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社内に眠るコンテンツの再活用|品質を保ちながら制作時間を減らすためのレシピ&棚卸しシート付き

BtoBマーケティング
シニアコンサルタント
小東 真人

「コンテンツを新しく作るのが難しい」「制作に時間がかかりすぎる」。BtoBマーケティングや営業の現場でよく聞く課題です。こうしたご相談を受けたとき、私はまず「本当に新しく作る必要はありますか。社内に活用できるコンテンツが眠っていませんか」とお聞きしています。

コンテンツが足りないとき、新しく作ることだけが解決策ではありません。社内の既存コンテンツを棚卸しして再活用すれば、制作時間を減らしながら、品質も担保できます。

本記事では、社内に眠るコンテンツを別のフォーマットに変換したり、統合したりして再活用する方法を解説します。コンテンツ制作の時間や人手が足りないと悩む、BtoB企業のマーケティング・営業担当者の方はぜひ参考にしてください。

本記事で得られる知見

・社内に眠るコンテンツを再活用する4つのステップ

・「新規作成・加筆修正・統合」に振り分ける判定の考え方

棚卸しシート(Excel形式)をダウンロードする

※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。

コンテンツ再活用の進め方ステップ

コンテンツの再活用は、まず顧客の課題やニーズを整理することからはじめます。課題やニーズに応えるコンテンツを社内で探し、コンテンツの形式や内容をどのように変換していくかを決めるという流れです。

  • 01 頻出する顧客の課題やニーズをリスト化し、優先順位をつける

    最初のステップでは、顧客からよく聞く課題やニーズをリスト化します。コンテンツを「何に使えるか」からではなく、「顧客が何を知りたいか」から考えるためです。コンテンツの再活用はあくまで、必要な情報をスピード感をもって顧客に届けるための1つの手段であり、目的ではありません。 

    情報収集のため、まず商談で出る課題やニーズを営業担当者にヒアリングしましょう。ほかにも、商談中・失注後の見込み顧客へのインタビュー、同業他社・近接領域の競合分析なども有効です。

    集めた課題やニーズは、「発生頻度×自社サービスが価値提供できる可能性」の2軸で評価し、高いものから10個程度に絞り込みます。

    「自社サービスが価値提供できる可能性」とは、課題やニーズに対して自社のサービスやノウハウで解決・改善できる見込みのことです。頻出する課題やニーズのなかでも、自社の強みや支援実績と結びつけやすいものほど、営業資料やコンテンツとして再活用しやすくなります。 

    なお、顧客はどのような人たちなのか、どのフェーズでどんな情報を知りたいと思っているのか。もし、この問いにすぐに答えられないようであれば、まずはペルソナやカスタマージャーニー、階段設計から取り組んでみてください。次の記事で詳細を解説しています。

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  • 02 社内のコンテンツを探す

    課題やニーズが絞り込めたら、次は「それに応えるコンテンツが社内のどこにあるか」を探しましょう。

    マーケティング部門内に限らず、フィールドセールス、インサイドセールス、カスタマーサクセス、事業企画など、外部向けのコンテンツを持っていそうな現場すべてが対象です。場合によっては、広報や人事部門もコンテンツを持っていることがあるでしょう。

    再活用に使いやすいのは、主に次のコンテンツです。

    • 汎用営業資料
    • 個社別営業資料
    • お役立ち資料
    • サービス紹介資料(事例集を含む)
    • 課題解決系ウェビナー資料
    • オフラインイベントの講演(記録・動画)
    • FAQ・想定問答集
    • メールコンテンツ

    加えて、社内でよく引用される業界資料・統計データ・調査レポートも一緒に集めると、再活用の幅が広がります。

    探すときに意識したいのは、全社員がアクセスできる公開フォルダだけを確認するのではなく、各部門の手元にあるコンテンツを発掘することです。各部門を訪問し、商談やセミナーで実際に使ったコンテンツや、手元にある最新版の共有を依頼しましょう。

    なお、どの部門から手をつけるか迷う場合は、商談で使う最新版のコンテンツを持っていることが多い、フィールドセールスからはじめるのがおすすめです。 

    コンサルタントの実践アドバイス

    小東

    「うちの会社にはコンテンツがない」とおっしゃる方が多いのですが、立ち上げフェーズの事業を除けば、「実はある」ケースがほとんどです。各部署や担当者個人が個別に管理しているコンテンツは、積極的に探しにいかないと見つかりません。各部門やコンテンツを作っている担当者に声をかけ、場所を指定して資料を入れてもらうだけでも、意外な発見があるはずです。

  • 03 棚卸しシートに集約する

    ステップ2で見つけたコンテンツは、棚卸しシートに集約して整理します。次のステップ4で、このシートを見ながら「どのコンテンツをどう再活用するか」を判断していくためです。

