ITエンジニアリング事業を展開する株式会社樋口総合研究所様は、事業拡大に伴い中途採用を積極的に行なっています。年間60名の目標を掲げて採用活動をしてきましたが苦戦を強いられており、採用マーケティングを最適化したいと才流(サイル)にご相談いただきました。
才流では2023年10月から4か月に渡り、現状分析、ペルソナ・バリュープロポジション・カスタマージャーニーの設計、採用サイトのリニューアル、各種ドキュメントの整備といった採用マーケティング全般をご支援しました。
才流による支援の詳細やそこから得られた成果、採用戦略を第三者に相談する意義について、同社の吉森さん、鎌田さん、甲斐さんに伺いました。
採用、営業、マーケ。コンサルメニューの広さから才流に相談
- 才流にご依頼いただく前、どのような採用課題をお持ちでしたか?
吉森 ITエンジニアリング事業を展開する当社では、人材採用が事業成長に直結するため、中途社員を積極的に採用しています。
もともとはエンジニア経験者をターゲットに採用活動をしていたのですが、エンジニア採用はレッドオーシャンです。当社の場合は未経験者であっても、しっかり教育し、エンジニアとして育ててきた実績があります。人材育成にこそ当社の強みがあると、ここ数年は未経験に振り切って採用するようになりました。それでも年間採用目標60名に対し、採用できたのは40〜50名程という状況でした。
また、そもそも当社に「人事部」という人事専任の組織ができたのは昨年6月のことです。私ももとは営業をしていたり、現在人事チームのマネージャーをしている鎌田も総務と人事を兼任していたり。採用活動はこのままでいいのか、このやり方で合っているのか、採用マーケティングを最適化したいという思いがありました。
-才流にはどのような経緯でご依頼いただいたのでしょう。
吉森 第三者の知見を求め、2か月ほど外部の採用コンサルを利用したことがありました。ただ情報が点でしかもらえなかったり、知っている情報が多かったりと、あまり有益ではなく利用をストップしました。
そんなタイミングで当社の代表である樋口が、才流の栗原さんとお話をさせていただく機会がありました。営業戦略の相談をしたところ、先に採用をテコ入れした方がいい、実は才流でも採用コンサルを始めたと聞いて、お願いすることにしました。才流なら採用からスタートし、ゆくゆくは営業やマーケの相談もできるので、メニューの幅広さも魅力的でした。
採用戦略の立案と施策実行を支援。社員の声は人事の原動力に
-4か月のプロジェクトではどのような取り組みをしましたか?
武田 1か月目はすぐに手をつけられる短期改善をしながら、情報収集をメインに行いました。活躍社員へのインタビュー、社内での匿名アンケート、口コミ分析、競合分析、掲載されている原稿の分析をしました。
集めた情報をもと2か月目はペルソナの設定、バリュープロポジション、応募から入社までの求職者ジャーニーマップ、『採れるロジック』を作成。採用戦略の大枠を固めました。
武田 3か月目はサイトリニューアルに向けて動き始めました。サイトの構成案を提案し、制作会社の選定をサポート。同時並行で個別施策も進めました。ATS(Applicant Tracking Systemの略。採用管理システム)の比較提案や追加の競合分析、リニューアル後のサイトで利用する「数字で見る樋口総研」作成のためのアンケート項目を策定しました。
4か月目は戦略から落とし込んだ個別施策の推進をサポート。鎌田さんと甲斐さんのアウトプットに対してフィードバックをしたり、コンペの進捗サポートをしたりと、実行フェーズの支援をしました。
-1か月目の情報収拾フェーズで、発見や学びはありましたか?
鎌田 当社で活躍している社員に行ったインタビューが印象的でした。会社に対してどんな想いを抱いているのか、プラスの意見がたくさん出てきたんです。「そんな風に想ってくれていたんだ」と人事としてすごく嬉しかったですし、採用広報で打ち出す方向性が明確になりました。
甲斐 私も、同じことを感じました。会社に対するポジティブな意見にたくさん触れ、まだ人事2年目ですが「人事に携われて良かった」と感じた瞬間でした。
吉森 個人的には1か月目の調査フェーズが終了し、材料が出揃ったあたりで、このプロジェクトの手応えを感じ始めました。当社がどんな人物を求め、会社のどこを売りとして訴求すればいいのか。社員インタビューや競合分析も踏まえたうえで、採用の全体像がだんだんとクリアになっていったことが印象的でしたね。
採用フェーズで必要なドキュメントが揃い、資産になった
-とくに役に立った支援や、アウトプットは何でしたか?
