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営業管理とは?500名への調査から見えてきたツール利用の実態も解説

こんにちは。才流の井出(@takahisa_ide)です。

今回の「SAIRU NOTE」では、「営業管理」について解説します。営業領域で発生する4つの管理について、各管理の目的とポイントを整理しました。

一部、才流が営業組織に属する512名に実施したアンケート結果を織り交ぜてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

才流の営業データ活用コンサルティング

目次[非表示]

  1. 1.営業管理とは
  2. 2.業績管理
  3. 3.案件管理(フェーズ管理)
  4. 4.顧客管理
  5. 5.行動管理(プロセス管理)
  6. 6.営業管理をはじめるには
  7. 7.営業管理ツールの利用実態
  8. 8.さいごに
  9. 9.本記事で引用した調査の概要
    1. 9.1.調査内容
    2. 9.2.アンケート回答者の属性

営業管理とは

『大辞泉』によると、「管理」とは「ある規準などから外れないよう、全体を統制すること」を意味します。これにならうと、「営業管理」とは営業活動のさまざまな要素が目標の水準から外れないよう統制することと言えます。

経営者や営業マネージャーは、売上が目標どおり進捗しているかどうかを把握して、進捗状況に応じた対策を講じます。この際、最終的な結果である売上を見るだけでは、生じている問題を認識するタイミングが遅れてしまうため、売上の先行指標を用いて進捗を評価することが基本です。

例えば、3ヶ月前の訪問数が今月の売上を左右する商材であれば、今月の売上を見て進捗を判断していては手遅れです。本来、3ヶ月前に訪問数を見て進捗の問題に気づかなければなりません。

このように、売上の先行指標である商談数や営業パーソンの行動、見込客の状態、各案件の進捗などを観察し、将来の売上が目標どおり推移するよう統制するのが営業管理です。

本記事では、営業管理を「業績管理」「案件管理(フェーズ管理)」「顧客管理」「行動管理(プロセス管理)」の4つに分けて解説し、そのポイントをご紹介します。


業績管理

案件管理
顧客管理
行動管理
目的
予実把握
着地見込み把握
リカバリ策検討
案件の確度把握
案件の課題把握
案件の課題解決
顧客状況の把握
顧客に適した提案
営業パーソンの実行支援
主な指標
KGIの実績
KGIの着地見込み
案件フェーズ
進捗上の課題
経営方針
業績や予算
名刺情報
サービス利用状況
顧客満足度
担当者ごとのKPI
担当者ごとの時間配分
担当者ごとのボトルネック
イシュー例
「KGIは計画どおり推移しているか」
「未達リスクがどこにあるか」
「フェーズ進捗上の課題は何か」
「フェーズを進捗させる行動は何か」
「事業課題に貢献する提案は何か」
「サービス利用度を上げられないか」
「KPIは計画どおり推移しているか」
「時間配分は適切か」
「KPI達成に必要な支援は何か」

営業管理の類型

業績管理

営業マネージャーの主な役割は、売上や受注数などの業績目標を達成するための戦略立案と実行です。

戦略立案と実行のために業績の把握と予測を行い、目標達成の可能性を高める活動が「業績管理」です。営業管理の本丸であり、「目標管理」「予実管理」などと呼ばれる場合もあります。

「目標と現状の差がどの程度あるのか」「このまま推移した場合、期末の着地予測は目標を上回っているのか」など、現状と目標との差分を把握することで、戦略の振り返りや見直しができるようになります。

「業績管理」は組織単位と個人単位で行われます。組織の業績目標は、個人の業績目標の積み上げによるもの。よって、理想的な状態は、事業部、チーム、個人といった階層ごとに目標との差分を可視化し、全体の進捗に問題が生じた際、どこを改善すべきか把握できる状態です。

また、「業績管理」は「現状評価(現在)」と「見込み評価(将来)」の2つに分けて行うのがポイントです。

「現状評価」では「結果が確定している活動が順調か」を見ます。現在確定している数値に基づいた、実績による評価です。

(例)「1年間で1億円という受注目標に対して、半年経過して5,000万円が確定している。過去の基準から判断して順調な推移だろう」

一方、現在の状態から将来確定するであろう数値を予測し、「結果が確定していない活動が順調か」を見るのが「見込み評価」です。

(例)「目標達成には今期残り2か月で1,000万円の受注が必要。既に5,000万円分の提案が行われており、受注率は平均20%、受注リードタイムは平均2か月なのでギリギリ達成できるだろう」

営業組織のコンディションを組織から個人、現在から将来という2つの範囲で見渡し、目標達成に向けた障害に対処することが、「業績管理」の目的です。

案件管理(フェーズ管理)

「案件管理(フェーズ管理)」とは、商談化した案件の進捗を可視化すること。各案件の進捗を段階ごとに把握し、受注確度を高めるための施策を打ちやすくすることが主な目的です。

案件の進捗は基本的に商談のフェーズで評価します。各案件を「受注/失注」の結果のみの評価ではなく、どのフェーズまで進んでいるかで評価することで、各案件が受注にどこまで近づいているのかを可視化し、次のフェーズに進むためには何が必要なのかを議論できるようにします。商談のフェーズ管理は「初訪→提案→契約」の簡易的なものから、10段階にも及ぶ細かなものまで様々です。

