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見込み求職者インタビューで採用活動を改善する方法【すぐに使えるテンプレートつき】

採用
コンサルタント
武田 法子

採用活動に課題があるものの、原因・解決方法がわからない場合、採用対象となる求職者の行動や思考の傾向を正しく把握できていない可能性があります。そこでおすすめしたいのが「自社の採用ターゲット、かつ自社に応募していない人」に話を聞くこと、つまり見込み求職者インタビューです。

見込み求職者インタビューは、求職者や転職市場の実情を把握できる有効な手段です。そこで本記事では、見込み求職者インタビューのやり方と採用活動を改善する方法をくわしく解説します。

さらに、ダウンロードしてすぐに使える見込み求職者インタビューシートのテンプレートもご用意しました。自社の採用活動の改善にぜひお役立てください。

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見込み顧客インタビューシート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

採用活動の改善に必要な「求職者への理解」

採用活動がうまくいかない場合、求職者への理解が不足していることが原因かもしれません。ここでは、求職者への理解が欠かせない理由と理解を深める方法について解説します。

求職者への理解が欠かせない理由

採用活動における課題と解決策を考えるなら、求職者への理解を深めるべきです。なぜなら企業側の視点と求職者の視点にズレがあると、応募数の低迷や内定辞退率の上昇などの採用課題につながる可能性が高まるからです。

求職者への理解を深めるということは、求職者の視点で採用活動を見直すことを意味します。具体的には以下のような視点を持つことが重要です。

  • 抱えている課題や不満は何か
  • 転職先に求める条件は何か
  • どのような経路で情報を収集しているか
  • 応募先を決める際の判断基準は何か

求職者の視点に立つと、自社の採用活動における課題が見えてきます。たとえば、求職者が重視する情報が求人票に記載されていない、求職者が利用する媒体に求人が掲載されていない、などです。

求職者への理解を深め、課題を発見し、解決策を立案しましょう。

求職者への理解を深める方法

求職者への理解を深めるには、見込み求職者、もしくは入社者に話を聞くのがおすすめです。主なヒアリングの方法としては、インタビューとアンケートがあります。インタビューは対象者の深いインサイトを引き出しやすいのですが、実施に時間がかかるのがデメリット。そのため、見込み求職者に対してはインタビューを行い、入社者に対しては業務に与える影響の少ないアンケートを実施するのが最適です。

見込み求職者インタビューと入社者アンケートには、ほかにも違いがあります。

項目見込み求職者インタビュー入社者アンケート
対象者自社の採用ターゲットだが
応募していない人
自社に入社した人
形式対面またはオンラインでのインタビューアンケート(Googleフォームなど)
所要時間1人あたり30分〜60分程度10分〜20分程度
実施のしやすさ対象者の選定や日程調整が必要比較的手軽に実施可能
得られる
インサイトの深さ
深いインサイトを引き出せる
可能性が高い
表面的な回答になりがちで、
深いインサイトを引き出すのは難しい
必要なスキル質問の仕方や深掘りの技術特別なスキルは不要
見込み求職者インタビューと入社者アンケートそれぞれの特徴

先述のとおり、見込み求職者インタビューは入社者アンケートに比べて対象者の深いインサイトを引き出しやすいのが特徴です。転職活動時の具体的な行動や思考の内容を深掘りながら聞き出すことで、これまで自社と接点がなかった理由を把握し、採用活動の改善点を見出すのに役立ちます。ただし、インタビューの実施に時間がかかる点、インタビューの質がインタビュアーのスキルに依存しやすい点に注意が必要です。

一方、入社者アンケートは見込み求職者インタビューに比べて手軽に実施できます。ただし、アンケートは質問が固定されているため、対象者の深いインサイトを得るのは難しいでしょう。入社者アンケートのやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。

※関連記事:採用活動を改善する「入社者アンケート」の活用方法|Googleフォームテンプレート付き

採用活動についてより考察を深めたいなら、見込み求職者インタビューと入社者アンケートを併用するのがおすすめです。入社した人と応募すらしていない人との違いを認識することで、想定していない採用ペルソナの存在に気づけたり、新しい訴求ポイントや接点の発見につながる可能性があります。

