インターネットやスマートフォン、ソーシャルメディアの普及によって顧客の購買プロセスが複雑化している現在。最適なタイミングで必要なコミュニケーションをとれるよう、カスタマージャーニーマップを作成する企業は増えています。
「まだ作っていない」「古くなっているかも」という方は、ぜひ本記事のテンプレートを使って顧客視点でのマーケティング施策立案に役立ててください。
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才流では「カスタマージャーニーの作成方法がわからない」「カスタマージャーニーを更新したい」企業さまを支援しています。カスタマージャーニーの作成でお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客が商品/サービスを認知してから、購入や申し込みに至るまでの道筋のこと。近年では購入や申し込み後のリピート、口コミの投稿に至るまでも一連のプロセスとして捉えることが一般的になってきています。
そして、カスタマージャーニーを可視化したものがカスタマージャーニーマップ。「わざわざ作成しなくてもマーケティング活動はできる」という声もありますが、BtoB企業のマーケティングを支援する才流(サイル)では作成するメリットを実感しています。
- 顧客視点で施策やコンテンツを設計できる
- 各施策の目的を関係者全員で共有できる
カスタマージャーニーの基礎知識や構成、詳しいメリットは以下の記事で解説しています。
迷いや悩みが生じたら、本記事とあわせてご一読ください。
※関連記事:カスタマージャーニーの意味って?基本の概念と構成【初心者向け解説】
カスタマージャーニーマップの作成手順
それでは、実際にカスタマージャーニーマップを作ってみましょう。本記事の冒頭でもご紹介した才流のテンプレートには、大枠の構成と記入例を記載しておきました。
カスタマージャーニーを考えるときに役立つ、ペルソナ(代表的な顧客の人物像)作成のテンプレートも一緒にご利用いただけるようになっています。
カスタマージャーニーマップのテンプレート(Googleスライド版)を開く
カスタマージャーニーマップのテンプレート(PowerPoint版)をダウンロードする
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作成は以下の5つの手順で進めます。
- ペルソナを作成する
- カスタマージャーニマップの横軸と縦軸の項目を決める
- 態度変容の流れ(顧客の行動)を書き込む
- 態度変容のゴール(企業の目的)を書き込む
- 施策(タッチポイント・コンテンツ例・CTA)を書き込む
手順1.ペルソナを作成する
まずはカスタマージャーニーの対象となる、ペルソナを作成します。
ペルソナとは、自社が提供する商品/サービスを活用してくれる代表的な顧客像のこと。たとえばBtoBなら、どんな業種の企業に勤め、どんな役職で、どのような課題やニーズをもつ人物なのか言語化したものです。
ペルソナは特定の人物のみを想定せず、上記の図のように3〜5種類ほど作成します。とくにBtoBの場合は購買プロセスに複数人が関わるため、特定のペルソナのみをマーケティング戦略の対象とするケースはほとんどありません。さまざまな階層・役職の人を想定して複数のペルソナを用意しましょう。
いきなり数種類を用意するのが大変であれば、まずは優先するべき1種類だけ作成します。コツは、最初から精度を高めようとしないこと。
「精度は50点でいいから、まずは言語化しよう」くらいの気持ちで土台を作り、営業部門やインサイドセールスの意見をもとに少しずつブラッシュアップしていきましょう。
ペルソナ作成の具体的な手順は、以下の記事でまとめています。
※関連記事:ペルソナ作成3つのステップ
手順2.カスタマージャーニーマップの項目を決める
1種類でもペルソナを作成できたら、その人物を想定してカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
構成は自由ですが、横軸は購買プロセスがわかる項目を、縦軸は態度変容の流れや顧客との接点を整理できるような項目がおすすめです。
テンプレートには、BtoBでの基本的な項目例を入れてあります。
【横軸:購買プロセス】
顧客が商品やサービスを認知してから購入、申し込むまでの購買プロセスを時系列で用意しましょう。各フェーズを分類する項目にルールはありません。繰り返しになりますが、近年では商品やサービスが活用され、推奨されるようになるまでの項目も入れるようになってきています。