商談フェーズの数は組織によって異なりますが、いずれの場合も明確に定義することが重要です。フェーズの評価基準が人によってばらつく状態では、営業マネージャーが案件の進捗を正確に把握できません。

商談フェーズの定義が明確な例として、福田康隆氏の著書『THE MODEL』で紹介されている「一般的なITソリューション商材の営業フェーズ」(表1)を挙げます。フェーズの定義と、次のフェーズに移行するための判定基準が詳しく決められているので、評価者ごとの評価基準のブレが少なくなります。

表1:一般的なITソリューション商材の営業フェーズ(参照元:福田康隆『THE MODEL』)

案件の進捗評価は、業績管理における見込み評価時に利用されることも多いため、定義を明確化し、できるだけ正確に評価できる状態を目指しましょう。

なお、才流が8月に実施した『営業管理に関する実態調査』(営業組織に所属する512名を対象としたWeb調査)では、営業案件のフェーズ管理を行っている企業は約45%と半数以下の結果でした(表2)。多くの営業組織がいまだ結果管理しか行っておらず、案件の進捗評価には多くの改善余地があることがわかります。

表2:営業フェーズ管理の実施状況(『営業管理に関する実態調査』より)

また、フェーズ管理を行っている企業の6割以上が4段階以下のフェーズ設定であると回答しました(表3)。セールスフォース・ドットコム社の8段階のフェーズ管理(表4)が有名ですが、今回の調査では8段階以上のフェーズ管理を行っている企業は5%にも届きませんでした。

フェーズが多い場合、進捗を細かく把握できる一方、営業パーソンがフェーズを更新する頻度が高く、運用難易度も高いことが背景にあると予測されます。フェーズ設計は、管理したい粒度と運用難易度のバランスを見ながら決めることが必要です。

表3:営業フェーズ設計の段階数(『営業管理に関する実態調査』より)

フェーズ

状態の定義

1

引き合いはあったが、自社からアクションは起こしていない段階

2

顧客の経営課題と自社のソリューションが

営業担当者の頭の中で紐づけられた段階

3
想定した顧客課題と自社のソリューションの紐づけを
顧客の窓口担当者に伝達した段階
4
想定した顧客課題と自社のソリューションの紐づけを
顧客の意思決定者に伝達した段階
5

価格や導入時期に関する交渉の段階

6
支払条件など契約に関する最終的な詰めの段階
7
顧客稟議を待ち、場合によっては
契約書のミス修正等に対応している段階

8

注文書を受領した段階


表4:セールスフォース・ドットコム社のフェーズ設計(参照元:ダイヤモンド・オンライン

顧客管理

「顧客管理」とは、顧客の状態と変化の把握によって、顧客の現状に適した価値を提供することです。顧客を取り巻く外部環境は常に変化しますし、顧客内部も常に変わり続けています。

営業活動では、顧客の変化を見逃さず、適切なタイミングで適切な提案を行うことが重要です。顧客が必要とするタイミングでの解決策の提案は、両者にとって望ましく、営業効率が高いためです。

また、顧客をある指標でグルーピングし、グループごとに営業の仕方や優先順位を変えることも「顧客管理」の一環です。

「顧客管理」では、どのような情報を把握すればよいのでしょうか。一般的には顧客の企業情報、名刺情報、過去の取引情報、予算情報などが挙げられます。

営業やインサイドセールスのコンタクト履歴も変化を読み取るための重要な情報です。また、SaaSを提供している企業であれば、既存顧客のサービス利用状況から変化を読み取ることもできます。

見逃されがちな点が顧客の経営状況です。IR情報や外部環境の変化から予測される経営状況を把握していなければ、適切な提案はできません。自社の活動を通じて得た情報だけではなく、公的な情報の活用も必要です。

顧客の状態と変化を把握できる情報は、すべて「顧客管理」の対象です。非常に多くの情報が対象であるため、自社にとって優先度の高い情報に焦点を絞って運用する必要があります。

行動管理(プロセス管理)

これまで見てきた「業績管理」、「案件管理(フェーズ管理)」、「顧客管理」にもとづく判断を最終的に実行するのは営業パーソンです。営業マネージャーが営業パーソンに対して営業戦略に紐づく指標を示し、指標どおりに実行できるよう支援することが「行動管理(プロセス管理)」です。

いわゆるKPI管理は、この手段のうちのひとつとして用いられます。受注との相関関係が大きい行動指標や、組織として重視する行動に数値目標を置き、営業パーソンがエネルギーを注ぐ方向性を定める方法です。受注までに踏むべき工程をある程度規定することから、プロセス管理と呼ばれることもあります。

先述の『営業管理に関する実態調査』では、全体の約75%が「営業のプロセス管理を行っている」と回答しており、多くの組織で行動管理が取り入れられていることがわかります。用いられている指標として多かったのは、受注件数(44.6%)、受注単価(35.3%)、受注率(22.6%)、提案件数・見積提出件数(21.8%)などでした。

