数あるBtoBマーケティング施策の中でも、近年実施する企業が増えているのが「共催ウェビナー」。自社で開催するウェビナーとは異なり、複数の企業が協力して開催するオンラインイベントです。才流(サイル)でもこれまでに共催ウェビナーを多数開催し、成果を上げています。
そこで本記事では、才流が実際に成果を出してきた共催ウェビナーの始め方から振り返りまでの流れについて解説します。共催ウェビナーを始めたいが、どうしたらよいかわからないとお悩みの方は、ぜひご一読ください。
才流では「共催ウェビナーからリードを獲得したい」「ウェビナーの戦略的な運用について知りたい」企業さまを支援しています。共催ウェビナーでお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
共催ウェビナーとは
共催ウェビナーとは、複数の企業でセミナー形式のイベントを合同開催する取り組みのことです。共催ウェビナーに明確な定義はありませんが、2〜4社の合同で開催するものを共催ウェビナー、参加企業が5社を超えるものをカンファレンスと呼ぶ傾向があります。
一般的な共催ウェビナーは1時間前後で開催されますが、2〜4社であれば1時間に収められるため、上述のような区分けをすることが多いようです。
共催ウェビナーの開催形式
共催ウェビナーの代表的な開催形式として、以下の3つが挙げられます。
- プレゼンテーション(各社による講演)形式
- パネルディスカッション形式
- ゲスト登壇形式
ここからは、それぞれの開催形式の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
プレゼンテーション(各社による講演)形式
登壇各社から、ウェビナーのテーマに関連する講演・プレゼンテーションを行う形式です。
プレゼンテーション形式では、イベントで使える時間を各社で均等に配分します。たとえば、1時間のセミナーで2社の共催ウェビナーであれば、冒頭アナウンスやQ&Aを除いた正味50分間を2社で配分するため、各社25分のプレゼンテーションを行います。
プレゼンテーション形式のメリット
- 話す内容を決めて資料を持ち寄るだけなので、企画、実施のハードルが低い
- あらかじめ資料やストーリーを考えておけるため、メッセージを体系的に伝えやすい
- モデレーターがほとんど必要ないため、運営コストが小さい
プレゼンテーション形式のデメリット
- 登壇者同士のやりとりが発生しづらいため、共催ウェビナーならではの「ライブ感」が薄くなってしまう
パネルディスカッション形式
パネルディスカッション形式は、ウェビナーのテーマに関連したパネルテーマを決めておき、各社が回答していく形式です。この形式では、モデレーターを置くのが一般的です。
パネルディスカッション形式のメリット
- よりライブ感のあるセッションになるため、「ここでしか聞けない話」が聞けることを訴求できる
- 視聴者からの質問を積極的に取り入れられる
- 資料をほとんど用意する必要がないため、準備工数を抑えられる
パネルディスカッション形式のデメリット
- 事前準備がしづらく、企画のハードルが高い
- 当日の流れが読みづらいため、登壇者に即興力が求められる
- 当日モデレーターを置く必要があり、運営工数が増える。また、モデレーターにも場を回すスキルが求められる
パネルディスカッションは、事前にどのような話が聞けるかを視聴者が予測しづらいです。そのため、「何を話すか」よりも「誰が話すか」が集客するうえで重要になってきます。インフルエンサーを起用したり、役職者に登壇してもらうなど人選を工夫してみましょう。
ゲスト登壇形式
ゲスト登壇形式は、外部の有識者、または自社の顧客にゲストとして登壇してもらう形式です。ゲストはウェビナーの中でモデレーターからのインタビューに答えることもあれば、プレゼンテーションをすることもあります。
ゲストへのインタビュー形式では、ゲストに対して謝礼を支払って登壇してもらうこともあれば、リストをシェアする条件で登壇してもらうこともあります。
いずれにせよゲスト登壇形式のポイントは、ゲスト側が登壇したくなる状況をつくることです。
ゲスト登壇形式のメリット
- 自社にコンテンツがなくとも開催できる
ゲスト登壇形式のデメリット
- ゲスト側の準備工数が大きいため、登壇交渉の難易度が高い
どの形式で開催するか迷ったら、もっともハードルが低いプレゼンテーション形式から始めてみましょう。
※関連動画:成果につながる【他社との共催ウェビナー】開催方法(YouTube)
共催ウェビナー開催の目的と重要指標の設定方法
共催ウェビナーの目的は大きく3つに分類できます。
- 新規リード獲得(認知・接点づくり)
- リードの掘り起こし・ナーチャリング
- 個別相談・商談獲得
開催の目的はひとつに絞って設定します。結果として複数の目的を果たすケースもあるため、ここで設定する目的は「どこに比重をおくか」という意味で捉えてください。
共催ウェビナーを開催するメリット・デメリットについては、以下の記事を参考にしてください。
