人材紹介・派遣業界向けのシステム開発やコンサルティングを手がける株式会社ブレイン・ラボ様。新規事業として、LINEを活用した求職者獲得・定着支援サービス「マイリク」を立ち上げました。
しかし、まだ事業の立ち上げ段階ということもあり、マーケティングの体制構築はこれからという状況でした。メンバーは他業務と兼務しながら、手探りで施策を進めている段階だったといいます。新規事業を立ち上げつつ短期間でマーケティングの体制を整えるためには専門家の支援が必要だと判断し、才流(サイル)にご相談いただきました。
才流では、2024年5月から9か月間にわたり、BtoBマーケティングの戦略立案と伴走支援を実施。セミナー施策の強化や組織連携の改善に取り組みました。本プロジェクトを推進した事業開発部グループ リーダーの安藤 将史さんに、才流の支援に対する感想や組織の変化についてお話を伺いました。

限られたリソースで最大の成果を生むマーケティング体制を目指して
ー 今回才流がご支援させていただいたサービス「マイリク」の概要と特徴を教えてください。
安藤 マイリクは、私たちブレイン・ラボが新規事業として立ち上げた、人材紹介・派遣事業者向けのサービスです。LINEを活用し、求職者の獲得から離職防止、定着までを一気通貫で支援します。
ー 才流にご相談いただく前、社内のマーケティング体制はどのような状況だったのでしょう。
安藤 私が入社した2年ほど前(取材時点)も、マーケティング機能を担う部署は存在していました。しかし、立ち上げ期ということもあり、メンバーは他業務と兼務しながら、できる範囲でマーケティングに取り組んでいる状況。私自身は過去にマーケティングの経験がありましたが、より体系的なアプローチが必要だと感じていました。

ー 新規事業を進めるにあたって、どのような課題がありましたか。
安藤 まずは、マイリクの認知を広げて数字を作っていく必要がありました。社内に「新規事業の成功にはデジタルマーケティングが欠かせない」という認識もあったのですが、その基盤が整っていなかったんです。
マーケティング活動は個別の施策からスタートしており、たとえばキャンペーンに合わせたメルマガ配信などに取り組んでいました。Web広告についても、認知拡大の一環として実施していましたが、部門横断的な視点での戦略的な連携を強化していく必要がありました。
ー そうした課題感から、外部の支援を検討されるようになったのですね。
安藤 はい。それから、IT業界ならではの「短期間で成果を上げなければならない」というプレッシャーもありましたね。会社としても、事業を成立させるためには専門家の支援が必要だと考え、外部パートナーを探し始めました。
才流の知名度や実績は以前から認識していたんです。複数社を比較した結果、現状分析に基づいた提案をしてくれた才流にお願いすることにしました。
ー 提案の他に決め手となったポイントはありましたか。
安藤 才流のWebサイトや書籍から伝わる、自社マーケティングへの真摯な取り組みと、実践に裏打ちされた専門性ですね。「この会社は本当にマーケティングをやっているな」と信頼できました。
9か月間の伴走支援。初期の課題を乗り越えて築き上げた信頼関係
ープロジェクトの期間と、大まかな進め方について教えていただけますか。

遠山 期間は全体で9か月間です。才流のBtoBマーケティング支援では、最初の3か月で戦略を策定し、その後伴走支援を行うのが基本的な流れです。現状分析から方向性を定め、施策実行をサポートします。
しかし、ブレイン・ラボ様の場合、すでに取り組んでいらっしゃる施策がいくつかありました。そこで、プロジェクトの初期1〜2か月ほどで現状のキャッチアップを行い、既存施策の改善を提案。Web広告の運用見直しや、すでにお持ちだったハウスリストを活用したメルマガ施策の改善などを行いました。
そこから、2〜3か月目にかけてマイリクのマーケティング戦略を策定。その後は戦略に基づき、伴走支援という形で施策の実行をサポートさせていただきました。

