山本 瑞人
Yamamoto Mizuto- 職種
- コンサルタント
地方に移住しても、自身のキャリアを諦めない。どちらか一方を選ばなくてはいけないのではなく、どちらも大切にしていいのだ ──才流に入社した山本は、自らの働き方でこれを証明している。
山梨県北杜市に暮らす彼は、フルタイムで才流の仕事を行いながら、スタートアップや地方自治体のマーケティング支援、貸別荘やテントサウナのレンタルなども手掛けている。
これまで3度の転職を経験し、営業やメディア、BtoBマーケティングの経験を積んできた。「既存の手法だけが正解だとは思えなかった」と語る彼は、自ら手を動かし、新しい挑戦を続けてきた有言実行の人でもある。
パラレルワーカーとして才流で働く選択には、どのような背景があったのか。また、彼が才流で感じること、やりがいについて話を聞いた。
“実行部分に強い”マーケターの原点と、自分らしい生き方への思い
ー才流に入社前は、どのような仕事を経験しましたか。
新卒で入社したのは、ソフトウェアの販売会社です。営業として、会計システムや人事情報システムなど、バックオフィス全般をカバーするソフトウェアを販売していました。
当時、売り方のルールは特に決まっておらず、会社から与えられていたのは「利益目標を達成する」というミッションのみ。そこで、最初は高単価の顧客を狙った飛び込み営業をやっていました。
ただ、自分の中で「飛び込み営業」「テレアポ」のような営業スタイルがこの先ずっと続くとは、どうしても思えなかったんですよね。そこで、社内のリストを使って社内で誰も運用していなかったメルマガ配信を始めたんです。
さらには、Webサイトも上司の許可を取らず自作し、問い合わせがきたら自分で営業するようにしました。もちろん会社の公式サイトもあったんですが、そこに来る問い合わせは自分の案件になるとは限らなかったので、それなら自分で作ってしまおうということです。
ルールもわからないのに勢いでやって、結果的に使ってはいけない画像を使ってしまい、めちゃくちゃ怒られましたけどね(笑)。
でもこのときの経験は、間違いなく今のマーケティングの仕事につながっています。
「戦略を描き、実行するためにはどうするか」「既存の手法だけが正解ではなく、もっといい方法があるんじゃないか」と、常に考えるようになりました。
また、会計システムやバックオフィスのソフトウェアは、会社の仕組みを理解しないと売れません。そこで養われた会社や事業に対する理解が、現在の事業マネジメントにも生きていると思います。
ーその後、2度の転職をしていますね。どのような思いがあったのでしょうか。
2社目はBtoBマーケティングSaaSの「ferret One」や、Webマーケティングメディア「ferret」を手掛ける株式会社ベーシックです。前職でWebサイト作りに面白さを感じていたので、コンテンツの制作に関わりたいと思って転職しました。
ベーシックにはメディア事業の営業として入社し、最終的には、メディア事業部のマネージャーとして、マーケティング業務を中心に事業運営に取り組みました。マーケティングが自分のコアスキルになるのではないかと感じたのも、ベーシック社にジョインしてからです。
一方で、自分の生き方として「制約を受けることなく、ライフスタイルを自由に選択できる」働き方をしたいと思っていました。自由なライフスタイルもキャリアも、諦めない道を選びたかったんです。
そこで、山梨に移住を決め、フルリモートができる株式会社キャスターに転職しました。山梨になにか縁があったわけではありませんが、東京で仕事があるときにも行き来しやすい場所ということで選びました。
キャスターではマーケティング業務を行いながら、採用代行のリクルーターも兼務。いわゆるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という形で、常時2〜3社ほどの企業から採用業務を請け負っていました。
ー才流に入社した経緯を教えてください。
2017年頃から、栗原さんのことはTwitterで知っていました。でも才流で自分が働くかもしれないと考えたのは、20年になってからです。栗原さんとお会いし、話をさせてもらいました。
ただ、その時点では才流の組織体制は現在と大きく異なり、リモートワークを導入していなかったので、一度は転職を断念。
しかし、移住後2年ほどで、今後やりたいことや自分のコアスキルを考えたときに、マーケティング領域の知見をもっと蓄積していきたい。マーケティングの専門職に就きたいと考えていました。また、キャスターでやってきたように、BPOの形でスキル特化した複数の業務を並行して行うことで再現性高いマーケティングスキルが身につく仕事に就きたかったんです。その点で、才流がフィットしていると感じました。
才流でフルリモート勤務が可能になったタイミングで、知人の薦めもあり、才流への入社を決めました。
現在は、才流の仕事と、移住する前から行っていたスタートアップのマーケティング支援。移住後に始めた、地方自治体のマーケティング支援、テントサウナのレンタルサービス、貸別荘の運営なども行っています。
才流は「マーケティングクレイジー」で、特定スキルを持ったプロ集団
ー実際に入社してみて、才流の雰囲気や仕事の進め方などはイメージどおりでしたか。
才流のコンテンツは入社前からずっと読んでいたので、社内の雰囲気はイメージしていたとおりでした。仕事に集中できる環境が整っているし、逆に自分の業務をしっかりとしていれば、それ以外のことにはあまり関与しないともいえます。
Slackも前職のときより静かですね。キャスターでは、Slackでのコミュニケーションが非常に活発で絶えず通知が飛んでいてにぎやかな印象でした。才流は逆で、「受信者はどう捉えるのか」に重点を置いて、少ないが上質なコミュニケーションを求めているように感じます。
