ClipLine株式会社の岡田さんは語る。
「Webサイト改善をしようと考えたとき、すぐに黒須さんが浮かびました」
マーケティングとインサイドセールスを統括する岡田さんは、豊富なマーケティング経験を持つ人物だ。前職のSansanでは、月50件だった問い合わせを2年で1,500件まで引上げ、海外向け新規事業のマーケティングなどを経験、エンタープライス戦略にも精通している。
なぜ彼は、才流黒須への依頼を決めたのか。
外食をはじめとする多店舗ビジネス企業の課題を見つけ、動画システムによって支援するサービス『ClipLine(クリップライン)』。本社から現場への情報伝達、店舗間のナレッジシェア、1対多人数のリモート教育などを動画で実現し、サービス業の生産性向上に貢献してきた。2019年から才流にコンサルティングを依頼し、どのようなマーケティング活動を行ってきたのか。マーケティング・インサイドセールス部長 岡田 健さんに話を伺った。(以下、敬称略)
Webサイト改善をするため、指名で黒須に依頼
ー 才流に依頼したきっかけを教えてください。
岡田 Webサイトを改善するために、外部に依頼しようと考えました。
実は2018年くらいまでは、Webサイトにはあまり力を入れてこなかったんです。弊社がターゲットにしていたのは1,000店舗以上の大手企業だったので、Webサイトからの問い合わせはターゲットが少し違っていたからです。
また、当時はマーケティングや営業担当もおらず、役員やNo.2が直接営業に行ったり、VCから紹介いただいたりという売り方だったこともあり、Web経由での受注は見込んでいませんでした。
私が入社した2018年1月以降も、エンタープライズ向けのセミナーが大きく当たっていたので、マーケ予算の中心はイベントでした。ただ、イベントをやっていく中で、ほとんど放置していたWebサイトとのギャップが生まれてきたんです。セミナーの内容にWebサイトを寄せていき、ブランドとしてのメッセージを一貫したものにしたいと。そこで、Webサイト改善に取り組むことになりました。
マーケティングの担当は私ひとりでしたし、まだまだ社内で人を増やすような状態でもない。スピード感を持って実行するために外部の力が必要でした。そして、そのときすぐに思いついたのが黒須さんだったんです。
ー 以前から、黒須さんをご存知だったわけですね。
岡田 そうですね。ブログやメディアの取材記事などでも知っていましたし、以前違う形でお会いしたときにも、するどい提案をされていたので、印象に残っていました。また営業やお客様のインサイトに合わせてWebサイトを構築するという才流さんの方針も聞き、お任せしようと思いました。
難しいビジネスモデルの付加価値を、どう伝えるか
ー Webサイト改善にあたり、一番大きな課題は何でしたか。
岡田 我々のビジネスモデルは、元多店舗ビジネスのコンサルタントがお客様の課題を分析し、動画を使ってシステムに落とし込むというものですが、実はポジショニングが難しいんですね。
動画を使った教育というカテゴリーでまとめてしまうと埋もれてしまい、価格も他社に比べて高い。単なる教育動画SaaSではなく、しっかりと付加価値の部分を伝えるというのが課題でした。
黒須 最初に話を聞いたときは、私もすごくマーケティングしにくいなと思いました。SaaSの動画サービスのセオリーでいけば、わかりやすくするということなんですが、実態のビジネスモデルは単なる動画サービスではない。
SaaSを売るというよりは「経営改善をします」と経営者に対して話し、解決手段のひとつとして『ClipLine』を入れる、というメッセージで統一されていた。言葉ではわかりますが、これをWebサイトに落とすのはなかなか難しかったですね。
岡田 もともと社内でも、Web制作会社に普通に依頼しても、理解してもらえないんじゃないかという話はしていました。でも、黒須さんは以前メディアでWebマーケからビジネスモデルまでしっかりと考察されていたので、この人なら理解してくれるだろうと。逆にビジネスモデルを理解している人じゃなければ、営業責任者やCOOにも会わせられませんでしたね。
ビジネスモデルを理解できるWebマーケターは、市場がはっきりわからないフェーズのベンチャーには、必要な人だと感じました。
ー 具体的に、どのようなことから着手したのでしょうか。
黒須 私がまず着手したのは、顧客理解です。私が模擬顧客として営業の方から営業を受け、どういうトークが顧客に刺さるのかを分析するためです。
また、ターゲット顧客の声を聞くため、多店舗展開しているドラッグストアの役員の方にご協力をいただき、実際にWebサイトを見てもらうなど、ヒアリングを行いました。
岡田 2019年の末頃までに黒須さんがワイヤーフレームを作りました。制作会社も紹介してもらい、2020年2月に新しいサイトが完成しました。
CVR(コンバージョン率)は約2倍、Webからの受注も生まれた
ー Webサイト改善後、成果はありましたか?
