「働く人に熱を。組織にエネルギーを」をミッションに、採用から定着、活躍までワンストップで支援しているTake Action様。
企業成長を促進する採用支援サービス「jinji+(ジンジプラス)」、従業員がイキイキ働く仕組みをつくる社内プラットフォーム「THANKS GIFT(サンクスギフト)」、人的資本経営をサポートする「タレントファイル」などを展開。2023年11月には、リファラル採用とアルムナイ採用を同時に支援する新サービス「リファアルム」をリリースするなど、人材の定着と活躍を支援し、組織のエンゲージメントを高めることで経営課題を解決する事業を展開しています。
今回、才流が支援したプロジェクトは、2016年にリリースし、成長期にある「THANKS GIFT」のBtoBマーケティング戦略の立案でした。約3か月間(2023年9月〜11月)のプロジェクトを振り返りながら、専務取締役COOの加藤さんとマーケティング部リーダーの野田さんに才流の支援で得られた成果や率直な感想を伺いました。
「ナレッジと人」の両方に魅力を感じたのが才流だった
- 貴社のビジネスと、今回、ご支援した「THANKS GIFT」のサービスについて教えてください。
加藤 もともと当社は、採用コンサルティングやアウトソーシングなど企業の人材採用を支援して、成長してきた会社です。
ただ人材採用って、実はお客さまにとって最終的なゴールではないんですね。
あくまで本来の目的は、採用した人材が活躍して、事業を成長させること。たとえ優秀な人を採用できたとしてもミスマッチが起きてすぐに辞めてしまえば、意味がありませんから。
そこで採用だけではなく、採用人材が定着して活躍するまでをワンストップで支援できるような事業をつくりたいと考えて、2016年に生まれたのが「THANKS GIFT」です。
加藤 「THANKS GIFT」は、感謝をきっかけに社員同士がつながり、貢献や働きぶりを称讃し合える社内コミュニケーションのプラットフォームです。
たとえば企業理念に即した行動をとった社員がいたら、それを見ていた仲間がプラットフォーム上でコインを送ります。そのコインはポイントに変換でき、ポイントが貯まればAmazonギフトカードなどに交換できる仕組みになっています。
特徴的なのは、企業理念やビジョン、組織目標をベースとしたコミュニケーションを活性化させられる点です。楽しみながら理念を浸透させられる。理念でつながることで組織に一体感が生まれる。その結果、個人のエンゲージメントも高まり、人材の活躍や離職防止につなげられています。
- 才流に依頼する前は、どのような課題をお持ちでしたか。
加藤 才流に依頼したのは、「THANKS GIFT」の導入実績がのべ830社を超え、これからさらに拡大していこうという時期でした。
そして、人手不足が課題となっている飲食業界や医療・介護・福祉業界などBtoC向けのビジネスを展開する企業へのアプローチをより強化したいと考えていたんです。そのような企業に対してよりスピーディーに、どう拡大していくかがまさに課題でした。
-才流に依頼する決め手は何だったのでしょうか。
加藤 何よりも魅力的だったのは、才流が、僕たちの課題を解決するメソッドを豊富に持っていたことです。事例や体系化されたメソッドの数の多さが、信頼の根拠になりました。
ここまで体系化されたメソッドがあるのなら、僕たちの課題に対してもベストプラクティスを提示してくれるのではないかと。
そして才流コンサルタントの名生さんと細田さんの姿勢にも後押しされました。商談時から「おふたりであれば安心して任せられる」と感じていたんです。こちらの質問や相談に対して、すべて事例やファクトを提示しながら答えてくれた。情報ソースが明確だから、こちらも判断しやすいんですよね。
僕たちも、それなりの時間と労力をかけて、本格的にBtoBマーケティングをやっていこうという想いでいましたから、パートナー選びは重要でした。
才流の場合は、ナレッジと人の両方が揃っていた。それが最終的な決め手になりました。
サービス機能が充実するにつれて希薄化していた「顧客の真の課題」の把握
ー 今回のプロジェクトでは、実際にどんなことを行いましたか。
名生 まず、プロジェクトの目的を、TakeActionのARPA(Average Revenue per Account/1アカウントあたりの平均売上を示す指標)を上げるべく、これまでよりも比較的従業員規模の大きな企業の経営者からのリード獲得に据えました。
名生 3か月のプロジェクトのうち、1か月目は「調査・分析」をメインに。市場や競合調査、既存顧客・見込み顧客インタビュー、サイト分析などを行い、「THANKS GIFT」のサービスや顧客、競合についての理解を深めていきました。
2か月目は、それらの調査・分析の結果をもとにコミュニケーション戦略を立案。ペルソナの設計やバリュープロポジション、タグライン、売れるロジック、カスタマージャーニーなどの提案をさせていただき、3か月目からは検証をしながらの施策立案を行いました。
