本記事では、エグゼクティブ向けの「イベント招待レター」を作成する手順を解説しています。レターのテンプレートも用意しているので、ご活用ください。
エグゼクティブ向けイベント招待レターのテンプレート(Word形式)※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます

エグゼクティブ向けイベントとは
エグゼクティブ向けイベントとは、企業の意思決定層(CxO、部長クラスなど)を対象にしたウェビナーやセミナー、少人数の勉強会、意見交換会、ラウンドテーブル、ゴルフイベントなどを指します。
エグゼクティブ層に参加者を限定し、参加者同士の深い議論や登壇者とのつながりなど、特別な体験を提供することで、自社とエグゼクティブとの関係構築につなげます。
そして特別な体験は、イベントの招待レターから始まります。「なぜあなたが対象なのか」「なぜこのイベントが重要なのか」「参加することで、あなたの会社にどんな価値を提供できるのか」などをレターの文面に反映し、エグゼクティブの興味を喚起しましょう。
エグゼクティブ向けのイベントは、とくにエンタープライズ企業の営業に力を入れている方におすすめしています。長期的な関係構築の施策であるため、一度きりで終わるのではなく、継続的に取り組むことが重要です。
エグゼクティブ向けイベント招待レターの作成手順
エグゼクティブ向けイベント招待レターを作成するための手順を解説します。
ターゲットとなるエグゼクティブの情報収集
まず、招待状を送付する相手の情報を詳細に収集します。企業の最新の経営方針や中期経営計画を確認し、決算短信やIR情報から現在の課題や注力分野を特定しましょう。業界ニュースや専門メディアでの発言内容も重要な情報源となります。また、過去の接点として商談履歴、セミナー参加歴、閲覧コンテンツなどを確認し、相手の関心事を把握するとよいでしょう。
仮説設定(企業の課題や関心事の特定)
収集した情報をもとに、ターゲットが現在直面している可能性のある課題や関心事について仮説を立てます。業界全体のトレンドとターゲット企業の位置づけを分析し、競合他社との比較から生じる可能性のある課題を特定しましょう。企業の成長フェーズに応じた典型的な課題と照らし合わせ、経営者個人の関心領域(過去の講演テーマなど)も考慮することで、より的確な仮説を構築できます。
イベント内容とエグゼクティブのニーズの接点を明確化
設定した仮説とイベントの内容がどのように接点を持つか、参加することでどのような価値が得られるかを明確にします。
イベントで提供する情報やネットワークがどのように課題解決につながるか整理し、エグゼクティブにとっての具体的なメリットを3つ程度に絞り込みましょう。他では得られない独自の価値(特別ゲスト、限定情報など)を特定し、参加するエグゼクティブ同士の人脈形成価値も考慮することで、参加意欲を高める訴求ポイントが明確になります。
レターを作成する
テンプレートの構成に沿って、各セクションの内容を作成していきます。
宛名と差出人情報を正確に記載し、注目を集めるタイトルと時候の挨拶を作成します。市況感と仮説を自然につなげた導入部分を作り、イベントの価値と特色を明確に提案しましょう。最後にイベント概要(日時、場所、内容など)を簡潔に記載し、一読で必要な情報がすべて伝わるよう心がけます。
文面の例
2025年〇月〇日
株式会社〇〇〇〇
代表取締役社長
〇〇 〇〇 様
株式会社〇〇 代表取締役
才流 太郎
【完全招待制】CXOラウンドテーブル 経営戦略セミナーのご招待
拝啓 春寒の候、貴社ますますご清栄のことと、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨今、DXの進展や市場環境の急速な変化により、多くの企業が経営戦略の再構築を迫られています。貴社におかれましても、中期経営計画にてデジタル技術を活用した業務改革を重点施策として掲げられており、新たな価値創造に向けた取り組みを推進されていることと存じます。
そこでこの度、業界をリードする企業のCXOが集まり、経営戦略とデジタル技術活用について議論する「CXOラウンドテーブル」を開催する運びとなりました。第一線で活躍される経営者同士のネットワーキングの場としても貴重な機会となりますので、ぜひご参加いただければ幸いです。
◆ 特別ゲスト ◆ 株式会社グローバルイノベーション代表取締役CEO 革新 一郎 氏
◆ イベント概要 ◆
【日時】2025年3月15日(土)14:00~17:00(受付開始 13:30~)
【会場】東京都千代田区丸の内1-1-1 才流カンファレンスセンター
【参加費】無料(完全招待制)
【定員】30名限定(先着順)
【内容】
・基調講演「デジタル時代の経営戦略と組織変革」
・パネルディスカッション「CXOが語る成功事例と課題解決アプローチ」