岡田 はい。リニューアル前後5か月で比較すると、オーガニックからの流入でCVRは約2倍になり、社内でも評価されています。また、並行してプライシングの変更を行ったこともあり、Webサイトから入ってきた問い合わせから、受注できるようになりました。大手からの問い合わせも増えたと思います。
サイトリニューアルのコストは会社としても投資するべきという判断になっていましたし、才流さんにはイメージどおりの仕事をしていただきました。才流さんがナレッジを持っている会社だからこそ、スピード感を持って進めたんだと思います。
ー 才流との仕事で、数字以外にも得たものはありましたか。
岡田 ありますね。黒須さんはいろいろな技を持っていますし、シンプルに新しいなと思うことはたくさんあります。ユーザーインタビューはこれまで経験がなかったので、やり方を含め学びがありましたし、見込み客の声を集めてくださったので説得力がありましたね。
スケジュールのひき方など細かい注文を出すこともありますが、ビジネスをしっかりと理解してもらっているので、違和感なく進めています。
メッセージがはっきりしない会社こそ、才流に依頼すべき
ー どのような会社に、才流のコンサルティングは合うと思いますか。
岡田 まだメッセージがはっきり定まっていないベンチャーにおすすめだと思います。
市場を作っていくようなベンチャー、拡大期やPMFが終わった直後でしっかりとマーケに力を入れていくフェーズのベンチャーなどです。時間とお金の勝負だと思うので、才流さんから学ぶことも込みで、依頼したほうが圧倒的に早いと思います。
黒須さんと仕事をしていて面白いのは、マーケティングからビジネス像をしっかりと浮かび上がらせて提案してくれることです。そして会社としては、社長の栗原さんが非常に経験豊富な方だということ。先日は「BtoB事業におけるエンタープライズの攻略法」と題したセミナーで、ご一緒させていただきました。
僕もSansanでWebマーケティングをかなりやってきたんですが、優先順位付けや売上げにつながりやすいところというのが、才流さんはまったくズレがない。しっかりと時流に合ったマーケットを見ていると思います。
ー 今後、才流に期待することはありますか。
岡田 トレンドやBtoBならではのメソッドをコンテンツ化していらっしゃるので、引き続き発信してほしいですね。
黒須さんの取り組みは尖っているし、僕も尖っていたいという気持ちでずっとやってきたんです。ただ事業会社にいると、マーケだけに尖っていてもなかなか突破できないことがある。そういうときこそ、外部だから言えることがあると思います。
これからも新しい尖った事例をどんどん出して欲しいですね。
以前黒須自身が、才流に入社した理由についてこう語っている。
「才流は一人ひとりの戦闘能力の高さが、飛び抜けているように感じた」
その言葉通り、才流ではコンサルタントがそれぞれ強みを持ち、個人への依頼から案件化するケースは少なくない。今回のClipLineもその一例だ。
ClipLine岡田さんの信頼を成果につなげるために、才流黒須はこれからも「個人の能力」と「メソッド」を磨き続ける。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/安住久美子)