そしてプロジェクトの最後に、「THANKS GIFT」のマーケティング活動方針をまとめたガイドブックをお渡しするという流れでした。
野田 今回、当社にとってARPAを上げられる従業員規模の数値を具体的に掲げたわけですが、才流に入ってもらうまでは、正直、そこまで明確な目的を持てていなかったんですね。
既存のチャネルからの獲得が鈍化していて、次にどこにアプローチすべきか模索していた状況でした。
名生さんに数字を精緻に見てもらい、顧客の生の声を聞きながら、市場や競合の分析をして。その結果、ペルソナを含めて、どのようなターゲットにアプローチするべきかが明確になったのは、まず私たちにとっては大きな意味がありました。
ー 既存顧客インタビュー・見込み顧客インタビュー、競合調査など「調査・分析」のフェーズではどんな発見がありましたか。
加藤 あらためてお客さまが抱えている課題が明確になりましたよね。
リリースして約8年が経ち、機能も多岐にわたっていく中で、もともとお客さまの何を解決したくて立ち上げたサービスなのか、曖昧になっていた部分がありました。
お客さまは「利益を上げたい」、そのために「人材の離職を防ぎたい」と思っている。その課題に対して、THANKS GIFTの強みである「理念の浸透」を謳っても、少し遠いのかもしれないと、今回の調査を通じて感じました。
理念を浸透させるコミュニケーションが、なぜ企業の課題を解決するのか。もっと言葉のブリッジが必要ですし、もしかしたら当社の別サービスの「タレントファイル」が手がけている組織の健康診断をまずやっていただくほうがいいかもしれない。
こんなふうに、あらためてお客さまの課題に向き合うと、さまざまなアイデアが湧いてきたんです。
当社のお客さまではない方々から客観的な意見を聞くのも貴重な体験で、すごくリアリティがありました。「そもそも、お客さまの真の課題は何か?」「本当に僕たちの捉え方で合っている?」と立ち止まって考えられたのは、すごく良かったですよね。
自分たちが向かうべき道や戦い方が、納得できる形で明確になった
ー プロジェクトの一番の成果は何だったと思われますか。
野田 私にとっては、BtoBマーケティングで成果を出すための道筋が明確になったことでしょうか。どんな施策に注力すればいいのかがわかったことは、個人的には大きな成果でした。
顕在化ニーズのみならず、潜在化しているニーズにどうアプローチしていくかがこれまでの課題だったのですが、名生さん、細田さんは具体的な施策レベルまで踏みこんだ上で、「こんなふうに改善してください」「運用する上で、このあたりを大事にしてください」と教えてくださいました。
また、課題を明確にしたうえで、競合と比較しながら、当社が提供できる価値はどこなのか、強みを再定義できました。
バリュープロポジション(※)を再定義できたおかげで、マーケティングやインサイドセールス、カスタマーサクセスなど部署を越えて共通認識が持てるようになった。それぞれの部署でお客さまに訴求する軸を一本化できたのも良かった点ですね。
加藤 僕は経営側の目線からお話すると、事業をどの方向性に進めていくか、経営の意思決定の信憑性が上がったことが、一番の成果だと捉えています。
加藤 意思決定をするための材料は、客観的な事実に基づいたデータだったり、まだ弊社のプロダクトを知らない層への市場調査だったりと、さまざまな情報が必要になるわけですが、それらを包括的にまとめたガイドブックを3か月という短期間で作成いただけたおかげで、迷わず意思決定できるようになりました。
自分たちが向かうべき道や戦い方が、納得できる形で明確になりましたよね。
野田 今は当社が注力すべきBtoBマーケティングの戦略と施策をご提案いただいた段階ですから、定量的な成果はこれからです。
才流に入ってもらうまでは、ウェビナーなどにリソースを割き切れていなかったのですが、現在は、ウェビナー開催やメールマガジンの配信、導入事例の制作などアウトプットの量が大きく増えています。
それはウェビナーやメルマガ、導入事例の企画の「型」を教えてもらったからなんですよね。施策を成功させるためのおさえるべきメソッドや雛形を共有してもらい、アウトプットの数と質を担保できているのは大きな変化ですね。
※バリュープロポジション(value proposition)…企業が顧客に提供する価値を表したもの。才流ではさらに、「自社が提供できて、競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値を表したもの」と定義。
※関連記事:バリュープロポジションとは?作り方と事例~テンプレート付きで解説~
「横の連携」「シームレスな情報共有」など組織への好影響も
ー コンサルタントとのコミュニケーションには、どのような印象をお持ちですか?
