STEP6.商談運用ガイドラインを作成する

最後に、直販の営業やほかのパートナーの営業と商談でバッティングしたときの対応方針とルールを定義します。

商談でバッティングした際の基本原則

商談でバッティングした際の対応方針とルールについて、基本原則は次のとおりです。

バッティングの相手基本原則
メーカーの直販営業パートナーを優先する
ほかのパートナー顧客に選んでもらう
※自由競争の観点からメーカーは間に入らない
商談でバッティングした際の基本原則

設定する商談運用ルールの例

基本原則に基づいて、次のような商談運用ルールを設定しましょう。

例1.先に商談を始めたパートナーを優先する

パートナー同士でバッティングした際は、最も早くメーカーに商談情報を提出したパートナーを優先します。

商談が重複している場合は、メーカーは各パートナーの状況を確認し、商談のフェーズや顧客の要望を整理します。また、必要に応じて一番手のパートナーが価格で競合のパートナーに負けないように特価で対応することも検討します。

例2.直販の見積価格に直販の下限価格を設定する

たとえば「パートナー仕切り率80%なら直販の下限価格は95%」のように、顧客に提示する見積価格はパートナーが利益を出せるよう下限価格を設定します。パートナーが不満を抱いたり、信頼を損なったりするのを防ぐためです。

例3.パートナーセールスの役割を案件創出までとし、商談対応は直販の営業に任せる

自社の直販営業担当者と自社のパートナー営業担当者(パートナーセールス)がそれぞれ予算を持っていると、メーカーの直販営業とパートナーがバッティングした場合にどうしても社内調整が発生します。

一方、自社の直販営業担当者がパートナーからのトス案件にも対応する場合、社内調整は発生しません。バッティングの懸念がある場合は、このような体制も検討しましょう。

株式会社カオナビでは、パートナーからトスされた商談に自社の直販営業担当者が同席するかたちでパートナー経由の受注を伸ばしています。詳細は次の記事をご覧ください。

※関連記事:直販チームとの分業で、パートナー開拓と育成に注力。新時代のSaaS×パートナーセールスに挑むカオナビ

(参考)メーカー各社のバッティング時の対応

参考として、メーカー各社のバッティング時の対応方針を紹介します。

パートナービジネスの売上比率が5割を超える企業

パートナービジネスの売上比率が5割を超える企業の対応方針は次のとおりです。

自社の営業(直販)とパートナーがバッティングするケースパートナー同士がバッティングするケース
外資系 M社パートナーを優先する●顧客に選択権がある(自由競争)
●商談権限を最も早く提出しパートナーを優先
勤怠管理サービス H社パートナーを優先する
※ただし、顧客の意向で直販になるケースはある
●顧客に選択権がある(自由競争)
●パートナーにより仕切り価格が異なるため、結果的に実績が多いパートナーが受注する
基幹システム O社パートナーを優先する●先に商談したパートナーを優先する
●商談ベースで自社の営業がつくるため、異なるパートナーが同一顧客と商談した場合でも社内の営業は1人になる(社内調整が発生しない仕組み)
情報通信業 S社パートナーに譲るケースが多い
※提案自体は足並みを揃えたうえで、どこから購入するかは顧客に判断してもらう
顧客に選択権がある(自由競争)
パートナービジネスの売上比率が5割を超える企業の対応方針

パートナービジネスの売上比率が5割未満の企業

パートナービジネスの売上比率が5割未満の企業の対応方針は次のとおりです。

自社の営業(直販)とパートナーがバッティングするケースパートナー同士がバッティングするケース
外資系 S社都度、コミュニケーションにて決める●顧客に選択権がある(自由競争)
●メーカーとしてはすべてのパートナー企業に適切に誠意を持ってフォローする
情報通信業 S社先に商談したパートナーを優先する
バックオフィスサービス C社先に商談したパートナーを優先する
勤怠管理サービス J社先にアポイントを獲得したほうを優先する先に商談したパートナーを優先する
情報通信業 I社販売チーム、代理店チームの間でターゲット企業を事前共有し、バッティングを防止する先に商談したパートナーを優先する
パートナービジネスの売上比率が5割未満の企業の対応方針

パートナー契約書を作成する

商談運用ルールを定義したら、ここまでの内容をパートナー契約書に落とし込みましょう。契約書作成時のおもな論点は次のとおりです。

※契約書を作成する際は、必ず社内の法務部門や顧問弁護士に相談しながら進めてください。

おもな論点補足
報酬報酬の対象範囲、費用、支払い方法をどうするか
契約対象契約締結の対象に条件を加えるか
契約期間契約期間をどうするかパートナービジネスの立ち上げ時は、期間を短くするのが望ましい
独占販売権独占販売権を付与するか
競合他社の商品・サービスの取り扱い競合他社の商品・サービスの取り扱いを制限するか競合他社の商品・サービスを取り扱う場合は、書面による事前届け出を求めることもある
著作権・知的財産権著作権等の帰属・使用許諾の範囲をどうするか商品・サービスの利用規約と整合性を保つ
広告・宣伝ブランドガイドラインの遵守、広告素材の使用範囲や条件、承認プロセスをどうするか不要な安売りや誇大広告といったブランドイメージの毀損に繋がる行為を抑止することが望ましい
その他紛争解決、守秘義務、反社会勢力の排除、契約解除など一般的な契約書に記載する項目
パートナー契約書を作成するときのおもな論点

以上でパートナープログラムの設計は完了です。

設計したパートナープログラムに基づいて、パートナー向けの提案書や必要なセールスマテリアルを整備しましょう。詳細は、このあとの第4章で説明します。

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