コンテンツSEO攻略ガイド

BtoBマーケティング
コンサルタント
水落 真之

本記事では、コンテンツSEOの手順や必要なリソースなどを解説しています。キーワード選定や競合調査に使えるテンプレートと、施策の管理に使えるテンプレートも用意しましたので、あわせてご活用ください。

1. SEO競合分析テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます。

1シート目:記事要件シート
2シート目:上位サイト分析シート
2.SEOの施策管理テンプレートをダウンロードする

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コンテンツSEOの目的

コンテンツSEOには2つの重要な目的があります。

1つ目は見込み顧客との継続的な関係構築です。検索を通じて自社コンテンツに触れたユーザーは、課題解決のための情報を求めています。価値ある情報を提供することで、ブランド認知の向上や信頼関係の構築、さらには長期的なエンゲージメントの向上につなげられます。

2つ目は広告費に依存しない安定的な集客の実現です。リスティング広告の競争激化により獲得単価は年々上昇していますが、SEOで一度上位表示を獲得すれば、継続的に見込み顧客を獲得できます。

質の高いコンテンツは企業の貴重な資産です。広告は出稿を停止すると効果も止まりますが、SEOコンテンツは長期間にわたって集客し続けます。費用対効果の高いチャネルであり、専門性と信頼性を示すことで競合との明確な差別化要因となります。

コンテンツSEOの種類

コンテンツSEOを理解するにあたり、ここで前提について触れておきましょう。すでにご存じの方はスキップしていただいても結構です。

SEOは、以下のように「内部SEO」と「外部SEO」に分けられます。

内部SEOは、コンテンツやサイトの構造を検索エンジンに最適化する手法、外部SEOは外部サイトからのリンクを増やすことで自社サイトの権威性や信頼性を高める手法です。

ここでは、内部SEOをあえて「コンテンツSEO」と「テクニカルSEO」に分けて記載しています。理由は、テクニカルSEOだけに取り組んでも、内部SEOができているとは言えないからです。

SEOでもっとも注力すべきなのは「アルゴリズムではなく、閲覧するユーザーに向いたコンテンツ制作」です。最終的にはすべて取り組んだほうがよいことは間違いありませんが、テクニカルSEOや外部SEOのみで質の低いコンテンツを完全にカバーすることは困難だと考えましょう。

同時並行で進めるリソースがない場合は、まずはコンテンツSEOに取り組み、次に外部SEO、最後にテクニカルSEOの順番で進めるのがよいでしょう。

コンテンツSEOが向いているケース

コンテンツSEOは、業種や業態を問わず幅広く検索されるホリゾンタルサービス全般(例:人事労務、経理、SFA、RPAなど)に適しています。常に一定の検索ボリュームが見込めるからです。

また、最先端の技術を活用したサービス(例:生成AI)がある程度一般化し、言葉の意味や仕組み、活用方法を知りたいというニーズが高まっている場合にも効果的です。

さらに、特定のタイミングで強烈なニーズが発生するものとして、法改正や新たな規制対応が求められるサービス(例:電子帳簿保存法対応ツール)や、企業が突然のトラブルで急に必要になるサービス(例:データ復旧やサイバーセキュリティ対策)なども、コンテンツSEOに向いています。

逆に、短期的な成果を重視するケースや、顧客がWeb上で検索をしない商材などは不向きです。

コンテンツSEOの手順

どのように進めれば効果的なSEOにつながるのでしょうか。取り組み手順を解説します。

  • 01 キーワードプランニング

    キーワードプランニングは、SEOの成果を左右する重要なステップです。

    キーワードの洗い出し

    まずは、自社の事業に必要なキーワードを洗い出します。キーワードを洗い出すためには、「リスティング広告で成果の出ているキーワード」や「競合サイトで流入しているキーワード」を確認する、「オーガニック経由でコンバージョンを獲得している記事」を確認するなどの方法があります。

    また、GA4でコンバージョンを獲得している記事からキーワードを特定後、そのキーワードをうまく使って、似たような別キーワードでもコンテンツを展開する方法もあります。

    GA4では、ユーザーがどんなキーワードで検索して訪れたかを直接は見られません。そのため、GA以外のSEOツールを活用し、まずはコンバージョンを獲得している記事に流入しているキーワードを確認します。

    SEOツールの例

    流入キーワードがわかったら、そのキーワードと似た言い回しやバリエーションを探します。たとえば、ある記事で「〇〇 評判」というキーワードから多くの流入があり、コンバージョンも取れていたとします。