ここからは、見込み求職者インタビューの準備方法から実際のインタビューの進め方までを解説していきます。

見込み求職者インタビューの準備

見込み求職者インタビューは以下のような手順で実施します。

  1. インタビュー相手を探す
  2. インタビューを依頼する
  3. インタビューで聞くべき項目を整理する
  4. インタビューを実施する

インタビューを成功させるためには、1〜3までの事前の準備が重要です。ここからは、準備に関する注意点を解説します。

理想のインタビュー相手の条件

見込み求職者インタビューでは、以下の3つの条件すべてに当てはまる人が理想的なインタビュー相手です。

  • 半年〜1年以内を目安に転職活動を行っている/行った
  • 自社に応募していない/しなかった
  • 自社が採用したい職種の経験を持ち、その職種から転職活動を行っている/行った

なお、想定ターゲットとなる職種を5年以上前に経験しているが、その後キャリアチェンジをして別の職種に就いているような場合、記憶が薄れている可能性が高くインタビュー相手として適切ではありません。

ただし、インタビュー相手が集まりづらい場合には、自社の求める人材像や採用ターゲットに近い経歴を持つ転職経験者に順次インタビューをしていくのも一手です。

インタビュー相手の探し方

インタビュー相手を探す方法としては、以下の2つがおすすめです。

  • 採用担当者や社員のネットワークを活用する
  • 外部のインタビュー支援ツールを利用する

まずは採用担当者自身のつながりや、社員経由で探してみましょう。 社内のネットワークを活用すれば、情報源として信頼のおける人をスピーディーに見つけやすいです。

また、「ビザスク」などのインタビュー支援ツールを利用すれば、条件に近いインタビュー相手を効率的に探すことができます。自社とのつながりがない人にもアプローチできるのが利点です。

インタビューの依頼方法

初対面の相手や、気軽に声を掛けられない相手に対してインタビューを依頼したい場合は、インタビュー依頼書を準備しましょう。インタビュー依頼書は、インタビューの目的や内容を正しく伝え、相手の理解と協力を得るのに役立ちます。

インタビューの依頼は、メールやSNSなどで内容を共有したり、文書として送付したりするのが一般的です。依頼書や依頼メールに記載する項目は以下を参考にしてください。

インタビュー依頼書に記載する項目

項目記入例
インタビューの目的弊社(https://〜〜)の採用活動の改善のため
インタビューの内容・転職時期と転職を考えたきっかけ
・転職活動における利用媒体や応募・面接先
・転職活動時に知りたかったこと、意思決定のための比較軸
・弊社の採用職種に対する率直なご感想 など
所要時間約1時間
インタビューで得た
情報の取り扱い
インタビュー動画:当社採用部門内で共有
インタビュー内容:お名前など個人を特定できる情報を
排除したうえで、採用に関わる最小限の人数で共有
実施日(候補)◯月◯日◯◯時〜◯◯時の間
◯月◯日◯◯時〜◯◯時の間
実施場所オンライン(ツール名)もしくは弊社オフィス
同席予定者弊社人事部門◯名(氏名1、氏名2)
謝礼◯◯円を想定
※請求書を発行していただいた翌々月の末日に指定口座に
お振込みします

本記事では、見込み求職者インタビューの依頼書テンプレートもご用意しています。コピーしてすぐにご使用いただけますので、ぜひご活用ください。

見込み求職者インタビュー依頼書のテンプレート(Googleドキュメント形式)をコピーする

見込み求職者インタビュー依頼書のテンプレート(Word形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

インタビューで聞くべき項目

インタビューで収集した情報を自社の採用活動の改善に活用するために、ヒアリング項目を入念に設計しましょう。とくに以下の3つの項目については必ずヒアリングしてください。

  • 転職活動をはじめたきっかけ
  • 転職活動時の行動の詳細
  • 転職活動時の思考

転職活動をはじめたきっかけ

転職のきっかけを把握することで、求職者が抱えている不満や課題、または転職によって実現したい目標や理想の働き方が明らかになります。このような情報は、求職者の課題やニーズを理解するうえで重要です。