加藤 かゆいところに手が届くというか、必要なことを先読みして伝えてくれるので、純粋にすごいなって。本物のビジネスパーソンがここにいる…って思いました(笑)。
野田 「この施策をやろうと思うんですけど、どうですか?」と相談すると、事例やおさえるべきポイントが書かれたメソッドをサッと共有してくれるんですよ。世の中の正解を教えてくれる感じで、信頼感がとてつもなく大きかったです。
加藤 しかもレスがはやいんだよね。
野田 はやすぎて、怖いくらいでした(笑)。
野田 あるときは、「社内に○○に詳しい人がいるので、聞いてみます」と言ってくれて、翌営業日くらいにポンとめちゃめちゃ長い回答がきて、ここまでやってくれるんだって驚きました。1を聞くと、3とか5とかが返ってくるイメージです。
加藤 一緒にLPをつくったことがあったじゃないですか? ワイヤーフレームでどんな打ち出し方をするかについて検討していたときに、当社の強みや価値の部分に関しても、名生さんや細田さんは、「このあたりですよね?」って仮置きしてくれる。戦略や設計が才流の仕事なんだけれども、ある程度の素案をつくってくれます。
もしもゼロベースで、「こちらは案出しをするので、あとは貴社でやってください」というスタンスだったら、おそらくあのスピード感では動かせなかったでしょう。何が必要なのかを先読みして、社員と同じレベルで考えてくれるところが、ありがたかったですね。
細田 今回のプロジェクトをスピーディーに進められたのは、貴社の意思決定がはやかったのが大きかったと思っています。
すべてのミーティングに役員の方が参加し、その場で意思決定や指示だしをしてくださいましたよね。
細田 また、バリュープロポジションを検討する際に、野田さんが「この言葉は違和感があるかもしれない」と伝えてくださったり、インサイドセールスの方が「これって、現場でやるとしたら、どうなりますか?」と質問してくださったり。一人ひとりのプロジェクトへのコミットメントが高いのが印象的でした。
野田 実は、組織のコミットメントは、才流が入ってくれたおかげでさらに高まったんですよ。マーケティングと開発、フィールドセールス、役員合同で、毎月定例のミーティングを開催するようになったのは、才流に依頼した後からですから。これまでは分業制になりすぎていたなと反省したんです。
名生 The Model(ザ・モデル)を採用している組織だと、どうしても縦割りになりがちで、横の連携が希薄になってしまうことがあるんですよね。ただ、Take Actionの場合は、お客さまに共通認識を持って価値を提供していくためには横の連携がより欠かせないと気づいて、パッと動かれた。みなさんの、組織やプロダクトへの情熱を感じました。
加藤 組織の変化は大きくて、マーケや開発、フィールドセールス、カスタマーサクセスの境目がなくなった気がしているんです。
「今、マーケがこういう取り組みをしているから、フィールドセールスはこうしてほしい」と部署の責任者がちゃんと意見を言うようになって、みんながシームレスに現状がわかるようになった。
これまでは餅は餅屋という意識が強すぎたのかもしれません。もちろん他部署へのリスペクトは必要ですが、顧客により良い価値を提供していくために全員で動こうという意識が高まった。これはめちゃくちゃ良い組織の変化だったと思います。
ー 最後に、才流のコンサルティングサービスは、どのような会社に合うと思いますか。
野田 たくさんの施策がある中で、いまのフェーズで何に注力すればいいのかが不明確な企業だったり、それこそ既存のチャネルの改善が鈍化している企業にはすごく喜ばれるのではないでしょうか。
加藤 そうですね。二つあるかなと感じていて、一つはアナログなやり方をしている企業。
たとえば足で稼ぐ営業をしていて、そのためにガンガン人を採用していると。ただ少子高齢化ですし、どんどん人を採用するのが難しくなっている中で、事業の成長に手詰まり感を覚えている企業はたくさんあると思うんです。そういったアナログな営業手法の企業の起爆剤に、才流はなり得ると思います。
二つ目は、僕たちのように、ある程度成長して、プロダクトがキャズム(商品やサービスを市場に広く普及させるまでの障害・深い溝)に入ってきた段階で、もう一歩広めていくための打開策が欲しいという企業ですよね。
SaaS企業では広く知られているとは思いますが、事業の強みを明確にするなど、外部の力を借りて、より前に進められるんだということをまだ知らない企業に才流が戦い方を教えることで、眠っていた良いサービスや技術が世の中に浸透していくきっかけになるでしょうし、日本の国力を上げることにもつながるんじゃないかと思います。
「才流に支援してもらったら会社も伸びたし、お客さまからもさらに喜んでもらえるようになった」。そう胸を張って言えるように、僕たちもこれからがんばります。
(撮影/植田翔 取材・文・編集/ 猪俣 奈央子)