    この場合、次のような関連キーワードを狙うことができます。

    • △△ 評判(同じジャンルの商品・サービスの別名)
    • 〇〇 口コミ
    • 〇〇 使ってみた
    • 〇〇 メリット・デメリット
    • 〇〇 VS △△(比較系)

    探したキーワードのうち、「まだ自社コンテンツで対策していないキーワード」があれば、それが新たに狙うべきキーワードです。

    これらはユーザーの検索意図が近いため、新しい記事を作ったり、既存記事に追記したりすることで効果を発揮する可能性があります。検索ボリューム(検索数)がある、ユーザーの悩みが明確(コンバージョンにつながりやすい)、競合が弱い(または少ない)キーワードを優先的にコンテンツ化しましょう。

    ヒント
    抽出するキーワード数に目安はありませんが、施策が継続することを想定して多く出しておくとよいでしょう。一般的な事業会社の場合、現実的に月3〜5記事程度が制作限度だと考えると、1年で36〜60ワードは必要になります。可能であれば3年分のキーワードを用意できるとよいでしょう。

    キーワードのグルーピング

    次に、洗い出したキーワードをテーマごとにグルーピングします。

    たとえばマーケティングオートメーションを提供している企業であれば、「MAとは」「MA 比較」「MA SFA違い」「HubSpot 使い方」などのキーワードを狙います。このキーワードを、検索意図や検討段階の違いによって整理しておくことで、サイト構造(カテゴリ・タグ)とコンテンツ企画が一気通貫で設計できます。

    グルーピングの例

    グループ検索意図 ・ニーズ検討段階代表キーワード例
    A. 基礎理解用語や概念を知りたい認知マーケティングオートメーション とは
    SFA MA 違い
    B. 比較検討複数ツールを比較したい比較~検討MAツール 比較MAツール
    価格MAツール 効果
    C. 商標深掘り特定製品の情報を探す比較~検討Marketo 評判
    HubSpot 使い方
    Pardot 料金
    D. 導入・運用具体的なやり方を知りたい導入MAツール 導入手順
    MAツール 運用
    体制MAツール API 連携
    E. 成功事例ROIや活用事例を調べたい検討~導入マーケティングオートメーション 事例
    ホワイトペーパー ダウンロード率 改善
    F. 関連戦略上位概念・隣接課題認知~比較BtoB リードナーチャリング 方法
    ABM MAツール おすすめ
    G. リスク・懸念失敗や課題を把握したい比較~検討MAツール セキュリティ
    MAツール 導入 失敗
    H. 行動促進今すぐ試したい検討~導入MAツール 無料 トライアル

    検索数の把握

    キーワードの洗い出し、グルーピングが終わったら、キーワードの検索数を把握します。

    キーワードの検索数を把握するためには、GoogleキーワードプランナーやAhrefsのキーワードエクスプローラーなどを参照しましょう。

    自社サイトのコンテンツと洗い出したキーワードを比較し、不足や重複がないか、カテゴリ分けは適切かなどを確認しながら、全体の優先度を決めていきます。

    生成AIを用いたキーワードプランニング

    SEO対策に取り組みたいけど、コンサルを頼む予算はないそんなときに頼りになるのが生成AI(ChatGPT、Geminiなど)です。

    とくに自社の商材やサービスをよく理解している方であれば、適切なプロンプトを与えることで、実用性の高いSEOキーワード案を得ることができます。

    キーワードを出してもらうには、まず生成AIに「前提条件」を伝えることが大切です。 以下の3つをセットで伝えると、精度の高い提案が得られます。

    • 扱っている商材やサービスの内容
       例:BtoBマーケティングのコンサルティングを提供している
    • 想定しているターゲットペルソナ
       例:上場している大企業〜中堅企業のマーケティング担当者で、コンサルティングの依頼先を探している人
    • コンテンツで起こしたい行動(コンバージョンの目的)
       例:当社に興味を持ち、問い合わせしてもらうこと

    以下はプロンプトの例です。

    BtoBマーケティングのコンサルティングを扱っています。SEOで顧客リードを獲得したいので、キーワードを出してください。

    【条件】
    ・想定しているターゲットは、上場している大企業〜中堅企業のマーケティング部門の担当者で、コンサルティングの依頼先を探している人です。
    ・コンテンツを通じて当社に興味を持ち、問い合わせをしてもらうことがゴールです。
    ・キーワード数は100程度・キーワードカテゴリの分類もして、表形式で抽出してください。


