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ラクスルに聞く、エンタープライズのセールス組織をゼロから立ち上げる方法

コンサルタント
井出 孝尚

才流(サイル)では、エンタープライズ向け事業にチャレンジする人や組織にフォーカスし、エンタープライズ向け事業を拡大するための取り組みや、おもしろさ、やりがいを発信します。

今回取材をしたのは、ラクスル株式会社の千葉 祐輔さんです。千葉さんは、エンタープライズ・中堅企業向けの印刷・販促管理サービス「ラクスル エンタープライズ」の事業立ち上げに関わり、現在はセールスとマーケティングの部署を管掌しています。

セールスパーソンの採用と育成、マーケティングを始める時期、アカウントプランニングの方法やターゲットリードにつながるコンテンツの作り方など、エンタープライズセールスによくある疑問・課題に対し、千葉さんはどのような取り組みをしてきたのでしょうか。

聞き手は、才流コンサルタントの井出 孝尚です。

本記事におけるエンタープライズ企業の定義
エンタープライズ企業の定義は、各社で異なります。本記事では、取材先のエンタープライズ企業の定義に沿い、かつ決裁に複数人の関係者が関わり、サービスやプロダクトの提案から導入までに、一定の期間を要する企業を、エンタープライズ企業としています。

ラクスル株式会社 Head of Sales&Marketing
千葉 祐輔さん

SaaS領域を中心にスタートアップを含む複数社で、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、マネジメント、事業企画などを経験。2021年、ラクスルに入社し、大企業向け印刷・販促管理サービス「ラクスル エンタープライズ」の事業立ち上げに従事。現在は、Sales&Marketing部門の責任者として、同サービスの成長をリードする。

ラクスル事業・初のセールス組織を立ち上げ

井出 はじめに、ラクスル エンタープライズについて教えてください。

千葉 ラクスル エンタープライズは、エンタープライズ企業、中堅企業向けの印刷・販促管理サービスです。オンライン上で、企業における印刷・販促活動を一元管理し、業務効率化、コスト削減を実現します。

2021年10月にローンチして以降、製薬会社やフランチャイズビジネスを展開する企業など、多拠点・多店舗のビジネスを展開しているお客さまを中心に導入が広がり、導入社数は1,500社(2023年9月現在)を突破しました。

ラクスル株式会社Head of Sales&Marketing千葉 祐輔さん
ラクスル株式会社 Head of Sales&Marketing 千葉 祐輔さん

井出 千葉さんは、人材採用や組織開発も含め、ラクスル エンタープライズの事業立ち上げに関わってきたとうかがいました。

まずは、どのようにしてセールス組織をつくり、ラクスル エンタープライズの導入を伸ばしてきたのか教えてください。

千葉 私がラクスルへ入社したのは、2021年の7月です。ラクスル エンタープライズがPMFを達成する、少し前でした。実は、ラクスル事業においてセールス組織が生まれたのは、ラクスル エンタープライズがはじめてなんですよ。 

ラクスルは、顧客起点でプロダクトを磨き、マーケティングでユーザーを増やすことが得意な企業です。

一方で、エンタープライズ企業をはじめとした法人を対象とするラクスル エンタープライズは、提案から契約、利活用まで人を介したコミュニケーションが重要なプロダクト。そこで、ラクスルでもセールス組織を立ち上げることになったんです。

井出 本当に、ゼロからの組織立ち上げだったんですね。

千葉 組織立ち上げ時に苦労したのは、採用です。

当初は、即戦力重視のアカウントエグゼクティブ(以下、AE)が集まる組織をつくろうと考えていましたが、まだPMFを迎える前。採用予算も多くはありませんから、思考力と実行力がある、優秀な若手のセールス経験者を中心に採用を進めました。

ラクスルでは、採用時にワークサンプルテストを行います。選考プロセスでは、「深く考え、仮説が立てられるか?」を見ていましたね。そのうえで、具体的なエピソードを語れる経験を持ち、素直で前向きな、実行力の高い人を採用しました。

