企業が、フリーランスとの業務委託契約書に入れておきたい7つの条項 | DOER NOTE

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企業が、フリーランスとの業務委託契約書に入れておきたい7つの条項
小鷹龍哉

企業が、フリーランスとの業務委託契約書に入れておきたい7つの条項

外部業者にシステムの開発や保守運用を委託する場合、コンサルティング業務を委託する場合、さらには、クラウドソーシングを利用して一定の仕事を発注する場合など、現在のビジネス取引において、業務委託契約書の作成は必須となっています。

しかしながら、インターネットなどで出回っている業務委託契約書は、委託者側(クライアント側)であるのか、受託者側(フリーランス側)であるのかを明確に区別していないものがほとんどになっています。

 

クライアント側として契約書を作成するにもかかわらず、フリーランス側に不当に有利な契約書を使ってしまうと、以下のようなトラブルが発生してしまう可能性があります。

 

  1. 依頼をしたフリーランスとは違う人が作業を行っている
  2. 成果物に関する知的財産権が自分のものにならず、それを使ってビジネスを行うことができない
  3. フリーランスに損害賠償を請求したとしても、逸失利益等について賠償請求できない

 

そのため、どの条項が重要なポイントであるのかを理解した上で、自分の立場にとって有利な契約書を作成することがとても重要となります。

 

そこで、今回は、クライアント側にとって有利な業務委託契約書を作成するにあたって、どのような点に気を付ける必要があるのか、条項案とその解説を踏まえて、見ていきたいと思います。

 

(1) 委託する業務の特定

(条項案)


第●条 業務の委託

  1. 委託者は受託者に下記記載の委託業務を委託し、受託者はこれを受託するものとする。

    委託業務:
    (1)●業務
    (2)●業務
    (3)●業務
    (4)その他上記各号に付随する一切の業務

  2. 受託者は、下記記載の作業場所にて、前項の委託業務を行うものとする。
    作業場所:●
  3. 受託者は、委託業務に関して委託者から書面又は電子メールで示される作業指針や指示に基づいて委託業務を履行するものとする。

     


(解説)
業務委託契約においては、「当初想定していた業務内容と異なる」、「実施予定の業務範囲には含まれていないはずだ」といったことから紛争が生じることが少なくありません。

したがって、業務委託契約書の作成にあたっては、業務の内容及び範囲をできるかぎり明確に記載することが重要となります。

また、業務委託契約では、システムの開発を委託する場合のように、成果物の納入が予定されている場合があります。このように成果物の納入が予定されている場合には、成果物の内容を特定するとともに、その納入方法、納入場所等についても規定しておく必要があります。

 

(2) 再委託の可否

(条項案)


第●条 再委託

  1. 受託者は、委託者の事前の書面による承諾なしに、委託業務の全部又は一部を第三者に対し再委託してはならないものとする。
  2. 受託者が委託者の事前の承諾を得て第三者に委託業務を委託する場合でも、受託者は、本契約に定める自己と同等の義務及び条件を当該第三者にも課し、当該第三者の履行につき、全責任を負うものとする。

(解説)
クライアントとしては、特定の者に作業を行ってもらうことを期待して、業務委託契約を締結することが多いと思います。

したがって、受託者が業務を再委託する場合には、クライアントの事前の書面による同意が必要である旨を明記しておく必要があります。

さらに、再委託を認める場合においても、再委託先の一切の行為について受託者が責任を負う旨を契約書に明記しておくことが重要となります。

 

(3) 成果物の納入・検収

(条項案)


第●条 成果物の納入

受託者は、第●条記載の納入期限を厳守し、当該納入期限までに第●条記載の納入方法にて、委託業務の遂行により作成した第●条記載の成果物を、第●条記載の納入場所に自己の費用をもって委託者に納入するものとする。

第●条 成果物の検査

  1. 委託者は、受託者より成果物を受領した場合、第●条記載の検査期間内に当該成果物が委託者の基準に従い委託業務の目的に合致した品質のものであるか否かを速やかに検査するものとする。
  2. 前項の検査の結果、成果物が前項の品質に合致しないと委託者により判断された場合、受託者は、別途委託者の指定する期日迄に成果物を修正し、委託者の再検査を受けるものとし、以後も同様とする。

  3. 第1項又は前項の検査の結果、成果物が第1項の品質に合致するものと委託者により判断された場合、委託者は、受託者に合格の旨を通知するものとする。
  4. 委託業務は、前項に定める成果物の合格をもって完了するものとする。

