後払い決済サービスを提供する株式会社ネットプロテクションズ様。BtoC向け「NP後払い」と、BtoB向け「NP掛け払い」の両方で国内シェアナンバーワン(※)を獲得している、BNPL(Buy Now Pay Later)のリーディングカンパニーです。
才流では2022年9~12月に「NP掛け払い」のマーケティング支援を、その後6か月でセールスイネーブルメントとインサイドセールスの仕組みづくりをご支援しました。
同社で「NP掛け払い」のセールスを統括している揚田様、並木様にプロジェクトの成果や率直な感想を伺いました。
※「NP後払い」/ネットプロテクションズ推計(加盟店ベース)。2021年1月7日付通販新聞掲載の「第75回通販・通教売上高ランキング」に掲載されている300社のうち、高額商品を扱う企業を除いた239社における後払い導入済み企業166社が調査対象(2020年3月1日時点)。「NP掛け払い」/デロイトトーマツミック経済研究所調べ「ミックITリポート2022年10月号 BtoB決済代行サービス市場調査(https://mic-r.co.jp/micit/2022/)
セールスイネーブルメントに取り組み、みんなが売れる組織へ
ー 才流が支援に入る前に取り組みたいと思っていたことを伺えますか。
揚田 これまでは、営業メンバーがそれぞれのやり方で営業活動を行っていました。
当社は、一人ひとりが「自律・分散・協調」して業務を推進できるティール組織を採用しているため、メンバーそれぞれが自律的に考えて動くこと自体は歓迎しています。一方で、それぞれで動いて得た知見を、チームに集約させる仕組みは整っていませんでした。
部門を統括する私としても、みんながどのような営業をしているのか見えてこない。一つひとつ商談に同席したり、議事録を見にいったりする状態に、効率の悪さを感じていたんです。
原口 お話を伺うと、これまで揚田さんご自身が「トップセールス」として売上に貢献してきたんです。だからこそ揚田さんは、トップセールスに依存するのではなく、「営業組織としてスキルの平準化が重要だ」と強く認識されていましたね。
揚田 マーケティングの強化を進めていますし、営業チームの強化も進めていきたい。
私も含めて、これまで社内のメンバーが個々に持っていた知見を集約し、チームの土台となる仕組みやルールを整えれば、もっと成果が出る状態を作れるのではないかと考えたのです。
いわゆる、セールイネーブルメントですね。
ただ、セールスイネーブルメントに取り組むためには、かなりの労力がかかるだろうと想像していました。自分たちではなかなか着手できずにいたんですよね。
そんな中で、「NP掛け払い」のマーケティング支援に才流が入り、続いて営業チームもご支援をいただくことになりました。
原口 人材の流動化、コロナ禍による営業スタイルの変化などにより、属人的な営業活動から脱却し、スキルの平準化を図るセールスイネーブルメントは注目されています。
ただ、実際に取り組めている企業はまだまだ少ないのが現状です。「そんなことはもうできている」「当たり前のこと」と思われるかたも多いんですよね。
ネットプロテクションズ様がセールスイネーブルメントの重要性を認識し、このタイミングで取り組む決断をされたのは、素晴らしいことだと思います。
揚田 正直に言うと、「外部の支援会社を入れて成果が出るんだろうか」と、最初は半信半疑だった部分はあります。
ただ、実際に才流と面談をして、やりたいことについて話をさせてもらって、しっかりと認識のすり合わせができたと感じました。
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商談の課題分析とトップセールスの手法からマニュアルを作成
ー 今回のプロジェクトでは、どのようなことに取り組んだのでしょうか。
原口 最初の3か月でフィールドセールスのプロセス設計を行い、次の3か月で設計したプロセスを定着させるための伴走支援。同時並行で、インサイドセールスのプロセスを設計するご支援も行いました。
プロジェクトでは、まず商談を録画した動画を拝見し、メンバーのみなさん一人ひとりと面談。現状の課題や改善できる点を洗い出しました。
原口 また、トップセールスである揚田さんから、どうやったら売れるのかを徹底的にヒアリングをして、売るために必要な要素を抽出。そこから、営業プロセスを定義し、フェーズごとのゴールを設定しました。
さらに、ゴールに向かうためにどのタイミングでお客さまに何を伝え、商談をどう進めていくべきか細かく決め、セールスマニュアルとしてまとめました。
マニュアル作りの際には、細かい手法ではなく、成果に直結するポイントを記載するように意識しました。ネットプロテクションズ様はティール組織なので、自分たちで考え、行動できる状態が理想的です。チーム内で共通の判断基準があれば、メンバーのみなさんが迷うことなく、責任者のかたに相談しなくても自走できます。ここは特に意識して、マニュアル作りを行いました。
