マーケティング戦略を立てるときには「誰の、どんな課題を、どのように解決するか」を整理するため、ペルソナ作成は欠かせないプロセスです。ペルソナが明確であれば、施策の立案はもちろんのこと、コンテンツ改善の基準にもなり、関係者全員の意思統一にも役立ちます。本記事では、BtoBマーケティングにおけるペルソナの項目例や、作成の手順を解説します。
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■監修:才流(サイル)コンサルタント・小島 瑶兵
BtoB企業のペルソナ作成には、ぜひ以下の才流テンプレートをご活用ください。
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ペルソナとは?
ペルソナとは、自社が提供する商品・サービスを活用してくれるであろう、重要で象徴的なユーザー像のことです。
才流(サイル)がマーケティング戦略を立てる際は、企業・顧客・競合の調査分析を行い、バリュープロポジションを洗い出してから、ペルソナを作成しています。
バリュープロポジションとは、企業が提供できて、その競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値。バリュープロポジションが明確なほど、マーケティングメッセージをかためやすく、商談で自社の価値を説明できるようになり、顧客にも選ばれやすくなります。
※関連記事:バリュープロポジションとは?作り方と事例~テンプレート付きで解説~
ペルソナを作るメリット
BtoBマーケティングにおいて、ペルソナを作るメリットは決して少なくありません。本記事では、代表的な3つを挙げましょう。
顧客解像度が高まる
ペルソナを作るときは、顧客情報やリアルなお客様の声に触れることになります。そのプロセスで、顧客が抱える課題やニーズをより鮮明にイメージできるようになるでしょう。顧客理解が深まることは、マーケターにとって何よりのメリットとなるはずです。
顧客視点とのギャップに気付き、効果的な訴求ができる
「この機能がポイントです」「このサービスは、他社とここが違います」など、企業側が伝えたいことだけが、顧客の求めている情報ではありません。
BtoB企業のWebサイトの多くが、サービス紹介やプロダクトの機能説明に留まっています。原因の1つは、ペルソナが不明瞭なことによって「誰の、どんな課題を解決するサービスなのか」が定まっていないからではないかと考えています。
明確なペルソナがあれば、視点のギャップを早期に埋めて効果的な訴求ができます。たとえば、LPやサービスサイトのCVR向上、広告の効果的な配信など。最適なコンテンツ企画の立案に役立ちます。
チームの共通言語が生まれ、意思決定が速くなる
マーケティング活動にはマーケティング担当者のほかにも、営業担当者、インサイドセールス、外部パートナーなど複数の人が関わります。
ペルソナがない状態で進めると、意見がまとまりにくかったり、部門や人によってバラバラの施策を実行しかねないものです。それでは成果が出にくく、無駄なコストの発生にもつながるでしょう
自社が狙いたいペルソナが定義されていれば、「どんなメッセージを訴求するか」「どのチャネルを使うのが有効なのか」など、共通認識を持って施策を進められるようになります。
ペルソナの項目例
BtoBマーケティングの戦略を立てるうえで、最低限必要なペルソナの項目は以下の5つ。
- 実現したいこと(ニーズ)
- 課題
- 業種
- 企業規模
- 役職
複雑なペルソナは必要ありませんが、マーケティング部門や営業部門で話し合い、さまざまなデータにもとづいて項目を増やすのもよいでしょう。
才流がお客様のマーケティングを支援する場合は、ご状況に応じて10項目程度まで用意して情報を記載しています。
才流が作成するペルソナの一例
ご自身で作る場合は、ぜひテンプレートをダウンロードしてご活用ください。
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ペルソナを作るための3つのステップ
ペルソナを作るときのポイントは、まず自社の主要顧客を理解するための情報を集めること。そして属性別に大きくグルーピングし、そこから深く、特定の人物像まで絞り込んでいくことです。
1.顧客情報を収集する
①既存顧客の定量データ
CRMやSFA(※)のツールに蓄積された、定量的データがペルソナを作る出発点です。
既存顧客にどのような業種、企業規模の割合が多いのか、部署などによって受注率に開きがあるか、解約率やLTVに差異が生じるケースはないかといった分析をしましょう。受注単価が高く、継続率の高い顧客をいくつかピックアップしてください。
※CRM:シーアールエム/Customer Relationship Managementの略。見込み顧客の状況を可視化し、最適なコミュニケーションを実現するための仕組みのこと。
