交流創造事業を事業ドメインとする株式会社JTB様では、かねてよりBtoB領域でもビジネスを展開しており、旅行に限定せず多様な企業課題を解決する提案を行ってきました。その重点ソリューションの一つと位置付けられるのがJTB Meetings&Events。企業のアウター(顧客)・インナー(従業員)の課題に向き合い、会議やイベントにおける多様なソリューションを提供する事業です。
才流(サイル)は、同事業からマーケティング活動の第三者評価と最適化を行いたいと相談を受けました。そこで、2023年9月から6か月にわたりリード獲得に向けた施策の実行とPDCA運用を支援しました。
同事業のマーケティングを担当する前澤さん、事業推進の堺さんに、才流の支援に対する感想や得られた成果について伺いました。
営業出身者で構成されたマーケ組織にメソッドを取り入れたい
-JTB Meetings&Eventsは、どのような事業ですか。
前澤 JTBはBtoCの旅行会社というイメージが強いと思いますが、交流創造をテーマに、さまざまなビジネスを展開しています。
私たちが所属するビジネスソリューション事業本部では、BtoB領域で法人とそれを取りまくさまざまなステークホルダーとのエンゲージメント強化、絆づくりのサポートをしています。その一つが、今回支援をお願いしたJTB Meetings &Eventsです。
堺 具体的なサービス内容としては、法人を対象に、社内外向けのイベント開催を支援しています。たとえば、社内向けは入社式や表彰式、周年イベント。社外向けにはマーケティング施策としてのプライベートカンファレンス、展示会出展ブース、新商品発表会、コンベンションの開催などがあります。
-才流にご相談いただいた背景には、どのような課題感がありましたか?
前澤 当社はこれまで、営業が顧客と関係性を築いて案件を獲得してきました。マーケティングチームが発足したのは今から5年程前。2019年のことです。
以後、オンラインでのリード獲得を目指して、Webサイトのリニューアルやメールマガジン、コンテンツマーケティングの配信やマーケティングオートメーションの導入と、試行錯誤をしながら施策を進めてきました。
しかしマーケチームは私を含めて、営業出身のメンバーが多いチームです。マーケティングのバックボーンが少なく、着任してからインプットとアウトプットを繰り返してきました。論拠が少ないなかで最適解を見出そうと、奮闘している状況でした。
-才流にはどのような経緯で、ご相談いただいたのでしょう。
堺 2023年の4月に、私はJTB Meetings &Events事業の推進担当として着任しました。事業を俯瞰したとき、マーケティング機能を底上げすることでパフォーマンスが大きく改善するのではないかと考え、才流に依頼しました。
才流のことは、代表の栗原さんの本がきっかけで知っていたんです。いろいろな会社を支援し、客観的なデータをもとに、再現性を突きつめてメソッドを開発している。第三者の確かなメソッドであれば、当社の社員もすんなり受け入れられるのではないか。そんな期待感から支援を依頼しました。
広告予算の投資判断から施策の実行、振り返りまでを支援
-プロジェクトでは、どのようなことを行いましたか。
山本 下期広告予算の用途選定をしており、広告費の使い方を相談したいというお話から本プロジェクトはスタートしました。
広告の用途は決まっていたものの、そこから生み出される成果や結果に対する振り返りの仕組みが十分ではありませんでした。マーケティングにおいては成果をしっかりモニタリングし、必要に応じて改善するプロセスが欠かせません。
そこで投資判断から施策の実行、振り返りまでの一連のプロセスをご提案しました。具体的には運用型広告やウェビナー、ホワイトペーパーといった施策の実行と振り返りのプロセスに伴走。PDCAを回せるようサポートしました。
前澤 プロモーション予算の使い道をどう考え、どう使うか。方向性が定まった後は、効果を最大化するために、どんなポイントを押さえればいいのか。より効果的な投資をする方法と、効果を最大化する方法を学ぶことができました。
BtoB事業者として、「才流の仕組み」に気づきをもらった
-プロジェクトを通じて印象的だったことはありますか。
前澤 才流のコンサルタントの横の連携、ノウハウやナレッジの共有が仕組み化されている点がとても印象的でした。
山本さんは私たちから受けた相談について、他のコンサルタントに意見を求めたり、支援を通して得られた気づきを才流内で共有していたりするんです。
つまり、山本さんの経験は才流内でしっかり共有されている。逆に山本さんから当社に共有されるノウハウやナレッジは、山本さんだから知り得たものでもなければ、たまたま知ったものでもない。才流のコンサルタントだから知っているんです。これって、コンサルティングを任せる側からすると、すごく安心感があります。
当社もお客さまに対してこうありたい。BtoB事業者として大変参考になりましたし、多くの気づきをもらいましたね。
堺 才流の持つマーケティングセオリーと、それが共有される仕組みは非常に印象的で。実は当社でも早速取り入れています(笑)。
営業個人に依存することなく、仕組みでバックアップしたいと「イベントマーケティング研究会」を立ち上げたんです。月に1度、営業メンバーが対面で集まり、ナレッジの共有をする場です。
山本さんの動き方がすごく参考になったので、真似できるところはどんどん当社にも取り入れていきたいです。
マーケの意図が営業現場にしっかり伝わり、連携がスムーズに
-今回のプロジェクトによる成果について聞かせてください。
堺 私たちマーケティングサイドのやりたいことやメッセージが営業現場にしっかり伝わり、マーケと営業の連携がしやすくなったことが一番の成果だと思います。
たとえば階段設計の話は視覚的にもわかりやすく、現場にこちらの意図を伝え、連携を強化するのに大いに役立ちました。