ただ、マニュアルは作って終わりでは意味がなく、いかに普段の営業活動で実践できるかが重要です。伴走支援の中では、実践できる状態に向けて、メンバーのみなさんとも細かくコミュニケーションをとらせていただきました。
揚田 一人のトップセールスがいなくても、みんなが売れる状態を作れれば、営業組織としてとても強いですよね。
もちろん、その中からそれぞれが成長してトップセールスが生まれる分にはいいんですが、トップセールスに依存してはいけない。その人が辞めたら売上が下がる、みたいなことが起きてしまいますから。
並木 セールスイネーブルメントに取り組むと、メンバー同士の支援がしやすくなりますよね。数字の予測もしやすくなります。
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インサイドセールスのプロセス改善が商談化率アップへの鍵
ー インサイドセールスの支援では、どのようなことを行ったのでしょうか。
原口 ネットプロテクションズ様では、もともと事業横断のインサイドセールスチームがありました。
しかし、「NP掛け払い」の新規リードが増えており、インサイドセールスを強化したいという意向があったので、あらたに「NP掛け払い」の専任チームを立ち上げることになったのです。われわれがご支援したのは、まさに立ち上げのタイミングでした。
インサイドセールスのご支援では、優先順位の高いターゲットを確実に商談化すること、ハウスリスト内の見込み顧客から商談を増やすこと、営業対象外の商談化を減らすことをゴールに置きました。
中島 私は、営業のご支援に入る前の、マーケティングのご支援から担当をさせていただいています。その中でも、「インサイドセールスやナーチャリングのプロセスを強化したい」というお話を伺っていました。
実際にプロセスを見直してみると、新規リードが発生してからのアプローチやリードの判定を改善すればもっと成果が出るのではないかと感じました。
原口 そこで、リードの判定基準やトリガーの発火条件など、リード管理のルール見直しと、階段設計を意識したコンテンツづくりをご提案。最終的にインサイドセールスの活動マニュアルをまとめました。
「NP掛け払い」としてインサイドセールスを立ち上げ、今後メンバーの増員を予定していたこともあり、さまざまなルールを言語化していくことがこのプロジェクトの肝でしたね。
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営業スキルを可視化することで、メンバーが自ら改善できる
ー プロジェクトを通して、印象に残ったことや成果があれば教えてください。
揚田 社内に散らばっていた知見を整理し、言語化してまとめてくださったこと。これはすごく価値があると思っています。
事業責任者などのポジションにいる人は、営業経験も豊富ですし、書籍を読んだり、独自に勉強をしたりして、大抵の人がやるべきことをわかっていると思うんです。ただ、それをどうまとめればいいのかわからないし、まとめる時間もないんですよね。われわれも、そうでしたから。
並木 たしかに、言語化のところが一番大きいですね。伝えるべきことはわかっているけれども、うまくまとめてアウトプットするのは非常に難しいです。
才流はさまざまな企業の支援実績があり、経験をふまえたご提案をいただける。外部の客観的な視点でフィードバックをいただけるので、さまざまな気づきがありました。
メンバーにも感想を聞きましたが、「お客さまとネクストアクションをどう握るか」という点で、より具体的な行動を言語化できたのが印象に残っているようです。
もちろん、これまでも「次に何をするか」はお客さまと確認をしていました。ただ、もっと具体的に、たとえば何月何日何時に、何を目的に、何を行うか。もし次回のアポを設定できなかった場合にどうリカバリをするのか、といったことまで定義できた。
やるべきことが可視化されると、何ができていて、何ができていなかったかわかります。
メンバー自ら、ネクストアクションを意識して行動できるようになったのは、プロジェクト後の大きな変化だと感じます。
揚田 才流にスキルチェックシートを作っていただいて、必要な項目が可視化されたので、「自分はこれが苦手なんだな」「これってどういう意味ですか」のような、営業のスキルにフォーカスした会話が生まれています。これも、大きな変化だと感じますね。
揚田 「案件を獲得できた、できなかった」だけの会話って、あまり意味がないですよね。獲得できなくても、なんらか得られるものがあり、スキルが上がれば次に活かせます。メンバーとの会話が、これまでより建設的な内容になりました。