そして、私のこれまでの営業経験や知見を型化して、エンタープライズセールスの手法をインプットし、組織一丸となってPDCAを回していきました。

エンタープライズ企業向けのサービスといっても、どんな企業や業界の課題解決に貢献できるかは手探りの状態でした。そこで、まずは当時の人材要件なども加味して、多くの顧客接点を確保することを目的に、The Model(ザ・モデル)型で営業活動をスタートしたんです。

とはいえ、人数も少ないため、実質的には各自の得意分野をいかした緩やかな分業制をとりました。事業立ち上げの時期ですから、まずはお客さまとの接点を持ち、お客さまの課題の解像度を上げることを第一に、各自の役割の範囲を越えて、お客さまと向き合いました

業界を絞り、営業リソースを集中。PMFも達成し、売上が拡大

井出 セールス組織の立ち上げ時では、どんなことが課題でしたか。

千葉 ホリゾンタルSaaS(※)ゆえに、お客さま層が幅広く、営業の顧客解像度が上がりにくかったことです。

バーティカルSaaS(※)であれば、ターゲットと課題が明確ですから、トークスクリプトも磨き込みやすい。対してホリゾンタルSaaSの場合、「この業界はこの提案がよかった」「あの業界の課題は仮説とは違った」など、さまざまです。

また、導入が増える一方、使われないことも課題になっていました。ラクスル エンタープライズは従量課金制ですから、印刷の発注がなければ、売上にならないのです。

そこで、あらためて導入企業を分析したところ、製薬業界のお客さまのLTVが高いことがわかりました

製薬会社のMRの方々から「新薬承認時のプロモーション資材を早く印刷してドクターに届けたい」「Web講演会の案内DMを送付したい」という、業界全体で再現性が高く横展開が可能な具体的ニーズが出てきたのです。

この状況を受けて、「ターゲットを製薬業界に絞ろう」という仮説を立てました。量から質への転換ですね。

その結果、製薬業界の顧客解像度が高まり、商談が決まるようになっただけでなく、引き合いも増えていきました。ただ、売上になるまでのリードタイムの長さには、気を揉みましたね。

※ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS:ホリゾンタルSaaSとは、業種を問わず利用できるSaaSのこと。代表的なサービスに、マーケティングオートメーションや会計システム、労務システムなどがある。対して、特定の業界での利用を想定したSaaSがバーティカルSaaS。対象とする業界特有の業務、課題解決に特化する。

才流コンサルタントの井出 孝尚(右)
才流コンサルタントの井出 孝尚(右)

井出 エンタープライズセールスの売上が立つまでは、時間がかかります。会社としても、耐えどころですよね。では、セールス組織として、手応えを感じたのはいつ頃でしたか。

千葉 ラクスル エンタープライズがPMFを達成したときです。きっかけは、お客さまから、課題解決のエピソードを聞く機会が増えてきたことにあります。

「2週間かかっていた作業が、3日で完了できた」「ラクスル エンタープライズで業務が効率化できて、自分の本来の業務に集中できる」など、ラクスル エンタープライズが事前に想定した仮説のとおり、お客さまの課題を解決していました。

経営メンバーからも、「誰の、何の課題を、どのように解決するか?の仮説がバイネームで具体的に立証された」「売上も見えているし、横展開もできる状態」と評価され、採用も強化できるようになりました。組織としてフェーズが変わりましたね。

アカウントプランニングの型をブラッシュアップし、仮説立案の精度を高める

井出 セールス組織の立ち上げフェーズを経て、現在取り組んでいることを教えてください。

千葉 セールス組織の現体制は、エンタープライズセールスの部署とMM(Mid Market:中堅企業)・SMBの企業を担当する部署、それらを横串で支えるMarketing&Sales-OPSの部署の3つに分かれています。

MMとSMBはThe Modelに沿った分業型営業を行い、エンタープライズセールスは、AEによる一気通貫型のセールスを行っています。

エンタープライズセールスで取り組んでいることは、アカウントプランニングの型のブラッシュアップです。

商談前に、お客さまのことを調べて、仮説を複数立てる。商談では、お客さまの意図を汲んだり、場合によってはラクスルのほうから情報を提供したりして、信頼を得る。そして、次の商談へつなげ、さまざまな人との関係値をつくり、プロジェクト化していく。

