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BtoBマーケティング担当になったら最初に知っておきたいこと~9つの情報整理フォーマットを解説~

転職や異動で初めてBtoB商材のマーケティング担当になると、「マーケティング戦略や施策を考えたいが、どんな情報を調べればよいかわからない」「どこまでの粒度で情報収集するべきかわからない」と感じることがあると思います。

顧客・競合・自社を理解するために情報収集は必須ですが、点在する情報をどのように入手すればいいのでしょうか。

私は前職でBtoB商材のマーケティング担当になり、新しくチームを立ち上げた経験があります。初めてBtoBマーケティングに取り組んだときの自分は、まず各部署が持つ情報を集めました。しかし、今振り返ると何が必要な情報なのか理解できておらず、情報の過不足がある中で戦略策定にも時間がかかってしまいました。

そこで本記事では、初めてBtoBマーケティング担当になった方の情報収集に活用できる「9つの情報整理フォーマット」を解説します。

弊社でもプロジェクトを始める際、必ずクライアントに記入を依頼しています。クライアントの事業理解や商品理解を適切に行った上で、マーケティング戦略・施策の立案をするためです。

担当するBtoB商材に関する情報の全体像を確認するために、ぜひご活用ください。

マーケティングの情報整理フォーマット(Excel)のダウンロードはこちら
※個人情報の入力なしでダウンロード可能です。

目次[非表示]

  1. 1.マーケティング全般の基本情報
    1. 1.1.自社の情報
    2. 1.2.自社サービスの情報
    3. 1.3.マーケティング活動の情報
  2. 2.マーケティング施策
  3. 3.コンテンツ
  4. 4.問い合わせ内容
  5. 5.受注理由
  6. 6.失注理由
  7. 7.解約理由
  8. 8.既存顧客
  9. 9.プロジェクトメンバー
  10. 10.さいごに

マーケティング全般の基本情報

まずは「1.ヒアリングシート」を使い、基本的な情報を整理します。

自社の情報

img1-自社の情報

ミッション:自社が果たすべき使命として掲げているものを記入します。コーポレートサイトに記載されている場合が多いですが、ミッションの意味や背景を理解したうえで記入することが大切です。

ビジョンや中長期のゴール:将来のある時点において自社のありたい姿を記入します。IR情報や社内で共有されているものを確認しましょう。

自社サービスの情報

img2-自社サービスの情報

提供サービスの概要:サービス説明を簡潔に記入します。サイトのトップページまたはサービス紹介ページに記載されているものを確認しましょう

WebサイトやLPのURL:マーケティング対象となるサイトやLPのURLを記入します

サービスを立ち上げた経緯:なぜサービスを立ち上げたのかを記入します。誰がどんな問題の解決または願望の実現を達成するためにサービスを立ち上げたのか、具体的に確認しましょう

どのような課題を解決するサービスなのか:サービスを利用した顧客が解決できる課題を記入します。サイトのトップページやLP、営業資料に記載されていることが多いです

顧客が実現したいこと:なぜ顧客は課題を解決したがっているのかを記入します。課題を解決した後、顧客が実現したいと考えていることを確認しましょう

顧客への提供価値:自社がサービスを利用した顧客に提供する価値を記入します。自社はどんな付加価値を生み出しているのかを確認しましょう

1顧客あたりのLTV:「LTV」は、Life Time Valueの略称です。日本語では顧客生涯価値と訳されます。ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、という収益の総額のことです
参考:LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは?意味や算出方法を解説

1顧客あたりのCAC:「CAC」は、Customer Acquisition Costの略称です。日本語では顧客獲得単価と訳されます。一顧客の獲得にかかる営業・マーケティングのトータルコストを指します
参考:CAC(カスタマーアクイジションコスト)

ターゲット企業のプロフィール:業種・業態や規模などの属性情報に加えて、企業として抱える課題感などの定性情報も記入します

上記を選んだ理由:ターゲット企業のプロフィール設定理由を記入します。〇〇という属性上、△△という課題を抱えやすいから、といった具体的な理由まで記入しましょう

ターゲット担当者のプロフィール:性別や年齢、役職などの属性情報に加えて、担当者として抱える課題感などの定性情報を記入します

上記を選んだ理由:ターゲット担当者のプロフィール設定理由を記入します。〇〇という属性上、〇〇という課題を抱えやすいから、といった具体的な理由まで記入しましょう

過去の代表的な顧客(目安:5社):社内で象徴的な案件として話題にあがるような顧客を記入します。社名、抱えていた課題感、自社が提供できた価値などを具体的に記入しましょう

