さらに昨年あたりから、右肩あがりで問い合わせが増加しました。コロナ禍になり「内需だけに頼らず海外に販路を拡大したい企業」や「すでにある販路のWebマーケティングを強化したい企業」が確実に増えています。海外向けWebマーケティングの需要の高まりを肌で感じていました。
正直、数千億円規模の売上を誇る上場企業が、僕らみたいな中小企業を見つけて相談してくださることは異常な事態です。それだけプレイヤーが少ないともいえますし、大手代理店でさえソリューションを提供できる会社が少なくて、本当に困っていらっしゃるのだろうと。
海外進出や販路拡大意欲が高まっている今こそ、当社もマーケティングに力を入れるべきタイミング。外部のアドバイスを入れ、事業基盤をより強化していきたいと考えたのです。
いえ、比較検討はしませんでした。BtoBマーケティングであれば、才流一択だと思っていましたから。僕たちは今回、SEOやリスティングなど施策の一部ではなく、マーケティング戦略の根幹から一緒に考えてくれるパートナーを求めていましたので、少数精鋭で、一人ひとりが豊富なメソッドを有している才流が適任だと考えました。
当社もマーケティング支援を行う会社ですので、「戦術」はわかっているんです。とくにBtoBの場合は、そんなに選択肢もありませんし、ある程度、型を持っていればできてしまう。ただ、他社と大きな差がつくのは「戦略」の部分です。調査や現状分析、課題の整理、どんな目標でどのように売上を拡大していくのか。戦略のシナリオを、才流であれば一緒に描いていただけるのではないかと期待しました。
その目標を見据え、市場分析から現状プロダクトの整理、課題の抽出、ターゲット設定、プロモーション計画の作成、営業における提案のストーリーと販促施策案の立案までご支援しました。課題の抽出やターゲット設定を行うために、既存顧客へのヒアリングや、海外への販路拡大経験のある見込み顧客へのインタビューも行いました。
いずれも世界へボカンの強みと弱みを再認識・再発見する、とてもいい機会でしたが、とくに外部有識者からのコメントが衝撃的で。フラットな意見を率直に言っていただいて、心から感謝しているのですが、ショックで一晩寝込みました(笑)。栗原さんからも「徳田さんがショックで寝込んでいると聞きました」と心配のメッセージをいただいてしまったほどで…。
当時、世界へボカンのWebサイトは、「海外向けBtoBのWebマーケティング」と「BtoCの越境EC」の両方の事業を網羅しており、どちらかというと越境EC向けの内容が強く打ち出されていました。
ですから現状のサイトでは、伝える内容が分散してしまい、BtoBマーケティング事業のお客様に、事業の価値を伝えきれていないことはわかっていました。その点を率直にフィードバックしてもらい、もうこれは本腰を入れてサイトをリニューアルしなければと。
才流のコンサルティングプロジェクトには、私の他に数名の社員も参加していたので、「今のままじゃマズイ」と共通の理解が得られ、社員がアクセルを踏むきっかけをつくれたと、感謝しています。
正直にいうと、社内では「我々は高い確度で顧客の理解ができている」と思っていたんです。ただ、才流のメソッドや、BtoB製造業の知見がある岸田さんの視点から市場を調査し、顧客の規模や販路拡大に対する本気度など、さまざまな角度から整理をしてもらったことで、多くの気づきがありました。
私たちもマーケティング支援の会社なので、日々、お客様に伝えていることではあるのですが「バイアスのない状態でプロフェッショナルに見てもらうと、こんなに発見があるのか」と感じましたね。
顧客を細分化し、複数のペルソナを設定して、それぞれに対してどのようなロジックで営業をしていくか、提案のストーリーを策定してもらいました。商談内容や提案資料など、私たちが日々どのようなコンサルティングを行っているのかを岸田さんにすべて見てもらって、客観的に、改善点も含めたアドバイスをしてもらった。そこで「見せ方の部分で損をしている」ことがわかったことも大きな収穫でした。
その打ち出し方でお問い合わせがあった企業は、いわばニーズが顕在化されたお客様。依頼内容が明確になっている分、SEOやリスティング広告が改善されれば、取引が終わってしまうんです。
LTV高く、中長期にわたって継続的にお付き合いいただくためには、課題が顕在化していなく潜在的な課題を持っている段階から顧客にリーチし、いざ海外進出や海外販路をデジタル化していくときに「世界へボカンさんに相談してみよう」と想起されるような状態をつくる必要があります。
実際に世界ヘボカンさんでは、戦略の部分から包括的なコンサルティングをされているので、細分化されたサービスの提案ではなく、潜在的な課題を持っている見込み顧客にも響くようなアプローチに変えましょうと提案しました。
才流に支援いただいたのは、戦略立案の部分ではあるのですが、実は、社員の「営業成約率」「既存顧客のリピート率」の2つの指標がすでに向上しているんです。当社の営業成約率はもともと高かったのですが、そこからさらに1割ほどアップしています。
このタイミングでこれだけの成果が出ているのはなぜなんだろうと考えたとき、一つは、営業メンバーが自信を持って提案できるようになったことが挙げられます。
才流のコンサルティングによって、ペルソナごとに筋の通った提案ストーリーをインプットできましたし、マーケティングの知識も増えた。そして何より岸田さんに「いいサービスですね」とお墨付きをもらったことで、「自分たちが手がけてきたことは間違っていなかったんだ」と確信が持てたのではないでしょうか。