このように、アカウントプランニングの型には、商談前の準備から商談の進め方などのプロセスも含まれています。

井出 アカウントプランニングの型は、どのようにつくってきたのでしょうか。

千葉 まずは私の経験則から基本の型をつくり、メンバーと一緒にPDCAを回して改善を重ねてきました。

以前に比べ、書籍やSNSなどで、エンタープライズセールスの情報が多く発信されるようになりましたから、それらも参考にしていますね。中期経営計画や組織図、最新のプレスリリースなど、調査する項目も体系化しました。

アカウントプランニングの型は、業界ごとに分類し、Notionにまとめています。AEが商談先ごとにファイルを作り、商談の前には必ず直属の上司がチェックする運用にしています。

井出 アカウントプランのシートを作る企業は多いですが、ただ情報をまとめて終わりになりがちです。ラクスルでは、アカウントプランニングで得た情報を、どのように活用していますか。

千葉 商談時の仮説立案に活用しています。

初回商談で一方的にサービスの紹介をするだけでは、お客さまからの信頼は得られません。大切なのは、ラクスル エンタープライズが、お客さまの課題を解決し、事業成長に貢献すると具体的にイメージいただくことです。

たとえば、初回商談の担当者がコスト削減や業務効率化に関心を持っている場合でも、「その企業がさらに解決したいことは何か?」を考え、仮説を立てるんです。

中期経営計画でSDGsに言及していたら、「ラクスルでオンデマンド印刷に切り替えれば、紙の在庫も減ります」という提案もあわせる。すると、次の商談に上司の方も出席してくださる可能性が高まります。

井出 お客さまの潜在的な課題も捉え、次の商談につながる仮説を考えておくんですね。

千葉 商談相手を理解し、課題解決を考える。商談では、この熱意が伝わるかどうかが、とても重要。商談の時間をいただくわけですから、お客さまに価値提供できることを考え抜かなくてはならない。当たり前のことですが、大切です。

エンタープライズ営業は、アカウントプランニングのブラッシュアップと仮説立案が、成果に大きく影響する要素ですね。

エンタープライズ企業向けのマーケティングは、ターゲティング✕コンテンツが要

井出 続いて、マーケティング活動についてうかがいます。ラクスル エンタープライズのマーケティングを開始したのは、いつ頃でしたか。

千葉 PMFの達成後です。まずは、展示会に出展しました。大きなコマを押さえ、2,000件近いリードを獲得でき、大盛況でした。しかし、投資費用を回収できたのは1年ぐらい経ったあとでした。さらに、ラクスル エンタープライズのターゲットである、大手企業のリードがまったくとれなかった

MMやSMBではリード数を重視しますが、エンタープライズではまずターゲティングなのだと気づかされた出来事です。

井出 現在は、どのようなマーケティングを展開しているのでしょうか。

千葉 展示会では、企業セミナーの実施に全力を注いでいます。ターゲット企業が関心を持つテーマを設計したり、ラクスル エンタープライズの導入企業さまや、ラクスルと親和性のある企業さまにご登壇いただいたりしています。

セミナーの参加者は200名前後ですが、ターゲット企業の担当者や決裁者の参加が多いんです。セミナー経由の商談は契約率も高いですし、ROIも良いですね。

そして、再現性高く成果が出ている施策が、業界特化メディアへの記事出稿と共催セミナーです。また、業界団体の懇親会にも出席しています。そのような場では、ラクスル エンタープライズのお客さまつながりで、ご紹介いただくケースもありますね。

井出 メディアや情報を発信する場のターゲティングが非常に大事だなと感じるお話です。どのようにして、メディアを決めているのですか。

千葉 AEが日々接してる業界の人たちの意見や業界の話題を参考に、該当するメディアを見つけています。

(適切なコンテンツを用意したうえで)SNSのターゲティング広告には再現性の高い成果が出ているという。

井出 コンテンツは、どのように作っているのでしょうか。

千葉 出稿先メディアの選定と同様に、AEの日々のインプットを参考にしています。エンタープライズ企業向けのマーケティングでは、ターゲティングとコンテンツが何より重要です。