上記を選んだ理由:過去の代表的な顧客として選んだ理由を記入します。〇〇、△△などの代表的な獲得経路だから、〇年以上の継続した取引があるから、など具体的な理由まで記入しましょう

自社の「強み」と考えるところ(設備・技術):設備・技術面において、自社の強みと考える部分を記入します

自社の「強み」と考えるところ(知識・経験):知識・経験面において、自社の強みと考える部分を記入します。例えば才流では「戦略立案から実行まで対応できるノウハウ」「100社以上のコンサル実績」などが挙げられます

自社の「強み」と考えるところ(人材・組織):人材・組織面において、自社の強みと考える部分を記入します。例えば才流では「BtoBマーケティング歴10年以上のメンバーが在籍」などが挙げられます

自社の「強み」と考えるところ(外部との関係):外部との関係面において、自社の強みと考える部分を記入します。例えば才流では「上場企業やベンチャー企業まで幅広く支援」「広告代理店や制作会社などの外部パートナーと連携して実行まで支援」などが挙げられます

自社の「強み」と考えるところ(理念・文化・歴史):知識・経験面において、自社の強みと考える部分を記入します。例えば才流では「メソッドカンパニーを目指し、プロセス改善とコンテンツ作成に注力」などが挙げられます

競合企業もしくは代替手段(目安:5社):「競合企業/もしくは代替手段」には、営業時にコンペになることが多い企業や、失注時の理由として上がりやすい代替手段などを記入します

上記を選んだ理由:競合企業もしくは代替手段として選んだ理由を記入します。商談の場で比較されることが多い、予算の出所が同じである、など具体的に記入しましょう

受注理由:顧客が商談時に自社サービスを選んだ理由を記入します。SFAなどの商談ログに記録されているものを確認しましょう

失注理由:顧客が商談時に自社サービスを選ばなかった理由を記入します。SFAなどの商談ログに記録されているものを確認しましょう

解約理由:顧客が自社サービスを継続しなかった理由を記入します。自社で直接ヒアリングすることはもちろん、顧客の本音を引き出すために第3者を介してヒアリングすることも有効です

マーケティング活動の情報

img3-マーケティング活動の情報

マーケティング活動の目標:自社のマーケティングチームがKGIやKPIとして掲げている目標を記入します。既にKPIを管理しているシートがある場合には、誰が、何の指標を、どの頻度でチェックしているかを合わせて確認しましょう

マーケティング活動における課題:定量と定性の両視点で記入します。定量の視点で言うと「目標から〇%未達状態が〇か月続いている」、定性の視点で言うと「集客チャネルがFacebook広告に依存している」「場当たり的な施策が多く、体系的なマーケティングの仕組みやナレッジが蓄積されていない」などが挙げられます

マーケティング予算:現在マーケティング施策に投資できる金額の上限を記入します。年単位、月単位で投資できる金額が異なる場合には、併せて記入しましょう

保有しているマーケティングリード数:マーケティング施策に活用できるリードの数を記入します。総リード数に占めるオプトアウト(配信停止)数なども合わせて記入し、実際には何件のリードにアプローチできるかも確認しましょう

注力している取り組み:現在チームとして注力していることを記入します。予算投下の割合が大きい施策に加えて、ナレッジの蓄積などチームの工数をかける割合の大きい取り組みなども記入しましょう

利用中のツール:現在マーケティング活動のために利用しているツールの種類と名前を記入します。例えば、SFAはSales Cloud、MAはPardot、CMSはWordPressなどです

外部パートナー:広告代理店やWebサイトの制作会社など、現在のマーケティング活動に関わるパートナーの名前を記入します。すべての活動を自社で完結できることは少ないため、マーケティング活動においては外部パートナーとの連携が重要です

社内会議:マーケティング活動に関する会議を記入します。目的や参加者も合わせて確認しましょう

ToDo管理方法:マーケティング活動に関するToDoの管理方法を記入します。既にToDoを管理しているシートが存在する場合には、合わせて確認しましょう

主な顧客獲得経路:Google広告やFacebook広告などオンライン施策に加えて、アライアンスや既存顧客からの紹介などオフライン施策も記入しましょう

顧客が自社に問い合わせをするきっかけ:問い合わせという行動に顧客を至らせた直接のきっかけとなるシーンを記入します。わからない場合には、インサイドセールスなど顧客接地面を担う部署に話を聞いてみると、より具体的な情報を得られることが多いです

その他の参考情報:マーケティング戦略・施策の策定や、マーケティング施策の実行上、参考になりそうな情報を記入します。マーケティングは全社に関わる役割のため、決算資料や事業計画書など会社の方針に関する情報は確認しておきましょう