これは、メンバーのそれぞれが今すぐ独立してもまったく問題ないスキルセットとビジネスの基礎力を備えている、プロフェッショナルが集う組織だからこそ成立するのかもしれませんね。もちろん、必要なことはしっかりと議論をしますし、コミュニケーションが不十分という意味ではありません。
メンバーのみなさんの印象は一言でいうと、「マーケティングクレイジー」な人たちです(笑)。とにかくマーケティングの知見を貪欲に追求する方々で、すごいなと思っています。これも、入社前に想像していたとおりでした。
1つ、面白いと思ったのは、メンバーの皆さんが特定の業種や施策に関する専門スキルを持っていることです。例えば、同じコンサルタントでも岸田さんは製造業に強い、黒須さんはSEOが得意など、それぞれが専門スキルを持ち寄って仕事を進めています。
専門スキルを持った方が集まると、顧客へ提供できる価値は大きくなります。BtoBマーケティングの中でも、特定のスキルで一点突破できる人材がどんどん集まれば、さらに面白くなると思いますね。
ー才流での仕事のやりがいは、どんなところにありますか。
クライアントに提案した施策を実行し、成果が上がるのは嬉しいですね。
直近でコンサルティングに入ったクライアントは、「未達がちだった目標を、安定して達成できるようになった」と喜んでくださいました。プロジェクト開始当初は、担当者の方は課題を抱えてひっ迫した様子だったんです。でも、成果が出たことで社内でマーケティングに取り組むための土壌ができ、今では柔軟に新しい施策にチャレンジできるようになったと思います。
もし私が事業会社のマーケターだったら、困っているときに助けてくれる存在はどれだけ心強いかな、と想像するんですよね。才流でそんなお手伝いができるのは、やりがいがありますね。
また、才流では自分自身の成長を実感できる環境があります。並行して複数社のマーケティング戦略・施策実行に携わるので、経験と知見がたまるスピードが早いです。毎週金曜日の案件相談会・営業マーケティングの勉強会で、メンバーの皆さんがさまざまな視点からアドバイスをくださるのも、自分の血肉になっています。
日々刺激を受け、マーケティングスキルを向上できる環境は、次の案件へのモチベーションにつながっていると思います。
才流でフルタイム勤務。地方で暮らすパラレルワーカーの1日とは
ー才流の仕事と他の仕事は、どのようにやりくりをしているのですか。1日のタイムテーブルを教えてください。
まず朝は5時半ぐらいに起きて、6時にはデスクに就き仕事を始めます。1時間ほど自営業の仕事をして、7~16時は才流の仕事。16時からはまた自営業の仕事をして、17時に子どもを迎えに行く。そこからはファミリータイムですね。
仕事が終わったらバーベキューをしたり、夕飯後にサウナや銭湯に行ったりすることもありますが、21時には寝るようにしています。仕事の後の過ごし方は、山梨だからというわけではなく、リモートワークであれば東京でもできるかもしれませんね。
貸別荘の運営をしていると、お客様から「いい思い出になりました」「リフレッシュできました」などと言っていただくことがあって。人間の根源的な欲求に近い部分で、食や睡眠、思い出などに影響を与えられる仕事なんだとつくづく感じます。
私は「手触り感のある仕事」と言っているのですが、こういう感覚はBtoBの仕事では得にくいものだと思っています。才流の仕事とその他の仕事。どちらもやりがいがありますし、大事にしていきたいです。
「戦略を絵に描いた餅にしない」実行できるまでフォローしつづけたい
ー才流には、どんな人が向いていると思いますか。
才流は事業の作り方として「マイクロ事業法人」を掲げています。事業規模はそこまで大きくせず、多数の事業を作ることで売上や利益、顧客数、社会への提供価値を増やしていく経営スタイルです。
マイクロ事業法人を成立させるためには、優秀な人を抱え、しっかりと対価を払い、クライアントに質の高い価値提供を行っていくことが必要です。当然、自立して仕事ができる能力は必須要件だと思いますね。
現在はBtoB領域に特化した事業を行っているので、マーケティングだけではなく、プロダクトや営業・カスタマーサクセスを通じてクライアントを獲得していく、BtoBのプロセスそのものに興味がある人じゃないと、物足りないと感じるかもしれません。営業の組織、インサイドセールス、カスタマーサクセスなど、役割は地続きのものです。興味範囲を広げて価値提供を行える人がいいと思います。
ーこれから、才流でどのようなコンサルタントになりたいですか。
私はこれまでの仕事で、上流部分の戦略だけではなく、どちらかというと下流部分。例えば実際に自分で手を動かして広告運用をしたり、メディアの運営をしたり。実行部分に強みを持ってやってきました。
マーケティングは、どんなに戦略があっても、実行した先にしか成果がでないのが大前提です。提案を絵に描いた餅にしない、提案内容がきちんと採用され、実行されるまでフォローアップできるようなコンサルタントになりたいと思っています。
それから、前職で採用担当の方とコミュニケーションをとっていたので、人材採用に関わる事業課題はよく理解しています。同様に、経理や人事総務など、バックオフィス関連の業務理解も早いと思っていますので、そういった業界のお手伝いをしてみたいですね。
マーケティングは、再現性が最も重要です。一度行った価値提供を、他の企業や事業体に展開できるように、具体性高くアウトプットできるかどうか。才流であれば、SAIRU NOTEを通じて外部に展開する。同じ解釈が出来る課題には積み上げられたメソッドをもって効率の良いソリューションを提供する。そこはこだわりを持って取り組んでいきたいです。
(取材/文=安住 久美子 編集=中島 孝輔)