ー プロジェクトの進行中に課題はありましたか。
安藤 プロジェクト初期、私が新規事業の立ち上げで多忙を極め、マーケティング業務に専念できず、才流との連携がスムーズにいかない時期がありました。日程調整の遅れなど、コミュニケーション不足だった点は反省しています。
ですが、担当コンサルタントの遠山さんが根気強く働きかけてくれました。定例ミーティングだけでなく、個別での相談やディスカッションの機会も積極的に設けてくれたのです。
私が地方勤務ということもあり直接コミュニケーションを取る機会は多くなかったのですが、課題や相談がある時に、都度オンラインでコミュニケーションを重ねることで、地理的に離れた環境でも互いの状況や考えを深く共有できるようになりました。
未経験から本気で取り組んだ結果、セミナー施策が事業の柱に
ー プロジェクト全体を通して特に印象に残っていることは何でしょうか。
安藤 セミナー(ウェビナー)施策の強化ですね。これは私個人の経験としても、事業の成果としても、非常に大きなターニングポイントになりました。
ーなぜ、セミナーに注力することになったのでしょう。
遠山 マイリクが人材業界に特化したサービスであるため、検索広告でリードを獲得しようとしても効率が悪く成果につながりにくいという課題がありました。ブレイン・ラボ様に活用可能なハウスリストが豊富にあったこともあり、特定の課題に深く訴求できるセミナーが有効だと考えたのです。そこで、開催数3倍という挑戦的な目標を設定し、短期的な成果とノウハウの習得を目指しました。

安藤 私自身、セミナー登壇は未経験でプレッシャーも大きかったですが、「やるなら本気で」と覚悟を決めました。
才流は、企画段階から集客戦略、参加者に響く資料の構成に至るまで、本当に手厚くサポートしてくれました。まさに「一緒にやってくれる」という伴走スタイル。未経験の私でも安心して挑戦できる環境を作ってくれました。
ーセミナー施策の強化は、どのような成果につながりましたか。
安藤 回を重ねるにつれて、集客数やアンケート評価、商談化率などが着実に向上していきました。社内でもセミナーの重要性が再認識され、今では事業における重要な柱の一つとして位置づけられています。
また、セミナーコンテンツをメルマガやホワイトペーパーなどに二次利用する流れができました。セミナーを起点にマーケティング活動全体の質が向上したと感じています。
マーケティング経由の受注率は3倍に。「実行力」が生んだ成果
ープロジェクトを通じてどのような成果が得られましたか。
安藤 プロジェクト開始当初と終盤の比較で、商談数は2.3倍、受注数は2倍になりました。マーケティング経由の受注率も3倍に向上し、活動の質も大きく改善しました。
明確な成果が出たことで、マーケティング活動の重要性が社内で改めて認識されました。マイリクでの成功体験をもとに他のプロダクトでも同様の取り組みを強化すべきだ、という機運が高まっています。さらに、外部から共催セミナーのお声がけも増えましたね。

ー素晴らしい成果ですね。なぜ、これほどの成果を出すことができたのでしょう。
遠山 最大の要因は、安藤様をはじめとするブレイン・ラボのみなさまの高い実行力にあると考えています。私たちが提案した施策に対して、たとえそれが挑戦的な内容であっても、真摯に取り組み、最後までやり切ってくださいました。
多くの施策を試したからこそ、効果の高いもの、そうでないものを見極めることができ、最終的に成果の出る施策にリソースを集中できた。その結果、大きな成果につながったのだと思います。
長谷川 安藤様はプロジェクトに積極的で、受け身ではなく自ら質問や相談をしてくださる姿勢が素晴らしかったです。もともと高いポテンシャルをお持ちだったので、才流の提供するメソッドを得たことで、一気に能力を発揮されていました。