人間関係や労働環境への不満、スキルアップへの欲求など、転職の理由は人によってさまざま。どのような出来事や状況が転職活動のきっかけになったのか、具体的に聞き出しましょう。

転職活動時の行動の詳細

求職者の行動パターンを把握することで、自社の求人情報の発信に関する課題や、応募から選考にわたるプロセスの改善点が見えてきます。

応募した企業数や情報収集の方法、利用した媒体やサービスなど、求職者が実際にどのように転職活動を進めたのかをくわしく聞き取りましょう。

転職活動時の思考

求職者の思考のプロセスを理解することで、ターゲットに自社の魅力を効果的にアピールする方法や、採用プロセスのなかで求職者の意思決定をサポートする方法のヒントを見出すことができます。

求職者が転職先を選ぶ際に重視していたことや優先順位、転職先を決めた理由など、転職活動時の思考についてヒアリングしましょう。

インタビューの推奨人数

インタビューに必要な人数の決定には、ユーザビリティ研究の第一人者として知られるヤコブ・ニールセンの研究が参考になります。研究によると、3人のユーザーテストで全体の約60%、5人では約80%の問題を発見できることがわかりました(※1)。

インタビュー調整や実施にかかる時間とコストを鑑みると、3〜5名程度のインタビューを行うのが現実的でしょう。ただし、この人数はあくまでも目安です。インタビューの目的や対象者の特性によって柔軟に調整してください。

見込み求職者インタビューの進め方

インタビューの準備が整ったら、いよいよ実際のインタビューに入ります。ここからは、才流が作成した見込み求職者インタビューシートを参考に、インタビュー全体の流れから実施方法までを確認していきましょう。

インタビューシートのダウンロード

見込み求職者インタビューを円滑に進めるために、基本的なヒアリング項目を網羅したテンプレートをご用意しました。以下のリンクからGoogleスプレッドシート形式またはExcel形式でダウンロードできます。

見込み顧客インタビューシート(Googleスプレッドシート形式)をコピーする

見込み顧客インタビューシート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

テンプレートは自社の状況に合わせてカスタマイズ可能です。インタビューに慣れてきたら、質問数や質問内容を適宜調整してください。

インタビュー全体の流れ

理想的なインタビューの流れと時間配分は以下のとおりです。

  1. アイスブレイク(2分)
  2. インタビューの目的・情報の活用用途の説明(3分)
  3. ヒアリング(45分)
  4. ヒアリング内容のまとめと挨拶(5分)

インタビューに慣れていないうちは、一人あたりのインタビュー時間を60分として設計しましょう。その際、時間配分に5分程度の余裕を持たせることをおすすめします。なお、インタビュアーがインタビューに慣れている場合、全体を30分程度に短縮しても構いません。

インタビューの進め方

いよいよインタビューです。まずはアイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくり、インタビューの目的や用途について説明します。その後ヒアリングを行い、最後に内容に齟齬がないか確認しましょう。

1.アイスブレイク

インタビューの冒頭でアイスブレイクを行い、リラックスした雰囲気をつくりましょう。対象者が話しやすくなって、より深いインサイトを掘り起こすきっかけとなります。事前にSNSなどで対象者の情報を収集し、共通の話題を見つけておくとスムーズに会話を始められます。

2.インタビューの目的・情報の活用用途の説明

アイスブレイクの後は、インタビューの背景や目的、収集した情報の活用方法について説明します。どのような目的で行われるインタビューなのかを対象者が把握しておくことで、質問に答えやすくなるからです。安心して本音で語れる環境をつくりましょう。

3. ヒアリング

いよいよ本題のヒアリングに入ります。インタビューシートを活用して、必要な情報をヒアリングしてください。

ただし、すべての質問に回答してもらうことにこだわりすぎると、一問一答の表面的なインタビューになりかねません。深いインサイトを引き出すためには、対象者の反応を見ながら柔軟に質問を変更したり、深掘りしたりするのがポイントです。

