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BtoBマーケティング

実践で身につけたスキルは残り続ける。自走するマーケティング組織のつくり方

ユニアデックス株式会社

https://www.uniadex.co.jp/

業種

ITサービス

従業員数

1000名~4999名

課題

受動的だったマーケティング体制を刷新し、能動的にビジネスの機会を創出したい

写真左から:ユニアデックス 松尾さん、八巻さん、才流 石田、高野
シニアコンサルタント
石田 啓
シニアコンサルタント
高野匠司

ユニアデックス株式会社様は、BIPROGYグループのICTインフラトータルサービスを提供する会社です。マルチクラウドや次世代ネットワークを活用したICTインフラの設計・構築・運用・保守をワンストップで提供しています。

2023年4月に刷新された同社のマーケティング組織は、戦略的なマーケティングによるビジネス創出に挑戦することになりました。その一方で、組織内にマーケティングの専門知識が不足していたため、才流(サイル)にご相談いただきました。

才流では、2023年9月から約2年半にわたり、実際のマーケティング業務を通じた実践型の伴走で組織の自走力向上をご支援。プロジェクトの軌跡と成果について、マーケティングコミュニケーション本部 戦略企画推進部 部長の八巻さんと、同部 プロモーション戦略推進室の松尾さんにお話を伺いました。

画像:支援内容の概要をまとめたスライド

マーケティング組織を刷新。受動的アプローチから脱却したい

ーユニアデックス様の事業内容について教えてください。

八巻 ユニアデックスは1997年の創立以来、ICTインフラの設計・構築から運用・保守まで一貫してワンストップで提供することを強みとしてきました。特にネットワーク分野では長年の実績があり、現在はクラウドやセキュリティなど、お客さまのIT環境の変化に応じて事業を展開しています。

私たちの特徴はマルチベンダーである点です。多種類のソリューションを保有し、それらを組み合わせてお客さまに最適な選択肢を提案できることが強みです。

写真:インタビューに応じるユニアデックス八巻さん
八巻 秀欣さん/ユニアデックス株式会社 マーケティングコミュニケーション本部 戦略企画推進部 部長

ー2023年4月にマーケティング組織を刷新されたということですが、当時のマーケティング活動はどのような状況でしたか。

松尾 マルチベンダーという特性上、扱う商材が非常に多く、商品の維持管理業務にかかる稼働も必然的に高くなります。従来はそれらを担う商品担当が、管理業務の傍らでマーケティングの施策を企画しているというのが実態でした。当然ながら、余力を超えるような積極的な活動は難しかったと思います。

写真:インタビューに応じるユニアデックスの松尾さん
松尾 耕太さん/ユニアデックス株式会社 マーケティングコミュニケーション本部 戦略企画推進部 プロモーション戦略推進室

八巻 これに対して、組織を大幅に再編し、新たなマーケティング本部の活動をスタートしたわけですが、私たちが特に向き合うべきは大きく2つの課題であると考えていました。

まず、戦略的なマーケティング活動の不足です。松尾が申し上げたように、能動的に拡販に向けた戦略を立て、必要な施策を展開していく状態ではありませんでした。

次に、今後の事業拡大に向けた課題です。これまでの実績や特徴が評価されて事業は順調に伸びているものの、今後も継続的に業績を向上させていくためには、従来の製品や事業領域だけでは限界があります。世の中の変化に対応して新たな領域に挑戦し、さらなる事業機会を創出していける体質へ、私たちも変化していく必要がありました。

ーそのような課題に対して、どのような解決策を模索されたのでしょうか。

八巻 組織の再編にあたり、商品担当部門に加えて、特定の商品を持たずにリサーチや戦略・施策の検討と遂行に専念できる部門を新設しました。従来は、メーカーから提供される商品情報をもとにセールスマテリアルを整備する受動的なアプローチが中心だったところを、より戦略的なマーケティングによる、能動的なビジネス創出に向けた活動にシフトするための組織体制へと、見直しを図ったわけです。

しかしながら、新組織での活動をスタートしたものの実際は何から始めたらよいのか、何をどう変えていけばよいか、判断に迷う時期がしばらく続きました。「素人の見よう見まねでは駄目かもしれない」そう感じてきましたね。そこで、マーケティングの専門知識や経験値の不足を自覚した上で、外部の専門家を頼ってみようと考え始めました。