メンバーの成長のほか、部門を超えた変化の連鎖によって組織力が向上
ー プロジェクトを通して、メンバーにはどのような変化がありましたか?
安藤 メンバーの成長は目覚ましく、特に主体性が向上しました。ホワイトペーパーの作成やキーワードに基づいたメルマガ配信、セミナーなどの企画が自発的に出てくるようになりました。また、他社の成功事例を自主的に学びに行くなど学習意欲も向上しています。
さらに、長年更新されていなかった営業資料のテンプレートを刷新したのですが、資料の重要性や見せ方、言葉の選び方などについて全体会議で活発に議論する姿が見られるように。これも嬉しい変化ですね。
ー組織としてはどんな影響がありましたか。
安藤 マーケティング部門の成果が他部署、特に営業部門にも好影響を与えました。マーケティング部門の取り組みに刺激を受けた営業メンバーから「こんなテーマでセミナーをやってみてはどうか」「こういうターゲットに向けたホワイトペーパーを作ってほしい」「今、このキーワードが注目されているから、関連するメルマガを打ってほしい」といった具体的な施策の要望が上がるようになったのは大きな変化です。
ー部門間の連携が強化されたんですね。
安藤 そうですね。担当の遠山さんは営業メンバーの相談にも乗り、部門間の議論を促進してくれました。オンラインカレンダーが公開されていたので、いつでも相談できる体制は本当に心強かったです。疑問をすぐに解消でき、施策をスピーディーに進められました。組織全体の営業・マーケティング力向上に貢献してくれたと感じています。

才流は信頼できるパートナー。“人対人”の仕事ができた
ー才流のコンサルタントとの協業はいかがでしたか。
安藤 過去に経験したコンサルティングでは、専門知識を教える、いわば先生のようなスタイルのコンサルタントが多かったです。ですが、遠山さんはまったく違う。一方的に教えを説くのではなく、同じ目線で伴走してくれる存在でした。
単なるアドバイスに留まらず、私たちがリソース不足で困っている時には、一緒に手を動かしてくれた。その姿勢から、本気で取り組んでいるのだと伝わってきました。
ー特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
安藤 遠山さんの伴走スタイルは、いわゆる「アメとムチ」。判断基準にグレーがなく、良いことと悪いことをはっきりジャッジしてくれる。しかも、その判断にはスピードがありました。
また、理論に基づいた説明で納得感があり、厳しさの中にも親身さを感じましたね。成果が出たときはすごく褒めてくれて(笑)、そのメリハリが実行力を高めてくれました。

ー両社の間には信頼関係が生まれていたんですね。
安藤 はい。スキルやノウハウ以上に信頼関係があったからこそ成果が出たのだと思います。結局「人」なんですよね。信頼できるパートナーと本気で取り組めたことが大きな要因です。
ー 今回の才流とのプロジェクト全体を振り返って、最も良かったと感じる点は何でしょうか。
安藤 もちろん、定量的な成果が出たことは大きいですが、それ以上に支援が終わっても自走できる組織ができたこと、マーケティング体制の基盤を築けたことが、一番の価値だったと感じています。
そして、才流のみなさんとビジネス上の関係を超えて、人対人として仕事ができたこと。この良好な関係性があったからこそ、厳しい局面も乗り越えられました。
ーマイリクの今後の展望について教えてください。
安藤 まずは、現在注力しているバーティカルな領域、つまり人材紹介・人材派遣業界での地位をさらに確固たるものにしていきます。
そのうえで、将来的にはバーティカルからホリゾンタルへ、たとえば一般企業の採用活動を支援するような領域にも、マイリクを展開していきたいという共通の思いを社内で持っています。今回のプロジェクトで得たノウハウを活かして、さらなる事業成長を目指していきたいです。
ー才流の支援は、どのような企業におすすめしたいですか?
安藤 企業の規模に関わらず、才流の支援は非常に有効だと感じています。今回のような新規事業の立ち上げ期や、リソースが限られている状況のチームにとっては、特に伴走型のサポートが心強いと感じました。
才流のWebサイトを見ると、大手企業の事例が多く掲載されているので、もしかしたら敷居が高いと感じる方もいるかもしれません。ですが、決してそんなことはありませんでした。
マーケティングをより効率的に行いたい、本気で成果を出したい、と考えているすべての企業にとって、才流は心強いパートナーになってくれると思います。

(撮影/関口達朗 取材・文・編集/ 河原崎 亜矢)