BtoB企業における広報活動は、企業のブランディングやサービスの認知拡大に寄与する有効な手段です。その一方で、広報活動を始めたいものの、どのように広報活動を行ってよいのかわからないとお悩みの方は多いようです。
そこで、ぜひ活用していただきたいのがメディアリストです。メディアリストを活用することで、漏れのない効率的な広報活動を行うことができます。
本記事では、メディアリストの作成・活用方法について解説します。さらに、広報初心者の方でも簡単に使えるテンプレートをご用意しました。すでに広報活動に取り組んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
メディアリストのテンプレート(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
才流では「広報部門を立ち上げたが何をすればいいかわからない」「メディアリストを活用した広報活動のポイントを知りたい」企業さまを支援しています。BtoB広報でお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
メディアリストが広報活動に必要な理由
広報活動において、メディアリストは重要な役割を果たすツールです。まずはメディアリストの概要と、その重要な役割について解説します。
メディアリストとは
メディアリストとは、関係を築きたい記者やメディアの担当者の連絡先やアプローチ状況などを管理するための、広報活動に欠かせないツールです。
記者やメディアの担当者へのアポ取り・面会・プレスリリースの送信・取材の獲得などの各プロセスにおいて、メディアリストを活用します。営業活動における営業リストや顧客リストと同様の役割だと考えると、わかりやすいかもしれません。
メディアリストの重要性
広報活動においては、無作為に情報を提供すればいいというわけではありません。メディアに情報を届けるといっても「誰に情報を提供するのか」が成否を分ける重要なポイントとなります。
たとえば、メディアの中の化粧品担当の記者にITセキュリティに関する情報を提供しても、興味をもってもらえないでしょう。その場合、メディアの中の情報システム担当、さらにはITセキュリティ担当の記者に情報を提供する必要があります。つまり、「自社のサービスに興味を持ってもらえる可能性のある記者・マスコミ関係者を見つけ出す」ことが重要なのです。
メディアリストのテンプレートをダウンロードする
才流では、ダウンロードしてすぐに使えるメディアリストのテンプレートをご用意しました。自社の広報活動にぜひご活用ください。
メディアリストのテンプレート(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
メディアリストの記載方法
メディアリストの各項目について、記載内容に関する説明を以下の表にまとめました。
メディア情報
項目 | 説明 |
---|---|
メディア種別 | メディアの種類を選択 (Webメディア、テレビ、新聞、雑誌、その他) |
会社名 | メディアの運営会社名を記載 |
メディア名 | メディアの名称を記載 |
メディアURL | Webメディア:サイトのTOPページのURLを記載 それ以外:メディアに関するサイトのURLを記載 |
掲載本数 | 広報活動によって掲載された記事数を記載 |
備考 | メディアや運営会社に関するメモを記載 |
担当者情報・連絡先情報
項目 | 説明 |
---|---|
部署名 | 担当者(記者など)の所属部署名を記載 記者がフリーランスの場合は、その旨を記載 |
役職 | 担当者(記者など)の役職を記載 |
担当者名 | 担当者(記者など)名を記載 ※必要に応じてフリガナをつけておくとよい |
紹介元・きっかけ | 紹介者の名前や、関係を築いたきっかけを記載 ※「電話問い合わせ」など |
自社サービスとの 親和性が高い理由 | 担当者が自社サービスに関心があると考えられる理由を記載 ※担当者の執筆記事のURLなど |
アプローチメモ | 実際に担当者にアプローチした所感や結果を記載 |
ステータス | アプローチの状況を選択 (未アプローチ、アプローチ中、面会済み、掲載実績あり、連絡不通) |
電話・FAX番号 メールアドレス | 各手段の連絡先情報を記載 |
メディアリストの作成から活用までのステップ
ここからは、はじめてメディアリストを作成する広報担当者のために、作成から活用までのステップを解説していきます。
