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マスコミ人脈ゼロのどベンチャーが、2週間で日経新聞に載った秘密のPR手法

PR会社 ベンチャー広報・代表取締役の野澤直人と申します。出版社勤務を経て、私が「広報」としてのキャリアをスタートさせたのは、創業間もないベンチャー企業でした。

雑誌編集者としてマスコミ側にいたものの、広報の仕事の経験はなかった自分が最初に手がけた大きな仕事、それは「新サービスのリリースを日経新聞に載せること」。

メディアからの取材を1度たりとも受けたことがないベンチャー企業が、天下の日経新聞に載る……これってめちゃくちゃ難しいこと。少しでも広報をかじったことがある方なら、おわかりいただけるかと思います。

でも、結果として私は「日経新聞に載る」という無理難題を、ほんの数週間で達成できました。

どうやったのか?

その方法を、ひと言で表すなら「テレアポ」です。でも、ただのテレアポではありません。今回は、しがないベンチャー企業の新サービスが日経新聞に載るまでに何をやったのか、できるだけ具体的にご紹介します。

メディア取材

当時の状況と社長からのオーダー

私が広報として勤務していた会社は、海外留学を扱うベンチャー企業。創業してまだ数年で、過去にメディア取材を受けたことなどありません。

転職して間もないある日、社長から言われたのは「野澤くん、今度発表する新サービスを、日経新聞に載せて宣伝したいんだよね」という言葉。

その新サービスというのは、社会人向けの留学支援サービスでした。
しかも、社長は重ねて言いました。

「日経産業新聞や日経MJじゃない、日経新聞本紙でなければだめだ」

もちろん、広告を掲載するという意味ではありません。広告費など無いので、報道として新聞に掲載されたいという意味です。

その頃の私はと言えば、マスコミへの人脈など皆無。
正直、かなり絶望的な状況でした。

第1段階:プレスリリースを送るも音沙汰なし

社長のオーダーに啞然としながら、
最初にしたことは、やはり「プレスリリースを送る」でした。

プレスリリースを作って、日経新聞社にFAXしました。
が、当然何の反応もありません。

とはいえ「無理でした……」なんて報告できるわけがありません。

第2段階:敵を知る

プレスリリースが無理だとわかった次に、どんな手を打つべきか。

途方に暮れつつ日経新聞に関する情報を集めたところ、同社には200人を超える記者がいますが、じつは担当領域がかなり細かく縦割りになっているらしい。例えば業界別に分かれているのはもちろん、同じ金融の中でも、銀行、保険、証券…と細かく担当が分かれているんです。

そこで、私は仮説を立てました。

「日経新聞の記者の中に『留学担当』という人がいる。そしてその人なら、間違いなく『ビジネスマン向け留学支援サービス』に興味を持つはず」

つまり、「自社のジャンルを専門に扱う記者」にアプローチできれば、日経新聞に取材してもらえるのでは?と思ったわけです。

第3段階:自社に興味がある記者を特定する

仮説を確かめるべく、私は国会図書館へ行き、
過去1年分の日経新聞を読み漁って留学に関する記事を探しました。

留学関連の「署名記事(※)」を見つけたら、記者の名前をメモ。そしてまた留学の記事を探す。それを繰り返すうちに、分かったことがあります。

1年分の日経新聞で、
留学関連の記事を書いていた記者は、たった一人しかいなかったのです。

※署名記事:記事を書いた記者の名前が明示されている記事

第4段階:特定した記者へテレアポ

「留学担当」と思われる記者の名前を突き止めた私は、
日経新聞に電話して「○○さんはいらっしゃいますか?」とそのお名前の方を呼び出しました。

すると思惑通り、電話口には○○さんが出てくれました。
そこで、自分が留学を扱う会社の広報マンで、日経新聞で○○さんの記事を読んだこと、自社からビジネスマン向けの新サービスを出すことを伝えたのです。

その上で、こう続けました。
「もし、○○さんがこの話にご興味がありましたら、一度会っていただけませんか?」

こうして、
日経新聞の留学担当を見つけ出し、取材から記事にしてもらうことに成功しました。最初に(何の効果もなかった)プレスリリースを送ってから、たった2週間後のことです。

最終段階:第1~4段階を横展開

成功体験を得た私は、同じ手法で別の新聞や雑誌、ニュース番組の担当者にアプローチしていきました。そして、アプローチした媒体すべてとは言いませんが、最終的にはかなり多くの取材を獲得できたのです。

アプローチの流れ

そして最終的に私の手元に残ったのが「留学関連のネタに興味がある記者リスト」。
新サービスをリリースした時にすぐ連絡できるマスコミリストです。

「自社に興味があるメディア人脈作り」が最強

マスコミ人脈ゼロ、なんなら広報経験もゼロの私が、ほんの数週間で「自社のネタに興味を持ってくれる」記者とつながり、実際に取材までこぎつけるためにやったことのすべてをご紹介しました。

広報で成果を出すためには、各媒体に人脈を作るのが結局は有効です。
実際、私がやったのは「テレアポ」であり「人脈作り」です。

とはいえ、大手企業ならとにかく、広報を始めたてのベンチャーや中小企業が、大きな媒体の記者と知り合うのはそう簡単なことではありません。

しかしながら、自社のサービスに興味があるマスコミ担当者をピンポイントで探し出せば、効率的に人脈を築けるんです。

プレスリリースを一括送信したけど、どのメディアからも取材してもらえない……なんていう不毛な事態に直面することもありません。

「プレスリリースを送ってもなんの音沙汰もない」
「うちみたいな小さい会社が大手メディアから取材されるなんて夢のまた夢」
と思っている広報担当者や経営者の方は、ぜひ私が実践したやり方をまねして、有効なマスコミリストを作っていってください。

野澤直人

著者/ 野澤 直人
株式会社ベンチャー広報 代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。 マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上の取材を経験。その後、当時無名だった海外留学関連のベンチャー企業で広報部門をゼロから立ち上げ毎年100~140件のマスコミ露出を実現することで、5年で売上10倍という同社の急成長に貢献する。 2010年に日本では珍しいベンチャー企業専門のPR会社として株式会社ベンチャー広報を創業。以来9年間でクライアント企業300社以上の広報活動を支援する。宣伝会議での広報セミナーの講師など、講演・講師実績も多数。著書に『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)。

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