    生成AIから提案されたキーワードは、すべてが使えるわけではありません。検索してみて、意図と合っているか、競合の多さ・質はどうか、自社サービスと関係が薄いキーワードはないかなどの観点でチェックしましょう。

    また、「このテーマはとくに力を入れたい」と思うキーワードがあれば、そこだけを深掘りする指示もできます。

    追加プロンプトの例

    「Google Analytics活用」はとくに注力している領域なので、このキーワードの掛け合わせやバリエーションを増やして、表の中にマージしてください。

    生成AIはこのような指示を受けると、「Google Analytics 活用 事例」「GA4 分析方法」「Google Analytics 導入支援」など、関連性の高い派生キーワードを出してくれます。

    生成AIなどを使ってキーワードを抽出した後に大切なのは、「そのキーワードが本当に自社にとって価値あるものか?」を冷静に判断することです。単に検索数が多いキーワードや、関連語が含まれているキーワードがそのまま有効とは限りません。

    「キーワードに自社の商材名や業界用語が入ってるから、自社にも合っているだろう」という誤解が生まれがちですが、 実際にはそのキーワードで検索しているユーザーが自社のターゲットではない場合もあるので注意しましょう。

  • 02 競合調査

    次に行うのは競合調査です。「ユーザーがどんな情報を求めているか」「Googleがどんな形式のコンテンツを評価しているか」「自社はどのような形で参入するか」などの戦略を立てるために重要なプロセスとなります。

    これから説明する要素を盛り込んだ、SEO競合分析テンプレートも用意しましたので、ご活用ください。テンプレートには、「記事要件シート」「上位サイト分析シート」の2つが入っています。

    SEO競合分析テンプレート(Excel形式)をダウンロードする

    ※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます

    上位ページの傾向をつかむ

    まずは特定したキーワードで実際に検索し、検索1ページ目の上位10記事の傾向をざっと分析します。なお、深くコンテンツの内容を見るのは上位3〜5記事まででよいでしょう。

    見るべきポイントは以下のとおりです。

    要素見方
    meta titleページのタイトルタグ。
    F12キー(Win)またはCmd + Option + U(Mac)でHTMLソースを
    表示して確認。キーワードの位置にも注目(先頭にあるとSEO的に良い)
    記事構成(h1〜h3)記事の目次や見出し構成を確認
    文字数多すぎず少なすぎないボリューム感をチェック(目安:上位3記事の平均)
    画像・動画の有無図解・イラスト・埋め込み動画の有無と使い方を確認(情報補完のヒントになる)
    関連キーワード検索結果下部の「関連キーワード」も見て、ユーザーの検索意図の広がりを把握

    上位ページに記事型(ブログや解説記事)が多い場合、ユーザーは「まず情報を知りたい」と考えている傾向があり、記事型のコンテンツで攻めるのが有効でしょう。一方LP型(サービス紹介・縦長の営業ページ)が多い場合は、ユーザーはすでに比較・検討段階であると考えられるため、直接的な訴求が効くと考えられます。

    ヒント
    SEOに最適な文字数に明確な基準は存在しません。 大切なのは、ユーザーの検索意図を満たすために必要な情報量がどれくらいかを判断することです。上位3記事の文字数を確認して、その平均値を目安にしましょう。たとえば3記事とも9,000〜11,000字なら、「このキーワードで上位を狙うには、だいたい1万字くらいの情報量が必要」と考えられます。

    検索ナビゲーションやリッチスニペットも参考に

    また、Google検索画面の上部にある「すべて|画像|動画|ニュース」といった検索ナビゲーションも参考になります。ここに表示される項目は左に寄っているものほど、Googleが「このキーワードではどんなコンテンツがユーザーに求められているか」を示しています。

    たとえば検索ナビゲーションの最初に「動画」が表示されている場合は、 動画コンテンツが最適で、テキスト記事は不向きな可能性もあります。

    検索ナビゲーションの例

    また、検索結果にリッチスニペット(画像・動画・ショッピング)ばかりが並んでいる場合は、テキストコンテンツでの上位表示が難しい可能性があります。該当のキーワードを対象から外すか、 適切なコンテンツ形式(動画など)を検討しましょう。

    なお、パンデミック以降、Googleは「信頼性の高い情報源(官公庁・自治体・公的機関)」を優先表示するようになりました。公的機関が検索順位1位の場合は、2位が実質の上限と考えましょう。