エンタープライズ企業の決裁者やチャンピオン(※)は、さまざまな情報を持っている方々が多いです。みなさん、業界に特化した解像度の高い良質なコンテンツを求めているので、どこにでもあるようなコンテンツでは読まれません。

※チャンピオン:購買に対する影響力を持つキーパーソンのこと。

コンテンツ作りにおいても、やはり顧客解像度の高さがものをいいます。

ラクスルでは、AEが収集した情報をもとに、マーケティング担当がコンテンツのテーマを作っています。顧客解像度の高いAEが、商談で得たお客さまのニーズや課題、経営方針などの情報を、コンテンツへと反映させていくんです。AEの顧客解像度が、コンテンツの質を決めると言ってもいいでしょう。

この仕組みは、定期的なブラッシュアップを行い、つねに良いコンテンツを作り続ける状態にしておくことが大切です。

そして、マーケターも機会をつくって、商談に同席するべきですね。お客さまの生の声を聞く、事例インタビューに参加する、そのときに出てきたトピックでコンテンツを作るんです。

「リードやお問い合わせにつながるか?」という事業的な面はもちろん、本質的にはお客さまに貢献できるコンテンツを出せるかどうかが、エンタープライズ企業向けのマーケティングのカギになります。

井出 今後のマーケティングの取り組みについて教えてください。

千葉 エンタープライズ企業向けのセールスとマーケティングでは、仮説とターゲティングとコンテンツをいかに磨き込むかが重要です。

そのため、ラクスル エンタープライズはホリゾンタルSaaSですが、アプローチする業界を絞っています。セールス組織も、エンタープライズチームの中に、業界ごとのAEチームをつくりました。

日本の市場では、企業規模よりも業界ごとに絞り込むほうが、顧客解像度を上げる近道になります。たとえば、企業規模が同じでも、自動車会社と製薬会社では、商流も課題もまったく違います。

業界大手の企業の方針や戦略は、その業界にも浸透していきますので、その流れを汲んだコンテンツ発信を続けることが大切です。

エンタープライズ企業向けのホリゾンタルSaaSを展開する他社の方たちも同じような認識を持っているようです。エンタープライズ向け事業を進める一つの型なのだと思います。

属人的な経験・知見から、仕組みや型がつくられる

井出 ここまでのお話から、ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」のビジョンのとおり、つねに仕組み化、型化を考えて行動しているのだと感じました。

実際に、日々の業務から仕組みをつくるうえで、どのようなことを意識していますか。

千葉 仕組みや型をつくることから始めないことです。まずは、属人的であっても、目の前のやるべきことをやりきる。仕組みを考えるのではなく、お客さまの解像度を高めるためにやるべきことをやるのです。

ある程度事業が動き出すと、効率化したほうがよいフェーズになります。そこで、各々の経験から得た知見や成功事例をもとに、仕組みや型をつくるんです。アカウントプランニングは、まさにそのような流れから型化しました。

井出 とても共感します。才流でも、コンサルティングのなかで取り組み、成果がでた施策を、メソッドとして型にしています。

千葉 仕組みや型は、業務を効率化し、組織のスキルを底上げすることにつながります。しかし、飛躍的で非連続な成長を目指すには、定期的に外部からの刺激が必要です。

セールス組織でいえば、トッププレイヤーや外資系企業のセールスエグゼクティブ層などの優秀な人材が参画し、新たな強みを発揮する。そして、その強みをもとに、既存の仕組み・型をブラッシュアップして、進化させていく。このサイクルを回していくことが、ラクスルのセオリーです。

最初に仕組みづくりや型化から入ったら、事業は立ち上がりませんし、ましてや売上なんて上がりません。まずは、属人的なノウハウ・手法で顧客価値に向き合い続け、顧客解像度を上げる。そして、得られた知見や成功事例から、仕組みや型をつくる。順番を間違えないことが大切です。

目指すは、生産性の高いエンタープライズ事業

井出 日々の活動のなかで、仕組み化を意識するには、組織として仕組みをつくることの共通認識を持ち、ブラッシュアップを続けていく心がけが重要ですよね。

一方で、事業フェーズが立ち上げからグロースへと変化するときは、組織内の情報伝達ややるべきことのすり合わせに、ズレが起きやすい時期でもあります。千葉さんは、どのようなマネジメントをしていますか。