事前のプランにはなかったのですが、岸田さんは、社員向けに「BtoB製造業の業界講座」も開いてくださったんです。業界の構造や職種知識など専門的でリアルなお話を伺うことができました。
この勉強会を通じて、業界理解・顧客理解がぐんと深まったと感じています。メンバーの自信が増したことで、お客様への提案にも説得力が生まれ、問い合わせからの商談化率や営業成約率があがっているのだと思います。
先日、あるメンバーがつくった提案資料を見て驚きました。岸田さんから共有いただいたフォーマットをベースに、さらに自分で工夫していて。それがとてもいい出来だったんです。ふとメンバーの顔を見ると、自信に満ちた、いい表情をしていました。才流に伴走支援いただいたことが刺激となり、着実にメンバーの成長につながっています。
対象となる企業が多くないのであれば、インバウンドよりもアウトバウンドのアプローチのほうが有効にはたらくケースもあります。海外BtoBマーケティングの情報を発信し、潜在層にリーチしながら、あわせてアウトバウンドの営業手法を取り入れていく施策を提案しました。
中長期を見据えてマーケティングを成功させるうえで、市場やターゲットに合わせたアプローチは欠かせないと個人的にも考えています。
たしかにオフラインの施策を含めたご提案をいただいたことは意外でしたが、同時に納得感がとてもありました。
実は、海外への販路拡大経験のある方に「どのように情報収集をしていましたか?」とヒアリングした際に「現地の食堂に置いてあるフリーペーパーを読んでいました」とコメントいただいたことがあったんです。
その話を伺って、オンラインに必ず顧客がいるわけではなく、顧客がいる媒体にしっかりと露出をしなければならないと再認識しました。ターゲットやペルソナに設定している方々が、どんな媒体でどのように情報収集しているのかを知ることが大事ですし、岸田さんは、成果につながる方法を一緒に考え、探してくださったと感じています。
私が才流に期待していたのは、戦略ストーリーを共に描いてくださること。小手先の戦術や手法に捉われず、どうやったら目的や目標が達成できるかを大きな視点で捉え、提案してくださったと思っています。机上の空論ではなく、私たちも、次の確かなアクションにつなげていかなければと感じました。
当然、メソッドに基づいたコンサルティングをされていて、セミオーダーのイメージに近いと思うのですが、想像以上に、こちらの要望や状況に対して柔軟に対応いただいた感覚を持っています。
私がお会いしたことがあるコンサルタントは岸田さんだけですが、いつも親身になって相談に乗ってくださいました。そんな“人情味”と“メソッド”のバランスの良さが、才流さんの本当の魅力なのではないかと思います。才流さんへの依頼を検討中で、敷居の高さを感じている企業があれば、「そんなことないですよ」と背中を押してあげたいですね。
加えて、もう一つ意外だったことがありました。当社は海外向けとはいえBtoBマーケティング支援の会社ですから、いわば競合にあたるともいえるんですね。ご依頼する前は、「引き受けてもらえないのでは?」と考えていたんです。
徳田 このスタンスは、本当にすごいですよね。加えて、本来であれば、同業であるマーケティングのコンサルティングを行うって、相当プレッシャーのかかる仕事だと思うんです。いわば、プロの目でジャッジされるわけですから。僕だったら、嫌ですよ(笑)。ただ、そんなプレッシャーのかかる状況においても、岸田さんはプロフェッショナルな仕事をして、僕たちの期待を軽やかに超えてくださった。心から感謝しています。
徳田 「自社でマーケティングを行っているけれども成果が鈍化している」「施策の改善点や伸びしろがないか、チェックしてほしい」という企業は、より才流の良さを享受しやすいのではないかと思います。
リソースも予算も時間も限られているなかで、どう戦略を描くのか。どんなマーケティング施策をやっていくのか。プロの目で、“客観視”してくれる存在はありがたいですから。「0→1」だけではく「1→5」「5→10」フェーズの企業にも有意義なコンサルティングをしてくださるはずです。
当社も新しいWebサイトをローンチし、これから具体的なマーケティング施策に移行していきます。実務のフェーズでも、岸田さんにはぜひ相談に乗っていただきたいと思っています。
才流のコンサルタント、岸田は入社時のインタビューで、こう答えている。
「お客様に直接価値を提供できるコンサルタントでありたい。戦略から実行までじっくりとお客様に向き合い、施策をやり切るところまで支援したい。それが自分にとっての仕事のやりがいだ」
“顧客が望む価値を提供できるか。本当に?”――才流におけるマーケティング支援のスタートラインには、常に、この問いがある。
市場規模や顧客が抱える課題、こうありたい将来像を見据え、一つひとつ愚直に検証しながら、最も成功できる道筋を模索する。広く柔軟な視野で顧客と向き合う岸田の姿に、才流が仕掛けるコンサルティングの本質が垣間見えた。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子 編集/中島 孝輔)
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