「大企業に自社の商品・サービスを導入してもらいたい」「社長や役員以外のメンバーでも大企業を深耕営業できるようにしたい」
大企業との取引拡大は難易度が高く、このような声をよく耳にします。
大企業との取り引きを拡大していくうえで、最も重要な要素の1つが顧客の組織の解像度を上げることです。そこで、本記事では大企業の組織構造を把握するための「組織図把握シート」を紹介します。テンプレートもダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
なお、本記事は、以下にあてはまる企業に在籍する方に読んでいただくことを想定しています。
- 商材・事業が複数ある
- 顧客ごとに組み合わせて提案、カスタマイズする案件が多い
- 案件規模は300万円以上、予算を把握して提案する商材を取り扱っている
具体的なイメージは、SIerやBPOサービスなどです。SaaSや特定の商材を販売するスタートアップ向けの記事ではないので、ご注意ください。
※関連記事:大企業で信頼を獲得、取引拡大につなげるための「特定企業内の実績集テンプレート」
組織図把握シートのテンプレート(Googleスプレッドシート形式)を開く
※個人情報の入力は必要ありません。クリックするとダウンロードされます。
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「組織図把握シート」を使う目的
大企業との取り引きを拡大していく際に最も重要なのは、組織構造の解像度を高めることです。
どのようなプロセスで選定されるのか、誰がどういう課題を持っているのか、どの部署がどんな予算を持っているのか。
これらを把握することで、提案すべき部署の開拓や、提案を通すための関係者との接点づくりがしやすくなります。そこで組織構造を理解するために使うのが、組織図把握シートです。
組織図把握シートのテンプレート(Googleスプレッドシート形式)を開く
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「組織図把握シート」の使い方
以下の6つの項目を埋めていきます。
- 組織構造
- 担当者情報
- 最終面談日
- (紹介してもらった場合)紹介者の名前
- 予算・競合情報
- キーパーソン
1.組織構造
グループ会社がある大企業の場合、同じシートで管理すると便利です。社名を入力して、複数の企業を同一のシートで管理してください。
Lv1〜Lv5には、部署名や部門名を入力します。組織階層は企業規模や企業の考えによって異なりますが、Lv1は事業部、Lv2は部門、Lv3は課、程度の粒度を想定しています。
2.担当者情報
役職は部門のトップが誰かわかるように入力してください。担当者の氏名、担当業務・領域を記録します。
3.最終面談日
大企業への営業は時間を要します。また、戦略の変更、異動・昇進、既存の発注先の変更などを把握し、タイミングを掴むことも重要です。
そのためには、キーパーソンと定期的に接点を持ち、社内の変化を把握する、最新の情報を入手するといった取り組みが欠かせません。最後の面談日を記録し、一定の期間が空いてしまったキーパーソンを把握できるようにしておきましょう。
「今月は●●さんと面談して、来期の計画についてヒアリングしよう」「▲▲さんとは3か月前に会っているけれど、別件で話題に出た◯◯さんの紹介をいただけないか相談してみよう」など、接点を持つタイミングを検討するのに役立ちます。
4.(紹介してもらった場合)紹介者の名前
大企業は社員数が多いため、社内の人脈も重要です。とくに社内で顔が広く、自ら紹介してくれるような人は大切です。紹介してもらった場合は、紹介者もきちんと記録しておきましょう。
紹介者として何度も名前が挙がる人は、積極的に紹介してくれる重要な人物です。定期的に誰から、どれくらい、どんな人を紹介してもらったのかを整理しましょう。
また、紹介してもらうためには紹介者にとっての理由やメリットが必要になります。自社のサービスや提案内容を正しく理解してもらえるよう努めましょう。
当然ですが、紹介者にとって何のメリットもないのにもかかわらず、むやみに紹介を打診するのはただの図々しい人(企業)という評価になってしまいます。注意してください。
5.予算・競合情報
大企業では部署単位で予算を持っているケースがほとんどです。各部署の予算感を入力してください。
あわせて、既存の取引先の情報も把握しましょう。たとえば9割を同一の発注先で占めているような部署は見送る判断をする、まだ発注先が決まっていない部署は手厚くフォローするといった判断ができます。
また、いくら時間がかかる取り組みとはいえ、発注のチャンスがない部署に時間をかけすぎるのは避けましょう。どの部署を対象とするのか、営業マネージャーも交えて定期的に見直すことをおすすめします。
6.キーパーソン
あてはまる項目について、「○」を選択してください。
大企業との取引拡大を目指すには、キーパーソンと出会うことが欠かせません。ただし一口にキーパーソンといっても、決裁者はもちろん、自社のファンになってくれている方、社内の情報に精通している方、お願いしなくても自社のことを社内に紹介してくれる方、役職者と通じる方など、さまざまな方が存在します。
また、同一人物が複数の種類のキーパーソンを兼ねるケースがあります。また、相性により「営業パーソンのAさんにとっては情報屋、しかしBさんにとっては違う」ということも起こり得るので注意してください。
キーパーソンの発生確率は、筆者の過去の実績を鑑みると約3%程度です。これは複数の企業、そして、異なる事業で同じでした。
筆者が過去に取り組んでいたときは、攻略対象と定めた企業について「最低100人の名刺を集めて、3人のキーパーソンを発見する」というのが目下の課題でした。ある程度検証された数値として参考にしてください。
「組織図把握シート」よくある質問
Q.SFA、CRMとはどのように棲み分けますか?
対象と定義した企業についても、商談情報や活動情報は通常どおりSFA、CRMへ入力します。組織図把握シートはExcelやGoogleスプレッドシートで作成し、別途管理することをおすすめします。
SFA(※1)、CRM(※2)は、見たいレイアウトで必要な情報を見ることが難しく、更新も手間がかかるからです。
※1エスエフエー/Sales Force Automationの略。営業活動の記録、進捗状況、顧客情報などを管理するシステムのこと。
※2シーアールエム/Customer Relationship Managementの略。見込み顧客の状況を可視化し、最適なコミュニケーションを実現するための仕組みのこと。
Q.どれくらいの頻度で更新しますか?
なるべくターゲット企業を訪問するたびに、更新しましょう。少なくとも、月に1回は作成している組織図を見直す必要があります。
そのうえで「この部署がまだ面談できていないから、紹介をもらおう」「このキーパーソンとしばらくお会いしてないから情報アップデートを確認しよう」など、面談計画の立案に活用してください。
Q.何社分の組織図をつくるべきですか?
事業内容にもよりますが、営業パーソン1人あたり3〜10社程度持つことを推奨します。ただし10社すべてを細かく運用するのは負担も大きいため、その年に注力する企業を3社程度に絞り込むのが現実的です。
また、1人では手が回らない場合は、一部の企業は他のメンバーに担当を渡すようにして、チームで組織図を作成するようにしましょう。
おわりに
大企業との取引拡大や部署の開拓は、時間も労力もかかる取り組みです。
しかし、今回紹介した組織図把握シートをベースにしっかり情報収集し、キーパーソンを把握することで、一定の成果を出せます。
また別途で訪問時に持っていくための「特定企業内の実績集」を紹介しています。こちらもテンプレートをダウンロードできますので、あわせて活用ください。
※関連記事:大企業で信頼を獲得、取引拡大につなげるための「特定企業内の実績集テンプレート」
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