一口にメールマガジン(メルマガ)といっても、その内容は企業によってさまざまです。
「毎回ネタ探しで苦労している」「どんな内容を送ればいいのかわからない」と、配信内容でお困りの方も多いのではないでしょうか。
配信内容はどのように決めるとよいのか。また、実際にBtoB製造業ではどのようなメルマガが配信されているのか。事例も交えて、メルマガの作り方を解説していきます。
※関連記事:BtoB製造業向け|成果につながるメルマガ配信の基本
※関連動画:開封率23%【才流のメールマーケティング】
メルマガの配信内容の決め方
メルマガで配信すべき内容は、ビジネスモデルによって異なります。まずはフローチャートで自社のビジネスモデルのパターンを診断し、配信すべき内容を確認しましょう。
ビジネスモデルのパターン診断フローチャート
以下のフローチャートに沿って、自社のビジネスモデルのパターンを診断してください。
※関連記事:BtoB製造業向け|マーケティングの役割と効果的な施策
A:高単価・案件獲得型
設備投資の案件を獲得するための取り組みが必要な企業です。新規案件を獲得しつづけることが大切なので、定期的な情報発信を通じて顧客の検討タイミングを逃さずに把握し、営業へ連携しましょう。
基礎知識、ノウハウ、業界動向といった潜在層向けのコンテンツに加え、事例や技術情報などの顕在層向けの情報も提供し、クリック情報をもとに温度感を把握していくことが望ましいです。
また、階段設計※を意識して、一段上がってもらうためのコンテンツも用意することをおすすめします。
※階段設計:すぐにお問い合わせ獲得や商談獲得を目指すのではなく、見込み顧客と段階的にコミュニケーションを取り、関係性を構築したうえでお問い合わせ獲得、商談獲得を目指す考え方
※関連記事:階段設計
B:低単価・案件獲得型
顧客ごとにカスタマイズが必要で、新規顧客を開拓し続ける必要がある企業です。自社の実績や技術力、ノウハウをPRするために導入事例や活用事例を配信しましょう。
導入事例は、企業名を出せないケースも多いと思います。その場合は社名を伏せて、活用事例や用途例のような形で公開することをおすすめします。
普段から自社の得意領域を記事化しておく、事例の写真を用意しておくと良いでしょう。また、無料相談やサンプルの申し込み、工場見学といった、より検討の度合いが高い顧客向けのオファーを設置し、見極めができるようにしておきましょう。
C:低単価・既存顧客リピート型
新規獲得よりも既存顧客からのリピート発注や次期案件の開拓が多い企業です。既存顧客からの案件を取りこぼさず、継続的に獲得し続けることが重要です。
お得なキャンペーン情報や新しい製品・サービスの情報などをいち早く配信しましょう。
また、リピート発注のきっかけは故障や追加購入、納期問題が中心です。これらに関する情報を配信して、検討状況を把握するのも良いでしょう。
顧客と営業の関係性が構築されているケースも往々にしてあるため、送信元を営業パーソンの氏名にする1to1メールの配信も有効です。
以下の記事でビジネスモデルのパターン別のマーケティングの役割と効果的な施策を解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
※関連記事:BtoB製造業向け|マーケティングの役割と効果的な施策
BtoB製造業のメルマガ配信事例
実際にBtoB製造業の企業がどのようなメールを送っているのか。ビジネスモデルのパターンごとに事例を紹介します。
A:高単価・案件獲得型「株式会社キーエンス」
マイクロスコープや三次元測定機を提供する株式会社キーエンスでは、定期のメールマガジンとして、新製品の情報に加え、「ポカヨケ」に関するコラムや技術情報などを配信しています。
キーエンスは基礎知識、事例、アプリケーションなど、マーケティングコンテンツが充実しています。
メルマガでも製品の案内だけにとどまらず、製品を活用してビジネスにどのような成果を出すのかといったノウハウ、製品を活用するために必要な基礎知識など、顧客が欲しい情報を積極的に案内しています。
