本記事では、BtoB企業がペルソナを作成する手順や必要なリソースを解説しています。テンプレートも用意しているので、ぜひ活用してください。
【BtoB向け】ペルソナ作成テンプレート(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。

取り組む前に知っておきたい基礎知識
はじめに、ペルソナ作成に取り組む前に知っておきたい基礎知識を解説します。
ペルソナとは
ペルソナとは、理想的な顧客企業において購買決定に最も影響を及ぼす架空の人物像を指します。
既存顧客のデータやユーザーインタビューの結果など、複数のデータソースを組み合わせ、典型的で理想的な顧客像を一人の人物に凝縮します。
- ヒント
- ペルソナは、BtoC・BtoBを問わず活用できる概念です。BtoBの場合は、企業情報(業界・規模・売上規模・従業員規模など)と担当者情報(役職・決裁権・検討背景など)を組み合わせて設計する点が特徴です。一方のBtoCでは、個人のライフスタイルや感情面に焦点を当てることが多くなります。BtoBでは組織内での立場や意思決定プロセスを考慮し、より現実的な購買行動を捉える必要があります。
ペルソナ作成の目的と役割
ペルソナを作成する目的は、顧客視点をマーケティングや営業活動に取り入れ、施策を一貫して最適化することにあります。
たとえば「顧客が本当に欲しがっている情報は何か」「検討時の優先順位はどうなっているか」「どのようなチャネルで情報収集するか」といった具体的な行動や心理を把握しやすくなります。
さらに、社内でペルソナを共有することで、担当者同士が「どのような顧客に向き合うのか」を明確にし、意思決定の方向性をそろえやすくします。
ターゲットセグメントとの違い・使い分け方
ペルソナとしばしば混同されるのが、ターゲットセグメントです。
セグメントは、市場全体を業界や企業規模、売上高などで分割し、どの領域を重点的に攻めるかを決める考え方です。ターゲットセグメントは、そうしたセグメントの中から、自社が狙うことを決めた優先度の高い領域です。
一方、ペルソナは、セグメントで特定したある領域に属する企業の中で、購買決定に深く関わる担当者を一人の人物像として描きます。
ターゲットセグメント | ペルソナ | |
---|---|---|
定義 | 業界や企業規模など共通属性で分類した 市場の一部 | 理想的な顧客企業で購買決定に最も 影響を及ぼす架空の人物像 |
目的 | 市場を適切に分割し、効率的・効果的な マーケティング戦略を設計する | 個人レベルの行動や課題をリアルに想 定し、施策を精緻化する |
特徴 | 大まかで広範な捉え方で、全体像を把握 しやすい | 具体的な人物設定により、現実的なア クションやコミュニケーションが設計 しやすい |
データソース | 市場調査、企業データなど定量情報が中 心 | インタビューのような定性情報が重要 |
用途例 | ・業界ごとの戦略立案 ・マスアプローチ ・媒体やイベントの選定 | ・カスタマージャーニーの設計 ・コンテンツやコピーの作成 ・CTAやオファー内容の設計 |
ペルソナの種類4つ
ペルソナには以下の4つの種類があります。
名称 | 概要 |
---|---|
プライマリーペルソナ | 最も重視する主要な顧客像。マーケティング戦略や施策を設計する際、最優 先で考慮する人物像。多くても1〜2パターンにとどめる |
セカンダリーペルソナ | プライマリーペルソナを補完する他の重要な顧客像。業界が違う、導入動機 が異なるなどのケースをカバーするために設定するもの。ただし施策が相反 する場合は、プライマリーを優先する |
アンチペルソナ | ビジネスにマッチしないターゲット外のユーザー像。予算が合わない、導入 メリットが小さい、商材の価値を感じられないなどの理由で、マーケティン グのリソースを割く価値が低いと判断される層を明確にするために設定する |