    コンテンツ名、所有部門、想定読者、主張、最終更新日、データソース、再活用候補先を一覧化しておくと、比較しやすくなります。

    なかでも重要なのが、データソースの確認です。引用している事例や調査データが提案先の業界や課題と合っていないと、コンテンツの説得力が弱まります。 

    想定読者と主張は、各コンテンツを確認しながら1〜2行で要約します。最初から完璧に分類しようとすると進めるのが難しくなるので、精度にはこだわりすぎずに書いてみましょう。

    棚卸しシート(Excel形式)をダウンロードする

    ※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとファイルがダウンロードされます。

    棚卸しシートには、マーケティング担当者・営業担当者それぞれの自己点検用の問いも入れてあります。シートを開いたら、「最も多い顧客課題に対して、お役立ち資料や事例はそろっているか」「似た提案資料が複数バージョン乱立していないか」などを1問ずつ自問してみてください。眺めるだけで、行動レベルの宿題が見えてきます。

  • 04 再活用の方針を決める

    棚卸しシートが埋まったら、コンテンツを1つずつ確認し、「新規作成・加筆修正・統合」のいずれかに振り分けます。

    判断の軸は、これから作りたいコンテンツと、棚卸しシートに記載した既存コンテンツの「違い」です。想定読者や主張が違う場合は、再活用は難しいため新規作成と判断します。想定読者と伝えたいことが同じで、見せ方が違うだけならば、章立てや順番の組み換えといった加筆修正で再活用が可能です。そして、同じ読者に向けた似たコンテンツが複数あるならば、統合を検討します。

    たとえば、「製造業向け導入事例集」と「在庫管理サービスの導入事例集」が別々に作られていたとします。どちらも同じ現場担当者向けに作られた資料であれば、章立てや並び順を整えるだけで、1本に統合できます。同じ顧客に似た資料を複数渡していた場合は、統合するだけでも、提案を受け取る側の負担を減らせます。

    一方で、この事例集を現場向けではなく、経営層向けに見せるなら、再活用は難しくなります。経営層は、現場での使いやすさよりも、投資対効果や事業インパクトを重視するためです。読者が変わると、冒頭の切り口や強調する成果指標も変わるため、新規作成が適しています。

  • コンテンツの変換レシピ

    既存のコンテンツを実際に再活用する際、多くは「残す・削る・足す」で整えられます。私がよく支援現場で使う変換レシピを5つ紹介します。

    レシピ1|課題解決系のウェビナー資料→商談で使う提案資料

    課題解決系のウェビナー資料は、商談で使う汎用提案資料へと変換しやすいコンテンツです。

    たとえば「業界の最新トレンド解説」や「業務改善メソッド」のように、特定の企業に限らず多くの顧客に共通するテーマを扱ったウェビナー資料は、同じ課題を抱える見込み顧客との商談でも活用できます。

    再活用する際は、すべてのスライドをそのまま使うのではなく、商談で必要な要素に絞って再編集します。図解の骨格や主張、課題を裏付けるデータは残し、当日限定の案内や登壇者紹介など、商談相手にとって重要度の低い情報は削ります。

    そのうえで、商談相手の業界や状況に合わせた具体例を足したり、相手の関心が高い論点に応じてページを差し替えたりします。

    レシピ2|お役立ち資料をメルマガ連載に再活用する

    ダウンロードしてもらう前提で作ったお役立ち資料は、本文を分解するとメルマガの連載コンテンツになります。

    残すのは方法論や図解の骨格、具体例やデータで、削るのは長めの背景説明や自社サービスの紹介です。行動を促す一言を入れ、次回への導線を置いておきましょう。

    たとえば30ページのトレンド解説資料なら、章ごとに分けて週1配信・8週分のシリーズに。導入事例系の資料も、1事例=1配信の単位で連載に組み替えられます。

    レシピ3|個社別の営業資料→導入事例集

    個社別の営業資料は、サービス紹介資料に入れる「導入事例」として活用できます。匿名化して「ある業界の事例」として載せるか、顧客の同意をとって実名で載せるかの2パターンが考えられます。

    各社の課題や解決策のロジック、提案した施策などは共通して使えるため残しますが、個社特有の情報は削ります。もし匿名化して掲載する場合は、社名・固有数値・業界が特定できる記述などを一般化し、同じ業界・規模のよくある課題として置き換える必要があります。

    営業資料から導入事例集にそのまま使えるフォーマットは、「営業資料の作成と改善に役立つテンプレート」のスライドp.8・p.9にあります。ダウンロードしてご活用ください。

    営業資料の作成と改善に役立つテンプレートの記事からダウンロードできます。個人情報の入力は必要ありません。

    また、才流では上記とは逆の流れでコンテンツの変換を行っています。

    まず導入事例のインタビューを行い、記事を作成します。それをもとに導入事例集に追加するスライドを作成。商談時には、導入事例集から最適な事例をピックアップして使うという流れです。導入事例集は、狙いたい業界や支援メニュー、顧客課題などの切り口で仕分けをしておくと、探しやすくなります。