吉森 会社説明用の資料など、採用の各フェーズで必要なドキュメントを揃えられたのは助かりました。
土山 会社説明の資料は、面接の動画を視聴した際に課題を感じたんです。エンジニア未経験の方に事業内容が伝わりにくいのではないか、と。そこで事業説明用のスライドのたたきをお渡ししてつくりあげましたね。
吉森 資料の必要性は感じながらも、どう形にすればいいのかわからず、後回しになっていました。叩きをもとにこちらで必要な情報を入力すると、すぐにフィードバックをいただけたので、自分たちで作成するより遥かに少ない工数でわかりやすいものができました。
鎌田 採用活動全体の流れや、各フェーズで必要な資料を提示していただいたうえで、各種ドキュメントを揃えることができたので非常に助かりました。出来上がった資料は採用活動における貴重な資産として活用しています。
応募数8倍、採用数2.5倍に。数値モニタリング方法も改善
-採用活動におけるモニタリングもバージョンアップしたと聞いています。
鎌田 プロセス数値のモニタリングについては、週次で把握している状況で。「これだとフローのモニタリングになっていて、ボトルネックや打ち手が見えてきませんよ」とアドバイスを受け、月単位・年単位でのモニタリングに切り替えました。
選考フェーズごとの遷移率も把握できるようになり、モニタリングに紐づく打ち手を考えられるようになりました。
-モニタリングと打ち手を連動させることで、定量的な成果も出ているようですね。
吉森 才流との取り組みは中長期でより成果が出るものだと思いますが、足元の数字は大きく伸びています。月間の応募数を前年と比較すると8倍程伸びています。
また年末も年始も毎日かなりの数の応募がきました。当社の規模でここまでの応募がくるとは考えていなかったので驚いています。
-応募数の増加には、どのような施策が効いたのでしょう。
吉森 才流の前に他社に依頼した、採用動画が刺さっているのが一つ。もう一つは才流から「最初にバケツの穴を塞ぎましょう」と提案を受け、求職者とのファーストコンタクトであるホームページを改善したことです。
ご指摘を反映した本格的なサイトリニューアルはこれからですが、できる限りの改善をしたことで取りこぼしを防げていると思います。結果として10月~12月の採用数も前年と比較して267%と大きく伸びています。
-応募から内定に至るまでのフローで、歩留まりも改善していますか?
吉森 数字としてはこれから出てくるところではありますが、改善している実感はありますね。面接で行う会社説明もブラッシュアップし、資料も交えて伝えるようになったことで、求職者の方にしっかり伝わるようになりました。
鎌田 内定後の条件面談でも変化を感じています。以前と比較して明らかに事業内容や仕事内容の特徴、入社にあたり必要な覚悟をご理解いただいている印象がありますね。
必要なタイミングで、採用戦略が明確になった
-プロジェクトを振り返って、一番の成果は何だと思いますか?
吉森 採用戦略をしっかりと言語化できたことです。目指す方向、やるべきことが明確になりました。
自分たちだけでも時間をかければできたかもしれませんが、間違いなく遠回りをしていたはずです。才流のサポートを通じて、必要なタイミングで戦略を明確にできたことが一番の成果だと思います。
鎌田 私も採用全体の戦略、方向性を定められた点が大きな成果だと感じています。他社事例という信頼のおけるエビデンスをもとに、客観的な視点でいつもアドバイスいただけたので助かりました。
土山 採用戦略の言語化に課題を持つ企業は多いんです。誰に、何を、どう伝えるか?採用戦略が言語化されていないと、採用サイトと面接での訴求に一貫性が無くなったり、面接官によって言うことが違ったりとズレが生じます。
特に樋口総合研究所のような事業を展開している企業では、採用のスピードが売上に直結します。スピード感のある戦略設計が事業成長にダイレクトにつながるので、まさにその点に価値を感じていただけていて嬉しいです。
-才流のコンサルタントのコミュニケーションはいかがでしたか。
吉森 プロのコンサルタントとして忖度することなく、はっきり考えを言ってくれるのでとてもやりやすかったです。
武田 最初に内定承諾の書類を拝見した時、「この資料は内定辞退を促しているように感じる」と咄嗟に言ってしまったことがありました(笑)
吉森 大丈夫です(笑)。むしろそれくらいはっきり言ってもらった方がいい。オブラートに包まれると、結局何をどう変えればいいのかわからないので。「ここが良くない」と具体的に指摘されたからこそ、改善を重ねることができました。
才流のフラットな意見によってやるべきことが明確になり、自分たちの考えも整理されました。時には強気に背中を押してくれることもあり、とても進めやすかったです。
甲斐 本当にそう思います。当社側でなかなか言語化できていないところもしっかり言葉に落とし込んでいただき、コミュニケーションが本当に取りやすかったです。
採用の次は営業戦略を。引き続き才流の支援に期待
-才流の支援を他社におすすめするとしたら、どのような課題やフェーズの会社にフィットすると思いますか?
吉森 才流は現状を的確に交通整理し、改善策を具体的に出してくれます。私たちのように採用を手探りやってきた企業には非常にマッチすると思います。才流のアドバイスを実行すれば、短期間でしっかり成果を出せるのではないでしょうか。
ただこれから採用活動を始める、0→1のフェーズでは支援が長期に及ぶことを想定した方がいいと思います。
-中途採用は今後も年間60人ペースで増やしていくお考えですか?
吉森 応募が急増し、プロセスも改善したことで今期は80名程の採用を見込んでいます。これを踏まえ、来期以降は目標を年間80名に上げて採用活動をすることも考えています。
武田 サービスエンジニアを年間80名ペースで採用をすると、案件獲得が追いつかなくなる可能性もあります。営業戦略は近い将来、必ず必要になりますね。
吉森 そうなんです。まさに営業戦略についても、おふたりに是非とも相談したいと思っているので、引き続きご支援よろしくお願いします。
(撮影/関口達朗 取材・執筆・編集/藤井恵)