たとえば、対象者の回答から、興味深い点や重要な点が見えてきた場合、以下のように質問を追加していくとよいでしょう。

例: 「〇〇とおっしゃいましたが、その背景にはどのような理由があるのでしょうか?」

4.ヒアリング内容のまとめ・挨拶

最後に、ヒアリングした内容を簡潔にまとめ、対象者の認識とずれがないかを確認します。また、インタビューへの協力に感謝の意を伝え、謝礼の支払いなどの手続きについて説明しましょう。以上でインタビューは終了です。

インタビューを採用活動の改善に活用する方法

見込み求職者インタビューを通じて得られた情報は、以下のような場面で活用できます。自社の採用課題に応じて活用方法を参考にしてください。

  • 採用したい人物像(採用ペルソナ)の明確化
  • 採用競合の分析
  • 自社の求人票・求人広告内にある訴求ポイントの改善
  • 面接・条件面談時に伝える訴求ポイントの改善
  • 求人掲出先の追加・変更検討

採用したい人物像(採用ペルソナ)の明確化

採用したい人物像が明確になると、採用活動の方向性が定まり、適切な候補者へのアプローチが可能になります。また、採用担当者間での認識の共有が進み、一貫性のある採用活動を実現できます。

【活用のステップ】

①インタビューで得られた情報を整理し、自社が採用したい人材に共通する思考・行動パターンを抽出する

②抽出した情報をもとに、採用ペルソナを作成する

③採用ペルソナを社内で共有し、採用活動の指針として活用する

採用競合の分析

採用競合の分析によって競合他社との差別化ポイントが明らかになり、優秀な人材を獲得できる確率が高まります。また、自社の採用活動の強みをいかしつつ、弱みを改善できます。

【活用のステップ】

①インタビューで得られた競合他社の情報を整理し、強みや弱みを分析する

②自社の採用活動と比較し、差別化ポイントや改善点を明らかにする

③分析結果をもとに、採用戦略の見直しや施策の立案を行う

自社の求人票・求人広告内にある訴求ポイントの改善

求職者の興味を引く求人情報を発信することで、応募数の増加が見込めます。また、採用ペルソナに合った人材の応募が増え、採用の効率化につながります。

【活用のステップ】

①インタビューで得られた求職者の関心事や魅力的に感じた内容を整理する

②現在の求人票や求人広告と比較し、改善点を洗い出す

③求職者の視点を取り入れた訴求ポイントを盛り込み、求人票や求人広告を改善する

面接・条件面談時に伝える訴求ポイントの改善

面接・条件面談の場で、働き方やキャリアパスなど求職者が抱く関心に応えることで、自社へ好印象を抱いてもらえます。その結果、内定承諾率の向上が期待できます。

【活用のステップ】

①インタビューで得られた求職者の意思決定要因や重視するポイントを整理する

②現在の面接・条件面談での訴求ポイントと比較し、改善点を洗い出す

③求職者の視点を取り入れた訴求ポイントを面接官と共有する

求人掲出先の追加・変更検討

求職者が実際に利用している媒体・経路に求人情報を掲出することで、より多くの候補者にアプローチできます。また、適切な求人掲出先を選定することで採用コストの削減にもつながります。

【活用のステップ】

①インタビューで得られた求職者の情報収集媒体・経路を整理する

②現在の求人掲出先と比較する

③求職者の行動に合わせて、求人掲出先の追加や変更を行う


採用活動を改善するにあたって、自社へ応募したことのない「見込み求職者」へのインタビューは有効な手段です。ただし、インタビューを成功させるためには、対象者の選定、インタビュー依頼、インタビュー項目の設計などの準備を入念に行う必要があります。

本記事を参考に、インタビューで得られた情報を自社の採用活動の改善にお役立てください。

(執筆・編集/金田明子)

※関連記事:採用活動を改善する「入社者アンケート」の活用方法|Googleフォームテンプレート付き


※1: 参照 Why You Only Need to Test with 5 Users|Nielsen Norman Group

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