マーケティング施策

次に「2.マーケティング施策リスト」を使い、過去に実施した施策、現在実施中の施策、今後計画している施策に関する情報を整理します。

img4-マーケティング施策リスト

CVポイント:施策を通じて見込み顧客にどんな行動を起こさせたいかを記入します。例えば「問合せ」や「資料請求」などが挙げられます

カテゴリ:一般的に使われる施策の分類を記入します。例えば「SEO」「広告出稿」「SNS運用」などです。分類に迷う場合は、「BtoBマーケティングの手法大全 – 社内会議で使える79個の施策アイデア」に記載されている表を参照ください

BtoBマーケティングの手法一覧

施策名:カテゴリをより細分化した名称を記入します。広告出稿で言えばGDN(Googleのディスプレイ広告)やFacebook広告、SNS運用で言えば公式アカウントや代表の個人アカウントなどが挙げられます

目的:施策を開始した背景や狙いを記入します。例えば見込み取引額の大きい〇〇というペルソナのリードを獲得するため、などが挙げられます

予算:施策の実施費用を記入します。過去に実施した施策は実績額を、現在または今後計画している施策は予定額を記入します

開始時期:施策を開始した日程を記入します。厳密にわからない場合には、月単位などおおよそのタイミングを確認しましょう

終了時期:施策を終了した日程を記入します。厳密にわからない場合には、月単位などおおよそのタイミングを確認しましょう

担当者:施策実行を実際に担当した人の名前を記入します。担当者が社内外にいる場合には、社内担当名(ディレクション)、外部パートナー名(オペレーション)のように、役割範囲を確認しましょう

コンテンツ

「3.コンテンツリスト」は、ランディングページ、お役立ち資料、メールマガジン、書籍などのマーケティングコンテンツに関する情報を整理するために使います。

img5-コンテンツリスト

名前:コンテンツの名前を記入します。ホワイトペーパーや書籍などの場合はタイトルを、LPなどの場合は特長がわかる名前(例:IT業界向けサービス紹介LP など)です

カテゴリ:一般的に使われるコンテンツの分類を記入します。例えば「ホワイトペーパー」「LP」などです

想定ターゲット:誰にコンテンツを届けたいかを記入します。例えば、顕在層向け、潜在層向け、などが挙げられます

URL:コンテンツを閲覧することができるページや資料のURLを記入します。マーケティング担当者としては、展開中のコンテンツについては即時アクセスできるように一元管理しておきましょう

問い合わせ内容

「4.問い合わせ内容リスト」にて、見込み顧客からの問い合わせ情報を整理します。期間は、現在から数えて半年分程度を目安に記載しましょう。

img6-問い合わせ内容リスト

問い合わせ日付:見込み顧客から問い合わせをもらった日付を記入します

企業名:見込み顧客が所属する企業の名前を記入します

従業員規模:見込み顧客が所属する企業の規模を記入します。問い合わせフォームの入力形式を、自由記入ではなく選択式にしておくと、データ分析が容易になります

役職:見込み顧客の役職を記入します。問い合わせフォームの入力形式を、自由記入ではなく選択式にしておくと、データ分析が容易になります

問い合わせ経路:見込み顧客が問い合わせを決めた「きっかけ」を記入します。問い合わせフォームの入力形式を、自由記入ではなく選択式にしておくと、データ分析が容易になります

問い合わせ内容:見込み顧客が問い合わせた内容を記入します。選択式はデータ分析が楽になり、自由記入は顧客理解を深めやすいため、フォームの項目数を増やせる余地がある場合は併用しましょう

受注理由

「5.受注理由リスト」にて、直近で取引のあった企業の受注理由(選ばれた理由)を整理します。目安としては、30社以上の情報があると望ましいです。

img7-受注理由リスト

受注時期:顧客から発注を頂いた日程を記入します

企業名:顧客の企業名を記入します。判別を容易にするために、略称ではなく株式会社などを含めた正式名称で記入しましょう

事業概要:顧客が何の事業に取り組んでいるかを記入します。顧客のサイト上に記載があることが多いです

受注理由:顧客から選ばれた理由を記入します。どんな課題を解決したくて、顧客はサービスを発注したのか。競合他社ではなく自社サービスが選ばれた理由は何かを記入しましょう

