昨今のBtoBマーケティングでは、インサイドセールス・リードナーチャリングの概念が普及し、コミュニケーションのオンラインシフトが進んでいます。マーケティング施策として、ウェビナー運用を行う企業も多くなりました。
中でも、他社と協力してコンテンツを提供する「共催ウェビナー」の機会は増えています。
共催ウェビナーは集客力が高く、参加者に魅力的なコンテンツを提供しやすい半面、特性上注意しなければいけないポイントもあります。
本記事では、共催ウェビナーを開催する目的やメリット・デメリットなどの基本をふまえ、開催時に気をつけたいポイントを解説します。
なお、本記事は株式会社ベーシックでBtoBマーケティングウェビナーを250回以上手掛けてきた河村 和紀氏に監修をいただきました。
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共催ウェビナーを開催する目的
共催ウェビナーは新規リードの獲得に加え、既存リードに対するナーチャリングの意味合いが含まれます。
単独では提供できない有益なコンテンツを提供し、自社リードに対するリテンションを行う。同時に、共催相手が所有するリードや集客チャネルから自社に関心の強いリードを獲得することが目的です。
ただし、ウェビナーは潜在層向けのコンテンツになりやすいため、開催後に受注獲得に向けた自社単独ウェビナーや営業プロセスと合わせて計画しておきましょう。
共催ウェビナーの目的・KPI設定から実施までのステップについて、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
※関連記事:成果につながる共催ウェビナー開催ガイド|始め方から振り返りまでの流れを解説
共催ウェビナーを開催するメリット
共催ウェビナーでは、自社単独で開催するウェビナーとは違ったメリット・デメリットがあります。まずメリットについて解説します。
参加者に有益なコンテンツを提供できる
複数社合同で実施することにより、特定のテーマの知見がウェビナーに集まります。各企業や登壇者が持つ情報が、1つのウェビナーで網羅的に提供されるため、密度の高い情報提供ができます。
ウェビナーの集客チャネルが拡充される
1つのウェビナーに対し、複数社が同時に集客を行います。ハウスリストへのメルマガ、登壇者や社員のSNSなど、各社のアセットを活用して集客できるため、自社単独開催と比較して多くの参加者を見込めるでしょう。
自社リードをナーチャリングできる
過去にリストを獲得したものの商談に至らなかった、商談したものの失注してしまった。その後、定期的なコンタクトが取れていない見込み顧客に対して、有益なコンテンツで再度アプローチができるチャンスです。
気軽に見ることができるウェビナーで有益な内容を提供し、効率よくリテンションしましょう。
共催ウェビナーを開催するデメリット
一方で、共催ウェビナーはステークホルダーが増えることによるデメリットもあります。
参加者は潜在層寄りになることが多い
複数社が同一テーマで話をするため、ウェビナーのストーリーに一貫性を持たせることが必要です。自社開催時のテーマより、1ランク上段のテーマで展開されることが多いでしょう。
参加される方々が持つ関心や課題感も広義になり、結果として潜在層に近い参加者が集まります。
開催までのコミュニケーションコストが必要
共催ウェビナーは、社内外問わず関係者が増えます。開催に向けてのタスク管理やクリエイティブの承認プロセスなど、通常よりも時間とリソースが必要です。
関係者間のきめ細やかなコミュニケーション、余裕を持ったスケジュール管理をしましょう。
コンテンツが煮詰まらず、商品説明会になってしまう
コミュニケーションコストや企画にかけるリソースが捻出できず、複数企業による商品説明会のようなウェビナーになってしまうケースをよく見かけます。
コンテンツの質が低くなり、集客数が伸びず、本来の目的が達成されないばかりか、企業やサービスの印象を悪化させてしまいます。
参加者にとって有益なコンテンツを提供することを忘れずに、目的意識と十分なリソース、スケジュールを確保したうえで臨みましょう。
共同開催企業の探し方と依頼方法
共催ウェビナーを開催する際、共催企業の選定は成果に直結する重要な意思決定です。どのように、企業選びをすべきかポイントをまとめました。
共催企業の選び方
共催企業を選ぶ際には、次の4点を確認しましょう
- 顧客セグメントに共通点はあるか
- 共催企業にとってメリットがあるか
- ハウスリストやSNSアカウントなど、集客が見込めるチャネルを持っているか
- 参加者の興味をそそるコンテンツを提供できるか
顧客セグメントに共通点があるか
共催する会社の業界や役職、職種など、顧客のセグメントが一致している必要があります。領域に知見があるため、顧客が関心の高いウェビナーコンテンツを提供できるほか、通常のマーケティング施策やハウスリストの活用で集客が見込めます。
共催企業にとってメリットがあるか
当然ですが、共催する企業にもメリットがなければ共催ウェビナーは実現しません。ウェビナー開催で見込める顧客の獲得、登壇・紹介によるインセンティブなど、共催企業の期待に応えられることが前提条件です。
ハウスリストやSNSアカウントなど、集客が見込めるチャネルを持っているか
共同で集客を行うことで、自社単独開催より多くの参加者を獲得できるのが共催ウェビナーの醍醐味です。ハウスリストや社内インフルエンサーなど、協力を依頼する企業が、自社では活用できない独自の集客チャネルを持っていることが前提です。
