• 実績
  • “売れるカテゴリ”を発見し、商談・受注増。事業戦略の見直しからPMFを目指した2年間
新規事業開発

“売れるカテゴリ”を発見し、商談・受注増。事業戦略の見直しからPMFを目指した2年間

ジャスミー株式会社

https://www.jasmy.co.jp/

業種

ITサービス

従業員数

非公表

課題

BtoBマーケティングのノウハウを導入し、事業拡大を加速したい

写真左から:ジャスミー 佐藤社長、才流 岸田、高橋
コンサルタント
岸田 慎平
コンサルタント
高橋 歩

ジャスミー株式会社は「データの民主化で、データの主権が生活者の手に」をテーマに、ブロックチェーン技術を活用したIoTプラットフォームを開発・提供している企業です。本来の持ち主である個人にデータの主権を取り戻し、そのデータを利用者が安全安心に利用できる分散型社会の実現を目指しています。

同社は、2019年にブロックチェーン技術を活用したPC操作ログの可視化、活用を推進する「Jasmy Secure PC」の開発をスタート。その一方で、製品を市場へどう広め、販売していくかの戦略や手段を構築するための内部課題に直面していました。さらに、当時は開発に注力していたことからリソースも限られていたといいます。 

そのような状況下で、新規事業の立ち上げを加速すべく才流(サイル)にご相談いただきました。その後、約2年にわたる伴走支援を通じて”売れるカテゴリ”を発見し、事業は大きく成長を続けています。  

本記事では、新規事業がPMF(※)を目指した道のりと才流の支援の感想について、代表取締役社長の佐藤 一雅さんにお話を伺いました。

※PMF:Product Market Fitの略。製品やサービスが市場のニーズと十分に合致し、顧客に受け入れられている状態を示す概念

画像:ジャスミー様支援プロジェクトの概要スライド

マーケティングのノウハウを導入し、事業拡大を加速したい

ー今回ご支援したサービス「Jasmy Secure PC」について教えてください。

佐藤 「Jasmy Secure PC」は、PCの操作ログなどをブロックチェーン上で安全に管理し、業務の透明化や効率化を支援する製品です。BPOサービス会社と共同で、リモートワーク環境のセキュリティ要件を満たす形で開発がスタートしました。

Jasmy Secure PCは、場所を問わず業務の集中による負荷や長時間労働など、業務バランスの問題を可視化します。リモートワークという個人が孤立しがちな環境において、データを通じて周囲が状況を把握し、助け合える環境づくりを目指しています。

画像:サービスサイトTOP
※出典:Jasmy Secure PC サービスサイト

ー製品をリリースした当時の状況を教えてください。

佐藤 製品はBPOサービス会社と共同で開発したものの、より広い市場に販売していくための市場展開やマーケティングコミュニケーションの方向性が定まっていない状況。いわゆるPMFは実現できておりませんでした。

私たちはBtoCのマーケティング経験は豊富にありましたが、BtoB領域の新規事業やBtoBマーケティングで求められる実務知識を持つ人材はほとんどいませんでした。そのため、新規事業を市場に浸透させるためのノウハウが社内に蓄積されていなかったのです。Webサイトや製品資料は存在していましたが、狙うべき市場ニーズや顧客ターゲットを明確に捉えたものが作れていませんでした

また、当社のようなベンチャー企業では、そもそも人員が不足しています。専任のマーケティング担当者を置くことは難しく、数名のメンバーが他の業務と兼務しながら手探りで進めざるを得ない状況でした。

写真:インタビューに応じるジャスミーの佐藤社長
佐藤 一雅さん/ジャスミー株式会社 代表取締役社長

ーなぜ外部の専門家の支援を受けようと思われたのでしょうか。

佐藤 BtoB領域の新規事業開発、マーケティングの実務ノウハウを社内に導入すること。そして、それを組織に根付かせながらPMFを達成するためには、専門家による伴走型の支援が必要だと考えました。

いくつかの支援会社を検討するなかで、才流のWebサイトやメソッド記事を拝見しました。質の高い情報を提供していると感じ、「一度話を聞いてみたい」と問い合わせしたのがきっかけです。

私たちが抱えていたのは、新規事業のマーケティング戦略そのものをどう構築すべきかという課題です。才流はその状況を深く理解し、戦略立案からPMFを達成して事業拡大を加速するまでを包括的に支援する提案をしてくれました。初期段階から事業を軌道に乗せるまでの全面的なサポート体制が、私たちのニーズと合致していたことが依頼の決め手となりました。