ー外部パートナーの選定において、才流を選んだ決め手は何でしたか。

八巻 まず現状分析から着手したいと考え、複数のコンサルティング会社に提案を依頼しました。その中でも、才流の提案が特に印象的でした。

才流は、成果物ではなく伴走による組織力向上を重視していました。「評価と改善に関して伴走します。請け負って終わりではなく、自走できる段階まで伴走します」という提案内容でしたね。

この提案を受けて、自走できる組織への成長という考え方が響いたんです。才流の伴走型のアプローチは、まさに私たちが真に必要としている支援の形で、最適だと判断しました。

確実に成長するために。3期で構成したプロジェクトの全貌

ープロジェクトはどのようなステップで進めたのでしょうか。

石田 本プロジェクトでは、八巻さんと相談して段階的なアプローチを設計することにしました。これは、マーケティング組織の刷新という背景を踏まえ、いきなり完璧を求めるのではなく、着実に自走可能な組織へと成長していただくためです。

第1期を「始動期」、第2期を「拡張期」、第3期を「仕上げ期」と位置づけ、支援スタイルを段階的に変化させながら展開しました。第1期では才流がリードし実践、第2期では伴走して取り組み範囲を拡大、第3期ではメンバーの自走を前提とした後方支援へと移行することで、それぞれ明確な目標設定のもとで支援を行いました。

画像:実装型伴奏支援のイメージ
才流の実践型伴走支援のイメージ

石田 第1期(2023年9月〜2024年2月)はマーケティングの型づくりに集中しました。まず1つの商材に絞り込み、マーケティング戦略の設計から具体的な施策の実行まで、才流が主導しながら実際の業務に一緒に取り組みました。

同時に、Webサイトの評価・改善や社内向けのマーケティング勉強会も実施し、組織全体の知識の底上げを図りました。

第2期(2024年9月〜2025年2月)では、対象商材を4つに拡張しました。第1期で身につけた手法を他の商材にも適用し、再現性を検証することが主な目的です。

また、この期間は壁打ちによる伴走支援を本格化させ、メンバー主導で戦略設計を推進していただきながら、戦略設計プロセスの型化を進めました。

第3期(2025年6月〜12月)は自走に向けた仕上げの段階です。テーマは「戦略を着実に実行に移す組織づくり」。これまで構築した戦略を確実に施策として実現できるよう、実行プロセスの型化と組織への定着に取り組んでいます。

写真:インタビューに応じる才流の石田
石田 啓/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/1511/) 

ー第1期を終えた時点で、どのような手応えを感じられましたか。

八巻 期間が半年という限られた時間の中で、商材の選定から戦略設計まで、かなり多くのことを検討する必要がありました。実際に施策を実行して効果を測定するところまでは、正直なところ十分にできていませんでした。

ただ、才流から提供いただいたWebサイトの評価や勉強会を通じて、「こういう考え方でマーケティングを進めればいいんだ」という基本的な型は理解できました。この基盤があったからこそ、第2期以降の展開が可能になったと感じています。

松尾 第2期では私も本格的にプロジェクトに参画しました。1商材から4商材への拡張により、第1期で学んだ手法の再現性を検証できたことが大きな成果でした。

ただし、商材が変わると顧客も異なりますし、アプローチ方法も調整が必要です。得られた引き出しをそのまま使うのではなく、応用しながら活用するスキルが求められました。

八巻 第1期、第2期を通じて、マーケティング戦略の設計方法や基本的な施策の実行方法は一部のメンバーに身につきました。しかし、それらを継続的に、より高い精度で実行し続けるための仕組みづくりが課題として残っていました。

石田 そこで第3期では、施策運用の型化に重点を置いています。戦略設計だけでなく、実際の施策を継続的に回していくためのオペレーションやプロセスを標準化し、誰が担当しても一定の品質を保てる状態を目指しています。

画像:再現性のあるプロセスを定着させるための取り組みをまとめたスライド

実践型の壁打ちと伴走で「考える力」と「自走力」を育成

ー第2期から本格化した壁打ちによる伴走支援について、くわしく教えてください。

石田 壁打ちによる伴走支援とは、従来のコンサルティングとは異なるアプローチです。通常のコンサルティングでは、調査・分析を行って成果物を納品するという流れが一般的ですが、壁打ちはお客さまが考えたことを相談していただき、それに対してフィードバックを返すという対話型の支援手法です。

あくまでも主体はお客さまにあり、私たちは相談相手として伴走します。これにより、外部に依存するのではなく、組織内部でマーケティングを推進できる力を身につけていただくことを目指しています。