1.メディアリストの作成に必要な情報を集める
メディアリストの作成には、メディアに関する情報収集が必要です。以下で紹介する方法を参考にして、まずは20〜30件程度のメディアをピックアップしてみましょう。
自社に合ったメディアの探し方
広報活動で成果を出すためには、自社の情報に興味をもちそうなメディアを選定することが重要です。ここからは自社に合ったメディアの探し方について、詳しく解説していきます。
- 見込み顧客インタビューで重要なメディアを特定する
- エキスパートインタビューでメディア選定の精度を上げる
- 競合他社のメディア掲載情報を参考にする
- PR TIMESでメディア選定の抜け漏れを確認する
- ニュース検索をしてメディアや担当者を探す
見込み顧客インタビューで重要なメディアを特定する
見込み顧客へのインタビューを行い、普段から閲覧しているメディアについてヒアリングしましょう。3〜5人程度にインタビューをすれば、重要なメディアが特定できるはずです。
エキスパートインタビューでメディア選定の精度を上げる
メディア選定の精度を上げるために、業界のメディア事情に詳しい方にインタビューをしましょう。その際、自社サービスと親和性の高いメディアについてヒアリングするとよいです。
業界のメディア事情に詳しい方を探すには、ビザスクなどのオンラインインタビューサービスを使うことをおすすめします。エキスパートと簡単にコンタクトを取れるはずです。
競合他社のメディア掲載情報を参考にする
競合他社のWebサイトに記載されているメディア掲載実績をチェックしましょう。自社と同カテゴリのサービスがメディアに掲載されていれば、自社にもチャンスがあるはずです。記事から担当者が分かる場合は、メディアリストに記載しておきましょう。
PR TIMESでメディア選定の抜け漏れを確認する
PR TIMESのメディアリスト機能を利用すれば、PR TIMESのデータベースにある10,000媒体以上のメディアの中から、希望する条件に合致するメディアを探すことができます。検索キーワードを入力して、カテゴリにマッチしたメディアを探しましょう。
※メディアリスト機能を利用するには、企業登録申請が必要です(料金は発生しません)
ニュース検索をしてメディアや担当者を探す
自社の商品・サービスのカテゴリや競合他社の名称でGoogleニュース検索をしてみましょう。検索結果の画面に表示された記事から、メディアや担当者を見つけられます。
メディア内の担当者の探し方
情報を提供したいメディアをピックアップしたら、そのメディア内の担当者を探してメディアリストに記載します。ここでは担当者の探し方について解説します。
- 社内のコネクションから担当者を探す
- 広報関係者から担当者を紹介してもらう
- 過去の新聞や雑誌から担当者を探す
- テレビ番組のエンドロールから担当者を探す
社内のコネクションから担当者を探す
情報を掲載してほしいメディアが明確になったら、まずはそのメディアとのコネクションを持つ社員がいるかどうかを社内で確認してみましょう。
広報関係者から担当者を紹介してもらう
同業他社の広報、業界内の広報コミュニティや勉強会でつながりのある方、広報支援をしている方から担当者を紹介していただけることもあります。
過去の新聞や雑誌から担当者を探す
自社の商品・サービスのカテゴリに興味関心がありそうな担当者を、過去の記事から探しましょう。過去の新聞や雑誌は、図書館に行けば無料で閲覧できます。
テレビ番組のエンドロールから担当者を探す
テレビの場合、制作会社にアプローチすることで番組に取り上げてもらえることがあります。テレビ番組の制作会社は、エンドロールから見つけることが可能です。
また、テレビ番組名でネット検索すると、制作会社やスタッフ名がわかることもあります。
※関連記事:マスコミ人脈ゼロでも日経プレスリリースページに掲載されたPR手法
2.メディアリストを作成する
必要な情報を集めたら、メディアリストに必要事項を記載していきましょう。メディアリストのテンプレートは以下からダウンロードしていただけます。
メディアリストのテンプレート(Excel形式)をダウンロードする※個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルがダウンロードされます。
各項目の記載内容については、前述の「メディアリストの記載方法」を参考にしてください。
3.メディアリストを使ってアプローチする
メディアリストを作成したら、早速アプローチを開始しましょう。メディアへのアプローチのポイントを以下にまとめました。
