BtoBマーケティングを強化していくにあたり、まずはリスティング広告から実施する企業も多いのではないでしょうか。リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に、ユーザーが検索したキーワードに連動して掲載される広告です。
検索行動を起こしている、比較的見込み度の高いユーザーを集客できるため、デジタルマーケティングのはじめの一歩として取り組む企業も多いです。才流(サイル)でも広告出稿の提案時には真っ先にご案内するメニューのひとつです。
今回は、常時300を超える広告アカウントの運用を行っている株式会社キーワードマーケティングと共同で、BtoB事業のリスティング広告運用のチェックリストを作成しました。
「これからリスティング広告を始めたいが、やり方がわからない」「自社で運用しているが正しく運用できているかわからない」などのお悩みをお持ちの方は、ぜひご活用ください。
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リスティング広告の前提条件
まずは前提条件のチェックリストについて、ターゲットの考え方も交えて解説します。
ターゲットの考え方
前提として、リスティング広告で成果を上げるために大切なのはターゲットの絞り込みです。
どのターゲットセグメントに対して、どのような目的でリスティング広告を配信するのかを明確にしましょう。対象セグメントや見込み顧客の検討フェーズにより、狙うべき検索キーワードや誘導先のページも異なります。
配信前に許容できるCPA(※1)の正確な算出も重要です。仮にCPAを安く獲得できたとしても、月間のCV数が数件程度では意味がありません。扱う商材のLTV(※2)から許容できるCPAを確認し、その範囲内でCV数の最大化を目指しましょう。
※1 CPA:シーピーエー/Cost Per Acquisitionの略。リード獲得単価の意味で、Web広告などでリード1件あたりの獲得にかかるコストを示したもの。
※2 LTV:Life Time Valueの略。1顧客が生み出す粗利の合計(顧客生涯価値)のこと。
前提条件のチェックリスト
リスティング広告を配信する前提条件としてチェックすべき項目は、以下の11個です。
- 広告を行う目的が明確になっているか? (リード獲得、セミナーへの誘導など)
- どのターゲットセグメントに対して配信する広告なのか決まっているか?
- コンバージョンの定義は決まっているか? (資料請求、トライアル申し込みなど)
- コンバージョンタグを設置しているか?
- コンバージョンテストを実施しているか?
- ターゲットセグメントごとのLTVを算出し、許容できる目標コンバージョン単価(目標CPA)を把握しているか?(広告代理店に依頼する場合は、運用代行手数料を含める)
- 広告経由の目標コンバージョン数を決めているか?
- 月額予算(もしくは、四半期や年間予算)を決めているか?( 広告代理店に依頼する場合は、運用代行手数料を含める)
- 月額予算を平均したペースで使っていいか?注力したい期間などあるか?
- 広告目的・キーワードに応じたランディングページを用意しているか?
- Google Analytics(各種計測ツール)のための自動タグ設定をしているか?
リスティング広告の運用方針
続いて、広告の運用方針について、よくあるミスを交えて解説します。
よくあるミス
よくあるミスとして、顕在ニーズを持った顧客にリーチしたいのに、潜在ニーズ向けのキーワードを設定しているケースが挙げられます。
たとえばマーケティングオートメーションツールを販売する場合、「マーケティングオートメーションとは?」という情報収集モードの見込み顧客にリスティング広告を配信してサービスサイトに誘導しても、なかなかCVしません。
配信目的にもよりますが、リスティング広告に関していえば、顕在層向けのキーワードからスタートするとよいでしょう。
広告配信対象のセグメントがどのように情報収集をするのか理解し、それを配信設定に反映させます。たとえば土日が休みの業界であれば、土日は配信を停止したり、入札を弱めたりするといった対応が必要です。
運用方針のチェックリスト
運用方針に関するチェックリストは以下の9個です。
- 顕在層向けのキーワードを選んでいるか?(認知獲得系のキーワードは優先順位を下げる)
- 競合企業・競合サービスの固有名詞を除外キーワードで設定しているか?
- 社名・サービス名のキーワードを入稿する場合は、目標コンバージョン単価(目標CPA)を別に設定しているか?
- 社名・サービス名のキーワードを入稿する場合は、自然検索結果で表示されるタイトルと広告表現を別にしているか?
- 配信エリアを対応できるエリアのみにしているか?
- 配信時間をビジネスタイムにしているか?
- 土日など、ターゲットセグメントが休みの日は配信停止、あるいは入札を弱めているか?
- サービスサイトのモバイル・タブレットからのCV数を確認し、少ない場合はモバイル・タブレットへの配信比率を下げているか?
- 競合が入稿しているキーワードをツールなどで確認し、入稿していないキーワードを追加しているか?
リスティング広告の配信設定
配信設定するときのチェックリストについて、項目ごとに解説していきます。
配信設定するときの注意点
とくに重要なのは予算や入札額です。万が一予算設定を間違えてしまうと、想定以上にコストを投入することになるので注意が必要です。
また、広告は3つ以上入稿しましょう。複数のパターンを入稿することで効果の高いパターンを早く見つけることができます。
最後に、広告表示オプションを活用しましょう。CTR※が向上します。この後、広告テキストの作成ポイントもまとめているので、あわせてご確認ください。
※CTR:シーティーアール/Click Through Rateの略。リンクがクリックされた回数のことで、クリック率とも呼ぶ。クリック数÷表示回数(インプレッション数)×100で算出できる。
キャンペーンのチェックリスト
キャンペーンのチェックリストは以下の6個です。
- 検索広告キャンペーンのネットワークを選択時に「Google ディスプレイ ネットワークを含める」にチェックをつけていないか?