ー実際に体験してみて、どのように感じられましたか。

八巻 従来のコンサルティングのように、成果物を受け取って「そのとおりやります」では、自分たちの成長にはつながりません。しかし壁打ちでは、自分たちで考えたことをぶつけて、それに対する的確なフィードバックをもらえるので、1つずつ腹落ちしていく感覚がありました。

松尾 相談役としてマーケティングの専門家がそばにいるというだけで、安心感がありますし、推進力が上がります。マーケティングの知識や経験がほとんどないメンバーばかりなので、内部だけでやっていると迷いが生じがちですから。

ー壁打ちによる伴走を通じて、どのような変化が生じていますか。

松尾 マーケティング経験がほとんどない状態からスタートした私にとって、才流の伴走型のアプローチは非常に効果的でした。もし従来のコンサルティングだったら、才流に仕事を投げてやってもらうという形になり、成長が止まってしまいます

しかし実際に業務に携わりながらの壁打ちでは、学んだことが血肉となり、自分自身もレベルアップしていく実感があります。1年後、2年後に才流の支援がなくなっても、また昔に戻ってしまうということはないでしょう。

八巻 壁打ちによる伴走は、私たち自身のマーケティング実行能力を段階的に向上させてくれる支援だということを実感しました。

この手法により、マーケティングの考え方や施策の引き出しが自然と身につき、迷ったときに立ち戻れる基礎ができたと感じています。

写真:インタビューに応じるユニアデックスの八巻さん

ー才流としては、壁打ちによる伴走支援の学習効果をどのように評価していますか。

石田 才流の伴走支援では「1歩目は才流、2歩目はお客さま」を基本スタイルとしています。まず才流が実際に1歩を踏んでお手本を示し、それを間近で見ていただいた上で、次の2歩目はお客さまに踏んでもらう。答えを提供するのではなく、実践の中で考えるプロセスを支援することで、継続的に成長できる組織をつくることができます

ユニアデックス様の場合、第2期を通じて中核メンバーの方々が2歩目を確実に踏めるようになり、第3期では今度はその中核メンバーが他のメンバーの前で歩いて見せることで、組織全体が3歩目、4歩目を踏めるようになってきています。これが実践型の伴走支援の効果だと考えています。

戦略的な施策設計で打率が向上。リソースも有効活用へ

ー才流と壁打ちしながら進めた施策の中で、印象に残っているものはありますか。

松尾 特に印象深かったのは、競合分析に基づく戦略的なアプローチです。

当社はもともと展示会への出展が顧客接点の中心で、「こういうソリューションがありますが、いかがですか」というような待ちの姿勢が基本でした。しかし才流の支援により、もっと確度の高いターゲットに絞り込んでアプローチする手法を学びました。

具体的には、自社が売りたい製品の競合を徹底的に分析し、競合製品を導入している企業や検討している企業に直接アプローチしました。

競合製品の事例を公開している企業であれば、すでにその領域で課題を抱えており、より良いソリューションがあれば検討する可能性が高いです。お客さまの課題感や導入背景も事前に把握できているため、的確な提案ができましたね。

約40社にアプローチした結果、5社とのアポイントを獲得。従来の展示会での受け身のアプローチと比べて、格段に打率が向上したと感じています。

ーセミナーについても、アプローチの仕方が変わったそうですね。

松尾 はい。従来は商品の説明がメインでしたが、才流のアドバイスにより、参加者の課題解決を軸としたコンテンツ設計に変更しました。また、一度作成したセミナーコンテンツを視点を変えて再利用するなど、効率的な運用方法も教えていただきました。

過去にセミナーを実施したことはありましたが、目的を明確にして体系立てて組み立てることで、確実に打率が上がることを実感しましたね。

写真:インタビューに応じるユニアデックスの松尾さん

社内外から高い評価。メンバーの育成と組織基盤の強化を実現

ーまだ第3期の途中ですが、プロジェクトを通じてどのような成果が生まれていますか。

八巻 メーカーとの関係性が劇的に変化しましたね。これまではメーカーからサービスの特長を一方的に教えてもらう立場でしたが、今では顧客に接する立場から対等にマーケティングについて議論できるようになりました。この変化により、メーカーとのジョイントマーケティングも活発に行えるようになりました。

