パートナービジネスでよくある3つの失敗

ここで、パートナービジネスをさらに深く理解するために、パートナービジネスでよくある3つの失敗を紹介します。

パートナービジネスは、パートナー戦略を策定しなかったり、属人的な経験をもとに試行錯誤で進めたりすると、次のような問題が発生します。

  1. 競合他社が自社よりも先にパートナー網を構築してしまった
  2. 数百社とパートナー契約を締結したが、定期的に売れるのはそのうちの数社だけ
  3. パートナービジネスが立ち上がる前に事業成長が鈍化してしまった

これらの問題により、パートナービジネスの取り組み開始から1〜2年後にパートナー戦略の再策定を迫られるケースもよく見られます。こうした事態に陥るのを避けるためにも、失敗の原因を理解しておきましょう。

失敗1.競合他社が自社よりも先にパートナー網を構築してしまった

競合他社が先に契約パートナーを増やしたことで、自社と契約を締結してもらえない、または自社の商品・サービスを販売する優先度が低くなってしまうケースです。

競合他社のパートナー網に後から入り込むのは難易度が高いもの。自社の商品・サービスの機能や価格に大きなメリットやインセンティブがないと、パートナーにとっては取り扱う理由がありません。

仮に契約を締結できたとしても、パートナーが売り慣れている競合他社の商品・サービスから自社の商品・サービスに乗り換えてもらうのはハードルが高いでしょう。新たな商品・サービスを一から理解し、顧客に提案するのはパートナーにとって負荷が大きいからです。

加えて、競合他社とパートナーの信頼関係が強い場合は、商品・サービスの機能差や価格差だけの戦いではなくなります。パートナーによほどのメリットがないと、自社の商品・サービスを取り扱ってもらうのは現実的ではありません。

言い換えると、先にパートナー網を構築し、パートナーと信頼関係を構築できれば参入障壁になるのです。

失敗2.数百社とパートナー契約を締結したが、定期的に売れるのはそのうちの数社だけ

契約を締結したパートナーの数と案件数は比例しません。パートナービジネスにおいて大切なのはパートナーにどんな価値を提供できるのかを言語化すること。これができていないと、売上につながらない対応が増え、営業コストが跳ね上がります。

よく見かけるのが、経営層同士の雑なコミュニケーションから「デメリットはないので、とりあえず契約を締結しましょう」と協業話が生まれるパターン。

この場合、パートナーやパートナーの営業担当者が商品・サービスを担ぐ理由が言語化されていないため、契約を締結しても売れることはありません。パートナービジネスに取り組むときは、やみくもに契約を締結するのではなく、パートナー戦略を策定してから、パートナー開拓に取り組みましょう。

失敗3.パートナービジネスが立ち上がる前に事業成長が鈍化してしまった

パートナービジネスは、即効性のある取り組みではありません。立ち上げから軌道に乗るまで数年かかることもめずらしくないでしょう。

事業数値に跳ね返るまでに数年先を見据えた動きが必要ですが、直接販売や他の業務と兼務していては検討が進みづらくなります。機会を逃さないためにも、必ず専任者や専任チームを設置し、パートナービジネスで売上を上げたいタイミングの数年前には体制構築に着手しておきましょう。

具体的な進め方は、このあとの第2章「パートナー戦略の策定」で解説しますが、まずはパートナービジネスが自社の商品・サービスにマッチするかどうかを専任者をおいて検証します。そこでマッチしていると判断できれば、パートナービジネスの立ち上げに向けて体制を構築。マッチしないようであれば、直販の体制を強化しましょう。

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