※SFA:エスエフエー/Sales Force Automationの略。営業活動の記録、進捗状況、顧客情報などを管理するシステムのこと。
②営業部門の知見
次は、ピックアップした顧客に対する定性的な情報を集めます。受注時の担当営業をはじめ、カスタマーサクセスへのヒアリングや商談同席を行いましょう。なぜ受注できたのか、なぜ自社商材を活用してくれているのかといった背景を深掘りしてください。
※関連記事:マーケターの顧客解像度を高める「営業インタビューシート」
③既存顧客と見込み顧客へのインタビュー
営業部門などから得た情報をもとに仮説のペルソナをいくつかたてて、近しい顧客へのインタビュー、ユーザーテスト(観察)などを実施します。ユーザーインタビューは、対象顧客の主観的な意見にはなるものの、感情の動きや言動の背景をつかみやすいという長所もあります。
言葉の裏に隠れている課題感や実現したいことなどを探り、ペルソナの人物像をよりリアルなものにしましょう。
※関連記事:見込み顧客インタビューの効果を高める26のチェックリスト~ビザスク活用編~
2.属性ごとにグループを分ける
リアルに近づいた数人の人物像を、業種や役職の属性ごとにグルーピングします。
その中から、より受注したいグループを1つ選びましょう。選定基準は、市場規模や顧客ニーズ、競合性、自社の強み、LTVなど。複合的に判断します。
3.調査結果をまとめ、代表的なペルソナを作る
選んだグループのなかで共通する行動パターンやパーソナリティを抽出していき、代表的な1つのペルソナを作成します。違和感がないか、営業などの他部門にもチェックしてもらったら完成。
優先するべきペルソナが1つできたら、1.〜3.と同様の流れで他のグループのペルソナも作成していきましょう。
ペルソナを作るときの注意点
見落としがちなペルソナ作成時の注意点を2つ、お伝えしておきます。
ペルソナは複数設定する
BtoBの場合は、購買プロセスに複数人が関わるため、特定のペルソナのみをマーケティング戦略の対象とするケースはほとんどありません。さまざまな階層・役職の人を想定して複数のペルソナを用意しましょう。企業規模によっても、課題や実現したいことは変わってきます。
米国セールスフォース社は、5~6種類のペルソナを作成しているそうです。才流でもお客様を支援するときにペルソナを作りますが、最終的に3~5種類になることが多いです。
※参考:MOZ「#SocialSuccess – An Inbound Marketing Case Study for B2B」
たとえば才流でお客様のマーケティング支援をする場合、「マーケティング担当者」「マーケティング責任者」「事業責任者」などの役職や、企業規模に応じて課題や実現したいことが異なるため、別のペルソナとして把握するようにしています。
最初は50点でいい
ペルソナは、最初から詳細に作りこむ必要はありません。
いきなり精度を高めようとすると、言語化するのが非常に難しくなります。「精度は50点でいいから、まずは言語化しよう」くらいの気持ちで土台を作り、営業部門やインサイドセールスの意見をもとに少しずつブラッシュアップしていきましょう。
ペルソナは「誰の、どんな課題を、どのように解決するか」の言語化
BtoBマーケティングにおけるペルソナ作成のポイントは、「誰の、どんな課題を、どのように解決するか」を明確にし、組織で共有できるようにすること。
CRMやSFAのデータと営業部門や顧客へのインタビューをもとに、50点のレベル感でも形にするところからはじめてみましょう。Googleスライドなど、社内の誰もがアクセスできるツールへ簡潔にまとめておくことをおすすめします。
形にしておけば、日々のマーケティング業務を通じてブラッシュアップしていけます。洞察が足りていない、リードの質が上がらないと感じたら、インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスを集めてディスカッションしてみてください。
そして、ペルソナを作成したあとは、ペルソナの課題解決につながるコンテンツをどんどん発信していきましょう。自社の認知が上がり、良質なリードの獲得や商談へとつながっていくものです。
才流では成果が実証されたメソッドにもとづき、マーケティング戦略立案から施策実行まで支援しています。マーケティング活動で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。⇒才流のサービス紹介資料を見る(無料)
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監修
2013年にWebコンサルティング事業を行う株式会社GENOVAへ入社。営業部長として100件以上のマーケティング支援を行う。その後、新規事業開発を行う部署を立ち上げ、医療メディア「Medical DOC」をローンチ。公開から2年で年商10億円を達成。現在は才流にて上場企業やスタートアップのマーケティングコンサルティングを行う。
Twitter:@yooheykoji