はじめに

本ガイドの概要と著者を紹介します。

暗黙知として受け継がれてきたパートナービジネスのノウハウを体系化

パートナービジネスとは、メーカーが第三者のパートナーと協業して自社の商品・サービスを顧客に提供することを指します。代理店ビジネスと呼ばれることもあります。直販体制ではリーチできない顧客にも自社の商品・サービスを届けるために、古くから多くのメーカーが取り組んできました。

一方、パートナービジネスに関するノウハウは、これまで主に暗黙知として受け継がれてきました。そのため、営業やマーケティングの分野に比べて体系的にまとめられた書籍や記事は多くありません。「パートナービジネスに取り組んだものの、思うように売上が伸びない」と悩むメーカーも多く見られます。

パートナービジネスで成功を収めるためには、まずパートナー戦略を立て、それがうまくいくかどうかを検証し、自社独自の成功要因を見つけて横展開していく必要があります。やみくもにパートナー契約を締結するのではなく、成功要因をつかんでから徐々にパートナーを増やすアプローチです。

本ガイドでは、このプロセスを体系化し、図解やインタビューも盛り込みながら詳細に解説しています。メーカーとパートナー(代理店)が双方にとって意義のあるアライアンスを増やす一助となることを願って、公開に至りました。

著者からのメッセージ

本ガイドはメソッドコンサルティングを提供する株式会社才流と、PRM(代理店連携)クラウドを提供するパートナーサクセス株式会社、両社の知見を集約しています。経験に基づいた実践的なノウハウと成功事例を盛り込みました。


株式会社才流 コンサルタント 桂川 誠

私のパートナービジネスへの関わりは、新卒から20年近く勤めた大手OA機器メーカーでの経験から始まり、現在の才流での支援活動へと続いています。

新卒で入社したメーカーは、45年以上にわたり国内有数の規模でパートナービジネスに取り組む企業です。おもにOA機器やセキュリティを中心とした100以上の事業を展開し、数千のパートナー企業とともに事業を進めています。また、メーカーとして自社ブランドの販売機能を持つ一方で、外部から製品を仕入れて販売する商社機能も有しています。在職中、私はメーカーと代理店の双方の立場を経験しました。そこで多くの成功と失敗を経て、パートナービジネスの潜在的な可能性に気づき、パートナービジネスの体系化、言語化を進めてきたのです。

パートナービジネスは、国内では金融業や製造業をはじめとして150年以上の歴史があります。しかし、不思議なことにWeb上には体系立てられた情報がほとんどありません。成功の秘訣やヒント、これらは先輩から後輩へと暗黙の知として受け継がれてきたのです。

お客さまをご支援していると、「パートナー契約社数は増えている一方で、売上が伴ってこない」という相談を多くいただきます。パートナービジネスは、やみくもに契約を締結するだけでは成果につながりません。パートナーの選定、インセンティブ設計、パートナーとのコミュニケーション手法を緻密に練る必要があります。しかし、体系立てて学ぶ機会が不足しているのが実情です。

才流は、再現性のある方法論を開発し、発信する企業として「メソッドカンパニー」というビジョンを掲げています。メソッドを通じて誰かを助け、新しいことが今まで以上のスピードで生まれる状況をつくり、社会に貢献できる会社になること。それが目指している姿です。

パートナービジネスの領域においても、私たちが泥臭く手に入れてきた情報や経験を、体系化・言語化した知見に昇華して次世代に受け継ぐことが重要であると考えています。才流がメーカーとパートナーの架け橋となり、「いいアライアンス」で溢れている世界を目指しています。

本ガイドブックでは、パートナービジネスの基礎知識からスタートし、パートナー戦略の立案、パートナープログラムの設計、セールスコンテンツの整備、そしてパートナー開拓とリレーションの強化までを解説しています。