- 入札戦略は手動の個別クリック単価制(拡張オン)から始めているか?
- 単価設定は適切か?
- 自動入札に切り替える場合、目標コンバージョン単価制として、配信前確認のCPAを設定しているか?
- 予算設定に間違いはないか?
- ターゲティングとモニタリングの設定は適切か?
キーワードのチェックリスト
キーワードのチェックリストは以下の4個です。
- BtoBならではの法人向け複合キーワードが網羅されているか?(単価、ロット、販促、見積、制作、納期など)
- 上限クリック単価に間違いはないか?
- とくに桁に間違いがないか。単価に迷った場合は50円で入札する
- マッチタイプは正しく設定されているか?
- 入札金額の大小として、完全一致 > 絞り込み部分一致 > 部分一致 で設定し、フレーズ一致は使用しない
- マッチタイプの詳細はこちら
- キーワードで不承認になっているものはないか?
除外キーワードのチェックリスト
除外キーワードのチェックリストは以下の3個です。
- 除外キーワードのマッチタイプはフレーズ一致になっているか?
- 除外キーワードリストを使用する場合、キャンペーンに紐づいているか?
- 消費者向け(toC)のキーワードが除外できているか?
広告のチェックリスト
広告のチェックリストは以下の8個です。
- 広告の最終ページURL(広告の遷移先ページ)に誤りはないか?
- 【モバイル用の最終ページURLを遷移先としている場合】URLに間違いはないか?
- 広告を複数入稿しているか?
- 拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告、どちらも入稿しているか?
- 文字数の限界まで広告テキストを入稿しているか?
- 見出し3、説明文2、パス1、パス2まで追加されているか?
- 広告で不承認になっているものはないか?
- 広告文に誤字脱字がないか?
広告文のチェックリスト
広告文のチェックリストは以下の8個です。サンプルのテキストも入れているので参考になれば幸いです。
- 一般消費者ではなく法人が対象である表記を入れているか?
- 例:「法人向け」「制作会社様プラン有」「広告代理店様向けメニューあり」「建築業者・設計士向け」「携帯電話販売会社様へ」
- 法人取引実績があることを入れているか?
- 例:「法人取引実績〇〇件」「導入社数〇万件超」
- 強いニーズや不安を解消するメッセージを入れているか?
- 例:「対抗見積もり可能」
- 信用要素を強く入れているか?
- 例:「創業〇〇年」「黎明期からの実績」
- 対応地域をはっきり書いているか?
- 例:「全国対応」「一都三県対応」
- 製造系であればロットの条件を入れているか?
- 例:「小ロット可能」「一つから注文可」「大量注文お値引き可能」
- 納期をはっきり書いているか?
- 例:「最短翌日発送」「注文後一週間で納品可」「約2週間で納品完了」
- 導入効果を書いているか?
- 例:「導入企業で売上250%達成も」「20%以上の削減効果」
- 法人担当者が手間が省けるメッセージを入れているか?
- 例:「報告書はそのまま役所に提出可能」「10分の1の時間で手続可能」「面倒な手続きは一切なし」
広告表示オプションのチェックリスト
広告表示オプションのチェックリストは以下の8個です。
- サイトリンク表示オプションを設定しているか?(事例、資料請求など設定するリンク先を指定)
- サイトリンクは説明文まで設定されているか?
- コールアウト表示オプションを設定しているか?
- 構造化スニペット表示オプションを設定しているか?
- 価格表示オプションを設定しているか?
- 電話番号表示オプションを設定しているか?
- サイトリンク、価格表示オプションの最終ページURLに誤りはないか?
- オプションで不承認になっているものはないか?
- 広告表示オプションがキャンペーンに正しく紐づいているか?
リスティング広告の運用
最後に、日々の運用方法のチェックリストです。
マッチタイプによっては、関係のない検索語句で広告がクリックされることがあります。開始後は1週間に1回検索語句をチェックし、関係ないキーワードでクリックが発生していたら除外設定をすることを心がけしましょう。
運用のチェックリスト
日々の運用のチェックリストは以下の5個です。
- 検索語句をチェックし、関係ない検索語句は除外設定をしているか?
- ABCD入札モデルを活用して入札単価を調整しているか?
- ABCD入札モデルの詳細はこちらをご確認ください
- キーワードごとに分析した際に、200クリック以上でかつ目標CPAより高いものをリストアップし入札調整しているか?
- CTRが低い広告の停止、差し替えを行っているか?
- 課題が見つかったら、分析4原則を使って分析を行っているか?
- ざっくり把握
- 媒体単位もしくはキャンペーン単位といった最上位階層の数値を把握する
- 最小単位把握
- 検索広告なら検索語句レベル
- ディスプレイ広告なら広告グループ(もしくは広告)レベル
- 比較
- Apple to Appleにする
- 数よりも率でみる
- 漏れなくダブりなく=MECEにする
- 時系列チェック
- データを時系列で並べて分析
- ざっくり把握
最後に
リスティング広告は、顕在層へアプローチするうえで非常に重要な施策です。しかし、広告の仕様を理解し、正しく活用しなければ成果は上がらず、予算を無駄に消費してしまいます。
広告配信目的をしっかり定め、どのセグメントをターゲットにするのか。広告配信条件を正しく設定し、広告の成果を高めましょう。
本記事で紹介したチェックリストは、以下よりダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
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