ここからはパートナービジネスを成功させるポイントについて解説していきます。ポイントは次の2 つです。
- パートナーと顧客の解像度を高める
- パートナーが商品・サービスを担ぐ理由を磨く(Product Partner Fit / 以下、PPF)
ポイント1.パートナーと顧客の解像度を高める
パートナービジネスに取り組むメーカーから「契約を締結したパートナーが思うように売ってくれない」という声をよく聞きます。しかし多くの場合、原因はメーカー側にあり、次のようなパートナービジネスに対する誤解を抱いています。
▼メーカーのよくある勘違い
- パートナービジネスを立ち上げれば、すぐにパートナーは集まるはずだ
- パートナーの数を増やすことが大切である
- 契約を締結すれば、パートナーが勝手に売ってくれる
▼メーカーが陥りがちな状況
- パートナー側が希望したので契約を締結したが、全然売れていない
- パートナーのビジネスモデル、状況を理解していない
- パートナー用の営業戦略が練られておらず、直販と同じものになっている
- パートナービジネスを軌道に乗せるには数年かかることを知らない
その一方で、パートナー側は次のような悩みを抱えています。
▼パートナーのよくある悩み
- 自社が儲かるインセンティブ制度になっていない
- 自社のビジネスについてメーカーの理解が浅い
- 商談や導入後のメーカーのサポート体制に不満がある
- 商品・サービスのセールスマテリアルが足りておらず、顧客に紹介しづらい
- メーカーの営業担当者のレスポンスがよくない
- 顧客にアドオン提案できる商材が欲しいけれど見当たらない
- 自社の商品・サービスと組み合わせて、ソリューションとして顧客に提供できる商材がない
- 顧客が競合他社に流出するのを防ぎたい
ここから見えてくるのは、パートナービジネスがうまくいっていないメーカーの多くはパートナーのビジネス、そして顧客を正しく理解できていないということ。つまり、パートナービジネスを成功させるためには、パートナーそして顧客への解像度を高める必要があるのです。
ポイント2.パートナーが商品・サービスを担ぐ理由を磨く(PPF)
2つ目のポイントは、商品・サービスがパートナーに適合している状態をつくること。私たちは、PPF(プロダクト・パートナー・フィット)と呼んでいます。
パートナーが自社の商品・サービスを担ぐ理由、つまりパートナーにとってのベネフィット(利益、便益)を磨いていきます。
パートナーのベネフィット、つまりパートナーが商品・サービスを担ぐ理由は大きく次の3つに分けられます。
- パートナーの価値が高まる
- パートナーが儲かる
- パートナーが売りやすい
PPFは、パートナーによって異なるものです。たとえばパートナーが自社の商品・サービスと組み合わせて顧客に提案するSIerのような立場であれば、1よりも2を優先するでしょう。
一方、メーカーから商品・サービスを仕入れて二次パートナーに卸す立場であるディストリビューターであれば、1 や3 を意識する傾向があります。パートナー戦略を策定する際は、パートナーが何を求めているのかをよく考えましょう。
PPFを考える際も、やはりパートナーと顧客への高い解像度が必要です。パートナーと顧客の解像度を高めたうえで、PPFを磨き込んでいきましょう。
次の記事で、「アライアンスの本質は、パートナーの課題を解決すること」と語るベルフェイス株式会社の事例をお読みいただけます。