非連続の成長を、パートナービジネスを通じて実現したい。そんな想いを抱える方のお手伝いができれば、これにまさる喜びはありません。


パートナーサクセス株式会社 代表取締役 CEO 永田 雅裕

私は、これまで外資ベンダーと国内メーカー、パートナー双方の立場でパートナービジネスを経験し、代理店チャネルがいかに有効な成長戦略であるかを実感してきました。さらに、労働人口の減少という社会課題を鑑みれば、代理店活用は、より重要な経営戦略です。しかし、そのナレッジさえも、まだブラックボックスなままです。このガイドブックが、皆さまの新たな戦略的意思決定の一助となれば幸いです。

パートナービジネス有識者のコメント

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役 庭山 一郎氏

私はB2B専門のマーケティングサービス会社を創業して来年で35年になります。その間、外資系と日本企業の数百社のマーケティングをご支援するなかで、欧米企業と日本企業の「差」を痛感してきました。マーケティングを中心に組織を構築し、経営戦略を実現している欧米企業と比較すると、日本企業にはそもそもマーケティング部門が存在せず、営業と販売代理店だけがハイタッチで売上を作っていました。

そうした経験を踏まえて「日本のB2Bマーケティングは先進国から15年遅れている、とくにPRM(パートナーリレーションシップマネジメント)の分野では20年の遅れがある」と繰り返し述べてきました。今、日本企業もようやくマーケティングに取り組みはじめ、組織を作り、ツールを整備してキャッチアップの体制を整えていますが、PRMは相変わらず大きな差があります。ここをまず壊すところから始める必要があるので、手強いのです。

そんななかで、PRMソリューションを手がけるパートナーサクセス社と、気鋭のコンサルタント集団である才流社の共著でこの本は出版されることは本当に意義深いことです。世界のB2B商材の70%以上は販売代理店によって売られています。ここが世界に追いつくことは極めて重要だと考えています。

https://www.symphony-marketing.co.jp/


株式会社LEAPT 代表取締役社長 戸栗 頌平氏

パートナー(代理店)ビジネスは、ベンダーやパートナーの事情、顧客の状況変化、パートナーごとのビジネスメリットなど、さまざまな力学が働きます。本書では、ベンダーやパートナーの事情や考えるべき制度を具体的な事例を交えて解説しており、パートナービジネスの立ち上げを行う企業には非常に有益な内容です。

私自身、パートナー(代理店)に所属し、その後ベンダー側に転職してビジネスに関わった経験がありますが、パートナービジネスは難しい一方で無限の可能性を秘めていると信じています。本書では具体的な事例を通じて、実践前に知っておくべき知識や注意点を網羅的に得ることができ、多くのビジネスに応用できるヒントが多く見つかります。

本書を通じてパートナービジネスの発展に対する期待が高まりました。企業間の連携を強化し、より良いビジネス環境を築くための必読書になると信じています。

https://www.leapt.co.jp/


株式会社セレブリックス セールスカンパニー 執行役員 カンパニーCMO セレブリックス営業総合研究所 所長 兼 セールスエバンジェリスト 今井 晶也氏

進化の過程に言語が増える、という考え方があります。私が研究・体系化を目指す法人営業の領域でも、その職業や技術を「営業」という大きな塊で捉えるのではなく、言葉や領域を細分化させて、専門的な調査や言語化を推進していく必要性を感じています。

本資料、『パートナービジネスの立ち上げガイドブック』においては、まさに顧客開拓や営業の専門性を突き詰めるうえで、非常に重要なエッセンスと示唆が含まれていると感じます。

法人営業においては、直販営業なのか・パートナー営業なのかによって前提が異なります。本資料でも引用いただいていますが、セレブリックス営業総合研究所の調査では、パートナービジネスには、その領域で求められるスキルが明確に存在するのです。そうした意味では、パートナービジネスを推進したり情報収集するうえで、本資料が役に立つことは明白と言えるでしょう。

https://www.eigyoh.com/

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