ーメーカーからの反応について、具体的に教えてください。

八巻 先日、社内で開催したセミナーで約50名のメーカー関係者の前でプロモーション戦略について発表したのですが、その反応に驚きました。

「ユニアデックスさんはすごいですね。自分たちの会社のマーケティング担当にも聞かせたい」と言われたのです。マーケティングに長けた企業の担当者からも「うちで講演してくれないか」と声をかけていただき、私たちが思っていた以上に高く評価されていることを実感しました。

写真:インタビューに応じるユニアデックスの八巻さん

ー社内でのマーケティング組織に対する評価は、どのように変化していますか。

八巻 営業部門や経営陣からの見方が大きく変わりました。マーケティング活動を本格的に行っている組織だという認識を持ってもらえるようになったのです。

ホワイトペーパーの発行やセミナーの開催など、これまでとは明らかに異なる活動を継続的に実施できるようになったことで、マーケティング組織としての存在感を示すことができました。

ーメンバーの成長についてはいかがですか。

八巻 中核メンバーについては、実践を重ねることでマーケティングの考え方を自然に話せるレベルまで成長し、適切な施策を選択できる能力を身につけました。

特に重要なのは、判断に迷った際の思考プロセスが確立されたことです。何を基準に考え、どのような議論を行い、何を決定すべきかという基本的な枠組みが組織に定着しました。

これからは彼らが中心となって、他のメンバーに対してもマーケティング知識を伝える役割を果たしてくれるでしょう。組織全体のマーケティング力を底上げできる状態になりました。

ー才流側から見て、この成果をどのように評価されますか。

高野 ユニアデックス様の場合、短期的な成果創出と長期的な人材育成を同時に実現することが求められています。人材育成には時間がかかりますが、その過程で具体的な成果も示し続ける必要があるという、非常に高度なバランスが必要です。

第3期が終わるころには、メーカーからの高い評価や社内での認知向上といった目に見える成果と、自走可能な中核メンバーの育成という組織基盤の強化の両立が実現しそうです。才流としても非常に価値のある支援だったと感じています。

写真:インタビューに応じる才流の高野
高野 匠司/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/48924/

まるで「社内の一員」のよう。長期伴走で築いた信頼関係

ー才流のコンサルタントの対応はいかがでしたか。

松尾 何でも相談しやすい雰囲気をつくっていただいて、本当に助かりました。チャットで気軽に質問できますし、それに対して的確な解決案をくれるので、非常に心強い存在でした。

マーケティング活動を進めるなかで生じる細かな疑問や判断に迷う場面で、即座にフィードバックをもらえることで、作業を止めることなく前に進むことができました。

八巻 石田さんとは社内のやり取りと同じような感覚で相談できましたね。まさに社内の一員として機能していただきました。

私たちにとって、才流はまず最初に相談したくなる相手です。まあ石田さんのパーソナリティやキャラクターとの相性も大きかったと思います(笑)。

写真:インタビューに応じるユニアデックスのお二人

ー2年半という長期間のプロジェクトをどのように評価されますか。

八巻 これだけ長期間にわたって伴走していただいたからこそ、自走できる組織へと確実に近づくことができました。

今度は自分たちが才流のようなポジションとなり、社内に対して壁打ちができる相手として機能していきたいと考えています。これは才流から学んだ支援の手法を、私たちが組織内で再現していくということです。

石田 2年半という期間で、ユニアデックス様との信頼関係を深く築くことができました。単発のプロジェクトでは得られない、組織の文化や個々のメンバーの特性を理解したうえでの支援ができたことが成果につながったと考えています。

実践を通して組織の自走化が実現し、継続的な成長を両立できた今回の事例は、多くのBtoB企業にとって参考になるのではないでしょうか。

ー才流の支援は、どのような企業にフィットすると思われますか。

八巻 マーケティング組織をこれから立ち上げる、または強化していくという状況であれば、才流の伴走型の支援は非常に効果があると思います。

松尾 特に、複数の商材を扱っていてマーケティングはメーカーに頼りがちだったような、私たちと同じようなシチュエーションの組織には適しているのではないでしょうか。

ー今後の展望について聞かせてください。

八巻 いま私たちに求められているのは、プロとしてマーケティング起点でビジネスを創出し、数字につなげられる組織へと変化をすることです。

第3期のプロジェクトが終了した後は、当たり前のように再現性のあるマーケティングのプロセスが回っている状態になっていたいです。引き続き、マーケティングに強い会社へと体質改善を図ってまいります。

写真:談笑する4名

(撮影/関口 達朗 取材・文・編集/ 河原崎 亜矢)

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