※関連記事:PMF(プロダクトマーケットフィット)達成ガイド~基礎から事例まで、新規事業を成功に導くためのコンテンツ集

製品をどう打ち出していくか。約2年にわたる試行錯誤の軌跡

ープロジェクトはどのように進みましたか。具体的なプロセスを教えてください。

画像:ジャスミー様プロジェクトの全体像を図解したスライド
ジャスミー様とのプロジェクトの全体像

岸田 Jasmy Secure PCは非常にポテンシャルの高いプロダクトです。しかしプロジェクト開始前は、その価値をどのようなお客さまに、どのような便益を中心に提供していくべきかという点が明確ではありませんでした。マーケティング戦略の根幹に関わる要素を一つひとつ検討し、議論を重ねることで、製品にとって最適な市場へのアプローチを見極めていく必要性を感じました。

プロジェクト期間は約2年。最初の1年間はまさに手探りの状態からスタートしました。製品のターゲット顧客は誰なのか、どのようなカテゴリで市場に訴求していくべきか、そして具体的な打ち出し方をどうするか、といった試行錯誤のフェーズでした。

そして後半の1年間は売上を伸ばしていくフェーズ。前半の試行錯誤を経て定まった方針に基づき、Webサイトのリニューアル広告展開、さらには商談力強化といった具体的な施策を実行していきました。

写真:インタビューに応じる才流の岸田
岸田 慎平/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/1501/

ー才流のプロジェクトの進め方はいかがでしたか。

佐藤 才流には、マーケティング戦略の検討から、実際の施策実行の実務レベルまで伴走してもらいました。具体的には、どのような外部データを参考にターゲット顧客を設定するのか、ペルソナをどのように定義して絞り込んでいくのか、そして限られたリソースをどのような優先順位で投入していくのか、さらに具体的な施策の進め方や改善方法もです。

いわばマーケティング活動の基礎となる「いろは」の「い」から、客観的な視点と専門知識に基づいて実行計画とその進め方を示し、私たちを導いてくれました。

仮説検証とピボットを繰り返し、“売れるカテゴリ”を発見

ー製品の訴求ポイントを定めるうえで、どのような難しさがありましたか。

佐藤 Jasmy Secure PCは多機能なプロダクトなので、「どのような課題を持つ相手に」「どのような便益を伝えるか」というマーケティングコミュニケーションを定めるのに苦戦しました。

岸田 検討すべき課題も多かったですね。まず、ターゲットとする企業の規模感をどう設定するか。さらに、製品のカテゴリについても「情報漏洩対策」や「IT資産管理」といった既存の枠組みで訴求するのか、それとも別の新たな提供価値を前面に押し出すのか、慎重な判断が求められました。

佐藤  社内でも検討しましたが、議論を進めるなかで堂々巡りになってしまい、なかなか確固たる方向性を見出せずにいました。

写真:インタビューに応じるジャスミーの佐藤社長

ーそのような状況のなか、どのように検討を進めていったのでしょう。

佐藤 才流と何度も議論を重ね、さまざまな仮説を立てては検証するプロセスを繰り返しました。一度方向性を決めて進んでも思ったとおりの結果が得られず、方向転換を繰り返すことが何度もありました。

ですがその際、才流はすぐに別の提案や改善案を出してくれました。当社の状況、何が強みで何が足りないのかという実態を的確に把握してくださり、そのうえで私たちに不足している部分を的確に補っていただきました。

ー試行錯誤の過程で、才流としてはどのような点に注意していましたか。

高橋 ジャスミー様が製品を開発した背景を理解し、その思いを踏まえたうえで、どのように訴求していくかを慎重に検討する必要がありました。技術的な専門用語をそのまま使うと顧客に伝わりにくくなってしまう一方で、簡略化しすぎるとプロダクトの本来の価値が正確に伝わらないというジレンマがありましたね。

そのなかで私たちが意識していたのは、開発側の視点ではなく、実際に製品を使うお客さまの立場に立って「何を伝えれば価値を感じてもらえるか」を考えることでした。

写真:インタビューに応じる才流の高橋
高橋 歩/株式会社才流 コンサルタント(https://sairu.co.jp/member/17799/

岸田 さまざまな検討や検証の結果、3つのカテゴリでの打ち出しを軸に、Webサイトリニューアルを通じてターゲットと提供価値の訴求を大きく変更しました。この3つの訴求でも引き続き検証し、結果的には「勤怠管理の支援」というカテゴリで顧客ニーズを捉えることができました。その後、このカテゴリでマーケティング施策の強化と商談の進め方の整備を進めていきました。

※関連記事:新規事業における商談を通じた仮説検証メソッド/進め方【テンプレート付き】

リード・商談数が急増し、事業は次のステージへ

ープロジェクトを通じてどのような成果が現れていますか。

佐藤 最も顕著なのは、Webサイトへのアクセス数です。支援前は月間PV数が少ない状況でしたが、ターゲットと訴求価値を見直したWebサイトのリニューアルや広告運用といった施策を進めるなかで大きく伸びました。

それに伴いリード獲得数も増加し、商談数も大幅に増えています。

営業サイドからは嬉しい悲鳴が上がっていますね。 人数を増員しても商談対応や相談対応に追われている状況です。

大変ではありますが、それだけ市場からの反響が大きいことの表れであり、事業拡大、PMF達成に向けて大きく前進できた手応えがあります。その結果、今ではリードの質をどう高めていくかという、事業の次のステージの議論ができるようになりました。

