「プロダクトには自信があるんだけれど、マーケが弱くて……」
そんなご相談をいただき、いくつかのBtoB企業の外部CMO、マーケティングマネージャーのような役割を担わせてもらっている。
やりながら気づいたのは、2018年現在、社内にノウハウがないときの解決策として、外部CFOや外部CTO、技術顧問はよく聞くけれど、外部CMOはあまり聞いたことがないということだ。
しかしながら、この役割は事業を伸ばすために有効だと思ったので、専門領域であるBtoBに絞って、「なぜ、外部CMO・マーケティングマネージャーが必要なのか」を書いてみた。
マーケティングリソースを割けないBtoB企業
BtoBのベンチャー・スタートアップ企業では、マーケティングリソースが不足している。多くの企業は、創業~立ち上げ期に開発と営業の人員を手厚く採用するので、マーケティングは営業が兼務していたり、社内の何でも屋さん的な人が広報を含めてやっていたりするケースが多い。
結果として、顧客開拓の施策はテレアポとリスティング広告と年に数回の展示会のみ。メディアでよく見かけるMA(Marketing Automation)やコンテンツマーケティングに取り組もうとしても、リソースが足りず、運用に乗らない……というのが、よくあるパターンだ。
一方、顧客の情報収集・購買行動は変化している
そんな企業側の都合とは関係なく、今や情報収集・購買行動の主導権は顧客が握っている。Corporate Executive Boardの調査によれば、「BtoB市場において、顧客は業者と初めて接触する時点で、購買プロセスの57%を既に終えている」ことも明らかになっている。
マーケティングの世界では、“Self-Educating Buyers”と言うけれど、いまの時代、顧客自らが、PCやスマホで情報を調べ、信頼できる第三者におすすめを聞いて、どの商品・サービスを導入するかを決めている。
営業や社内の何でも屋さん的な人が、片手間にマーケティング業務をしている企業の商品・サービスは、顧客の検討プロセスに入りづらく、機会損失は避けられないだろう。
提供されるサービスのドーナツ化現象と中心を担う外部CMO
そこで、「マーケターを採用しよう!」「外部パートナーを探そう!」と思っても、次なる障壁が登場する。
転職市場を見たときに、そもそもBtoBマーケティングの経験者が少ないのだ。さらに、外部の業者に発注しようにも、世の中に流通している商品・サービスは以下のような状態になっている。
当社では「提供されるサービスのドーナツ化現象」と呼んでいる。
広告代理店から調査会社、SEOやコンテンツマーケ業者、MAやデータ解析系のツールベンダーなど、ドーナツの外側を提供してくれる会社は世の中にたくさんある。
しかしお菓子のドーナツとは違って、ビジネスの世界では真ん中が大切。
ドーナツの真ん中にいて、戦略立案から社内の体制作り、ベンダー選定、日々のPDCA推進まで、パワフルに実行できる存在がいるかどうかで出せる成果は大きく変わる。そんな人材がプロジェクト内にいれば、高度化・多様化するサービスやツールのポテンシャルを引き出しながら、成果を最大化できる。
マーケティング活動におけるすべての役割を社外の人が行うことの難易度は高いけれど、社外CFO、社外CTO的に、一部の役割を外部に求めることはできるし、外部の優秀な人材にアクセスしやすくなっている現代、一つの有効な選択肢だと思う。
そして、冒頭で「プロダクトには自信があるんだけど、マーケが弱くて……」と書いたけれど、世の中にはすごい商品・サービスがたくさんあって、それらを作っている人たちとの仕事は、脳に刺激をもらえて楽しい。
外部CMO・マーケティングマネージャーとして活動する側としても、自分が良いと思う商品・サービスを拡めながら、楽しく仕事がしたいニーズは強いと思うので、今後、一般的な役割にしていきたい。