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デジタルマーケ支援会社を選定する時のRFPの書き方と37のチェックリスト

BtoBマーケティング
コンサルタント
中澤 康太

20年9月に公開した「失敗しないデジタルマーケティング支援会社の選び方~BtoB事業の決裁者にインタビューして明らかになったこと~」。

この中で、失敗しないデジタルマーケティング支援会社(以下、支援会社)の選び方には次のような共通点があると解説しました。

  • 発注候補先の過去実績をみる
  • 発注候補先からアウトプットのサンプルを出してもらう
  • 発注候補先の担当者を指名する
  • 自社で丁寧にRFP(提案依頼書)を作成する

そこで今回は、より具体的に

について解説します。

コンペを実施し、各社の提案を正しく比較する必要のある方はぜひ活用ください。

【デジタルマーケティング支援会社に提案を依頼する】RFPの書き方

まず支援会社選定の前に、自社のデジタルマーケティング・プロジェクトがどのような課題から発足し、何を目標にするかを明確にしましょう。

課題と目標を明確にした後に、支援して欲しい内容を支援会社に正しく伝えるために必要なのがRFP(提案依頼書)の作成です。

RFPに記載する項目はプロジェクトの目的によって異なりますが、共通して重要な項目は次のとおりです。

(RFPに記載すべき項目)​​​​​​​

発注者側の情報
企業名や所在地、代表者など基本的な情報を記載する

現状の課題

現状抱えている定量、定性課題の両方を記載する
プロジェクトの
背景・目的
プロジェクトを発足した背景や目的を詳細に記載する
※背景や目的を正確に伝えることでより良い提案につながります
プロジェクトの
範囲
例えば特定の製品のマーケティング戦略策定、サイトのコーディング、
LPの制作、デザインの作成など、具体的に何を依頼したいのかを記載する
納品物
レポートの提出、HTML/CSSデータ、画像データなど、
納品してほしいものについて漏れなく記載する
※後のトラブル防止のためにも重要です
スケジュール・
納期
サイトリリースのなど最終的な納期に加え、自社内の稟議プロセスなど
現段階でわかっているマイルストーンも記載する
予算
・プロジェクトや各社のポリシーによって、この時点で
 予算を開示できるかどうかは変わってくるが、予算を提示する
・提案を受けた後に金額交渉を行う予定がない、
 もしくは予算内の金額であれば許容できる旨を記載する
・支援会社に費用対効果の提出を求める旨を記載する
プロジェクトの
体制
・プロジェクト期間中の自社の担当者など、発注者側の体制を記載する
・支援会社側の体制を提案書に盛り込むよう求める旨を記載する
提案書や付随する
提出物の仕様
・提案書に記載して欲しい項目やデータ形式、提出方法、
 提出期日などの仕様を記載する
・プレゼンを依頼する場合は実施方法
 (場所、予定日時、資料の共有方法など)を記載する
・必要に応じて支援会社側からの追加提案を許可する場合は、その旨を記載する
連絡先
RFPに関する問い合わせ先を記載する

デジタルマーケティング支援会社を評価する37のチェックリスト

RFPをもとに支援会社に依頼し、提案を受けた後、提案書や支援会社の姿勢をどのように評価すれば良いのでしょうか。大きくわけてポイントは次のとおりです。

  •  支援会社・担当者の情報
  •  自社と自社の顧客に対する理解
  •  競合他社の理解
  •  プロジェクトの理解
  •  提案金額
  •  スケジュール・納期
  •  プロジェクトの体制
  •  +αの提案

ここからは、上記ポイントごとにチェックすべき37項目をリスト化して、解説していきます。

デジタルマーケティング支援会社とプロジェクト担当者の情報

まず、デジタルマーケティング支援会社とプロジェクト担当者の情報について。

失敗しないデジタルマーケティング支援会社の選び方~BtoB事業の決裁者にインタビューして明らかになったこと~」では、決裁者が支援会社を選定する理由の多くは、「これまでの自身の経験」、「信頼できる人からの紹介」。

つまり、ある程度関係性のある業者から選定しているということをご説明しました。

しかし、プロジェクトの要件によっては関係値がない、新規の支援会社に依頼するケースも出てきます。

「提案内容は素晴らしいが、本当に実現してくれるのか?」と担当者としては、不安に感じることもあるのではないでしょうか。

そのため、支援会社の実績や社風、思想など提案書に記載されている内容も含め、次の点を確認しましょう。

  • 過去に類似案件の実績はあるか?
  • 担当者は能動的な提案や行動ができているか?
  • 担当者の返信や対応は早いか?
  • ネクストアクションを明確にし、次回打ち合わせまでの行動が把握できるか?
  • 担当者が変わることでクオリティに差が出ないか?

自社と自社の顧客に対する理解

次に、自社と自社の顧客に対する理解です。支援会社側が自社のビジネスや社風、顧客を理解しているかはプロジェクトの成果に大きく影響します。

ターゲット顧客に何を伝え、どのような行動を取らせたいのか。また、ターゲット顧客の購買プロセス、興味・関心事項なども正しく理解している必要があります。

しかし、これらの情報を正しく理解するためには、ネット検索など表面的なリサーチだけでは十分とは言えません。

支援会社は、自社の担当者やターゲット顧客からの一次情報をきちんと取得しているか、収集方法はどうか、収集した情報をどう活用しているのか。リサーチに対する姿勢をよく見極める必要があるでしょう。

  • 提案内容は自社の戦略やコーポレートイメージに合っているか?
  • ターゲット顧客が抱える課題やニーズを理解しているか?
  • ペルソナを定義しているか?
  • 定義されたペルソナは適切なものか?
  • 自社のターゲット顧客に合った提案内容になっているか?