簡易ペルソナ | 十分なデータがない場合に、主要項目だけを仮説ベースで作る暫定的なペル ソナ。後から得られる調査・インタビュー結果などによってブラッシュアッ プしていくことを前提とする |
- ヒント
- プライマリーとセカンダリーに分けるのは、ターゲットに優先順位をつけて施策とリソースを適切に配分するためです。プライマリーには予算と人員を多めに投下し、セカンダリーには補完的なキャンペーンや限定的なコンテンツを展開するといった判断ができるようになります。
ペルソナ作成が不要となるケース
原則として、ペルソナは顧客理解に基づくマーケティングを行う場合に有効なアプローチです。ただし、以下のケースにあてはまる場合は作成しなくても差し支えないこともあります。
1.ターゲットが限定的で、すでに個別対応が前提になっている
- 例:特定の大手企業を数社だけ重点的に攻める場合
- 例:取引先が既存クライアント数社に限られており、個別に深耕していくケース
2.マスアプローチによる大量のリード獲得が主体
- 例:テレビCMやWeb広告を活用し、不特定多数へ広く訴求する場合
- 例:紙媒体(チラシ・新聞折込など)を使い、市場全体へ一括で広告を出すビジネス
3.ターゲットが自明で、ペルソナを設計する意義が薄い
- 例:特定の企業数社だけを対象とし、すべて社内コネクションを通じて成立するビジネス
- 例:業界内のコミュニティがごく少数で、ほぼ全員がすでに直接の繋がりを持っている場合
必要なリソース
ペルソナを作成するために必要な期間・工数・費用は以下のとおりです。
期間:1〜2か月
情報整理に1〜1.5か月、ペルソナの具体化と評価に0.5〜1か月程度かかります。戦略立案プロジェクトの一環であれば、既存の調査・分析フェーズを活用することで短縮も可能です。
担当者:1〜2名
担当者は1〜2名いれば十分です。ただし、新規事業などで既存データが乏しい場合はインタビューやアンケート調査に追加の時間を要することがあります。
費用:内製する場合は人件費ベース
内製の場合は基本的に人件費が中心です。社内の担当者の工数を十分に確保できるかがポイントになります。
外部支援を利用する場合は、調査設計やインタビュー実施、ペルソナ策定などを一括で依頼できるパッケージが一般的で、50〜200万円程度の費用がかかることもあります。
作成の手順
ここからは、才流(サイル)が作成したテンプレートに沿ってペルソナ作成の手順を解説します。まずは、以下よりテンプレートをダウンロードしてください。
【BtoB向け】ペルソナ作成テンプレート(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
情報をリストアップ・収集する
はじめに、ペルソナを作成するのに必要な情報を集めます。テンプレート内の「データソース整理」シートを使って、情報をリストアップしてください。

シートのB列に優先度を記載しているので、優先度の高いものから順に検討・リストアップすると、抜け漏れを防ぎつつ効率的に情報を集められます。
ここでは、定量情報と定性情報を組み合わせることが重要です。もし十分な情報が得られない場合は、追加で情報を取得するか、簡易ペルソナの作成で進めることを検討してください。
リストアップしたら、以下のチェックリストと照らし合わせて、内容が適切かどうかを確認しましょう。
チェックリスト
- 保有しているすべての情報をリストアップできている
- 定量情報と定性情報をバランスよく組み合わせている
- (保有情報が少ない場合)追加で情報を取得した、あるいは簡易ペルソナを作成する意思決定をしている
分類軸を定め、収集した情報をグルーピングする
特定の軸に基づいて、収集した情報をグルーピングします。テンプレート内の「カテゴリー検討」シートを使ってください。
- ヒント
- 情報をリストアップ・収集するフェーズでカテゴリーのあたりを付けておくと、分類作業をスムーズに進められます。

3~5つの軸を用意し、それぞれのグループに振り分けていくと、顧客の特徴を体系的に把握しやすくなります。追加で分類する必要が生じたら、サブカテゴリーを設けることを検討します。
- ヒント
- データそのものを丸ごとコピーするのではなく、顧客の特徴やニーズなどの要点を抽出して整理してください。
分類が終わったら、以下のチェックリストと照らし合わせて、内容が適切かどうかを確認しましょう。
チェックリスト
- 3〜5つ程度のカテゴリーを設定している
- (必要な場合)サブカテゴリーを設定している
サブカテゴリーのチェックリスト
- マーケティング担当者にとって異なる対応(チャネル・コンテンツ・オファー)が必要になる分類軸がある
- ユーザーの特性や購買行動を大きく異ならせる分類軸がある
- 商品・サービスの利用目的や検討動機を異ならせる分類軸がある
ユーザーをカテゴリー分けする
整理した情報を精査し、ユーザーをカテゴリー分けします。テンプレート内の「情報整理」シートを使って、情報を整理してください。

それぞれのグループの中身を改めて見直し、「さらに細かく分割すべきカテゴリーがないか」を検討します。たとえば同じ業界や企業規模であっても、購買行動や導入部門などが大きく異なるケースでは、いくつかのサブグループに分けるほうが、ペルソナを明確化しやすくなる場合があります。
ユーザーの特性や購買行動が大きく異なるパターンが混在していないか、商品・サービスの利用目的や導入動機が異なる層が同じグループに含まれていないか、チャネル・コンテンツ・オファーなどのマーケティング施策がまったく別になるほど違う層が1つのグループに混じっていないかを確認してください。
- ヒント
- 分けたカテゴリーについて、それぞれ「主な特徴」や「ニーズ・課題」をまとめておくと、後のペルソナ作成で活用しやすくなります。単一の軸でまとめるのが難しい、あるいは複数の要素が絡み合っているなら、サブカテゴリーを設けてさらに分類します。ペルソナの精度が高まります。
カテゴリー分けができたら、以下のチェックリストと照らし合わせて、入力内容が適切かどうかを確認しましょう。
チェックリスト
- カテゴリーごとに情報を整理している
- 要点だけを抽出して記載している
ペルソナの作成対象を設定する
ユーザーカテゴリーの優先順位を定めて、どのカテゴリーを対象としてペルソナを作成するのかを決定します。テンプレート内の「カテゴリー整理」シートを使用して情報を整理し、優先順位を付けましょう。

まず、ビジネスゴールやLTV(ライフタイムバリュー)、市場規模、受注率などの観点から、カテゴリーの重要度を評価します。そのうち重要度が高い3〜5つのカテゴリーをペルソナ作成対象として選びます。もし売れるセグメントを優先したいのであれば、LTVや受注率を重視するとよいでしょう。
その後、選び出した3〜5つのカテゴリーについて、プライマリーペルソナを1~2パターン、セカンダリーペルソナを2〜3パターン設定します。こうすることで、必要十分な数のペルソナをカバーしながら、リソースを効果的に配分しやすくなります。
- ヒント
- 自社と明らかにマッチしない層がある場合は、アンチペルソナとして定義することを検討してください。たとえば、問い合わせは多いが受注率が極端に低い層、解約率が高い・LTVが低すぎる層、他部門や既存顧客のフィードバックから不適合が明確になっている層などが該当します。
優先順位を決定したら、以下のチェックリストと照らし合わせて、内容が適切かどうかを確認しましょう。
チェックリスト
- 以下の点を考慮してカテゴリーごとの優先順位を決めている
- ビジネスやマーケティング戦略のゴールに基づく重要度
- LTV
- 市場規模
- 受注率
- 既存顧客の満足度
- 優先順位に基づき、最終的なペルソナ作成対象を決めている
- アンチペルソナを作成するかどうかを検討している
ペルソナ設計に必要な項目を選定する
ペルソナ設計に必要な項目を選定し、テンプレート内の「ペルソナ」シートのB列に入力します。一般的な項目はあらかじめ用意してあるので、必要に応じて追加・削除してください。

必要な項目はビジネスやペルソナの用途によって変わります。BtoBマーケティング用途でペルソナを作成する場合は、マーケティング担当者が戦略や施策を検討するのに役立つ項目だけに絞り込みます。あわせて、企業情報と担当者情報をそれぞれ整理することも重要です。
- ヒント
- 企業情報だけではターゲット企業の業界や規模感しかわからず、実際に購買を検討する担当者の具体的なニーズや決済プロセスは把握できません。一方、担当者情報だけに集中すると、市場の大きさや企業の財務的背景、組織構造が考慮されないまま策を組み立ててしまう恐れがあります。両方をそろえることで、より現実的で実務にいかしやすいペルソナが完成します。
ペルソナを作成する
テンプレート内の「ペルソナ」シートを使って、ペルソナを作成します。選定した項目を埋めていきましょう。

ステップ④で選んだ「ペルソナ化するカテゴリー(ユーザーグループ)」 と、ステップ⑤で決めた「ペルソナに含めるべき項目」 を組み合わせる形で、最終的なペルソナを作成します。
各項目にステップ①〜③で抽出・分類したデータを反映し、企業情報と担当者情報を組み合わせて一人の人物像として描きます。
もし特定の項目のデータがない場合は、仮説ベースで入力し、あとで追加調査やインタビューを行う対象としてラベリングしておきましょう。後の評価や修正がスムーズになります。
- ヒント
- 入力内容を洗練させる方法の一つとして、生成AIを使って壁打ちをする手段があります。たとえば想定したペルソナ情報を投げかけ、「もっと具体的に肉付けしたい部分」や「他の視点が必要な箇所」への助言を得ることで、短時間でデータを補完できる場合があります。ただし、あくまでも参考情報と捉え、最終的な判断は自社の実情やインタビュー結果に照らして行ってください。
【生成AIを使って壁打ちする際のプロンプトの例】
BtoBマーケティングの専門家として、以下の前提条件と項目に基づくBtoB向けペルソナを作成してください。
前提条件
・◯◯サービスのペルソナです
・◯◯企業(モデル企業は▢▢・△△)
・ペルソナは◯◯を背景に△△の課題解決に向けサービスを検討する部長クラスを想定しています
項目
・部門
・役職
・担当業務と役割
・検討の背景
・採用マーケティングにより解決したい課題
・採用マーケティングにより実現したいこと
・商材カテゴリーに関する知見
・業務に関する主な情報収集源
・日常的な情報収集源
・業務に関連する主な関心事や興味を持っているテーマ
・その他、付け加えるべき情報
作成したペルソナを評価する
ペルソナが完成したら、営業担当者やカスタマーサクセス、ペルソナをよく知る業界エキスパートなどに実際の顧客像とかけ離れていないかどうか確認してもらいます。生成AIを活用して、情報の抜け漏れや矛盾を指摘してもらうのも有効です。
これらのフィードバックを踏まえ、必要に応じてペルソナを修正してください。
そのあとは、最低でも年に1回は見直すのがおすすめです。市場変化が激しい業界では半期〜四半期ごとにアップデートすると、常に新しいニーズや競合他社の状況に即したペルソナを維持できます。商材リニューアルや新規顧客データの取得など、大きなイベントがある際にも見直しを検討しましょう。
よくある失敗パターン
実務で使えるペルソナを作成するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、各ポイントを踏まえながらよくある失敗パターンを紹介します。
1.データを集めずに思い込みで作成する
具体的なインタビューや既存顧客データ、受注・失注データなどを活用せず、「なんとなくこんな顧客像だろう」という想像だけで組み立てると、ペルソナが実態とかけ離れてしまいます。
ステップ①(情報をリストアップ・収集する)で、あらかじめ保有しているデータをすべて洗い出すことが重要です。情報が足りない場合は追加取得を検討し、それも難しい場合は簡易ペルソナという形で仮説ベースの設計にとどめましょう。
2.顧客を適切に分類していない
むやみに1パターンだけにまとめてしまう、逆に細かく分けすぎてしまうことで運用が難しくなるケースが少なくありません。軸があいまいなままだと、後の施策との結びつきも弱くなります。
ステップ②〜③(分類軸を決めて情報をグルーピングし、カテゴリー分けする)に沿って、企業規模や業界、利用目的など、施策と直結しやすい軸を設定してください。必要に応じてサブカテゴリーを追加することで、ペルソナの精度が高まります。
3.優先順位が不明確
すべてのカテゴリーを均等に扱ってしまうと、施策の焦点が定まらず、リソースも分散します。
ステップ④(ペルソナの作成対象を設定する)で、ビジネスゴール・LTV・市場規模・受注率などの観点から、それぞれのカテゴリーの優先度を判断してください。プライマリーペルソナは1〜2パターンに絞ると、メッセージや施策が明確になります。
4.社内で共有されず形骸化する
ペルソナを作っても、それをマーケティングや営業活動で参照しないまま放置されると意味がありません。とくに経営層や現場担当者がペルソナを知らない場合、策定した顧客像と現場の施策が乖離してしまいます。
社内でペルソナを共有するルールや場を設け、施策検討時や意思決定の場面で必ず確認する仕組みを作ってください。施策後にはフィードバックを集めて、アップデートすると精度の高いペルソナを維持できます。
5.項目を詰め込みすぎて活用しにくい
企業情報や担当者情報を細かく盛り込みすぎると、どれが重要かわからなくなり、ペルソナが現場で使われなくなるケースがあります。
ペルソナの項目は、マーケティング施策に直結するものに絞るのが基本原則です。BtoBであれば業界・従業員規模・導入部門・課題などを中心に設定し、目的と関連の薄い項目は省きましょう。
よくある質問
Q.作成したペルソナは何に使えばいいのでしょうか?
BtoBマーケティングでは、顧客理解に基づくマーケティング戦略設計や施策最適化のための基本情報としてペルソナを活用します。最低限、企業属性(業種・企業規模など)や担当者の部門・業務内容、そしてニーズ・課題を理解しておくとよいでしょう。購買行動や意思決定プロセス、検討時に重視するポイントなど、社内組織の特性まで把握できるとなお効果的です。
Q.ペルソナは何パターン作るべきですか?
本文でも述べたとおり、3〜5つ作成するのが理想です。すべての可能性を網羅しようとすると、運用が煩雑になり、ペルソナのメリットが薄れます。共通のユーザー理解を持つという目的も踏まえ、3〜5つ程度に抑えるようにしましょう。
Q.ペルソナのパターンを分ける基準がわかりません。
基本的には、What(訴求内容)やHow(チャネル・施策・オファー)が変わるかどうかが分ける基準となります。ユーザーの特性や購買行動、利用目的・検討動機が大きく異なり、アプローチ方法を変える必要があれば、別のペルソナとして設定するのが理想です。
Q.実在する顧客をモデルにするべきでしょうか?
インタビューやデータ分析から得た情報を組み合わせて作る仮想のペルソナが一般的です。実在の顧客をモデルにする方法もありますが、1つの顧客事例が特殊なケースである可能性もあるため、複数の実在顧客の共通点を抽出して設計するほうが汎用性が高くなる傾向にあります。
Q.複数人のインタビューを合わせると、実在しない存在になりませんか?
ペルソナはあくまで「顧客層を代表する象徴的な人物像」なので、実在するかどうかは問題ではありません。複数顧客の特徴を合体させるほうが多面的なニーズに対応しやすく、有用なペルソナになりやすいです。ただし、実際の顧客と乖離していないかは定期的に検証する必要があります。
Q.BtoBとBtoCのペルソナは、どのように違いますか?
BtoBのペルソナは、企業内での購買意思決定に焦点を当てるため、担当者の役割や組織構造、予算決裁などがカギになります。一方、BtoCでは個人の購買行動やライフスタイル、感情面を重視することが多いため、設計の切り口が異なります。
Q.ペルソナの策定項目はどこまで必要ですか?
基本的には、マーケティング施策や営業でいかす項目が必須になります。BtoBの場合、企業情報(業界・規模・課題など)と担当者情報(役職・検討背景・意思決定プロセスなど)が欠かせません。状況に応じて、導入の目的や費用感なども加えましょう。
Q.ペルソナを作らないとどうなりますか?
ペルソナを作成しないと、顧客ニーズの思い違いやリソースの無駄遣い、メッセージのぶれなどが起こりやすくなります。明確なターゲット像がないと、施策失敗の原因を特定しづらく、改善も難しくなります。ペルソナは、チーム内での共通認識と一貫したコミュニケーションを保つために役立つツールです。
Q.ペルソナは施策のどのシーンで立ち戻るべきでしょうか?
ペルソナはBtoBマーケティングの起点です。施策を考える際は常にペルソナに立ち戻り、「この施策はペルソナに本当に響くか?」を確認してください。たとえば、以下のようなシーンで有効です。
- マーケティング戦略や施策の設計・実行・分析・改善をするとき
- コンテンツの企画や作成、検証をするとき
- Webサイト(LP)や広告のメッセージを検討するとき
- マーケティング成果や営業結果を振り返るとき
Q.経営陣や他部署にも活用してもらうためにはどうしたらいいですか?
ペルソナの目的や重要性は、一度の説明ではなかなか伝わらないことも多いものです。定期的な説明会やワークショップ、事例紹介を行って理解を広げ、協力を得られるよう段階的に進めてください。とくに「顧客視点のマーケティングが会社の目標達成にどうつながるか」を示すと、経営層や他部署の理解が得やすくなります。
Q.ダメなペルソナを見極めるポイントはありますか?
マーケティング活動に具体的に活用できないペルソナは形だけになりやすいです。抽象的すぎて共通理解が持てない、あるいは情報が多すぎて何を訴求すればいいか分からない状態が典型的な失敗です。本文内の「注意すべき失敗パターン」を参考にしながら、実務で使えるペルソナを目指していきましょう。
Q. ペルソナを作って施策を策定・実行しても、狙いとズレることがあります。
BtoBの購買行動は、市場の変化や顧客ニーズ、組織構造など多くの要因が絡むため、計画と実態が合わないことはめずらしくありません。そのズレ自体が問題というよりは、気づいても修正せず放置することが本当のリスクです。
「どこがズレているのか」「ペルソナの設定か施策そのものが誤っているのか」を分析し、必要ならペルソナそのものの見直しかアプローチの修正を行いましょう。PDCAサイクルを回して検証と調整を続けることで、ペルソナと施策の精度が高まっていきます。
記事のまとめ
本記事では、BtoB向けペルソナ作成に必要な知識や手順を解説しました。ペルソナを活用すると、マーケティング施策やコミュニケーションに一貫性が生まれ、組織内での合意形成もスムーズになります。
以下のポイントに注意し、テンプレートやチェックリストも活用してペルソナ作成に取り組んでみてください。
1.データに基づく
受注・失注データやインタビューなどの事実ベースで設計し、思い込みを排除しましょう。
2.継続的に見直す
年1回程度を目安にアップデートを行い、市場や顧客の変化を取り入れましょう。
3.社内共有を徹底する
ペルソナを全員が共通認識として持ち、実際の施策や営業活動で活用しましょう。
4.情報量をコントロールする
企業情報と担当者情報の両面をカバーしつつ、必要最小限にまとめることで運用しやすくなります。
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