基本のマニュアルがあると、メンバーそれぞれが「自分は何ができなくて、何を大事にしたらいいのか」が見えてくるんですよね。
その中で、1つでも2つでも意識してやれたら、すごい進歩だと思うんです。いま、意識の面では確実に変化が出てきていると思います。
今まではメンバーの商談に同席して、1つずつフィードバックをしていたわけですが、今はマニュアルがあるので、メンバー同士でもチェックし合える。
統括者である私としても、メンバーの育成に当てていた時間は減り、本来リソースを割くべき業務に集中できるようになったと思います。
「才流はわれわれと同じ目線で、一緒に進んでくれた」
ー 才流コンサルタントのコミュニケーションには、どのような印象を持ちましたか。
揚田 才流は、話をよく聞き、丁寧に確認をしながら進めてくださいました。われわれが思い描いていることを実現しようとしてくれるので、とても満足度が高かったです。
正直、プロジェクト開始前は才流のことをよく知らなかったので、「俺らはいろいろ知っているんだぞ、コンテンツもたくさん出しているぞ」みたいな雰囲気で来られたらいやだなって思っていたんです(笑)。
でも、実際にお話をしてみると、そんなことは全然なくて。われわれのペースにしっかりと合わせてくれる感じがよかったと思います。
並木 本当に、密なコミュニケーションを取っていただきました。われわれの脳内を言語化していき、われわれと同じ目線で一緒に走ってくださったという印象です。
原口 プロジェクトの途中で、揚田さんに聞いたんですよね。「どのタイミングで、われわれを信用してもらえましたか?」って(笑)。
そうしたら、私がプロジェクト初期に営業メンバーのみなさんと1on1をして、揚田さんに報告したときの話が「芯を食っていたから」と言っていただいたんですよね。
揚田 そうでしたね。原口さんがおっしゃっていたことと、自分が感じているポイントが同じだなと思ったんです。そういうのって、けっこう大事だなと思っていて。
われわれはティール組織なので、一人ひとりの意見を尊重する文化がありますし、新しい取り組みを行うには全員が納得して進まないと成果が出ない。だからこそ、才流とも同じ感覚で進んでいきたいと思ったんですよね。
原口 ご支援に満足していただけたのは、嬉しいです。ただ、こうして成果が出ているのは、揚田さん、並木さんが本気で向き合い、行動してくださったからだと思います。
さまざまな会社をご支援していますが、外部の支援会社が入ると「自社のできていない部分を見せたくない」という心理が働いてしまうケースはよくあるんです。そうなると、本当の課題が見えなくなってしまったり、課題の発見が遅れたりするんですよね。
今回のプロジェクトで、揚田さんは着飾るような言葉を一切使わなかった。課題があれば改善する、という強い思いをひしひしと感じていました。
また、並木さんはプロジェクトの途中からご参加いただいたんですが、成果を最大化するためにフットワーク軽く動いてくださって。本当に助かりました。
揚田 現在、「NP掛け払い」は順調に成長しており、流通取引総額は前年同期比で140%を超えています。今後営業組織としても、規模を拡大していくフェーズです。だからこそ、セールスイネーブルメントで、組織を強化する必要がありました。
われわれは、「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに掲げています。企業間取引の決裁業務から開放され、生産性を高めていただくために、1社でも多くの企業にNP掛け払いを導入していただきたい。事業成長のために、才流との取り組みは必要な第一歩だったと考えています。
営業を強化したいが、なかなか着手できない企業は多い
ー 才流の支援は、どのような課題やフェーズの会社にフィットすると思いますか?
並木 「営業組織で、課題はわかっているけれど動けない」みたいなことって、どこの会社でも起きていると思うんです。営業組織は目の前の売上を見なければならないので、長期的に見た組織の強化に、なかなか着手しにくいですよね。
ですから、スピードを上げて成長したいと考えたとき、課題を見つけ、一緒に言語化するところをやってくれる才流をおすすめしたいです。
あとは、メンバーそれぞれの営業スキルを底上げしたいと考えている会社にもいいと思います。
揚田 営業組織の規模としては、まだそこまで大きくなく、小さすぎないところがいいんじゃないかと思います。
あまりに大きな規模だと、あちこちでハレーションが起きて仕組みやルールを変えるのが難しくなるし、小さい規模の場合は1件でも多く受注することにリソースを割いたほうがいい。
一定以上の規模で、これから事業を伸ばしていくような会社では、営業の人がどんどん増えるのでわれわれのような課題も持ちやすい。しっかりと型を作っていくといいのではないでしょうか。
(撮影/関口 達朗 取材・文・編集/安住 久美子)