大きな費用やリソースを投じた展示会の成否を、正しく評価できていますか?
本記事では、展示会後の効果的な振り返りについて解説します。振り返りに必要な項目を網羅した「振り返りテンプレート」も用意しましたので、ぜひご活用ください。
展示会振り返りテンプレート(Word形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます
展示会は「実施して終わり」ではない
まずは、展示会を終えた2つのチームの会話をご覧ください。
チームA

「去年より人は来てたから、まあ成功かな」
「他社のブースも似たような感じだったし、こんなものでしょう」
「アンケートは集まったから、あとは営業に任せよう」
チームB

「商談化率は目標の60%にとどまった」
「ターゲット企業から10件の引き合いがあった」
「去年とブースの導線を変えたら滞在時間が伸びた」
「この質問が多かったから、次回は説明資料を準備しよう」
次回の展示会で、より良い結果を出せるのはどちらのチームだと思いますか?
答えは後者、チームBです。
前者のチームAの振り返りは、主観的であいまい。気づきや次回に向けた改善アクションが得られず、「なんとなくよかった」で終わっています。一方チームBは、数値をもとに振り返りを行い、次につながる具体的なアクションについても話をしています。
こうして対比してみると答えは明らかなのですが、いざ自社の状況をみると、「正しく振り返りをできていない」という方もいるのではないでしょうか。
展示会出展には数百万〜数千万円のコストや多くの人的リソースがかかります。だからこそ、「実施して終わり」はNGです。定量・定性の両面から振り返りを行い、成功を再現できる仕組みを作っていきましょう。
展示会の振り返りで押さえるべき3つの視点
ここからは、振り返りのポイントを3点お伝えしていきます。
1. 定量的な成果
まずは数値で成果を把握すること。獲得リード数は目標に対してどうだったか、そのうち何件が商談化したか、商談化率はどの程度か。また、出展にかかった総コストから算出するリード獲得単価も重要な指標です。
名刺交換数やアンケート回収数も、来場者との接点を測る基礎データとして記録しておきましょう。
2. 定性的な気づき
次に、数字には表れない現場の気づきも重要です。設計したブース導線は実際に機能していたか、来場者からどんな反応があったか、よく聞かれた質問は何か。
競合他社のブースと比較して気づいた点や、スタッフの接客対応で改善できそうな点など、現場でしか得られない情報を言語化していきます。
3. 改善アクション
最後に、振り返りで得られた気づきを、次回の改善につなげる具体的な施策に落とし込みます。
誰が、いつまでに、何をするのか。必要なリソースや準備事項も含めて、実行可能なアクションプランを策定することで、振り返りが形骸化することを防げます。
展示会振り返りテンプレート
前述した3つの視点をふまえ、振り返りのミーティングを効果的に進めるためのテンプレートを用意しました。マーケティング担当者、営業担当者、広報など展示会に関わった主要メンバー全員が参加して進めるのが理想的です。
展示会振り返りの進め方
振り返りは、以下のように進めます。
- 展示会後、1週間以内に振り返りミーティングを設定
- ミーティング前に各メンバーが事前にテンプレートに記入をしておく
- ミーティングでは、Moreと改善点を中心に議論する
※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます。
以下をコピーしてご利用いただくことも可能です。
展示会振り返りシート
- 展示会開催後、1週間を目安にミーティングを実施します。
- 本シートはミーティングの前に記載しておきましょう。
【概要】
- 展示会
- 開催日
【目的・目標】※どちらも1つに絞ることが望ましいが、複数ある場合は優先度を付ける
- 目的
- 目標
【結果】
- 入場者
- 入場者数 :○名/目標:○名
- 獲得数
- リード獲得数 :○件(○%)/目標:○件(達成率:○%)
- アンケート獲得数:○件(○%)/目標:○件(達成率:○%)
- 商談獲得数 :○件(○%)/目標:○件(達成率:○%)
- 費用
- 総額 :○万円
- リード単価 :○円(総額÷リード件数)
【Good&More】
- Good
- More
【次回に向けた改善点】
【当日の写真】※あれば添付
たとえばGood&Moreは、できるだけ具体的に書き出します。テンプレート内にも、記入例がありますので、ご参照ください。
記入例
Good(良かった点)
・小間位置が大通りかつ出入口付近だったため、人通りが多く、立ち止まってもらいやすかった。
・ノベルティが来場者の注目を集め、「とりあえず話を聞いてみよう」というきっかけが作れた。
・バーコードスキャンも容易にできた。
・ターゲット顧客への説明で「〇〇〇〇〇」というフレーズが刺さっていた。
・具体的な数字を出したことで興味を持ってもらえた。
More(悪かった点)
・デモ機が2台しかなかったため、デモ希望者を15分以上待たせてしまうケースがあった。なかには待ちきれずに去ってしまった方もいた(10名ほど)
・キャッチコピーが抽象的で、ひと目でどんなサービスなのか伝わりにくかった。気になって足を止めても、「よくわからない」とブースに寄らずに通り過ぎてしまう方も一定数いた。
・ターゲット顧客と思っていた〇〇職には、刺さっていなかった。
・アンケート項目が多すぎて、記入を途中でやめてしまった回答者もいた。

定性情報を書き出すのが難しいと思う方もいるかもしれませんが、最初は「印象に残ったこと」「違和感を覚えたこと」など、ちょっとした気づきをメモすることからはじめてみましょう。
まとめ
展示会の振り返りは、マーケティング投資の効果を最大化する重要なプロセスです。定量・定性の両軸で体系的に振り返ることで、「なんとなくの成功」から「再現可能な成功」へと進化させることができます。
ぜひこの機会に、テンプレートを活用した振り返りの仕組みを導入し、展示会マーケティングのPDCAサイクルを確立してください。