競合他社の理解

支援会社が市場動向や競合状況などを正しく理解していれば、プロジェクト開始後に深いディスカッションができ、戦略立案や掲載すべき情報の選定にも役立つでしょう。

提案段階では理解が浅い可能性はありますが、きちんと理解しようとしているか、情報収集や分析はしているか。支援会社のスタンスは確認を行いましょう。

  • 自社の競合にあたる企業を理解しているか?
  • 自社が属する市場の動向を理解しているか?
  • 競合他社のサイト、マーケティング施策の調査・分析をしているか?
  • 競合他社を調査・分析した上での戦略が明記されているか?

プロジェクトの理解

支援会社側でRFPの情報から、プロジェクトのゴールをどのように設定しているか、確認を行いましょう。

この認識がずれていると、提案のコンセプトそのものが変わる可能性もあります。予算や納期にも影響が出てくるため、提案書内で明確に記載されていない場合は担当者に確認を行いましょう。

  • プロジェクト実施の背景や目的に対する理解はあるか?
  • プロジェクトのゴールは明確に定義されているか?
  • 提案の範囲は適切であるか。漏れはないか?

提案金額

当然のことながら、プロジェクトの多くは予算内で遂行する必要があるため、コストは重要な要素です。

依頼時に、RFP上に想定予算を記載しておけば、各社から予算に収まる提案を受けられますが、各社の提案金額は適切に検討・比較しましょう。

基本的なポイントとして、見積項目に漏れは無いか、追加費用やプロジェクト終了後にランニングでかかる費用はあるのかを確認します。

一見、予算内に収まっている提案に見えてもプロジェクト開始後に追加費用が発生するケースも少なくありません。

また、プロジェクトに対する費用対効果がシミュレーションされているほうが望ましいです。こちらも併せて確認しましょう。

  • プロジェクトの遂行に必要な項目が見積金額に含まれているか?
  • ランニングで費用がかかる項目について記載があるか?
  • 想定される追加費用に関して記載があるか?
  • 費用対効果に対する記載、シミュレーションがあるか?
  • 提案の効果には実現性・妥当性があるか?
  • リリース後の効果測定・改善に対する方針があるか?
  • 見積条件が明確に記載してあるか?

スケジュール・納期

プロジェクトによっては厳格に納期が定められているケースもあるかと思います。

提案時点でのスケジュールは想定で記載されていることが多いため、遅延によるバッファやリスクヘッジが記載されているかについて、確認しましょう。

また、支援会社側のタスクだけではなく、発注者側のタスクが明確に記載されているかも重要です。これらのタスクが現実的に社内で遂行可能かどうか、併せて確認しておきましょう。

  • 各タスクにおいて無理のないスケジュールになっているか?
  • 発注側のタスクについても記載されているか?
  • 発注側のタスクのスケジュールに余裕はあるか?
  • タスクが遅延した際のバッファは確保されているか?

プロジェクトの体制

提案書に書かれた内容は実行できなければ意味がありません。

提案の担当者とプロジェクトの担当者が変わるケースも多々あるため、提案内容を実行するための体制がしっかりと組まれているか、選定時に確認しましょう。

コンペを行う際は、プロジェクトの担当者に同席してもらうことも有効です。

  • 体制図の記載があるか?
  • 各メンバーの役割が明確に記載されているか?
  • 担当者について詳細情報(経歴や実績)の記載があるか?
  • リリース後の運用体制について記載があるか?

+αの提案

社内の検討だけでは、どうしても検討漏れや、専門性の不足が発生するものです。その不足部分を補える会社を選定することで、プロジェクト開始後の成果の最大化につながります。

能動的な提案のない支援会社は、発注後の不満につながりやすい傾向があります。支援会社の姿勢を提案内容から確認しましょう。

  • 各納品物をイメージできるサンプルが提示されているか?
  • 更なる効果創出に向けた追加の提案がされているか?
  • 追加提案は市場動向や顧客理解、競合理解を踏まえた内容か?
  • 追加提案の効果について明確に記載されているか?
  • 追加提案のコストについて記載されているか?

提案書内でチェック項目すべてを確認することは難しいかもしれませんが、不足している情報はコーポレートサイトを確認する、担当者へ問い合わせをするなどして明確にしておきましょう。

また、支援会社の担当者が受け身、返信が遅い、クオリティに差があるといった課題は、発注者側での改善は難しいため、支援会社を変えるしかありません。

しかし、実際に施策が走り出してからの支援会社の変更は、コストやリソースがさらに割かれることになり、リスクが伴います。

そのような失敗をしないためにも、選定段階で細かく情報を収集することが重要です。

本記事で紹介したチェックリストは個人情報入力不要でダウンロード可能です。

デジタルマーケティングを始めたい、成果を出したいと考えている企業の方は、支援会社選定の際にぜひご活用いただけますと幸いです。

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