【縦軸:態度変容の流れや顧客との接点】
BtoBの場合、1番最初に顧客の行動(態度変容の流れ)を、その下に企業の目的(態度変容のゴール)を設けるとタッチポイントやコンテンツ例、CTA(※)をスムーズに書き込めます。
BtoCであれば、最初に感情の変化を用意してもよいでしょう。
※CTA:シーティーエー/Call to Actionの略。ユーザーに起こして欲しい行動をボタンやリンクで表示したもの。「行動喚起」と訳される。
手順3.顧客の行動を書き込む
カスタマージャーニーは、企業の目的に沿って顧客を行動させるためのものではありません。
顧客視点がブレないよう、顧客自身が選ぶであろう行動から書き込んでいきます。
もう少し具体的に、記入した例もご紹介しておきましょう。
以下は、法人向け会計システムを提供している企業を想定した記入です。
見込み顧客が漠然とした大きな課題感を抱き、サービスを知って利用するまでの流れがイメージできるようになりました。営業部門の商談に同席したり、ペルソナに近い顧客へインタビューすると具体的に書き込めるようになります。
手順4.企業の目的を書き込む
顧客の行動を書き込んだら、その下に企業の目的を書き込みましょう。これは、各フェーズの顧客に対して目指すべき自社のゴールと言い換えることもできます。
実行する施策を通じて、顧客にどのような行動や思考の変化を起こしてもらいたいのか記載してください。
目的を定めたら、最後に具体的な施策を書き込んでいきます。
手順5.施策(タッチポイント・コンテンツ例・CTA)を書き込む
施策は、各フェーズごとに「タッチポイント」と「コンテンツ例」にわけて書き込むと整理しやすくなります。それぞれ何を目標とするのか、見込み顧客が次のフェーズへ自然に進めるCTAも書き込んでください。
まず実行中の施策からあててみると、スムーズに書き込めます。認知から購入にフェーズが進むほどタッチポイントは狭く、コンテンツは利用者が絞られるはずです。
ただしBtoBであれば、検討や商談にはさまざまな人や複数の部署が関わるものです。現場の担当者をペルソナとしたカスタマージャーニーマップであっても、その上長や関連部署とのタッチポイントも設けておくことを忘れずに。
投資対効果がイメージできる営業資料や提案資料など、決済者が見ても購入の判断に役立つコンテンツも必要になってくるでしょう。
さて、ここまで書き込めたらカスタマージャーニーマップは完成です。
少々粗くても、一連のプロセスが可視化できるようになったら、施策が手薄なフェーズはないかチェックしてみましょう。
たとえば商談化率が悪い状況であれば、「認知フェーズの施策は一旦ストップして、検討フェーズの顧客に役立つような勉強会を開き、サービス紹介のLPも改善してみよう」など、優先度もつけられるようになります。
カスタマージャーニーマップを作成するときの注意点
才流のコンサルタントであり本記事の監修を務める澤井和弘から、カスタマージャーニーマップ作成時の注意点をお伝えしておきます。
注意点1. マーケティング部門だけで作成しない
カスタマージャーニーマップは、マーケティング部門が主導して作るのが一般的です。しかし、マーケターが担っているのはあくまでも購買プロセスの一部ということを忘れてはいけません。
「商談」や「購入・推奨」など、カスタマージャーニーマップには営業やカスタマーサポート/サクセスといった部門が顧客接点となるフェーズも含まれます。
一連のプロセスにあてはめた施策が妥当か、他部門の意見も聞きながら作成し、顧客視点からズレないように気をつけましょう。
注意点2. 各フェーズの施策は複数人で検討する
施策(タッチポイント・コンテンツ例)は1人で考えると視野が狭くなります。個人の感覚に頼った内容になり、作成者の得意なフェーズに施策が集中しかねません。
ペルソナに近い顧客へのインタビューを実施し、さまざまな施策の経験者を巻き込んで作るようにしてください。もし、思いつかないようであれば、私たちのようなマーケティングのコンサルタントを頼ってもよいでしょう。
まとめ
どんなに優秀なマーケターでも、1人で完璧なカスタマージャーニーマップなんて描けません。
まずは粗くてもよいので複数人の視点をもとに作成し、作成後は施策を実行し、有効なタッチポイントやコンテンツが見つかったら追記していく。その繰り返しで運用していくものです。
くれぐれも、「カスタマージャーニーマップを作って終わり」にしないように。実際のアクションに、どんどん起こしていくことが何よりも大事です。
才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)