最終的な業績目標(受注額や売上額)だけではなく、それらを構成する要素に目標数値を定めると、各営業パーソンが営業プロセスのどこでつまづきやすいのかを把握できます。提案までは持っていけるものの受注率が低い人もいれば、そもそも提案するまでの過程に問題を抱えている人もいます。

「行動管理(プロセス管理)」は、単純に営業パーソンに行動指標の達成を求めるものではなく、営業パーソンごとの課題を明らかにし、その解決を支援する教育や環境整備とセットで行われるべきものです。本記事では割愛しますが、こうした支援の一環としてモチベーション管理やスキル管理が必要になります。

ところで、「行動管理(プロセス管理)」におけるフィードバックはどの程度の頻度で行うべきなのでしょうか。商材の性質や組織のあり方によって適切な頻度は異なりますが、人間の記憶は振り返りを行わずに1か月経過すると最低水準に達すると言われているので、最低限1か月以内の頻度で行われるべきでしょう。

先述の調査では、8割以上が1か月以内の頻度でフィードバックを行っていると回答しています(表5)。

表5:プロセス管理のフィードバック頻度(『営業管理に関する実態調査』より)

営業管理をはじめるには

営業管理をはじめるにはまず何が必要なのでしょうか。

ポイントは多くありますが、可視化したい営業データが何かが定義されており、そのデータが正確かつタイムラグなくシステムに蓄積されている状態が最低限必要です。データを蓄積するシステムを用意し、入力ルールを決めて営業パーソンによるデータ入力を徹底させましょう。

また、可視化した営業データを確認する頻度を決め、その機会(営業会議や経営会議など)を設け、確認することによって何を判断するかまで決めておくことも重要です。

「毎週の営業会議で○○を判断するためにこのデータを確認する」ということが決まっていないと、せっかく蓄積したデータを眺めるだけで終わってしまいますし、データが使われないと入力業務も形骸化していきます。営業データによって適格な判断が下され、営業活動が常に改善されている状態を目指しましょう。

営業管理ツールの利用実態

営業管理に用いるシステムに関しては一般的にSFAやCRMが認知されていますが、実際の営業管理の現場ではどのようなツールが用いられているのでしょうか。

今回、才流が行った調査では、「業績管理」、「案件管理(フェーズ管理)」、「行動管理(プロセス管理)」に用いているツールについて回答を得ました。結果は以下のとおりです(表6~8)。

表6:業績数値集計におけるツール利用状況(『営業管理に関する実態調査』より)

表7:プロセス数値集計におけるツール利用状況(『営業管理に関する実態調査』より)

表8:営業フェーズ管理におけるツール利用状況(『営業管理に関する実態調査』より)

各管理で用いられるツールで最も多かったのは「Excel/スプレッドシート」でした。基幹システムや会計システムなどが用いられる比率も比較的高く、SFAとCRMはいずれの質問でも25%以下の結果でした。SFAやCRMは営業管理に特化した機能を持ち、非常に便利なツールではありますが、その浸透にはまだまだ大きな余地があると言えそうです。

「Excel/スプレッドシート」は、分散したデータの集計に長けていますが、入力~集計までの一元管理には向いていません。営業マンの活動入力と集計にタイムラグが発生するため、リアルタイムな実態把握が必要な営業管理での利用には課題が残ります。SFAやCRMの活用でこの課題を解消できれば、営業管理はより効果的なものとなるでしょう。

さいごに

営業活動では何より目標とする業績の達成が求められます。しかし、その元になるのは各案件であり、さらに各案件は顧客の変化と営業パーソンの活動の掛け合わせで生み出されます。

このように、今回ご紹介した「業績管理」「案件管理(フェーズ管理)」「顧客管理」「行動管理(プロセス管理)」はそれぞれに繋がっており、営業活動を改善するにはその繋がりを可視化できていなければなりません。

「KPI管理」「プロセス管理」「SFA」「CRM」といった手段が先行しがちな領域ですが、まずは今回ご紹介した4つの管理が可視化できているかを確認してみることをおすすめします。

また、株式会社才流ではBtoB営業・マーケティングの支援を行っております。お気軽にお問い合わせください。

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本記事で引用した調査の概要

調査内容

営業組織における業績管理・KPI管理・フェーズ管理等についての実態を把握するために、法人営業組織に所属経験がある方を対象にWebアンケート調査を実施しました。

実施者

株式会社才流

調査名

営業管理に関する実態調査

回答者属性

法人向け営業組織に所属経験がある経営者・会社員

有効回答数

518名
回答期間

2020年8月13日~16日

実施方式

Webアンケート

アンケート回答者の属性

著者/ 井出 孝尚
株式会社才流 コンサルタント

大阪大学を卒業後、小売チェーンを経てSAP専業ベンダーでエンタープライズ向けの法人営業に従事。その後、エス・エム・エスキャリアに入社し、医療法人・官公庁向けの法人営業や採用コンサルティング、営業推進の責任者等を経験。2020年より株式会社才流にてコンサルタントとして活動。

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