また、実はキーエンスは本社が配信するメルマガだけではなく、営業パーソン名義での1to1メールの配信も行っています。前者は画像のようにきれいにレイアウトされたものですが、後者は非常にシンプルなもの。プレーンテキスト風で、私信のような形式で配信しています。
余談ですが、メールマーケティングに取り組み始めた頃は、クリックユーザーのリストをFAXで各支店に配信して、それをフォローするようにしていたそうです。最初は営業パーソンも半信半疑で、なかなか定着しなかったそうですが、「このリストに連絡すると売れる」という認識が2〜3年かけて定着していったとキーエンスのOBから聞きました。
B:低単価・案件獲得型「株式会社阪井金属製作所」
金属加工を手がける株式会社阪井金属製作所では、加工事例を写真付きで解説しています。
金属加工や樹脂加工を行う企業では、事例が重要です。自社の保有設備や技術力のPRに寄与するためです。
阪井金属製作所では背景をブルーにして製品の視認性をあげたり、ノギスを並べることでサイズ感も伝えるようにしたり、素材や部品、加工方法をテキストで説明したりと、細かい工夫がなされています。
カスタム性の高い商材は、情報の取り扱いに注意が必要なケースがほとんどです。顧客に許可をもらう必要がありますが、その手間を考慮しても事例の訴求効果は絶大です。ぜひ積極的に取り組み、Webサイトやメールマガジンで案内しましょう。たとえば、許可をもらうために値引きをするといった、交渉時の工夫も大切です。
メルマガでは「サンプル品の請求」「製造工程の見学」といったCTA※を設置すると、より検討の度合いが高い顧客のアクションを促しやすくなります。
※CTA:シーティーエー/Call to Actionの略。読み手に起こして欲しい行動をボタンやリンクで表示したもの。「行動喚起」と訳される。
B:低単価・案件獲得型「株式会社トクシキ」
樹脂合成ができる分散加工メーカーの株式会社トクシキでは、自社の技術を解説したコラムを配信しています。
こちらも阪井金属製作所と同様に、顧客に合わせた特集対応をされている企業です。機密性が高く、事例の許諾を得る難易度が高いビジネスと推察します。
自社の技術を紹介するコラムを用意して、顧客に自社の特長や強みを伝えています。事例の公開許可を得にくい企業の参考になりそうです。
コラムが充実している場合は、ひとつのPDFにまとめて冊子としてメルマガで紹介し、ダウンロード時に個人情報や検討状況などの情報を取得するのも効果的です。
株式会社トクシキは、Webサイト上でも「サンプル希望」のCTAが設置されているほか、各ページからもお問い合わせやカタログのダウンロードなどの動線が設定されています。
C:低単価・既存顧客リピート型「株式会社ミスミグループ本社」
間接材調達品を幅広く購入できるECサイトを運営するミスミグループ本社では、規格拡張品や新製品の情報を配信しています。
ミスミではさまざまな部品を販売しています。新規案件だけでなく補修部品として購入されるような商材も多いのが特徴です。
ミスミの強みでもあり顧客の関心事項である納期をしっかりアピールしたり、新商品という切り口で特集を組んで特長を紹介したり、顧客が知りたい情報を掲載しています。また、情報を記載しすぎず、興味を持った顧客をWebへ誘導できるようにCTAもわかりやすいものが設置されています。
メルマガの末尾にメーカー一覧を掲載したり、商品レビューや投稿キャンペーンを案内したり、さまざまな工夫がされています。
最後に
成果につながるメルマガのコンテンツは、ビジネスモデルによって異なります。今回の記事が配信内容を決める際のヒントになれば幸いです。
マーケティング戦略の方向性や施策の実行について課題を抱えている方に向けて、製造業向けのBtoBマーケティング診断を無料で行っています。以下よりお気軽にお問い合わせください。
「製造業に特化したマーケティング戦略立案の支援」の相談をする