スポーツでも芸術でも仕事でも、超一流と呼ばれる人たちがいる。
多くの人が一流、超一流になりたくて努力を始めるけれど、そこまでたどり着ける確率は0.01%以下。しかし、そんな確率を無視するかのように際立って多くの超一流、天才が生まれる場所が存在する。
世界トップ20の女子選手をアメリカ全土よりも多く輩出した、ロシアのスパルタ・テニスクラブ。あるいはYouTube、Linkedin、テスラ・モーターズ、Yelp!などの創業者を輩出しているペイパルなど、世界有数の才能のホットスポットでは一体、何が起きているのだろうか。
そんな疑問から世界的な才能のホットスポットを研究した書籍・論文を読み漁って、テニスの練習メニューに取り入れていたんだけど、これは仕事でも使えるかも、と思ったので仕事における効果的な能力向上方法としてまとめてみた。
前提
- 上達=背伸び×繰り返し
- ずば抜けた能力(特に知能や記憶力)は必要ない。偉人たちの能力は平均的
- 偉業と唯一関係のあるものはどれほど多く練習するか。練習量の累計が多いほど、より業績を上げられる。
- 熟達までの道のりは長い。長い期間、鍛錬を続けられるよう自らを見つめ、エネルギーの源を探ること、一流との強烈な出会い等でエネルギーが点火されることが必要
効果的に能力を向上させるポイント
1. デリバレイト・プラクティス:熟達のために特別に考案された学習を行う
- まずは基礎となるような教科書で全体像を把握する
- 新しい分野であれば、データを分析し、最高の成果を上げている会社や人に共通するスキルを見極める。もしくは成果を上げている超一流の発言、思考、行動、感情を完璧に真似る
- 最終的に成し遂げたいこと、その目標に到達する最善のルートを考え、計画に落とし込む。そこにほとんどの時間を注ぎ込む
2. 何度も何度も繰り返し取り組む
- 改善が必要な要素を細かく限定し、その要素を集中して鍛える
- 局所的な完璧さを目指し、繰り返す。局所的に取り組むことでフィードバックの回数が増える
- Learning zoneの業務に取り組む(Confort zone/Learning zone/Panic zone)
- ※しかし、自分一人でLearning zoneを明確にして、取り組み続けることは難しい
- 得意なことばかりやらない。自動化を回避する
3. 継続的にフィードバックをもらう
- 先生、コーチ、メンター、同僚の存在が欠かせない
- 新しい気づきをくれる人、自分よりちょっと物知りな人の意見に耳を傾ける
- 次の段階で身に付けるべき技術や能力がなにか、助言をもらう
- 良質なフィードバックの機会があふれる、最先端の場所に身を置く
- すぐにフィードバックをもらう。間が空けば空くほど、修正が困難になる。フィードバックがないとけっして向上せず、注意深く練習しなくなる
- フィードバックを振り返り、消化する時間を確保する。そのために予定を入れ過ぎず、暇な時間を作る
4. 深く集中して仕事を行う
- 1人で練習する時間の長さが「最高の選手」と「良い選手」を隔てる
- 心をこめた練習、学習には集中力が欠かせない。健康であること、マインドフルである必要がある
- 「最高の選手」は「良い選手」より長く寝る。より多く昼寝する。集中して練習すれば、一日中練習しつづけることはできない
- まだ活力のある時間帯(朝~午後の早い時間)に仕事や学習を行う
- クタクタになる前にやめる
5. その他
- 危機の時は、通常の10倍のスピードで学べる
- 制約が脳の回転数を上げる。ただし、長時間の強すぎる制約は生産性に対してマイナス
- 仕事の中に意識して、
・逸脱(普通はやらないことをやる)
・回避(普通やっていることをやらない)
・強化(普通やっていることを極端にやる)
・逆転(普通のパターンをひっくり返す)を取り込む - 早く始めると累積の鍛錬時間が増える
- 競争者が少ないところで仕事を学び始めると乗数効果が働く
- Ex.)一流クリエーターのほとんどは大都市出身ではない。地方で突出して活躍し、その後、大都市で才能豊かな仲間と切磋琢磨する道をたどっている
- そもそもどんなスキルに投資すべきなのか? 投資対効果が高いのは、ゆっくりとしか変化しない流行り廃りのない知識、樹形図の上にあるもの(物理学、脳科学、生物学、社会心理学、コミュニケーション、思考法など)
※参考書籍
・『究極の鍛錬』
・『達人のサイエンス』
・『才能を伸ばすシンプルな方法』
・『天才!成功する人々の法則』
・『フロー体験 喜びの現象学』