失注理由

「6.失注理由リスト」にて、直近で営業を行った企業の失注理由(選ばれなかった理由)を整理します。目安としては、30社以上の情報があると望ましいです。

img8-失注理由リスト

失注時期:見込み顧客に提案をしたが失注した日程を記入します

企業名:見込み顧客の企業名を記入します。判別を容易にするために、略称ではなく株式会社などを含めた正式名称で記入しましょう

事業概要:見込み顧客が何の事業に取り組んでいるかを記入します。見込み顧客のサイト上に記載があることが多いです

受注理由:見込み顧客から選ばれなかった理由を記入します。どのような課題を解決したくて、見込み顧客はサービスを検討したのか。自社サービスではなく、競合他社が選ばれた理由は何かを記入しましょう

解約理由

「7.解約理由リスト」にて、直近で解約した企業の理由(サービスを継続しなかった理由)を整理します。目安としては、30社以上の情報があると望ましいです。

img9-解約理由リスト

解約時期:顧客がサービスを解約した日程を記入します

企業名:顧客の企業名を記入します。判別を容易にするために、略称ではなく株式会社などを含めた正式名称で記入しましょう

事業概要:顧客が何の事業に取り組んでいるかを記入します。顧客のサイト上に記載があることが多いです

解約理由:顧客がサービスを継続しなかった理由を記入します。解約を検討したきっかけや、解約の意思決定を行った理由をできる限り具体的に記入しましょう

既存顧客

「8.既存顧客リスト」にて、現在取引のある企業の情報を整理します。全顧客の情報を確認できると望ましいです。

img10-既存顧客リスト

受注時期:顧客から発注を頂いた日程を記入します。細かな日程が不明な場合は、月単位などわかる範囲で記入しましょう

企業名:顧客の企業名を記入します。判別を容易にするために、略称ではなく株式会社などを含めた正式名称で記入しましょう

部署名:サービスを導入した顧客の部署名を記入します。どんな役割や立場の人が導入検討することが多いのかを確認しましょう

契約サービス名:顧客が実際に契約しているサービスの名前を記入します。同一サービスで複数プランなどが存在する場合には、プラン名まで確認しましょう

契約額:顧客が契約しているサービスに支払う金額を記入します。契約額の大きい顧客、小さい顧客の特徴を分析する際に役立ちます

プロジェクトメンバー

最後に「9.プロジェクトメンバーリスト」で、社内外関わらず、マーケティングプロジェクトに関与するメンバーの情報を整理します。社外の例としては、広告代理店やサイト制作会社の方などです。この際、意思決定(マネジメント)ラインを明確にするとプロジェクトが進行しやすいです。


img11-プロジェクトメンバーリスト

会社名:関係者が所属する会社名を記入します

名前:関係者の名前を記入します

役職・職種:関係者の社内における役職や職種を記入します

ミッション・担当範囲:関係者の社内における役割範囲を記入します

参加するミーティング:関係者が参加するミーティングの種類を記入します。プロジェクト進行をより円滑に行うために、どんな役割の人が、どのミーティングに参加するかを確認しましょう

さいごに

マーケティング担当者になり、情報を収集される方にご留意いただきたい点を2つお伝えします。

1つ目は、情報収集の目的は意思決定の精度向上であること。

事業や商材の理解なしに、100点のマーケティング活動を目指すのは困難です。情報収集は、何をすべきか、という意思決定の精度を高めることに役立ちます。

一方で、事業や商材の特性に関わらず「やるべき施策」は存在します。才流が支援する多様なクライアントとのマーケティングプロジェクトでも、事業や商材の特性に関わらず、マーケティング活動で成果を出すための定石があります。そのため実際のプロジェクトでは、マーケティング戦略・施策を最初の3か月間で策定しながら、同時並行で短期改善策を提案し、すぐに実行いただく流れを取っています。

2つ目は、情報整理もマーケティング担当の重要な役割であること。

本フォーマットを見て、そもそも社内に情報がないと感じた方もいらっしゃると思います。弊社がプロジェクトを進める際も、すべての情報が完璧に揃うことは稀です。クライアントに対しては、短期改善策としてやるべき施策を進めながら、社内の情報記録の体制を整えていくように支援させていただくことが多いです。

本記事が、マーケティング戦略や施策を考える方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

才流ではBtoB事業の営業・マーケティングに関するご支援をしています。よろしければお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ|株式会社才流

著者/ 松下 雅征
株式会社才流 コーポレートグロース

早稲田大学政治経済学部卒業後、2016年に組織人事のコンサルティングを行う株式会社リンクアンドモチベーション入社。社内初のマーケターとしてHR Tech領域の新規事業「モチベーションクラウド」のマーケティングチームを立ち上げ、領域横断でBtoBマーケティング全般を担う。2020年8月、株式会社才流に入社。コーポレート側のグロース担当として才流の「経営強化」や「事業開発」に従事。

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