・ネットワーキングセッション
お申込みはいずれかの方法でお願いいたします。
・QRコードからWebフォームにアクセス
・E-mail: event@sairyu.co.jp(会社名・お名前・役職をご記入ください)
以上、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
上記の文面をコピーするか、Wordのテンプレートをダウンロードし、カスタマイズしてご利用ください。
エグゼクティブ向けイベント招待レターのテンプレート(Word形式)※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます
チェックリストによる確認と修正
完成したレターをチェックリストで確認し、必要に応じて修正します。各セクションのチェック項目に沿って内容を確認し、文章の簡潔さ、明確さを再確認しましょう。視覚的要素(写真、ロゴなど)の適切な配置を確認し、可能であれば第三者に読んでもらい、わかりやすさや魅力を客観的に評価してもらうことも効果的です。
- 宛名の企業名・役職/部署名・氏名は正しく記載されているか
- 差出人情報は自社の社長、あるいは役員クラスなどにしているか
- タイトルは一目で文章全体の内容が分かるようになっているか
- 「完全招待制」など、限定感がある訴求になっているか
- 時候の挨拶は時期にあったものになっているか
- 市況感と仮説を自然な形で繋げられているか
- 外部情報(中期経営計画・決算短信など)をもとにした仮説を立てられているか
- 内部情報(閲覧コンテンツ・参加セミナー・商談履歴など)をもとに仮説を磨き込めているか
- イベントでどのような内容が共有されるかを簡潔に記載できているか
- ゲスト登壇者がいる場合に、その情報を記載できているか
フォローアップ計画の策定
レター送付後のフォローアップ計画を事前に策定します。送付後2~3営業日を目安にフォローコールを実施し、レターが届いているかを確認するとともに、イベントの魅力を直接伝える機会を作りましょう。
また、QRコードのアクセス分析の準備も行い、関心度の高い相手を特定することも重要です。
参加・不参加にかかわらず継続的な関係構築のためのコミュニケーション計画を策定し、イベント後のアンケートや面談に繋げるための準備も並行して進めておくことで、一過性のイベントではなく、長期的な関係構築につなげることができます。
送付方法の決定と実行
ターゲットとの関係性に応じて最適な送付方法を選択し、届けます。
- 既存の関係がある場合は手渡しを優先する
- 郵送する場合は書留など到達確認ができる方法を検討する
- 電子メールで送付する場合は開封率を高めるための工夫(件名、送信タイミングなど)を行う
- 仲介者を通じて届ける場合は、仲介者向けの説明資料も用意する
質の高いレター作成のポイント
エグゼクティブの興味関心を喚起し、参加したいと思ってもらい、さらには参加の申し込みをしてもらうために。質の高いレター作成のポイントを解説します。
1. 宛名・差出人情報の適切な設定
エグゼクティブへのレターでは、正確な宛名と適切な差出人情報が信頼性を高めます。宛名の企業名・役職/部署名・氏名は正確に記載し、差出人情報は自社の社長、あるいは役員クラスなど相応の役職者にすることが重要です。また、タイトルは一目で文章全体の内容が分かるよう工夫しましょう。
2. 注目を集めるタイトルと時候の挨拶
読み手の関心を引く効果的なタイトルを設定します。「完全招待制」など限定感のある表現を取り入れ、文書としての格式を保つため時候の挨拶も時期に合わせて適切に記載します。タイトルは簡潔でありながら、内容を的確に表現するものにしましょう。
3. 市況感と顧客に対する仮説の提示
業界の現状と、顧客が直面している可能性のある課題を示し、共感を得ることが重要です。市況感と仮説を自然な形で繋げ、外部情報(顧客の中期経営計画・決算短信、インタビュー記事など)と内部情報(過去のコンテンツ閲覧履歴、セミナー参加履歴、商談内容など)を基にした説得力のある仮説を提示します。
4. イベントの価値と特色の明確な提案
イベントで得られる価値とメリットを簡潔に提示します。どのような内容が共有されるか、特別ゲスト登壇者がいる場合はその情報も含め、参加する価値を明確に伝えます。他では得られない知見や人脈形成の機会などを強調することも効果的です。
5. 具体的なイベント概要の提示
開催日時、場所、参加料、申し込み方法などの具体的情報を明示します。内容を簡潔に記載し、登壇者情報も含めることで参加意欲を高めます。イベント詳細ページへの導線を確保し、メールや電話など複数の申し込み方法を用意することで参加障壁を下げることも重要です。
FAQ(よくある質問と回答)
Q:招待レターに画像やデザインは必要でしょうか?
