初めてマーケティング組織を立ち上げる際は、どんな人材を集めたらいいのか、どれくらいの規模の組織を目指せばいいのか、すべての業務を内製すべきなのか……など、多くの悩みに直面すると思います。
一口にマーケティング組織といっても、業務の内容は多岐にわたり、また企業や事業のフェーズによって体制も大きく変わります。
そこで本記事では、初めてBtoB事業でマーケティング組織を立ち上げる責任者クラスの方に向けて、マーケティング組織が担う主な業務と役割分担について、企業規模別のモデルケースを交えて解説します。
立ち上げ期、中規模、大規模、それぞれのフェーズごとの組織体制と役割分担をまとめた一覧表も用意しました。ぜひ参考資料としてご覧ください。
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BtoBマーケティングの主な業務
まずはBtoB事業のマーケティング組織が担う5つの業務を確認し、全体像を把握しましょう。
各業務の担当者についても記載していますが、いずれも一例です。
たとえば、立ち上げ期の組織ではマーケティングマネージャーがマーケターの業務を兼務したり、ディレクターがオペレーターの業務も担ったりするケースが往々にしてあります。
担当者は企業や組織の規模によって異なるため、担当者の情報は参考としてご覧ください。
業務①マーケティング戦略立案
ターゲットや訴求の策定、マーケティング全体像の設計を行います。
業務内容にはKGI・KPIの策定、ペルソナの作成、コミュニケーション設計、カスタマージャーニーマップの作成、個別施策の優先順位策定といったものがあります。
業務②組織マネジメント
マーケティング組織に関するマネジメント業務です。
主に事業推進、人的リソースの調達・管理、予算の調達・管理、部門間調整といった業務があります。
業務③プロモーション施策
広告やセミナー・イベントのプランニングからディレクション、実行までを行います。
プロモーションには広告やセミナー・イベント、展示会などに加えて、郵送DM・手紙、広報・PR、メールマーケティング、SNSなど、さまざまなチャネルがあります。
業務④コンテンツ制作
サービスサイトやLP、事例などマーケティング活動に必要なコンテンツを制作します。
制作にはプランニング、ディレクション、ライティングといった工程があります。
また、Web媒体であればデザイン・コーディングが、事例やカタログといった紙媒体の場合はデザイン・印刷などの工程がさらに加わります。
業務⑤分析
マーケティング活動の成果を測るために、データの集計や分析を行います。
主な職種と役割分担
前提として、BtoB事業のマーケティング組織における主な職種と役割分担を把握しておきましょう。
なお、企業や事業のフェーズに応じて、組織体制は変わります。詳細は後述のモデルケースで説明しているので、あわせてご覧ください。
職種 | 主な役割 |
---|---|
マーケティングマネージャー | マーケティング組織の責任者 |
マーケター・プランナー | マーケティング戦略の立案や、プロモーション施策、 コンテンツ制作のプランニング |
ディレクター | プロモーション施策やコンテンツ制作のディレクション(進行管理) |
オペレーター | プロモーション施策やコンテンツ制作におけるオペレーティング業務 |
デザイナー | コンテンツ制作におけるデザイン業務 |
コーダー | コンテンツ制作におけるコーディング業務 |
ライター | コンテンツ制作におけるライティング業務 |
広報 | 広報・PR業務 |
アナリスト | KGI・KPI数値の集計・分析、Webの解析業務 |
主な外部パートナー
社内異動や採用が難しい場合は、外部パートナーを活用することも検討しましょう。
選択肢として、以下の外部パートナーの活用が考えられます。
パートナー | 主な業務 |
---|---|
コンサルティング会社 | マーケティング戦略の立案の代行や、各種施策へのアドバイス |
広告代理店 | プロモーション施策やコンテンツ制作の代行 |
制作会社 | コンテンツ制作業務 |
PR会社 | 広報・PR業務 |
イベント・展示会支援会社 | イベントや展示会の運営 |
印刷会社 | 印刷業務 |
フリーランス | さまざまな業務 |
組織体制のモデルケース
一口にマーケティング組織といっても、体制は企業や事業のフェーズによってさまざまです。以降、BtoB事業を展開する企業にヒアリングした内容を、モデルケースとして紹介します。
立ち上げ期、中規模、大規模、それぞれのフェーズごとの組織体制と役割分担をまとめた一覧表も用意しました。ぜひ参考資料としてご覧ください。
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モデルケース①立ち上げ期
立ち上げ期の企業のマーケティング組織のモデルケースです。
マーケティングマネージャーの方が、広範囲に役割を担われています。
他の社内リソースはディレクター1名、オペレーター1名と最小限におさえ、コンサルティング会社や広告代理店、フリーランスなどの外部リソースを活用して、マーケティング活動を行っています。
組織体制の概要
組織の人数 | 3人 |
主な社内リソース | マーケティングマネージャー、ディレクター、オペレーター |
外部パートナー | コンサルティング会社、広告代理店、展示会支援会社、フリーランス |
扱っている商材 | SaaSサービス |
組織立ち上げからの年数 | 1年 |
予算 | 年間3000万円 |
組織体制の特徴