    レシピ4|オフラインイベントの講演→2つのルート(動画・テキスト)

    オフラインの講演やセミナーは、当日の動画を撮影しておけば複数のコンテンツへ変換できます。

    たとえば、二次利用のオンデマンドウェビナーとして配信したり、講演内容をブログコンテンツ・ホワイトペーパーに展開したり。または、特定の論点だけを抜き出して、短尺コンテンツへの編集も可能です。媒体ごとに編集しましょう。

    講演の核となるメッセージや課題設定、具体例、事例、データなどは残して再活用できる要素です。

    一方で、会場限定の案内や当日の進行説明、冗長な前置き、聞き取りづらい部分などは削ります。そのうえで、動画配信用のタイトルや概要文、記事・ホワイトペーパー用の見出し、図解、補足説明、関連CTAなどを足します。これで、オンデマンドウェビナー、記事、ホワイトペーパー、短尺コンテンツへ展開しやすくなります。

    レシピ5|カスタマー部門のFAQ・想定問答集→営業資料・サービス紹介資料の「よくある質問」ページ

    カスタマーサポートやカスタマーサクセスが日々蓄積しているFAQや想定問答集は、営業資料・サービス紹介資料の「よくある質問」ページに、ほぼそのまま転用できます。個社特有の文脈は削り、足りない説明の補足や関連リンク、ほかに想定される質問などを追加するだけで、営業資料やサービス資料への再活用が可能です。

    逆に、営業資料に追加された新しい問答をカスタマーサポートへ戻せば、マーケティング・営業・カスタマー部門が同じ問答セットを共有でき、組織全体で応答品質の向上が期待できます。

    よくある質問ページのフォーマットは、先述した「営業資料の作成と改善に役立つテンプレート」スライドp.14にありますので、ダウンロードしてご活用ください。

    営業資料の作成と改善に役立つテンプレートの記事からダウンロードできます。個人情報の入力は必要ありません。

    再活用したコンテンツを機能させるためのポイント

    せっかくコンテンツを再活用しても、現場で使われなければ意味がありません。

    誰もが自然に使える状態を作るには、コンテンツの「置き場所」と「鮮度」が重要です。

    実際にうまくコンテンツ再活用を進めている企業では、棚卸し後のコンテンツ一覧をスプレッドシートにまとめ、営業担当者が毎日見るSalesforceのトップ画面に固定していました。

    「あの資料どこにあったかな」と探す手間をなくさないと、現場ではなかなか使ってもらえないのです。

    また、顧客の課題やニーズの変化のスピードに沿ってコンテンツを更新していかなければ、使えないコンテンツになってしまいます。月1度となると負担が大きいですが、四半期に1度の棚卸し・更新はしておきたいところです。

    新しく作られたコンテンツや改訂版を取り込み、再活用候補を見直しましょう。更新のたびに「この期間で生まれたコンテンツ」「再活用できそうな組み合わせ」を会議で共有すると、組織に再活用が定着していきます。

    再活用が効いた2社の事例

    社内コンテンツの再活用に取り組んだ2社の例を紹介します。

    実例1|複数の提案資料やウェビナー資料から、標準の型を作る

    従業員600名規模の某人材サービス企業の営業推進部では、提案資料が各営業の手元に散らばり、隣が作った資料を知らずに似たものをまた作る「車輪の再発明」が起きていたといいます。そこで、成果を出している営業の資料やウェビナー資料を集め、提案資料のひな型に作り替えました。

    これにより、若手の提案資料づくりは細かな修正と切り貼りで済むようになり、週10時間ほどかかっていた作成時間を1時間ほどに削減。空いた時間は、顧客への提案準備やデータ入力など、本来やるべき仕事に回せるようになったそうです。

    実例2|商材ごとにバラバラの営業資料を、1本の提案資料に統合

    従業員数万人規模の複数商材を扱う通信系企業では、同じ大口顧客に対し、3つの事業部が別の商材を提案していました。バラバラの資料を使っており、顧客からは「別の会社だと思っていた」「担当者によって資料のクオリティが違う」などの声も。そこで各事業部の提案を1つのファイルに統合し、引用データも顧客の業界に揃えたところ、顧客側の理解が進み、導入がスムーズになったそうです。

    コンサルタントの実践アドバイス

    小東

    現場の必要から生まれた社内のありものコンテンツは、特定の課題にフォーカスが合っていて、ゼロから作るより役立つ情報になりやすいものです。自社にとっての「あたりまえ」が、読み手には「大きな気づき」になります。

    まとめ

    現場ですでに使用したコンテンツは、顧客の前に出せる一定の品質に磨かれていることが多く、社内の貴重な資産になります。「一度使って終わり」にするのは、とてももったいないことです。

    再活用が回り始めると、コンテンツ制作にかかる時間とコストを減らしながら、品質を担保できます。まずは、営業部門に「この半年で使ったコンテンツを共有してください」と声をかけるところから着手しましょう。

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