写真:談笑するジャスミー様と才流

ー社内で何らかの変化は起こっていると感じますか。

佐藤 実際にリード数が増えて商談や受注につながるなどの成果が見え始めたことで、「真剣に取り組めば結果はついてくる」という認識が社内全体に広がりました。この成功体験は非常に大きかったです。最近では社内の雰囲気が以前とはまったく異なり、格段に前向きになりましたね。

BtoBにおけるマーケティング活動に対する社内の理解も深まりましたし、何よりメンバー一人ひとりが自信を持って業務に取り組めるようになったと感じています。この2年間で、数値的な成果だけでなく、顧客ニーズがあることを証明できたという自信によって、組織としての意識も大きく変わりました

ープロジェクトを通じて得られたアウトプットも役立っているそうですね。

佐藤 才流には、単に戦略の提案だけでなく、実務で活用できる多くのアウトプットも一緒に作成してもらいました。たとえば、商談時のトークスクリプトの整理や、KPIを管理するためのツールなどです。日々のマーケティング活動や営業活動を進めるうえで、非常に役立っています。

机上の空論ではない、共に事業を成長させてくれる才流の伴走支援

ー才流のコンサルタントの印象はいかがでしたか。

佐藤 才流のみなさんとは非常にコミュニケーションが取りやすかったですね。壁を感じることがありませんでした。

Slackなどでの日々のやり取りもスムーズでしたし、時には業務以外の話も交えながら、常にオープンな雰囲気で会話ができたと感じています。おかげで、些細な疑問や懸念も遠慮なく相談できました。

岸田さんや高橋さんをはじめ、才流のコンサルタントのみなさんはとても話しやすいです。特に、お2人がIT業界や事業会社での経験をお持ちで、ビジネスの現場をよく理解されている。会話がスムーズに進むので安心感を覚えました。

また、才流が公開しているコンテンツやメソッドにも驚かされました。その知見の深さと、それを惜しみなく共有している姿勢に、改めて専門性の高い組織だと感じました。

写真:インタビューに応じるジャスミーの佐藤社長

ー経営者としては、才流の支援スタイルをどのように評価されますか。

佐藤 私が特に評価している点は、私たちの先にいるお客さまを見据え、共に事業を成長させていくというスタンスで取り組んでくれたことです。単にアドバイスをするだけでなく、私たちの期待以上に主体的に動いていただいたと感じています。

印象的だったのは、当社が出展していた展示会での出来事です。こちらから依頼していないにもかかわらず、才流がブースに立ってお客さまにお声がけし、サービス概要を説明してくれました。当時、顧客の生の声、課題やニーズを集めにくい状況だったので、「そのチャンスを活用したい」という思いで行動してくれたのです。

展示会での件もそうですが、才流は一般的な手法やフレームワークの提示にとどまらず、私たちのビジネス特性を深く理解したうえで、その成長に真摯に向き合ってくれました。信頼できるパートナーだと評価しています。経営者として、このような実践的な伴走型の支援はとても心強く、今後の事業展開においても重要な存在だったと考えています。

才流には「コンサルタント」という呼称がしっくりこないんです(笑)。机上の空論ではなく、現場の課題を一緒に解決し、共にビジネスの成長を目指すパートナーだと感じています。

ー才流の支援をどのような企業におすすめしたいと思いますか。

佐藤 私たちのように、何から着手すべきかまだ明確になっていない企業には特におすすめできると思います。ですが、どのようなステージの企業であっても、才流はその実態を的確に把握し、最適な対応をしてくれるのではないでしょうか。最初は手探りだった私たちも、市場とつながる一歩を踏み出せましたから。

ー最後に、今後の展望についてお聞かせください。

佐藤 Jasmy Secure PCのプロジェクトの本格的な展開は始まったばかりです。この2年間でようやく見えてきた方向性を、これからさらに具体化していきます。業務の可視化にとどまらず、その先にある私たちの思想「みんなが平等な分散型の社会における本当の働き方改革」を実現できるプロジェクトへと発展させていきたいです。

写真:インタビュー中のジャスミー様と才流コンサルタント

(撮影/慎 芝賢、取材・文・編集/河原崎 亜矢)

才流に相談してみる

この記事をシェア
資料請求
才流のサービス資料をダウンロードいただけます。新規事業開発やBtoBマーケティング支援、営業支援のサービスをご検討の方はぜひご一読ください。
ご相談・お問い合わせ
お客様の新規事業開発やBtoBマーケティング、営業活動における課題解決をサポートします。お気軽にご相談ください。
メルマガ登録
新規事業開発・BtoBマーケティング・法人営業に役立つメソッドをはじめとして、セミナー開催情報、支援事例などをお届けします。
閉じる
画像