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実行フェーズのノウハウは、ほとんど流通していない。【若い頃知りたかったマーケティングの話】

株式会社才流 代表取締役社長
栗原 康太

実行に関する知識は、流通量が少ない

マーケティングには、多くのフレームワークがあります。STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)、4P(製品、価格、プロモー ション、流通)、コンテンツマーケティング、さらにマーケティングオートメーション

事例集も多く出ていますし、MarkeZineや宣伝会議などの媒体や個別の企業を深掘りした書籍も多数出版されています。

ただ、「フレームワークや事例をどう活かし、どう実行していくか」という『実行フェーズに関する知識』はあまり流通していません。

例えば、サイトのSEOを強化する目的で、SEO業者を探すとします。グーグルで検索して業者を探したり、知り合いに紹介してもらったりするでしょうが、「よい業者の基準は何か」という判断基準を持ってらっしゃる方はどれほどいるでしょうか。

この記事を書いている「オウンドメディア」にしてもそうです。オウンドメディアのメリット・デメリットまではわかるとしても、施策を実行する上で「事業のどのフェーズでやれば良いか」「どういう体制を作ればいいか」「効果測定は、いつ、何を見ればいいか」まではあまり理解されていないと思います。

また、例えばオウンドメディアは、効果が出るまで時間がかかる施策です。直近でリードや商談数を獲得するには向いていません。並行して、リスティング広告などのコンバージョンに近い施策にコストをかけながら運用していくのがよいでしょう。こういうフレームワークや事例集で触れられない部分のノウハウは、それほど多く流通していないように思います。

マーケターをいつ採用すべきか?

会社が立ち上がって最初に取り組んだ事業やプロダクトが、そのまま長年継続されるケースは稀です。創業1、2年目の会社はやることがどんどん変わります。弊社・才流(サイル)もそうでした。他社でも、事業を何度もピボットするケースはたくさんあります。

そういう状況下において、企業はいつマーケターを採用するべきでしょうか?

マーケティング活動ができるようになるのは、「ウチはこの事業ならお客さんに満足してもらえる」「この事業ならお客さんが取れる」というものが見えてきてからです。

リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす』(日経BP社)には、新規事業を立ち上げる方法論の一つに『プロダクト・マーケット・フィット (PMF)』という考え方が紹介されていす。PMFとは“顧客を満足させる最適なプロダクトを最適な市場に提供している状態”のことです。実際、PMFしてからでないと幾らマーケティング予算を投じても穴の開いたバケツに水を入れるようなもの。著しくコスパが悪いです。

ベンチャー・スタートアップ企業がPMFをさせるために必要な人員は、社長とエンジニアぐらいでしょう。社長がある程度の受注率で案件を獲得できる状態になって、初めてマーケターや広報を雇う意味が出てきます。

ただ、こういう情報はあまり知られていないようです。われわれ才流(サイル)は、そこを流通させにいきます。

「じゃあ、自社で」という判断の落とし穴

僕は、学生インターンから入社した前職(ガイアックス社)で自社のマーケティングを担当していました。そこで直面したのは、とにかく実践的なノウハウがどこにも転がっていないことです。リスティング広告一つとっても、業者をどう選定すればいいのか、相場観はいくらか、そもそも社内で運用すべきかなのか、アウトソースすべきかもわかりませんでした。

そういうケースでは、往々にして「じゃあ、自社でやります」という判断をしがちです。僕らもそうでした。しかし、サイトを改善したり、セミナーを開催したり、他の仕事もあるし、営業もあるしで後手に回ってしまい、なかなかうまく運用・改善するのが難しかったです。結果、効果がどんどん下がっていくわけですね。

さらにありがちなのは、そうしたケースで「リスティング広告ってイマイチだね」と評価してしまうこと。実際は、チャネルの問題ではなくリソース配分の問題であるわけです。実行するリソースがないのに、社内でやってしまうから失敗する。ある大手代理店の広告運用の部長さんが言っていましたが、リスティング広告は、社内にゴリゴリで運用してきた元ネット代理店出身の人材が居ない限りはアウトソースすべきでしょう。

「日本にマーケターはいない」は本当か?

最近では、マーケティングツールも多様化、高度化しています。一昔前はせいぜいグーグルアナリティクスしかなかったのが、今やもっと高度な分析ツールがたくさんありますし、メールにしても一斉配信しかできなかったのがWeb上の行動ログ、クリック状況を元に条件別で配信先をわけることもできます。

しかし、そうしたツールの提供会社の人と話すとよく言ってるのは「結局使われないんだよね・・」ということ。彼ら/彼女らは「日本には、マーケターがいないから」という言い方をしますが、実際には、マーケターがいないというよりは「運用できない人たちにツールを売っている」が正しい表現だと思います。

なぜこういうことが起こるかというと、結局ツールベンダーさんもマーケティング支援業者さんも、その多くがマーケターではないからです。HP制作にしてもパンフレット制作にしても同様。マーケティング責任者/担当者の気持ちは、良くも悪くもわからないケースが多いと思います。僕は幸い、支援する側もされる側も経験したことで、そのギャップに気づくことができました。

こうした「実践のために必要な情報」が流通することで、様々な施策の実行スピードが早くなります。発注ミスや予算の無駄遣いもなくなりますし、そうすれば数ヶ月にわたってのロスを防ぐことにも繋がります。結果として、製品やサービスを開発し、世に広める企業の、ミッションやビジョンの達成速度を速めることができます。

しなくてもよい余計な試行錯誤を防ぐ、転ばぬ先の杖。われわれ才流(サイル)は、そうした存在になりたいと思っています。

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