※関連記事:共催ウェビナーを開催するメリット・デメリット、注意すべきポイントなどを解説
新規リード獲得(認知・接点づくり)
ターゲットとする企業・属性からのリード獲得を目的に共催ウェビナーを実施する場合は、「ターゲットの新規リード獲得数」「ターゲットリードの含有率」を重要指標として見るのがポイントです。ウェビナーはつい集客数を見てしまいがちですが、仮に100名集客しても、自社のターゲットとするリードが10名しか獲得できていなければ、それは良いセミナーとはいえません。
ターゲット企業・属性からの新規リード獲得は、以下のようなKPIツリーに分解できます。
リードの掘り起こし・ナーチャリング
リードの掘り起こしやナーチャリングを目的に共催ウェビナーを実施する場合は、「何をもってリードの掘り起し・ナーチャリングができたとするか」という定義づけから始めましょう。
たとえば、「ウェビナーを視聴してもらう=ナーチャリングできた」と捉えるのであれば、視聴完了数(率)が重要指標になります。
以下の図は「自社ウェビナーへの引き上げ=ナーチャリングできた」と捉えた場合のKPIツリーです。
個別相談・商談獲得
共催ウェビナーは、一般的には個別相談や商談の獲得には向いていません。なぜなら、1社あたりの登壇時間が短く、参加者への興味づけが難しいためです。しかし、共催ウェビナーで商談を獲得できないわけではありません。共催のテーマ次第では商談や相談の獲得を狙えます。
以下の図は、個別相談・商談を目的とした共催ウェビナーのKPIツリーです。参加者に対してアウトバウンドで個別相談を打診する場合は、中段の重要指標はIS(インサイドセールス)のアポ獲得率になります。一方で「個別相談会」のようなCTAを決めてインバウンドでアプローチする場合は、「相談・商談希望数」が中段の重要指標になります。
開催の目的をどこに置くか悩んだら
共催ウェビナーの目的をどこに置くか悩んだら、まずは王道の「新規リード獲得(認知・接点づくり)」を目的に開催してみましょう。
共催ウェビナーは1社あたりの登壇時間が短いため、認知・接点づくりに向いています。階段設計の下段における施策として活用し、上段では自社セミナーを活用するのがおすすめです。
※関連記事:階段設計とは?BtoBマーケティングで商談・受注数を最大化するポイントを解説【ワークシート付き】
共催企業の選定軸と探し方
共催ウェビナーを開催する目的が定まったら、共催先の企業を選定します。ここからは、共催企業の選び方と探し方について解説します。
共催企業の選定軸
どのような企業に共催を打診すべきかは、以下の3つの選定軸で考えてみるとよいでしょう。
- ターゲット(顧客セグメント)に共通点があるか
- 参加者の興味関心に沿ったコンテンツが提供できるか
- ネームバリューや集客力があるか
1.ターゲット(顧客セグメント)に共通点があるか
共催企業が狙っているターゲットと自社が狙っているターゲットに共通点があることが重要です。ここがずれていると、顧客にとって価値のあるコンテンツの提供やハウスリストの活用ができず、ウェビナーの集客が見込めません。共催セミナーを開催するメリットを享受するためにも、共催企業のターゲットと規模感、業界、属性などを確認するようにしましょう。
2.参加者の興味関心に沿ったコンテンツが提供できるか
共催企業が過去に実施したウェビナーや、オウンドメディアのコンテンツなどを参考にしながら、参加者の興味をひくコンテンツが提供できるか考えてみましょう。参加者の興味と関連の薄いテーマで共催ウェビナーを実施した場合、「結局リスト集めか」とマイナスの印象を与えてしまう恐れがあります。共催する意義が感じられるような、参加者の興味関心に沿ったテーマで開催できるとよいでしょう。
3.ネームバリューや集客力があるか
共催ウェビナーの場合、共催企業と自社で集客を行います。そのため、自社で単独開催するよりも多くの参加者を獲得できるというメリットがあります。共催企業が保有するハウスリスト数は集客の観点で重要なので、先に確認しておきましょう。
また、ゲストのネームバリューも集客力に影響するポイントです。なるべくネームバリューのある企業と共催をしたほうが集客を期待できます。
共催企業の探し方
自社と接点がある企業に打診していくのが第1の選択肢です。まったくつながりがない企業に打診するよりも、ある程度関係値がある会社と組んだほうが話がスムーズに進みます。まずは自社の接点を洗い出してみましょう。
なお、初めて共催ウェビナーにチャレンジする場合、共催ウェビナーの効果について社内が懐疑的な場合があります。この場合、社内から広く接点を探るよりも、まずは自分や共催ウェビナーに協力的なメンバーからの接点をたどるのがおすすめです。まずは実行して、小さな成功をつくったうえで社内に展開していくのがポイントです。
※関連記事:共催ウェビナーを開催するメリット・デメリット、注意すべきポイントなどを解説
共催ウェビナーの打診〜開催までの流れ