- マーケティングマネージャーが、プロモーション施策やコンテンツ制作のプランニングまで担当
- コンサルティング会社に、戦略立案サポートや施策へのアドバイスを依頼
- 広告代理店に実行業務を依頼し、実行リソースを補完
- お役立ち資料の作成を、フリーランスに依頼
組織の課題
マーケター、プランナーの採用が難しい
課題に対する打ち手
外部パートナーを利用し、人的リソースを補完
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モデルケース②中規模
中規模の企業のマーケティング組織のモデルケースです。
マーケター・プランナーの2名がリーダーとなり、オペレーター4名のリソースを活用して、施策を推進されています。マーケティングマネージャーは、施策に口出しせず、組織マネジメントに従事されています。
外部パートナーは、制作会社とのリレーションが深く、セミナー運営まで依頼しています。
組織体制の概要
組織の人数 | 6人 |
主な社内リソース | マーケティングマネージャー、マーケター・プランナー、オペレーター、 デザイナー、コーダー、広報 |
外部パートナー | コンサルティング会社、制作会社、フリーランス、印刷会社 |
扱っている商材 | SaaSサービス |
組織立ち上げからの年数 | 7年 |
予算 | 年間5000万円 |
組織体制の特徴
- マーケティングマネージャーは、施策には口出しせず、組織マネジメントに従事
- デザイン、コーディング、広報・PR業務は、他部署で対応
- コンサルティング会社に、戦略立案サポートや施策へのアドバイスを依頼
- 制作会社に、お役立ち資料作成、メール文作成、バナー作成、セミナー運営を依頼(とくにお役立ち資料は、プランニングから全ての業務を任せている)
組織の課題
- マーケター、プランナーの採用が難しい
- 採用や育成にかけるリソースがない
課題に対する打ち手
外部パートナーを利用し、人的リソースを補完
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モデルケース③大規模
大規模の企業のマーケティング組織のモデルケースです。
150人の社内リソースを抱える日本で最大規模のBtoBマーケティング組織だと思います。
景況感に合わせた、柔軟な人的リソースの調達を重視されており、外部リソースや非正規社員を積極的に活用していく方針とのことです。実際にオペレーターは、非正規社員(派遣社員)が担当されています。
組織体制の概要
組織の人数 | 150人 サービスごとに10個の部署に分かれている |
主な社内リソース | マーケティングマネージャー、マーケター・プランナー、ディレクター、 オペレーター、デザイナー、コーダー・エンジニア、ライター、 広報・PR、アナリスト |
外部パートナー | 広告代理店、イベント支援会社、展示会支援会社、制作会社、 フリーランス、印刷会社 |
扱っている商材 | 採用プラットフォーム |
組織立ち上げからの年数 | 10年 |
予算 | 年間100億円 |
組織体制の特徴
- 重要な意思決定は、経営者や事業部長も関わる
- オペレーターは、非正規社員(派遣社員)が多い
- 公式SNSの運用は、リスクマネジメントの観点から広報・PR担当に一本化
- ライターは、オウンドメディアのコラム制作と事例制作を担当
- サービスサイトのライティングは、マーケター・プランナーやディレクターが担当
- 展示会や大きなイベントは、営業部の人的リソースを活用
組織の課題
- マーケター、プランナーの採用が難しい
- 正社員が多く、景況感に合わせた柔軟な人的リソース調整ができない
課題に対する打ち手
- リファラル採用を強化
- 外部リソースや非正規社員を積極的に活用
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よくある質問
BtoB事業のマーケティング組織の立ち上げについて、よく頂く質問に回答しました。
Q.立ち上げ期は、どのように人的リソースを確保することが多いですか?
A.人的リソース確保の主な選択肢は、「社内異動」「採用」「外部リソースの活用」です。社内異動や採用の状況に応じて、外部リソースの活用を検討することをおすすめします。
外部リソースの活用は、リソース調整に柔軟性をもたらします。とくにPMF前のサービスの場合は、リソースに柔軟性をもたせた方が良いでしょう。
Q.社内異動の場合は、どのような人を選ぶべきですか?
A.以下にあてはまる人を選ぶと良いでしょう。
- サービスや顧客の解像度が高い人
- 社内調整力の高い人
- マーケティングによる社内改革に熱意のある人
Q.BtoBマーケターの採用のポイントを教えてください
A.以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
※関連記事:BtoBマーケター採用スタートガイド~フローチャートで自社に合ったターゲットがわかる~
Q.外注を検討する場合は、どの業務を依頼するべきでしょうか
A.景況感や方針によって業務量が変動する業務は、外注に向いている業務といえます。また、お役立ち資料の作成のような切り出しやすい業務も、外注に向いている業務です。
最後に
BtoB事業のマーケティング組織は、企業や事業のフェーズによってさまざまな形があります。
どんな組織を目指すべきか迷われる場合は、ぜひ今回紹介したモデルケースを参考にしてみてください。
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