ここからはパートナービジネスで必要となるセールスマテリアルの種類と作成方法を解説します。
先述した調査結果のとおり、パートナーは多数の商品・サービスを取り扱っているため、調査や資料作成に時間をかけられません。その手間を軽減し、顧客からの信頼を獲得するためには、メーカーがセールスマテリアルを細部まで丁寧に作り込むことが重要です。
顧客が求める情報=パートナーが欲している情報ととらえ、セールスマテリアルを整備するのが案件数増加のポイント。次の7つのパートナーの行動をベースに、セールスマテリアルを用意しましょう。
汎用性の高いセールスマテリアルはテンプレートを用意しているので、ぜひ活用してください。
商品・サービスの理解を促すデモ環境やポジショニングマップなど、必要なセールスマテリアルは全部で7つあります。ここからは作成方法や作成時のポイントを解説していきます。
なお、パートナーの開拓フェーズまでにすべてのセールスマテリアルを作成するリソースを確保できない場合は、最低限、ポジショニングマップと顧客の選定軸でまとめた比較表だけを作成してください。
この2つはパートナー向けの提案書を作成する過程で生まれるものです。その他のセールスマテリアルは開拓やリレーション強化を進めながら必要に応じて作成、ブラッシュアップしていくのがよいでしょう。
理解|パートナー社内導入、デモ環境
パートナーの社内で自社の商品・サービスが利用されている場合、パートナーの営業担当者は商品・サービスの使い勝手がわかったり、機能や特徴への理解が深まったりします。
商品・サービスを導入するメリットが明らかになれば、営業担当者も「当社でも利用しています」「こんなメリットがありますよ」と自信を持って顧客に紹介できるでしょう。可能な場合はパートナー向けの割引価格を用意して、パートナー社内で使ってもらえるようにしましょう。
またデモ環境を用意できる場合は、デモ環境も有効なセールスマテリアルになります。
理解|ポジショニングマップ<必須>
第2章 パートナー戦略の策定「パートナーのペルソナを作成する」でも紹介したポジショニングマップは、市場における自社の商品・サービスのポジションを競合他社と比較して、視覚的に示した図です。
異なる2つの軸のマップ上に自社と競合他社を配置することで、自社のポジションを明確にします。ポジショニングマップを使うと、自社の強みや他社との違いがはっきりします。これにより、パートナーや顧客が自社の商品・サービスを思い出しやすくなります。
才流ではポジショニングマップのテンプレートを用意しています。次の記事で作成方法も解説しているので、ぜひご覧ください。テンプレートをダウンロードするのに個人情報の入力は不要で、どなたでもお使いいただけます。
※関連記事:ポジショニングマップの作り方~肝となる軸の決め方をテンプレート付きで解説~
紹介|1枚リーフレット、1分動画
顧客に伝えたい情報を端的にまとめた1枚リーフレットや1分動画は、パートナーの営業担当者が顧客に商品・サービスを手短に紹介したいときに重宝されます。
金融機関や事務機器商社など、パートナーの属性によっては、動画などの電子データよりも印刷物が好まれるケースもあります。パートナーや顧客の属性にあわせた形で作成しましょう。
1枚リーフレットも才流でテンプレートを用意しています。詳しくは次の記事をご覧ください。
※関連記事:PowerPointで作れる!サービス紹介資料のテンプレート【リーフレット、ペライチのチラシ作成】
紹介|選び方ガイド
選び方ガイドは、顧客の「どのように選べばよいのかわからない」という疑問に答えるセールスマテリアルです。選定のポイントをわかりやすく整理しましょう。
大切なのは、初めて導入を検討する人を読み手と想定して、疑問点を解消する構成にすること。後で紹介する比較表を盛り込むのも有効です。
選び方ガイドの基本構成は次のとおりです。
- 基礎知識(◯◯とは)
- よくある失敗例
- 課題
- 詳細説明
- 成功事例・ユースケース
- 予算
- 選定ノウハウ(選定軸)
- FAQ
案件醸成|ヒアリングシート・ROIシミュレーション
ヒアリングシートとROIシミュレーションは、パートナーに商談の一次対応をしてもらう場合に役立つセールスマテリアルです。
ヒアリングシートで提案に必要な情報を顧客から収集し、ROIシミュレーションで顧客に費用対効果を提示します。
ヒアリングシートは、パートナー視点ではヒアリング項目をまとめる手間を減らせるメリットがあります。またメーカー視点ではヒアリングの抜け漏れを防止できます。必要なヒアリング項目は商品・サービスによって異なりますが、次の3つは定番の項目です。
- 課題
- 予算
- 現状の運用方法と費用
提案|顧客の選定軸でまとめた比較表<必須>
比較表は提案時に使用する定番のセールスマテリアルですが、よく見かけるのは機能軸で作られたもの。一方、顧客は機能ではなく任意の選定軸で比較をしたいケースが多くあります。たとえば導入後のサポート体制や、商品・サービスのカスタマイズ性、周辺システムとの連携性といったものです。
比較表を作成する際に注意したいのはPowerPointやExcelなどのパートナーが加工できるファイル形式で提供すること。理由は、選定軸や説得材料は個社ごとに異なるからです。とはいえ、ゼロから作成するのはパートナーの負担が大きいため、簡単にアレンジできるようにしておきます。
比較表の項目も商品・サービスや企業によって異なりますが、次のような項目を設定するとよいでしょう。
- 企業情報
- 設立年
- 資本金
- 取得済み第三者認証
- 実績
- 特徴
- サポート体制
- 価格
提案|パートナー個社別の実績事例集
メーカーがパートナーとの取引を拡大していく際に重要なのが、第1章でも触れた関係性の構築と信頼の獲得です。そこで役に立つのが、特定のパートナーの実績をまとめた事例集です。
パートナーの営業担当者は顧客に対して自社が関わった事例を話したいもの。しかし、違うチームが顧客に対してどのような商談をしているのかを知らないケースが多いのが実態です。
そこで特定のパートナーの実績をまとめた事例集があれば、重宝されます。また、このセールスマテリアルは、本部と営業現場が分かれているようなパートナーでも情報共有の観点でメリットがあります。作成負荷が高いため、注力パートナーに絞って作成するとよいでしょう。
次の記事でテンプレートを用意しています。「特定企業」を「パートナー」と読み替えて、そのまま利用してください。