を行う。その後、新規事業開発を行う部署を立ち上げ、医療メディア「Medical DOC」をローンチ。公開から2年で年商10億円を達成。現在は才流にて上場企業やスタートアップのマーケティングコンサルティングを行う。

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