千葉 ラクスルには、日々の定例会をはじめとした、さまざまなコミュニケーションの接点で、成功事例や失敗事例などの情報を共有する習慣があります。知見を型に落とし込んでいくフローは体制としてできており、分業やチームが違うことでの弊害は少ないと思います。

やはり、採用とオンボーディングに力を入れてきたことが功を奏していますね。

はじめに「思考力と実行力、そして素直で前向きな姿勢を持つ、優秀なメンバーを採用した」とお話ししましたが、みんな真面目で能力が高く、あっという間に成長してくれました。

井出 新規事業の立ち上げフェーズでは、予想外のことが起きやすいです。過去の経験から得た知識を手放し、学び直す、アンラーニングを求められる場合もあると思います。

その点で、ラクスルには成長できる育成の仕組みがある。柔軟性を持ち、実行力の高い若手のみなさんが活躍しやすい環境だったのではないでしょうか。

千葉 そうですね。現在営業のメンバーは20名近くになりましたが、来年は2倍の規模を想定しています。それを踏まえ、チームリーダー、セクションリーダーと、管理職と現場のハブとなる人を置きました。戦略上の考え方が浸透していけば、組織が大きくなっても、自走できるし、おのおのの責任領域のなかで、判断もできる。

この組織に、さらにハイキャリアな方が加わると、刺激が生まれ、仕組みや型のブラッシュアップができ、非連続な成長へとつながると考えています。採用には、今後も注力していきたいです。

井出 若手には成長できる仕組み、ハイキャリア層には自身の経験をいかせる仕組みを提供する。組織全体によい影響をもたらす環境づくりに、尽力されていると感じました。

井出 おわりに、今後の展望を聞かせてください。

千葉 ラクスル エンタープライズはグロースのフェーズに入り、現在はターゲットセグメントリードの獲得と既存のお客さまの売上の拡大、アカウントプランニングのブラッシュアップという、3つの課題に取り組んでいるところです。

社内では、課題ではなく「伸びしろがいっぱいだ」と言っていますね。「ラクスル エンタープライズは、まだお会いできていない新しいお客さまへ価値をお届けできる」という確信があります。

ラクスルは、1人あたりの生産性をとても重視している企業です。従来であれば人を増やして売上のトップラインを上げる事業も、仕組み化・型化などの生産性を高める方法で伸ばそうとしている点は、個人的におもしろいチャレンジだと感じています。

ラクスル エンタープライズのプロダクトも、お客さまのフィードバックを受けながら、価値貢献できる領域の幅をさらに広げるべく、機能改善・開発を進めています。引き続き、ご期待いただければと思います。

千葉さん、ありがとうございました。

才流コンサルタントが解説

コンサルタント・井出

エンタープライズセールス組織の立ち上げから、業務の型化、採用の方針まで、実際の事例も交え、大変示唆に富んだお話をうかがいました。

エンタープライズセールスでは、顧客解像度を高め、顧客の課題や解決策に対する明確な仮説を持つことが求められます。しかし、そのようなスキルを持つ人材の採用はハードルが高く、とくに組織を新たに立ち上げるときの採用は、簡単ではありません。

ラクスルでは、徹底したポテンシャル採用と同社の強みである仕組み化によって、この問題を乗り越えていました。とくに中堅人材ではなく、「思考力と実行力がある、若手のセールス経験者」に賭けた点は印象的です。

千葉さんの経験にもとづく型を用意したうえで、初期は顧客解像度を高める機会の創出を優先し、見えてきた情報から良い仮説を立てて実行に移す。これを愚直に繰り返し、型をアップデートできるメンバーの存在やラクスルの文化が成功の要因だと感じました。

エンタープライズセールスはすぐに成功が見えるものではないため、壁にぶつかる組織も多いでしょう。そんなときこそ、「顧客解像度を高められているか」「良い仮説を立てられているか」「それを全員ができる仕組みができているか」を見直してみることが大切です。

(撮影:ヤマダヤスヒコ)

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