パートナービジネスは、メーカーの事業にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。キャズム理論やプロダクト・ライフサイクルを用いてパートナービジネスを捉えると、ビジネスインパクトがうかがえます。
キャズム理論で考えるパートナービジネスのインパクト
キャズム理論とは、イノベーターやアーリーアダプターなどのいわゆる「新しいもの好き」な人たちと、アーリーマジョリティやレイトマジョリティなどの検討や行動に時間がかかる大多数の人たちの間には深い溝(キャズム)があるというマーケティングの理論です。
Webで検索したり、展示会に足を運んだりして情報を収集し、自ら問い合わせをする見込み顧客は氷山の一角で、キャズム理論でいうところのアーリーアダプターまで。より一層事業を拡大させるには、普段からイノベーターやアーリーアダプターだけでなく、アーリーマジョリティ以降の顧客と接しているパートナーとの協業が欠かせません。
パートナーを介すことで、自社だけではリーチできない顧客と接点が持てるようになるからです。
プロダクト・ライフサイクルの観点で考えるパートナービジネスのインパクト
プロダクト・ライフサイクルの観点で見ても、同様のことがいえます。
プロダクト・ライフサイクルとは、商品・サービスが市場に導入されてから、衰退するまでの流れを導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つのステージに分けて考えるモデルのこと。次のような特徴があります。
導入期の顧客であるイノベーターは新しい技術や商品・サービスに対して自然と関心を持つ傾向があります。競合他社も少ないことから比較的投資を抑えて顧客を獲得できるため、顧客獲得コストは高くはありません。
しかし、市場に商品・サービスが浸透してくる成長期には、競合他社も増加し、競争は激化します。アーリーアダプターやマジョリティにアプローチするフェーズでは、導入期に比べて、より多くの顧客獲得コストが必要になるでしょう。
そこでメーカーは直販体制を拡大しつづけるか、パートナービジネスにも取り組んで両軸で拡大するかの選択を迫られます。パートナービジネスは、次にあてはまるようなメーカーにとって、成長期を乗り越えるための有効な手段となる可能性があるのです。
▼パートナービジネスが有効な手段となる商品・サービスの傾向
- ターゲットとなる顧客の数が多い
- 新たなセグメントに売り込んでいきたい
- 競合他社がパートナービジネスに取り組んでいる
- パートナー経由で購買を行う業界をターゲットにしている
次の記事では、「直販のみ」から方針を転換し、キャズムを超える次の打ち手にパートナーセールスを立ち上げた株式会社カオナビの事例をお読みいただけます。