(解説)
成果物の納入が予定されている場合には、成果物の納入方法、納入場所等についても規定しておく必要があります。

特に、検収の完了が業務委託料の支払いの条件となっている場合には、どのような場合に検収完了となるのかを明確にしておく必要があります。

 

(4) 業務委託料の明確化

(条項案)


第●条 対価の支払い

  1. 委託者は、受託者に対し委託業務の対価として、下記記載の業務委託料を、下記記載の支払期日までに下記記載の支払方法に従い支払うものとする。

    業務委託料:●
    支払期日:●
    支払方法:●

  2. 委託業務の遂行のために必要となる出張旅費、宿泊費その他の諸経費は、前項の業務委託料に含まれるものとし、受託者は別途それらの諸費用を委託者に請求することはできない

(解説)
業務委託料については、その金額、支払期日、支払方法等を明確に規定しておく必要があります。

また、旅費、通信費など委託された業務を行うにあたって生じた費用の取扱いについても予め明確にしておかないとトラブルとなりますので、報酬とは別に請求できるのかを明確にしておく必要があります。

 

(5) 知的財産権の取扱い

(条項案)


第●条 知的財産権

  1. 委託業務の過程で生じた知的財産権(著作権については著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)及び成果物に含まれる知的財産権は、成果物の納入と同時に委託者に移転するものとする。
  2. 受託者は、成果物その他委託業務の過程で作成された著作物について、著作者人格権を行使しないものとする。

(解説)
業務委託料を支払う以上、成果物の知的財産権は委託者が当然に取得できるはずであると思われている方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、法律上は、特許権は実際に発明を行った発明者に、著作権は実際に著作物を創作した著作者に帰属するのが原則です。

したがって、契約書に何も規定していない場合には、委託した業務に伴って発生した知的財産権は、委託者側に移転しないのが原則です。そのため、委託者が知的財産権を確保するためには、知的財産権が移転する旨を明確に定めておく必要があります。

そして、知的財産権の移転を規定するにあたっては、「著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む」と明記しておく必要があります。これらの権利については、特別に明記しておかないと移転しないと法律に定められているためです。

また、著作者人格権については契約によっても移転しないため、受託者は著作者人格権を行使しない旨を定めておく必要があります。

以上のとおり、著作権の譲渡に関しては、①著作権法第27条及び第28条に規定する権利の譲渡を特に規定し、②著作者人格権の不行使の特約を規定するという2つの規定を伴って初めて適切に権利を確保したといえます。
したがって、業務委託契約においてはこの2点を明記しておく必要があるということを、常に意識しておくようにしましょう。

 

(6) 損害賠償

(条項案)


第●条 損害賠償

本契約の当事者が、本契約に違反して相手方に損害を及ぼした場合には、当該当事者はその損害(直接損害及び通常損害のみならず、逸失利益、事業機会の喪失、データの喪失、事業の中断、その他の間接損害、特別損害、派生的損害及び付随的損害を含む全ての損害を意味する。)を賠償する責任を負うものとする。


(解説)
業務委託契約の場合には、一般的に、委託者が受託者に損害賠償を請求する可能性の方が高いといえます。

したがって、損害賠償の範囲を広げておくことが委託者には有利となります。具体的には、上記のとおり、「直接損害及び通常損害のみならず、逸失利益、事業機会の喪失、データの喪失、事業の中断、その他の間接損害、特別損害、派生的損害及び付随的損害を含む全ての損害」について損害賠償請求できる旨を定めておくことが考えられます。

 

(7) 下請法が適用される場合

業務委託契約書において一般的に問題となるポイントについて見てきましたが、最後にもう1つ、確認しておくべきポイントについて、説明します。

それは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)を遵守しなければならない可能性があるという点です。

下請法の適用の有無は、①資本金による区分と②取引内容により決まります。

下請法が適用される場合には、親事業者であるクライアントには、注文書の交付義務、書類作成・保存義務等の一定の義務が課されることに加え、下請代金の減額、不当な給付内容の変更、やり直し等の一定の行為が禁止されます。

契約書の内容との関係では、特に以下の点に注意する必要があります。

 

小鷹龍哉

ベンチャー企業のサポートを専門としており、利用規約・契約書の作成、ビジネスモデルの法務チェック、ファイナンスサポート、M&Aや上場審査のサポート等、ベンチャー企業に関する法務を全般的に取り扱っている。

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