共催ウェビナーの開催を軌道に乗せるためには、企画・実施・振り返りのサイクルを回して改善を続けるのがポイントです。開催の流れは以下のとおりです。
- ウェビナーを共催するパートナーの選定
- 共催依頼の打診
- 共催企画書の作成
- 共催ウェビナーの実施
- 振り返り
- 以降、3〜5を繰り返す
共催ウェビナーの打診から開催までのタスクリストと詳細を以下の表にまとめました。ぜひ活用してください。
タスク | 詳細 |
---|---|
提案書の作成 | 共催セミナーを打診するにあたって、簡単な提案書を作成する |
共催先担当者へのコンタクト | 送付するメッセージの例: お世話になっております。株式会社〇〇の△です。 突然のご連絡失礼いたします。 この度、貴社と共催セミナーができればと思っているのですが、 いかがでしょうか? もしよろしければ、一度お打ち合わせできますと幸いです。 こちらが提案書になっていますので、ご確認お願いいたします。 |
企画書の作成 | 企画書テンプレートをベースに作成 |
打ち合わせ | 打ち合わせは企画書テンプレートをベースに進める |
準備 | オペレーションの担当になった場合、オペレーションの準備を進める。 また、資料作成を進める |
資料の共有 | MTG、メール・チャットツールで共有してもOK |
ウェビナーの実施 | 15分前くらいに集合して実施 |
リストとアンケートの共有 | なるべく当日、または翌日中に |
振り返り | 振り返りシートを使って振り返りを実施 |
打診に必要な企画書テンプレートは以下の記事でダウンロードできます。
※関連記事:【そのまま使える】才流で使っている共催ウェビナーの打診・企画・振り返りテンプレート
共催ウェビナーの振り返り
成果の出た共催先とは繰り返しウェビナーを実施する前提で、ウェビナー終了後のなるべく早いタイミングで結果を振り返りましょう。
「30分間の振り返りミーティングをセットする」といった形でオペレーションのタスクに組み込むことで、抜け漏れがなくなります。
共催セミナーの振り返りについては、振り返りシートを活用します。シートの活用方法については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
※関連記事:【そのまま使える】才流で使っている共催ウェビナーの打診・企画・振り返りテンプレート
共催ウェビナーでよくある質問と回答
Q:ウェビナー当日までに、共催先のゲストと顔合わせはするべきでしょうか?
A:顔合わせはなしでもよいと考えています。共催ウェビナーに慣れていないと、開催までに入念に打ち合わせをしてしまいがちですが、大抵はお互いのスライドの読み合わせ程度で終わってしまいます。
重要なことは企画段階で握ってしまえば、あとはチャットツールやメールなどのテキストベースのコミュニケーションで十分です。プレゼン資料の整合性を取りたい場合も、資料を共有し合えば基本的に問題ないでしょう。
ただし、今後も共催ウェビナーを開催していくために関係値を築いておきたい、という意図であれば顔合わせを実施するのもおすすめです。また、パネルディスカッションの場合、話を引き出しやすくするために、モデレーターとゲストは一度顔合わせをしておいたほうがよいでしょう。
Q:企画の打ち合わせが不安です……。とくに準備しておいたほうがいいことはありますか?
A:自社のハウスリストの傾向を把握しておくとよいでしょう。
あなたが共催企業のハウスリストが気になるのと同じく、相手もこちらのハウスリストが気になっています。
ハウスリストの件数や属性、企業規模を把握しておくと打ち合わせで役立つかもしれません。
企画テーマについて合意が得られるか不安であれば、企画テーマを複数パターン用意しておくとよいでしょう。
Q:共催ウェビナーの運営については、どのように分担するのがよいでしょうか?
A:共催ウェビナーの運営は、声をかけた企業がすべての工程を取り持つのがおすすめです。ゲストの負荷を下げることで、共催の承諾をもらいやすくなります。LPは自社で制作し、フォームの用意とバナー制作は共催企業で……といった形で分担すると、かえってオペレーションが煩雑になるため、どちらか片方が一括して受け持つほうが効率的です。
実施した結果、成果が出ていて双方が今後もやっていきたいと合意が取れている場合は、持ち回りで運営していくのがおすすめです。
Q:共催セミナーにモデレーターは必須でしょうか?
A:結論を言えば必須ではありませんが、モデレーターがいたほうがスムーズな司会進行ができます。とくにパネルディスカッションの場合、パネリストもやりつつモデレーターも兼務するのは難易度が高いうえに、視聴者にとっても違和感があるため避けたほうが無難です。
才流では「共催ウェビナーからリードを獲得したい」「ウェビナーの戦略的な運用について知りたい」企業さまを支援しています。共催ウェビナーでお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら