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パートナー実態調査|伸びているパートナー企業の担当者はMDFを使い倒し、メーカー担当者の上司にも感謝を伝えていた

法人営業
シニアコンサルタント
桂川 誠

「MDF、表彰制度、ランク制度といったロイヤルティプログラムは一通り整えた。それでも、思ったより盛り上がらない」

パートナービジネスに取り組むメーカーで、こうした悩みは少なくありません。

一方、取引金額が伸びているパートナー企業も存在します。そうした企業の担当者は、メーカーのロイヤルティプログラムをどのように活用し、メーカーとどのような関係を築いているのでしょうか。

今回は、IT製品を紹介・販売・提案するパートナー企業の担当者・責任者400名を対象に実態調査を実施しました。回答者を取引金額の前年比によってグループに分け、行動・意識の差を分析しています。

本記事では、取引金額が伸びているグループに見られた特徴と、そこから得られた示唆を紹介します。

4つの主要ファインディング

本調査では、取り扱うメーカー製品の年間取引金額の前年比が110%以上のグループ(n=91)と100%未満のグループ(n=90)に分けて、担当者の行動・意識の差を比較・分析しました。

分析グループの定義グラフ。前年比110%以上を「110%以上グループ」(110〜119%:18.5%、120%以上:4.3%)、100%未満を「100%未満グループ」(90〜99%:16.3%、90%未満:6.3%)と定義。100〜109%は分析対象外。

見えてきたのは以下の4点です。

①110%以上グループの担当者は、MDFを「使い倒している」

MDF(Marketing Development Fund:販促支援金)の活用用途数は1人あたり平均2.3で、100%未満グループの平均1.1の約2倍。さらに、すべての用途において110%以上グループの活用割合が100%未満グループを上回っています。

②MDFの理想の使い道はグループ間で大きな差はない

つまり活用状況の差は、意欲よりも制度の使いやすさに左右されている可能性があります。

③110%以上グループの担当者は、メーカー担当者の上司にも感謝を伝える行動が活発

メーカーの窓口担当者だけでなく、その上司にも感謝を伝えている担当者が多い傾向があります。

④110%以上グループの担当者は、個人向けの実績評価制度に多面的なメリットを感じている

金銭的メリットだけでなく、キャリア形成の機会としても捉えている可能性があります。

本記事では、とくに差が大きかった「MDF活用」と「感謝を伝える行動」を中心に紹介します。その他の分析結果や詳細データは、記事末尾で紹介するサマリー版レポートをご覧ください。

MDFの活用状況の差は、意欲よりも「使いやすさ」に起因している可能性がある

すべての用途において、110%以上グループのMDF活用割合が100%未満グループを上回っています。さらに、MDFの活用用途数の平均は110%以上グループが2.3で、100%未満グループの1.1の約2倍にのぼります(Q4の複数選択回答から算出)。

MDF活用用途グラフ。すべての用途で110%以上グループの活用割合が100%未満グループを上回る。

では、なぜ差が生まれるのか。「100%未満グループはMDFを使いたくないのか」というと、そうではありません。

MDFの実際の活用割合(Q4)では、用途ごとにグループ間で20〜30pt前後の差がありましたが、理想の使い道(Q5)ではほぼ差がありません。

MDFの申請・運用のしやすさに、グループ間で差がある可能性があります。

MDFの理想の使い道グラフ。グループ間に大きな差は見られない。
※Q4(MDFの実際の活用用途)は複数選択、Q5(理想の使い道)は単一選択のため、両者の%を直接比較することはできません。本分析ではグループ間の差の有無のみを比較しています。

パートナー企業への提言

活用を阻んでいるのは、制度そのものではなく実務上のハードルだと考えられます。社内で成功事例や申請テンプレートを共有し、申請を担当者任せにしない仕組みを整えることが有効です。

メーカー企業への提言

制度そのものより、使いやすさが活用度を左右していると考えられます。申請プロセスの簡素化や用途ガイドラインの明確化など、パートナーの視点で制度設計を点検する余地があります。

グループ間で最も差が大きかったのは、「感謝を伝える行動」だった

MDFの活用状況の違いはわかりやすいポイントですが、実はもう一つ印象的な差がありました。それは、メーカーの窓口担当者だけでなく、その上司にも感謝を伝えている点です。

取引金額の前年比が高くなるほど、メーカー担当者の上司に感謝を伝える割合も高まる傾向が見られました。110%以上グループでは84.7%にのぼり、100%未満グループ(52.2%)を32.5pt上回っています。

さらに役職別に見ると、管理職では110%以上グループの88.2%がメーカー担当者の上司にも感謝を伝えており、100%未満グループ(47.9%)を40.3pt上回ります。非管理職でも15.4ptの差が見られます。

窓口担当者だけでなく上司層にも感謝を伝えている担当者が多く、メーカー内での接点の持ち方にも違いがある可能性があります。

役職別感謝行動グラフ。管理職:110%以上88.2% vs 100%未満47.9%(+40.3pt)。非管理職:110%以上73.9% vs 100%未満58.5%(+15.4pt)。

パートナー企業への提言

窓口担当者との関係づくりだけでは、メーカー社内で関係が広がりにくい可能性があります。定例報告や成果共有の場を活用し、上司層との接点も意識的につくってみる価値があります。

メーカー企業への提言

パートナーの担当者が自然に上司層と接点を持てる場は、放っておいてもできるものではありません。キックオフやQBR(Quarterly Business Review:四半期ビジネスレビュー)、アワード表彰式など、上司層と接点を持てる機会を意図的に組み込むことで、パートナーとの関係構築を後押しできる可能性があります。

才流コンサルタントのコメント

シニアコンサルタント・桂川

「制度は一通り整えたのに、思ったより動かない」。パートナービジネスの相談で、よく聞く声です。本調査から見えてきたのは、成果を分ける要因が担当者個人の行動や意識にもあるということです。制度の活用度、メーカー組織との接点の広げ方、協業を自身の成長機会と捉える姿勢。いずれも会社単位の評価では捉えきれません。

メーカー側への示唆は2つあります。一つは、MDFの申請プロセスや用途ガイドラインなど、制度の使いやすさの点検。もう一つは、会社単位の表彰に加え、担当者個人のキャリア成長に応えるプログラム設計の検討です。

担当者個人の行動や意識が成果と関連しているとすれば、支援の設計も個人に目を向ける必要がある。本調査がその議論のきっかけになれば幸いです。

調査概要

調査名称IT製品のパートナービジネスにおけるロイヤルティプログラムの実態調査
調査目的
パートナー企業の担当者がメーカーとどう関わり、どんなメリットを感じているかを明らかにする
調査対象IT製品を取り扱うパートナー企業の担当者・責任者のうち、MDFの申請・承認・活用・精算いずれかの実務経験者(22歳~65歳)
有効回答数400件
調査期間2026年2月3日~2月4日
調査方法インターネット調査
※データは小数点第2位で四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
調査企画・実施株式会社才流

回答者属性

回答者の56.0%が管理職で、51.1%がパートナービジネス経験5年以上です。

回答者属性グラフ。管理職56.0%、パートナービジネス経験5年以上51.1%。

本調査レポートの詳細・ダウンロード

本記事はレポートの一部を抜粋したものです。より詳しい調査結果や分析をまとめたサマリー版レポートは、以下のフォームよりダウンロードいただけます。

サマリー版レポートの目次

01.エグゼクティブサマリー

  • 調査の総括
  • 4つの主要ファインディング
  • パートナー企業への3つの提言
  • メーカー企業への3つの提言

02.調査結果

  • 回答者属性:役職・経験年数
  • 回答者属性:業種
  • 分析グループの定義(年間取引金額前年比)
  • 留意点:グループ間の行動差は役職の影響を受けている可能性がある
  • 取引金額の前年比が高くなるほど、メーカー担当者の上司に感謝を伝える割合も高まる傾向がある
  • 前年比110%以上グループは、役職を問わずメーカー担当者の上司に感謝を伝えている割合が高い
  • 前年比110%以上グループは、MDFをより高い割合で活用している
  • 実際の活用状況には大きな差があるが、MDFの理想の使い道はグループ間で大きな差はない
  • 前年比110%以上グループの担当者は、個人向けの実績評価制度に多面的なメリットを感じている

03.参考

  • 統計上の留意点

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