    【参考】見る必要がないポイント

    逆に、最近の傾向から、見る必要がないと考えられるポイントは以下のとおりです。

    要素理由
    meta keywords2009年以降、Googleは評価していない
    meta description順位には影響なし
    ただし、検索結果に表示される可能性があるので、
    120文字以内で魅力的な説明を記述するのがベター
    OGP(og:title, og:description)順位には影響なし
    ※SNS上でのクリック率や拡散を促す効果は期待できるため、
    別途設計は必要

  • 03 コンテンツ制作

    キーワードを特定し、競合分析もふまえて最適なコンテンツを作成しましょう。以下の記事ではBtoB企業向けのコンテンツ作成について説明していますので、ご参照ください。

    ※関連記事:【BtoBオウンドメディア向け】読みやすい記事の型とSEOの基本

    取り組みはじめは3か月で約10記事を目指して作成し、一定数のコンテンツがある状態を目指します。記事数が少ないとユーザーからの信頼性や情報発信者としての権威性が損なわれる可能性があるからです。

    また、毎月の運用は月3~5記事のペースで新しいコンテンツを公開し続けましょう。定期的にコンテンツを増やすことで、Googleの評価を維持しつつ、ユーザーに継続的に価値を提供できます。

  • 04 効果測定・施策管理

    コンテンツを作成し公開しても、出して終わりでは意味がありません。実際に成果が出ているかを確認するために、効果測定を行いましょう。

    なお、SEOの施策管理をしやすくするテンプレートを用意しましたので、ダウンロードしてご活用ください。

    SEOの施策管理テンプレートをダウンロードする

    ※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます

    SEOの効果測定では、主に以下のツールを利用します。

    • Google Analytics(GA4):コンバージョン率(CVR)
    • Google Search Console:検索順位、クリック率(CTR)※Search Consoleの計測順位は実際と乖離があるので、参考程度にする

    改善したい数値を決めたら、目的にあわせた施策を実施します。このとき重要なのは、複数の数値を同時に改善しようとせず、一つひとつの改善に集中したほうがよいでしょう。

    たとえば「検索順位」と「クリック率」を同時に改善しようとすると、どちらの改善の結果が成果につながったか確認できないためです。

    改善対象施策例具体的な内容
    検索順位記事のリライト・内容の充実・競合記事より詳しくする
    ・検索意図をさらに満たす内容に書き換える
    クリック率(CTR)meta titleの改善・魅力的で具体的なタイトルに修正し、
    ユーザーがクリックしたくなる表現にする
    コンバージョン率(CVR)ページ内の
    コンバージョン導線の改善
    ・CTAボタンを目立つ場所に設置
    ・フォームを短く簡単にする
    ・ユーザーの背中を押す訴求を追加する

    検索順位改善を目的としたリライトの一般的な方法

    検索順位改善を目的としたリライトは、以下の手順で行います。

    1. 最新の検索結果上位3位のコンテンツをピックアップする
    2. 上位3サイトと自社コンテンツの情報差分を把握する※差分を埋めるためには、見出しやコンテンツの追加が必要です。見出し抽出にはChromeアドオンなどを利用すると効率的に実施できます。
    3. 上位サイトにあって自社サイトにない情報を執筆する
    4. (可能であれば)自社独自調査・実績・事例など、模倣性の低い情報を付与する
    5. (可能であれば)文章が長く続いてしまう箇所など、可読性が低い部分を図解や画像に置き換える
    6. 公開する
    7. 2週間後に計測する

    記事リライトのタイミングと頻度

    Googleがページを評価し、検索順位を安定させるには一定の時間がかかります。キーワードやサイトの規模にもよりますが、一般的にリリース直後は「数日〜2週間程度」は順位が上下に揺れることがあります。順位が安定するまでは一時的な順位変動に一喜一憂せず、落ち着いて待つことが重要です。

    リライトを試みるベストなタイミングは、以下を目安にしてください。

    1.順位が安定した後、目標順位に届いていないとき

    新しい記事を公開後、2週間ほど順位が安定したあとに確認します。とくに検索結果1ページ目(10位以内)で4位以下の場合は、改善によって順位を上げる余地が大きいです。