登壇者から許可を得たうえで、レター文面に登壇者の写真を入れ込むことは効果的です。また、登壇者所属企業のロゴを掲載することでも信頼性と魅力が高まります。ただし、過度な装飾は逆効果になる場合もありますので、洗練されたシンプルなデザインを心がけましょう。
Q:自社に知名度がない場合、参加者数を増やすためのポイントはありますか?
顧問活用サービスと併用することが効果的です。顧問の方に集客用のお手紙をお渡しして、つながりのある方に直接連携いただくことで信頼性と到達率が高まります。また、業界内で影響力のある登壇者を招くことも集客効果を高める重要な要素となります。
Q:招待レターが見られたかどうかトラッキングする方法はありますか?
QRコードを活用したトラッキングが効果的です。QRコードをレターに掲載し、スキャン時にアクセス解析できるようにしておくことで、開封率や関心度の測定が可能になります。これにより、フォローアップの優先順位付けもしやすくなります。
Q:送付後のフォローコールは必要でしょうか?
リソースに余裕があれば実施することをお勧めします。郵送後、2~3営業日後を目安にフォローコールを行うことで、開封率と参加率の向上が期待できます。コール時には押し売りにならないよう、イベントの価値を簡潔に伝え、質問があれば回答する姿勢で臨みましょう。
Q:既存顧客の場合は郵送ではなく、手渡ししたほうがいいでしょうか?
手渡しできる関係性にある場合は、手渡しを優先することを推奨します。直接説明できる機会が得られるだけでなく、その場での反応を見ることができます。また、招待したい方と直接つながっていない場合でも、仲介者を通じて手渡しできる可能性があれば、その方法を検討しましょう。
Q:イベント実施後はどのようなフォローが必要でしょうか?
通常のセミナーやウェビナーと同様に参加後アンケートを実施し、イベントの満足度や関心領域を把握しましょう。特に面談希望の方には優先的に電話やメールで日程調整を行い、イベントでの話題を発展させる形で商談に繋げていくことが重要です。また、参加できなかった招待者に対しても資料共有などで関係性を維持することを検討しましょう。
記事のまとめ
エグゼクティブ向けイベント招待レターは、意思決定層との接点を獲得し、関係を構築していくための重要なコミュニケーションツールです。効果的なレター作成のポイントは以下の通りです。
- 正確な宛名と適切な差出人情報で信頼性を高める
- 限定感のあるタイトルと時候の挨拶で格式を保つ
- 市況感と具体的な仮説を示し、共感を得る
- イベントの価値と特色を明確に提案する
- 具体的な開催情報と複数の参加方法を提示する
また、送付後のフォローコールでレターの効果を高めることも重要です。本テンプレートを活用することで、限られた時間のなかでエグゼクティブの興味を引き、参加を促す効果的なコミュニケーションが実現できます。エグゼクティブとの関係構築の第一歩として、質の高いレター作成にぜひ本メソッドをお役立てください。
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