- アポ取り
- 面会
- プレスリリースの送信
- 取材
アポ取り
電話もしくはメールにて、面会のアポイントを取りましょう。記者がX(旧Twitter)やFacebookなどのSNSアカウントを有している場合は、ダイレクトメッセージも有効です。電話やメール、SNSでのアプローチが難しい場合は、手紙でのアプローチを検討してください。
アポ取りの前に、礼儀として相手の記者の方が過去に書いた記事を読むようにしましょう。そして以下の例のようにアプローチするとよいでしょう。
アプローチの文面の例:
「Aさんが以前書かれた〇〇の記事を拝見して、お電話しました。私は△△という会社で広報を担当しています。このたび、〇〇に関する新しいサービスを開始する予定です。もしAさんがご興味を持っていただけそうでしたら、情報提供をしたいと考えて連絡いたしました」
面会
初回の面会では、関係構築とヒアリングに注力することが重要です。まずはファクトブック(※)などを用いて簡単に自社や商品・サービスに関する紹介をします。その際、売り込みは敬遠される可能性があるので、自社の紹介は最低限にしましょう。
その後、記者の方が興味関心のある事項などをヒアリングします。主なヒアリング事項は以下のとおりです。
- 「Aさんのご担当分野は〇〇という認識で合っていますか?」
- 「最近とくに注目されているテーマはありますか?」
- 「どのような情報だと取材したくなりますか?」
※その企業の基本情報、業績、活動内容などをまとめた資料のこと。
プレスリリースの送信
プレスリリースの内容は、ニュースバリューがあるかどうかが重要です。送信前のタイミングで面識のある記者に内容を見てもらい、「ご興味ありませんか?」「取材になる可能性はありますか?」などヒアリングしてみましょう。もし反応が悪ければ、切り口や内容を再考します。
プレスリリースは、「面識のある記者への事前送信」→「サイト掲載」→「一斉送信」の順番で発信します。特定記者が記事を提出するタイミングを事前に把握しておけば、タイミングを逃さずアプローチできるでしょう。
取材
プレスリリースに興味をもった記者がいれば、取材を受けることができます。
広報活動のゴールは、プレスリリースの送信ではなく、取材を受けてメディア掲載につなげることです。記者から取材を受けるためにも、プレスリリースに興味をもってもらえるような事前アプローチ、ニュースバリューの高さを心がけましょう。
メディアリストについてよくある質問と回答
Q:プレスリリースの一斉配信サービスは有効ですか?
A:一斉配信だけで取材につながる可能性は非常に低いです。まれですが、記者が検索で情報収集をする中で、一斉配信のプレスリリースを見つけ、取材に至るケースはあります。
Q:メディアリストにおけるアプローチの優先順位はどう決めればよいですか?
A:メディアの規模(PV数や発行部数など)や発信したい内容との親和性、見込み顧客インタビューの結果などを参考にして、優先順位を決めていくとよいでしょう。
Q:リリース受付用の窓口があるメディアにはどうアプローチすればよいですか?
A:たとえば、ITmediaのように取材やリリース受付用の窓口を用意しているメディアは複数あります。該当メディアにコネクションがない場合、リリース受付用の窓口にプレスリリースを送付するのがよいでしょう。ニュースバリューのあるプレスリリースであれば、取材につながる可能性があります。
まとめ
BtoB企業が広報活動で成果を出すためには、メディアリストの活用が必要不可欠です。自社のターゲットが普段から閲覧しているメディアを見つけ出し、メディア担当者にアプローチを行いましょう。
質の高いメディアリストは、広報活動の強力な武器になります。 ぜひ本テンプレートをご活用いただき、自社に合ったメディアリストを作成してください。
才流では「広報部門を立ち上げたものの、何をすればいいかわからない」「メディアリストを活用した広報活動のポイントを知りたい」企業さまを支援しています。BtoB企業の広報でお困りの方はお気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら
監修
サイバーエージェント出身。BtoB、BtoCの複数企業においてマーケティング責任者を歴任。
マス~デジタル、広告〜PR、あらゆるマーケティングにおける戦略立案、コミュニケーション設計~エグゼキューションに携わる。
Google SaaS Day 2020登壇、NIKKEI BtoBマーケティングアワード2021ファイナルに選出。