参加者の興味をそそるコンテンツを提供出来るか
参加者にとって価値のあるウェビナーコンテンツを提供できるかは、もっとも重要なポイントです。来場者の興味や関心がある領域で深い知識や経験があること、またウェビナー形式でそれを届けることができる人材が協力を依頼する企業にいることが条件です。
共催を依頼する方法
まずは、知人や既存の取引先に話を持ちかけるのが良いでしょう。商材に対する理解や目的、ターゲットの親和性が高いと考えられるため、実施のハードルが低いです。
次の手段としては、共催を依頼したい企業宛に直接問い合わせをします。企業の問い合わせフォームやメール、SNSのメッセージで声がけをするのが一般的でしょう。
その際、共催依頼文を作成するポイントは3つあります。
- ウェビナー運営者向けの連絡であると明示する
- 相手にどのようなメリットがあるか明示する
- 自社のサービスについて詳しく紹介する
これをふまえ、ウェビナーを依頼する際のメールの例文を用意しました。適宜自社の内容に変更してご利用ください。
例文/ウェビナーの依頼
突然のご連絡を失礼いたします。
株式会社○○の▼▼と申します。 弊社は、BtoBマーケティングに特化したコンサルティングサービスを提供しております。
今回は共催ウェビナーのご相談でご連絡させていただきました。
共催・共同でウェビナーの集客活動を行い、御社のお客様向けにBtoBマーケティングに関する情報をお届け、さらに弊社のお客様に御社のサービスのご案内ができればと思っております。
もし、本ウェビナー経由で契約に至った際は、御社へのご紹介料もお渡しできればと考えておりますが、いかがでしょうか。
よろしければ一度、ウェビナー担当者様とお打ち合わせをさせていただければ幸いです。
※弊社のサービスサイトとサービス資料は下記でございます。 https://sairu.co.jp/serviceBtoBマーケティングに特化したコンサルティングサービスを展開しており、戦略立案から施策実行まで、業界歴10年以上のコンサルタントが一気通貫してサポートしております。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信をお待ちしております。
共催ウェビナーを運用する際の注意点
共催する企業を選定し依頼を済ませたら、スムーズに運用するために確認しておくべきことが複数あります。ウェビナーを成功させるためには重要な工程のため、丁寧にコミュニケーションをとりながらすすめましょう。
主導企業および、決定権を誰が持つかを決めておく
共催ウェビナーでありがちなのが、参加企業が同等の発言権をもつため、何も決まらないもしくは企画が無難な折衷案にまとまってしまうことです。そうならないためにも、企画を主導する企業を、必ず1社決めておきましょう。
株式会社ベーシックの場合は、集客にかかる費用のうち半分および、イベントに掛かる費用を負担することで、最終的な意思決定を同社が行えるようにお願いしているそうです。
タスクの管理と実行について
共催ウェビナーの運営には、集客やコンテンツの作成、ウェビナー参加予定者とのコミュニケーション、当日の運用など、多くのタスクが発生します。
主催者は、開始前に一度関係者を集め、企画の説明とスケジュール、タスクの共有を行い、それぞれのタスクに対して責任者と期限を決め、同意を得ておくと良いでしょう。
個人情報の取扱について
ウェビナー終了後、各企業が参加者の情報を事業活動に利用するため、その旨を事前に参加者に周知しなければなりません。
また、情報を共有するすべての企業が規定する個人情報の取り扱い・利用規約について参加者が同意する必要があります。同意がない状態でのメルマガ配信は法律違反になることもあるため、必ず確認してください。
参加申し込みフォームやその後のリスト活用について、事前に法務確認を行っておくのが良いでしょう。
共催ウェビナー終了後の対応について
共催ウェビナー開催後は、商談獲得、受注獲得に向けて各社が参加者に営業活動を行います。
参加者に対して営業活動をする際のマナーやルールについて、主催企業側の配慮が欠けていると、ウェビナー体験を損なってしまいます。具体的には、ウェビナーの文脈と関係なく各社からしつこく電話やメールでの連絡が行われるような状況です。
対策としては、
- 参加者アンケートで、各サービスや企業に対する興味や導入意欲を確認したうえで、状況に応じた連絡を行う
- 初動の営業に関しては、いずれかの企業に一任して運用する
などが考えられます。参加者にとって良い体験が提供出来るよう、調整を行ってください。
共催ウェビナーは、複数の企業が協働するため、時間やリソースの確保、個人情報の取り扱いなど、気をつけなければならないポイントが複数あります。
しかし、比較的実行のハードルは低く、BtoB事業において有効な顧客獲得の手段だといえます。
本記事が、共催ウェビナーの開催を検討している方や課題を抱えている方の一助になれば幸いです。
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監修
株式会社ベーシック 河村 和紀氏
外資系人材紹介会社を経て、創業期の株式会社ベーシックに入社。Webサイト運用・商品企画・新規事業立ち上げなど幅広く携わるなか、イチから手掛けたイベントが、累計来場者数70,000人を超える日本最大級の規模に成長。担当するBtoB企業向けのマーケティングウェビナーは開催回数250回を超える。最近は自社が開催するウェビナーだけでなく、マーケティング戦略におけるウェビナーのノウハウを伝授するイベントにも多数登壇。