    リライトの方向性

    • 上位記事よりも情報を充実させる
    • コンテンツ内の構成を見直して検索意図をより明確に反映させる
    • 見出しや本文でキーワードを適切に追加する

    2.急激に順位が下がったあと、回復しないとき

    今まで高順位だった記事が、突然順位を大きく下げた場合(例:1位〜3位から一気に2ページ目以降など)は、まず1週間ほど様子を見て自然に戻るかどうかを確認します。1週間経っても順位が回復しない場合は、リライトを検討します。

    リライトの方向性

    • 検索意図が変化していないか、検索結果上位の記事を再度確認
    • 古くなった情報を最新に更新
    • 構成やタイトルを見直し、Googleが評価するポイントを意識して再構築

    3.半年〜1年のスパンで情報を定期的に見直す(定期チェック)

    SEOコンテンツは時間の経過とともに情報が古くなり、ユーザーにとって価値が低下してしまいます。そのため、定期的な情報のチェックと更新(フレッシュネスを保つこと)が大切です。そこで、新規公開から半年後、その後は1年ごとに再確認することをおすすめします。

    主なチェックポイント

    • 記事内のデータや数値が古くなっていないか?
    • 最新トレンドや市場変化を反映しているか?
    • 競合サイトの内容と比較して情報の充実度が十分か?

    SEOの効果を最大化するには、「リライトが必要なタイミング」をうっかり忘れないように、仕組み化しておくことがおすすめです。 例えば、CMS(コンテンツ管理システム)で、記事公開日から半年・1年経ったときにSlackなどに自動通知が届く仕組みを導入するとよいでしょう。仕組み化しておくことで、コンテンツの品質管理が簡単になり、改善タイミングを逃さず、SEO効果を維持できます。

    改善結果の確認

    改善施策を実施後、約2週間後に数値の変化を確認しましょう。計測して改善の成果が出ていなければ、再度分析して別の施策を実施します。この繰り返しがSEOのPDCAサイクルです。

    1. 計測(Google Analytics・Search Console)
    2. 改善点の特定(順位/クリック率/コンバージョン率)
    3. 施策実施(リライト/meta改善/コンバージョン導線改善)
    4. 2週間後に再計測
    5. 結果分析・改善施策を調整
    6. 再び施策実施 → 計測

    SEOの効果は短期間では見えにくいものです。数週間~数か月の期間をみて、じっくり取り組むことが大切です。

    コンテンツSEOに取り組む体制

  • 前述の手順でコンテンツSEOに取り組むために必要な体制を解説します。SEO施策を成功させるためには、SEOマネージャーやディレクター、ライターなどさまざまな役割を担う人材が必要です。

    (例)SEOに取り組む際の人材

    • SEOマネージャー:予算管理や意思決定を担当 
    • SEOディレクター:戦略立案やキーワード調査を担当(マネージャーが兼務する場合も)
    • ライター:コンテンツの執筆と編集を担当
    • 開発・デザイナー:Webサイトの改善やビジュアル面を担当
    • 監修者:専門性が要求される分野でのコンテンツ監修

    体制のパターン

    SEOの運営体制にはいくつかのパターンがあります。条件やメリット・デメリットを確認し、自社に合ったパターンで取り組みましょう。

    体制条件
    ① 完全内製SEOがコアビジネスであり、社内でノウハウを蓄積したい
    ② 他業務との兼務で内製社員にSEOの基本知識があり、一定レベルの戦略立案が可能
    ③ 完全外注社内にSEOノウハウがなく、リソースをSEO以外に集中させたい
    ④ ハイブリッドSEOの重要性は理解しているが、すべてを社内でやるのは難しい

    ① 完全内製

    SEOがコアビジネスであり、社内でノウハウを蓄積したい場合は完全内製を推奨します。自社にSEOノウハウを蓄積でき、施策を素早く実行できることがメリットです。一方デメリットは、優秀なSEO人材の確保が必要になることや、人件費や運用コストなどがかかることが挙げられます。

    ② 他業務との兼務で内製

    社員にSEOの基本知識があり、一定レベルの戦略立案が可能な場合は、他業務と兼務しながらSEO担当をつけ、内製で進めることが可能です。最小限のコストやリソースで取り組める反面、専任でないためSEO施策のスピードが遅くなる可能性もあるので注意が必要です。

    ③ 完全外注

    社内にSEOノウハウがなく、リソースをSEO以外に集中させたい場合は外部パートナーにすべてを委託するのがよいでしょう。専門知識を持つ外部パートナーに委託でき、社内のSEO運用リソースを省力化できるのがメリットです。一方、外注費がかかることや自社にSEOノウハウが蓄積されないこと、外部依存度が高くなるといったデメリットもあります。