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堺 ゴールである契約をお付き合いと仮定すると、会った瞬間「付き合ってください」とは言わないですよね、と。まずはデートを重ねて相互理解を深める必要がある。
そのためにメールやチラシなどのツールを用意したい。これまで営業が個人個人で持っていた独自のノウハウを体系化すれば、最強のツールを作れるのではないか。そう話をすると、「是非取り組みたい」と営業現場から声があがり、営業やお客さまの協力を得てツールを用意することができました。
こうした営業との連携を実現できたのは、営業現場がマーケサイドの意図を「押し付け」と捉えることなく、自ら「これはいい」「やってみたい」と思えたからこそ。才流のメソッド活用による成果です。
山本 素晴らしい動きが生まれているんですね。
堺 あとは、才流のマーケティング基礎研修で、メンバー間に共通認識をつくれたことも成果の一つだと思います。営業からマーケに異動してきた人や、コンテンツマーケティングに関わる連携部署のメンバーにも同様の研修をしてもらったことで、その後の会話がスムーズになりました。
高橋 共通言語づくりは、私たちもキーワードにしています。前提の認識が揃うことで、コミュニケーションはスムーズになる。階段設計の話も、うまく活用いただけたようで嬉しいです。
前澤 定量的な成果も出ています。たとえば、以前はウェビナーの集客に限界を感じていましたが、才流のメソッドどおりに集客をしたところ、想像を上回る申し込みがありました。
メソッドはプロジェクトが終了した現在も活用しています。メンバー異動を経てもメソッドはしっかり引き継がれ、現場に根付いています。
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一緒に汗をかいてくれる頼れる相談役のような存在
-才流のコンサルタントのコミュニケーションはいかがでしたか?
堺 プロジェクトの全体像、ゴールから逆算したスケジュール、現在の状況が可視化され、毎週の議論が進んでいきます。議論のための材料もしっかり用意してくれるので、才流に任せておけば大丈夫という安心感がありました。
前澤 同感です。なかなか自分たちで手を動かす時間を確保できないので、才流主導で進めてもらえるのは助かりました。毎週の定例は判断に必要な材料が用意されていて、ジャッジさえすればプロジェクトは順調に進んでいく。物理的な負荷も、精神的な負荷も少なかったですね。あとは想像以上に、一緒に汗をかいてくれる。「こうですよ」とアドバイスをするだけではなく、実行者と同じ立場で、場合によっては作業的なことも含めてやってくれるんですよね。一般的なコンサルタントのイメージとは違い、とても心地良かったです。
-お二人にとって、才流のコンサルタントはどんな存在でしたか?
堺 私たち専用の、超優秀なブレーンでしょうか。一般的な知識だけでなく、当社のことを深く理解したJTB専用の頼れる相談役というイメージです。
山本 ありがとうございます。まさに才流は、個々のコンサルタントの能力や経験に依存せず、お客さまそれぞれのニーズに応える柔軟なサービスの提供を目指しています。
前澤 私にとっては、現在進行形のプロジェクト以外のことでも、何か知りたいことがあれば気軽に相談できる存在。社内に相談相手が見つからないケースもあるので、良き話し相手であり、相談相手でもありました。
山本 前澤さんにかかる負荷をどこまで軽減できるか。私たちもかなり意識して取り組んでいたので、そう言っていただけて嬉しいです。
才流のメソッド、テンプレートは大幅な時間短縮につながる
-外部の支援会社を入れる意義を、どのようなところに感じましたか。
前澤 時間短縮、スピードアップの側面が大きいと思います。答えがわかっていることについては、「こうだよ」と教えてくれるのでPDCAを回す時間も手間も省けます。テンプレートも豊富なので、大幅な効率化、時間短縮になったと思います。
堺 チラシ1つをとっても、PDCAを回すには相応の時間と労力がかかりますよね。その点、才流にはPDCAを十分に回したテンプレートがある。自社で取り組んでいたら、そこにたどり着くまで、ものすごい時間がかかっていたと思います。
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前澤 あとは外部だからこその、客観的なアドバイスにも意義を感じています。たとえば、これまでは業務委託先1つをとっても、自信を持って選ぶ難しさを感じていました。過去に発注経験もなく、その領域に知見もないため、取り組み内容の評価が難しく「こんなものかもしれない」とお付き合いをしていたんです。
でも才流から期待すべき業務の水準や評価ポイントを教えてもらい、最終的には委託先を切り替える決断ができました。その際も、当社に合いそうな会社をスクリーニングし、選択肢を狭めたうえで、候補を提示してくれたんです。結果、自分たちなりの判断軸を持ちながら、「こういう理由でこの会社を選びました」とスムーズに上申することができました。
ノウハウやメソッドを惜しみなく提供したうえで、最後はクライアントに決断を任せてくれる。BtoBマーケティングを始めたばかりの企業はもちろん、相談相手が欲しいマーケ組織にはぜひ、才流のサービスをおすすめしたいですね。
-最後に、JTB Meetings &Eventsの今後の展望についても聞かせてください。
前澤 JTBとしては会社をあげてBtoB領域に力を入れています。JTB Meetings &Eventsは戦略上の重点カテゴリーと位置付け、新たにブランドロゴも立ち上げました。
JTB=旅行というイメージがまだまだ強いですが、交流を創造し、エンゲージメントを強める手段としてJTB Meetings &Eventsがもっと当たり前になるように、プロダクトの強化やブランディング活動を推進していきたいです。
(撮影/関口達朗 取材・執筆・編集/藤井恵)