    ④ ハイブリッド

    SEOの重要性は理解しているものの、すべてを社内で進めるのは難しい場合は、外注と社内のハイブリッドで進めるのもおすすめです。必要な分だけ外部リソースを活用しつつ、内部にノウハウを少しずつ蓄積できることがメリットになります。ただ、外部パートナーのディレクションが必要で、一貫性を持って施策を実行するのが難しいこともあります。外部パートナーの専門性や進め方は見極めをしっかりと行いましょう。

    コンテンツSEOのKPIと費用

    体制を構築したら、コンテンツSEOの成果を明確にするために、具体的な指標KPIを設定します。KPIの指標には、以下を設定することが多いです。

    • キーワード検索順位(※SEO施策分析ツール)
    • 月間オーガニック流入数(※GA)
    • コンバージョン率/コンバージョン実数(※GA)
    • ページ滞在時間(※GA)
    • 月間コンテンツリリース数(※手集計)
    • 検索結果CTR(※Search Console)

    多くの場合、1つのツールですべての指標を拾うことは難しく、実際の運用はツールを複数併用することが多くなっています。

    また、コンテンツSEOに取り組むためにかかる費用の目安は以下のとおりです。

    • コンテンツ制作(ライティング・画像等):3〜5万円/1記事
    • サイト改修:開発会社によって異なるので要見積もり
    • SEO計測ツール:10〜50万円/月
    • SEOコンサルティング企業
      • 初期費用:50〜100万円/単月
      • 月額費用:50〜100万円/月

    ※あくまで目安となります。依頼する外部パートナーや利用するツール、プランによっても変わりますので、実際に取り組む際は確認しましょう。

    コンテンツSEOのよくある失敗

    コンテンツSEOのよくある失敗をまとめました。

    短期で「成果が出ない」と諦めてしまう

    取り組み初期の段階(開始〜1年程度)では、キーワード選定が適切でないと期待する成果を得られないことがあります。成果が出ないからとすぐに諦めてしまうのではなく、ターゲットペルソナに基づき、ユーザーの検索意図をより深く掘り下げ、コンテンツを再設計していきましょう。

    記事の整理・管理をしていない

    運用がある程度確立された段階(開始6か月〜3年程度)では、記事内容が重複する問題が発生することがあります。とくに担当者が変わった場合に引き継ぎが不十分だと起こりやすいため、日頃からどのキーワードでどの記事が作られたかを整理・管理することが大切です。

    もし重複が発生した場合は、順位やセッションがより多い記事を本体として、内容を統合し、片方を301リダイレクトで統合する対応を行います。

    「情報の質」の重要性を理解していない

    本記事の冒頭でもお伝えしたように、ユーザー視点を重視した質の高いコンテンツ制作こそ、SEOの目的を達成するためにもっとも注力すべき取り組みです。「ラクして成果を得たい」「低コストで大量の記事を効率的に作りたい」と考えてSEOに取り組むと、思うような成果は得られません。

    ターゲットとなるユーザーがどんな情報を、どんな形で欲しているのか、しっかりと向き合いながら、中長期的な視点で取り組みましょう。

    生成AI利用をしたSEOについての見解

    生成AIの進化によって、部分的にコンテンツSEOで活用できるようになってきています。今後アップデートが繰り返され、より利用範囲は広がるでしょう。

    ただ、記事公開時点(2025年6月)では生成AIに100%執筆を任せて記事の完成を行うことは難しいと考えています。生成された内容にファクトチェックが都度必要であり、AI特有の「不自然な文章」にユーザーが違和感を覚えることもあります。

    また、GoogleのAI利用に対するポリシーは「制作手法を問わず有用なコンテンツを評価する」としています。過去を見ても、この傾向は変わらないと想定されます。

    そのため、「生成AIを利用してラクをする、コストをかけずに検索上位を目指す」ようなスタンスは、推奨しません。

    生成AIは、記事を100%執筆させるのではなく、キーワード出しを任せる、記事に使うデータの整形を任せる、文章の校正をさせる、記事内の矛盾点を指摘させる、想定される読者からの批判点を可能性として出させるなどの使い方をするのがよいでしょう。

    監修

    本記事は、株式会社LANYのSEOコンサルタント 牧野 哲大さんに監修のご協力をいただきました。

    株式会社LANY
    SEOコンサルタント
    牧野 哲大

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